災害対策基本法 第61条の5(都道府県外広域避難の協議等)
クイックジャンプ
- 前条第一項に規定する場合において、市町村長は、要避難者を一定期間他の都道府県内の市町村の区域に滞在させる必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、当該他の都道府県の知事と当該要避難者の受入れについて協議することを求めることができる。
- 2.前項の規定による要求があつたときは、都道府県知事は、要避難者の受入れについて、当該他の都道府県の知事に協議しなければならない。
- 3.都道府県知事は、前項の規定による協議をするときは、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。ただし、あらかじめ報告することが困難なときは、協議の開始の後、遅滞なく、報告することをもつて足りる。
- 4.第二項の場合において、協議を受けた都道府県知事(以下この条において「協議先都道府県知事」という。)は、要避難者の受入れについて、関係市町村長と協議しなければならない。
- 5.前項の場合において、協議を受けた市町村長(以下この条において「都道府県外協議先市町村長」という。)は、要避難者を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、要避難者を受け入れるものとする。この場合において、都道府県外協議先市町村長は、第一項の規定による滞在(以下「都道府県外広域避難」という。)の用に供するため、受け入れた要避難者に対し指定緊急避難場所その他の避難場所を提供しなければならない。
- 6.前項の場合において、都道府県外協議先市町村長は、当該市町村の区域において要避難者を受け入れるべき避難場所を決定し、直ちに、その内容を当該避難場所を管理する者その他の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
- 7.都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による決定をしたときは、速やかに、その内容を協議先都道府県知事に報告しなければならない。
- 8.協議先都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、その内容を第二項の規定により協議した都道府県知事(以下この条において「協議元都道府県知事」という。)に通知しなければならない。
- 9.協議元都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を第一項の規定により協議することを求めた市町村長(以下この条において「協議元市町村長」という。)に通知するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
- 10.協議元市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を公示するとともに、内閣府令で定める者に通知しなければならない。
- 11.協議元市町村長は、都道府県外広域避難の必要がなくなつたと認めるときは、速やかに、その旨を協議元都道府県知事に報告し、及び公示するとともに、前項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
- 12.協議元都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、その旨を協議先都道府県知事に通知するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
- 13.協議先都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を都道府県外協議先市町村長に通知しなければならない。
- 14.都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を第六項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。
この条文の基本情報
都道府県外広域避難の協議等とは何ですか?
定義都道府県外広域避難の協議等とは、災害対策基本法第61条の5に定められた規定で、「前条第一項に規定する場合において、市町村長は、要避難者を一定期間他の都道府県内の市町村の区域に滞在させる必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、当該他の都…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第61条の5(都道府県外広域避難の協議等)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第61条の5の条文原文は「前条第一項に規定する場合において、市町村長は、要避難者を一定期間他の都道府県内の市町村の区域に滞在させる必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、当該他の都…」で始まります。
- 災害対策基本法第61条の5は第三節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第61条の5の前の条は災害対策基本法第61条の4です。
- 災害対策基本法第61条の5の次の条は災害対策基本法第61条の6です。
- 災害対策基本法第61条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第61条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第61条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/61_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法61条の5は、災害発生前に市町村長が知事を通じて他県へ住民受入れの協議を求める手続を定める。受入側は正当な理由がない限り避難場所を提供する。
