商業登記法 第69条(資本金の額の増加による変更の登記)
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資本準備金若しくは利益準備金又は剰余金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記の申請書には、その減少に係る資本準備金若しくは利益準備金又は剰余金の額が計上されていたことを証する書面を添付しなければならない。
この条文の基本情報
資本金の額の増加による変更の登記とは何ですか?
定義資本金の額の増加による変更の登記とは、商業登記法第69条に定められた規定で、「資本準備金若しくは利益準備金又は剰余金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記の申請書には、その減少に係る資本準備金若しくは利益準備金又は剰余金の…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商業登記法第69条(資本金の額の増加による変更の登記)は、日本の商業登記法に含まれる条文です。
- 商業登記法第69条の条文原文は「資本準備金若しくは利益準備金又は剰余金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記の申請書には、その減少に係る資本準備金若しくは利益準備金又は剰余金の…」で始まります。
- 商業登記法第69条は第五節 株式会社の登記に置かれています。
- 商業登記法の公布日は昭和38年7月9日です。
- 商業登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商業登記法第69条の前の条は商業登記法第68条です。
- 商業登記法第69条の次の条は商業登記法第70条です。
- 商業登記法第69条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第69条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 - 本サイト収録
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第69条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000125/69
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商業登記法69条は、準備金または剰余金の減少による資本金増加の変更登記に、その額が計上されていたことを証する書面の添付を義務づける規定である。
Q · 準備金や剰余金を資本金に振り替える増資の登記、何を添付すればいいの?
減少する準備金・剰余金が計上されていたことを証する書面です
商業登記法69条により、資本準備金・利益準備金または剰余金の額の減少によって資本金の額を増加させる変更登記の申請書には、その減少に係る額が計上されていたことを証する書面を添付しなければなりません。法定の様式はなく、実務では代表者が作成し、直前の計算書類や会計帳簿の数値と整合することを示す形をとります。現金の払込みがない無償増資でも、原資が決議時点で実在したことを書面で示せなければ、補正または却下となります。
解説
資本準備金や利益準備金、剰余金を資本金に振り替える。会計上は貸借対照表の純資産の部で数字を移すだけの内部振替であり、会社に一円も現金は入ってこない。だが登記所はその「数字の移動」を無条件では信じない。商業登記法69条が要求するのは一点、減少させる原資が本当にそこに計上されていたことを証明する書面である。あなたが会社の代表者なら、司法書士に丸投げしていたこの一枚が、実は登記が通るか却下されるかの分水嶺だと知っておくべきだ。実務では、この証明書面は代表者が作成し、直前の計算書類や会計帳簿の数値と一致していることを示す形で作る。決算期をまたいだ増資、月次の数字が固まっていない時期の増資でここが崩れる。資本金1,000万円を超えるか超えないかで登録免許税も許認可要件も変わる会社にとって、この一枚は経理の書類ではなく、経営判断の実行可能性そのものを支える土台である。
法的な位置づけ
商業登記法69条は、資本準備金・利益準備金または剰余金の額の減少によってする資本金の額の増加による変更登記の添付書面を定める規定であり、減少に係る準備金または剰余金の額が計上されていたことを証する書面の添付を申請人に義務づける。会社法上の決議を、登記手続における資本の実在性の証明要件と接続させる役割を果たす。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.増資の目的と必要額を先に確定する 許認可の最低資本金要件、対外信用、取引条件のいずれが目的かを決め、必要な資本金額を確定する。同時に資本金1億円の壁(法人税法上の中小企業特例)と地方税均等割の階段を税理士と確認し、増やしすぎないラインを設定する
- 2.原資となる科目と残高を特定する 貸借対照表の純資産の部から、資本準備金・利益準備金・その他資本剰余金・繰越利益剰余金の内訳を確認し、どの科目から振り替えるかを決める。決算後に配当や損失があれば、決議時点の残高に反映させる。残高が固まらない時期なら臨時決算の要否を検討する
- 3.会社法上の決議を取り、効力発生日を定める 準備金の額の減少は会社法448条、剰余金の額の減少による資本金の額の増加は同法450条等に従って決議し、議事録に効力発生日を明記する。登記申請までのリードタイムと許認可の提出期限から逆算して効力発生日を設計する
- 4.計上されていたことを証する書面を作成する 代表者名義で、減少に係る資本準備金・利益準備金または剰余金の額が効力発生日時点で計上されていた旨を記載した証明書を作成する。数値根拠は直前の計算書類および会計帳簿と一致させ、管轄法務局の求める記載水準を事前照会で確認しておく
- 5.効力発生日から2週間以内に管轄法務局へ申請する 議事録、証明書面、委任状、登録免許税分の収入印紙を添えて本店所在地の管轄法務局に申請する。登録免許税は増加額の1000分の7(最低3万円)。補正連絡に即応できるよう、担当者の連絡先を申請書に明記しておく
- 6.登記完了後に登記事項証明書で対外手続を進める 完了後に登記事項証明書を取得し、許認可庁への申請、金融機関への提出、取引先への通知に用いる。あわせて増資後の均等割区分の変更を税務署・自治体へ届け出る手続の要否を確認する
よくある質問 AI による整理
Q1無償増資とは何ですか?
現金の払込みを受けず、資本準備金・利益準備金や剰余金を資本金に振り替えて資本金の額を増やす増資です。純資産の部の内部振替であり、会社に新たな資金は入りません。登記は商業登記法69条の書面が必要です。
Q2準備金の資本組入れの登録免許税はいくらですか?
資本金の増加額の1000分の7が原則で、算出額が3万円に満たない場合は3万円です。増加額が大きいほど税額も比例して増えるため、増資額の設計段階で試算しておくのが実務です。最新の税率は必ず確認してください。
Q3資本金の額の増加登記はいつまでに申請しますか?