Q · 台風が来る前に、隣の県へ避難させてもらう仕組みはあるの?
県を通じて協議し、受入側は原則として断れない
災害対策基本法61条の5により、災害が発生するおそれがある段階で、市町村長は都道府県知事に対し、他の都道府県の知事と要避難者の受入れを協議するよう求めることができます。協議を受けた市町村長は、正当な理由がない限り受け入れ、指定緊急避難場所その他の避難場所を提供しなければなりません(第5項)。決まった避難場所は通知の連鎖を経て、最終的に元の市町村長が公示します(第10項)。住民に移動を強制する規定ではありません。
解説
250万人。東京東部の江東5区が、荒川・江戸川の氾濫や高潮に備えて「区の外へ逃がす必要がある」と想定してきた人数である。この人数は、区内の避難所には到底収まらない。そこで効いてくるのが本条だ。本条は前条第1項の場面、つまり災害が起きる前の段階を想定している。その段階で市町村長は、都道府県知事を通じて、県境を越えた避難先の受入れを相手県の知事と協議するよう求めることができる。協議を受けた側の市町村長は、「正当な理由」がない限り受入れを拒めず、避難場所を提供しなければならない。決まった内容は、受入側の市町村長から知事、知事から元の県の知事、そこから元の市町村長へと通知で伝えられ、最後に公示される。あなたにとって大事なのは一点だ。あなたの避難先は、自宅近くの小学校とは限らない。隣の県の、名前も知らない施設が公示されることがある。その公示を見落とせば、渋滞の中で行き先を探し回ることになる。
法的な位置づけ
災害対策基本法61条の5は、災害が発生するおそれがある場合に、市町村長の要求に基づき都道府県知事が他の都道府県知事と要避難者の受入れを協議し、協議先の市町村長が正当な理由がない限り要避難者を受け入れて指定緊急避難場所その他の避難場所を提供する「都道府県外広域避難」の手続を定める規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.市町村長が知事に協議を要求 災害が発生するおそれがあり、要避難者を他の都道府県に一定期間滞在させる必要があると判断したら、市町村長は都道府県知事に対し、相手県の知事との受入れ協議を求める(第1項)
- 2.知事が国に報告し、相手県と協議 協議を求められた知事は、あらかじめ内閣総理大臣に報告したうえで相手県の知事と協議する(第2項・第3項)。事前の報告が難しいときは、協議開始後に遅滞なく報告する
- 3.相手県の知事が受入市町村と協議 協議を受けた知事は関係市町村長と協議する(第4項)。協議を受けた市町村長は、正当な理由がない限り受け入れ、避難場所を提供する(第5項)
- 4.受入側が避難場所を決定し通知・報告 受入側の市町村長は避難場所を決め、施設の管理者などに直ちに通知し、知事へ速やかに報告する(第6項・第7項)。内容は相手県知事、元の県の知事、元の市町村長へと順に伝えられる(第8項・第9項)
- 5.元の市町村長が公示し住民へ周知 通知を受けた元の市町村長は内容を速やかに公示し、内閣府令で定める者に通知する(第10項)。住民はこの公示を確認してから移動を確定させる
- 6.必要がなくなれば終了手続 広域避難の必要がなくなったら、元の市町村長が報告・公示・通知を行い、終了の連絡が受入側の市町村長と施設管理者まで届く(第11項〜第14項)
よくある質問 AI による整理
Q1都道府県外広域避難とは?
災害が起きるおそれがある段階で、住民を一定期間ほかの都道府県の市町村に滞在させる避難です。災害対策基本法61条の5が協議と受入れの手続を定めています。
Q2広域避難の避難先はどうやって知る?
受入先が決まると通知が順に戻り、最後に元の市町村長が内容を公示します(第10項)。市区町村の公式サイト、防災アプリ、防災行政無線などで確認します。
Q3広域避難の協議は誰が始める?
出発点は住民のいる市町村長です。市町村長が都道府県知事に協議を求め、知事が相手の都道府県知事と協議します(第1項・第2項)。
Q4広域避難 内閣総理大臣への報告は必要?
必要です。協議元の知事は協議の前に内閣総理大臣へ報告し、事前の報告が難しい場合は協議開始後に遅滞なく報告します(第3項)。受入決定後にも報告します(第9項)。
Q5広域避難はいつ終わる?
元の市町村長が必要がなくなったと認めたときに終わります。知事への報告と公示を行い、通知が受入側の市町村長と施設管理者まで伝わります(第11項〜第14項)。
Q6県外の避難場所で食事や寝具は出る?
本条が義務づけるのは避難場所の提供までです。食料や寝具などの生活支援は、災害救助法の適用や自治体の計画によって決まり、地域によって差があります。
Q7広域避難の受入れは拒否できる?
正当な理由がある場合に限って拒否できます(第5項)。条文に具体例はなく、収容能力の不足や受入地自体に災害が迫っている場合が想定されています。
Q8広域避難の対象になる災害は?
前条(61条の4)第1項の場面、つまり災害が発生するおそれがある段階が前提です。大規模な水害や高潮のように、発生前の避難が必要な災害が典型です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1県外に避難したら、向こうでお金はかかるんですか?
本条は受入側の市町村長に避難場所を提供する義務を課している(第5項)が、費用を誰が負担するかまでは定めていない。災害救助法が適用されれば、避難所の供与は救助として公費で行われうる。実務のポイント:自分の判断で予約したホテルの代金は、原則として自己負担になりうる。公費の対象になるかは、受入側の自治体がその宿泊施設を避難場所として扱っているかどうかで決まる。予約の前に公示の施設名を確認する
Q2受け入れる側の町が「うちは無理です」と断ることはできるんですか?
断ることはできるが、「正当な理由」がある場合に限られる(第5項)。条文は何が正当な理由にあたるかを挙げておらず、実務上の解釈も固まっていない。収容能力の不足や、受入地自体に災害が迫っていることが典型例として想定されている。実務のポイント:本条には受入れを拒んだ場合の罰則がない。実際に受入れを動かすのは法的な強制ではなく、平時に結んだ自治体間の協定と、知事が間に入る協議の場での調整である
間違えやすい点 AI による整理
- 「避難場所は自分の住む市町村が用意するもの」と思われているが、県外への広域避難では、場所を提供する義務を負うのは受入側の市町村長である(第5項)。あなたの命を預かる施設を選んだのは、あなたが一票を投じたことのない町の首長かもしれない
- 「県外避難を命じられたら従わなければならないのか」という問いの立て方がずれている。本条は自治体同士の受入れ調整を定める規定であり、住民に移動を強制する条文ではない。避難を呼びかける根拠は60条の避難指示で、避難指示に従わなかったことへの罰則もない。問題は義務があるかどうかではなく、逃げ遅れたときに受入枠がもう埋まっているかどうかである
- 提供されるのは「避難場所」であることの意味を軽く見ている人が多い。条文が例に挙げているのは指定緊急避難場所(命を守るために一時的に逃げ込む場所)であり、数日暮らすための食料や寝具の提供までは本条から直接は導けない。滞在中の生活支援は、災害救助法の適用や各自治体の計画次第で、地域によって差が出る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 受入先の範囲 | 61条の5:他の都道府県の市町村 | 61条の4:同じ都道府県内の他の市町村 86条の9:他の都道府県(都道府県外広域一時滞在) |
| 想定する段階 | 災害が発生するおそれがある段階(発災前) | 災害が発生するおそれがある段階(発災前) 災害が発生した後 |
| 協議の経路 | 市町村長 → 知事 → 相手県知事 → 受入市町村長 | 市町村長が他の市町村長と協議(同一県内) 知事同士の協議を経て受入市町村長へ |
| 住民が確認すべきもの | 元の市町村長による公示(第10項) | 元の市町村長による公示 被災市町村からの周知 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は避難勧告と強制撤離を地方政府の権限とし、対応しきれない場合は上級政府や他の機関に支援を求める。県市をまたぐ受入れを協議する詳しい手続を発災前の段階について定めた規定は見当たらない
韓国は首長による대피명령(避難命令)を定める。自治体の境界を越えた受入れを細かな手続として条文化している点で、日本の本条は詳しい
ドイツでは災害対策は州の権限で、州をまたぐ対応は基本法の相互援助の枠組みで行う。発災前に住民を他の州で受け入れる協議手続を連邦法で定めた条文はない
米国は州の間の相互援助協定(EMAC)と連邦の Stafford Act の組合せで、州をまたぐ避難者の受入れを調整する。法律ではなく協定を軸にしている点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし台風の進路予報が数日後の荒川氾濫の危険を示したら、あなたの家族はどこへ向かう? 区が県外の受入先を公示するのは、知事同士の協議と受入側の決定が終わってからだ。公示を待つか、親族宅へ先に動くか。その判断材料は、区の広域避難計画に平時から書かれている
- あなたは隣県の小さな町の防災担当で、深夜に県から「他県の住民を数千人受け入れられるか」と協議が回ってきた。断れるのは「正当な理由」がある場合だけである。体育館がすでに自分の町の住民で埋まりかけているなら、その事実をいま記録に残すかどうかで、翌朝の議会への説明が変わる
- 介護施設の入所者を県外へ移す話が出た。公示された避難場所が車椅子で使えるかは、誰も確認してくれない。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 平時のうちに、自分の市区町村が広域避難計画を作っているか確認し、想定される県外の受入先と移動手段を把握する2. 台風が接近したら、市区町村の公示(第10項)と防災アプリを確認し、受入先の避難場所の名称が分かってから動く3. 要介護者や障害のある家族がいる場合は、避難行動要支援者名簿(49条の10)に登録されているかを確認し、受入先の段差や設備を問い合わせる4. 親族宅など自分で確保できる県外の避難先があれば、それを優先し、公的な受入枠を他の人に残す
訴えられた側:1. 協議を受けた市町村長が受入れを断る場合は、「正当な理由」(収容能力の不足や受入地自体への災害の切迫などが想定されるが、解釈は確立していない)を具体的に記録しておく2. 受け入れる場合は避難場所を決め、施設の管理者などに直ちに通知し(第6項)、速やかに知事へ報告する(第7項) 3. 施設の管理者は、通知を受けた時点で開錠の手順、人員の配置、他県住民の名簿管理を確認する4. 広域避難が不要になったという通知(第14項)を受けたら、閉鎖と退去の手順に移る
時効(請求できる期限):特定の時効はない。手続は第6項が「直ちに」、第7項から第14項が「速やかに」、第3項ただし書が「遅滞なく」と定めており、期限は日数ではなく災害の切迫度で決まる。本条の運用をめぐって損害賠償を請求する場合は、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用され、自治体の違法行為であれば国家賠償法4条を通じて民法の時効規定(724条)が及ぶ
改正沿革 AI による整理
- 令和3年(2021年)改正(要人的検証) 災害が発生するおそれのある段階での広域避難の協議の枠組みが設けられたとみられる。新設か既存条文の改正かを含め、条番号の変遷と以後の改正の有無は原典で確認が必要
改正の年表
- 1.令和3年(2021年) 新設:災害対策基本法等の一部を改正する法律により、災害が発生するおそれがある段階での広域避難の協議の枠組みが設けられたとみられる。条番号の変遷と以後の改正の有無は原典で確認が必要
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める