会社法915条1項により、効力発生日から2週間以内に本店所在地で申請します。起算点は決議日ではなく決議で定めた効力発生日です。期間を過ぎても登記は受理されますが、過料の制裁がありえます。
Q4剰余金の資本組入れに債権者保護手続は必要ですか?
資本金が増える方向の変更であり、会社財産が社外流出しないため、資本金の額の減少のような債権者異議手続は要求されません。準備金の額の減少を伴う場合の手続要否は、減少の目的と会社法上の条文に応じて判断します。
Q5資本金を増やすと税金は上がりますか?
上がる可能性が高いです。地方税の均等割は資本金等の額を基準に階段状に増え、資本金1億円超になると法人税法上の中小企業向け特例から外れます。増資前に税理士へ影響額の試算を依頼するのが安全です。
Q6商業登記法69条の書面を添付しないとどうなりますか?
添付書面の不備として補正を求められ、補正に応じなければ商業登記法24条により申請が却下されます。却下されると効力発生日から2週間の申請期間を徒過するおそれもあり、二重のリスクになります。
Q7資本金の額の増加登記は誰が申請しますか?
申請人は会社であり、代表取締役等の代表者が会社を代表して申請します。実務では司法書士に委任するのが一般的ですが、69条の証明書面自体は会社の代表者が作成する点が委任しても変わりません。
Q8オンラインで増資の登記申請はできますか?
登記・供託オンライン申請システムを利用した電子申請が可能で、添付書面も電子署名を付して送信できます。証明書面の内容要件そのものは書面申請と変わらず、69条の実質的な証明責任は軽くなりません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1この「計上されていたことを証する書面」って、具体的に何を出せばいいんですか?
法定の様式はなく、実務では代表者が作成する証明書に、減少させる準備金または剰余金の額が決議時点で計上されていた旨を記載する形が一般的である。数値の裏付けは直前の計算書類や会計帳簿による。実務のポイント:管轄法務局によって求める記載の詳細さに差があり、申請前に登記官へ照会すると補正を一回分減らせる。司法書士がこの照会を入れているかどうかで、完了までの日数が実際に変わる
Q2決算から時間が経っていても、剰余金の資本組入れはできますか?
できるが、難度が上がる。決議時点で原資が実在していることが要件であり、決算後に配当や損失で剰余金が減っていれば、その分を反映した残高で証明しなければならない。実務のポイント:実務では臨時決算(会社法441条)を組んで基準日時点の数値を固める手法がある。手間はかかるが、決算期をまたぐ増資で証明が詰まったときの数少ない正攻法だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「株主総会で決議したのだから資本金は増えている、登記は事後報告にすぎない」と考えられがちだが、この理解は登記の役割を取り違えている。資本金の額は登記事項であり、変更登記をして初めて第三者に対して主張できる状態になる。決議から登記までの間に会社が主張できることと、外部が信頼してよいことの間には落差がある。銀行が見るのは決議書ではなく登記簿謄本だ
- この登記の難所は決議手続だと思われているが、実務で却下や補正の原因になるのは圧倒的に添付書面の側である。69条が要求する「計上されていたことを証する書面」には法定の様式がなく、何をどこまで書けば足りるかが会社ごとに違う。様式がないということは、自由という意味ではなく、登記官を納得させる責任がこちら側にあるという意味だ
- 「準備金や剰余金の資本組入れは無償増資だから税金がかからない」と単純化して覚えている人が多いが、正確ではない。法人税法上は利益剰余金の資本組入れの扱いに注意が要り、地方税の均等割は資本金等の額を基準に階段状に増えるため、増資した翌期から毎年の固定費が上がる。登録免許税も増加額の1000分の7(最低3万円)かかる(最新の税率をご確認ください)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 資本金増加の原資 | 商登法69条:準備金・剰余金の減少(内部振替、現金流入なし) | 商登法70条:募集株式の発行(新たな出資の払込み) 商登法47条:設立時の出資の履行(設立段階の払込み) |
| 中核となる添付書面 | 減少に係る額が計上されていたことを証する書面 | 払込みがあったことを証する書面、募集事項の決定書面 払込取扱機関の証明、定款、設立時役員の就任承諾書 |
| 登記官の審査の焦点 | 決議時点で原資が純資産の部に実在していたか | 現実に金銭等が払い込まれたか 設立時に出資が全額履行されたか |
| 不備のときの帰結 | 補正、応じなければ商登法24条により却下 | 同じく補正・却下(払込証明の不備が典型) 同じく補正・却下(設立自体が遅延) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も法定盈餘公積・資本公積の資本撥充を認め、変更登記の際に会計士の査核報告等で原資の存在を裏づける運用がある。証明の担い手が代表者ではなく会計士に寄る点が日本と異なる
韓国は準備金の資本金転入を取締役会決議で行える設計を採り、変更登記の添付書面として決議書と計算資料を求める。手続の重心が株主総会より取締役会にある点が日本と対照的
ドイツは資本組入れの基礎とすべき貸借対照表を法定し、監査済みであることを要求する。日本の69条が様式自由の証明書面にとどめるのに対し、原資の実在性を監査で担保する点が根本的に異なる
米国の多数州は額面株式・法定資本制度を廃止しており、準備金を資本金に組み入れて登記で公示するという概念自体が存在しない。会社の信用力は登記簿ではなく財務諸表と開示で判断される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先や金融機関から「資本金が少なすぎる」と言われ、手元の利益剰余金3,000万円を資本金に振り替えることにした。株主総会決議も取った。ところが登記申請の段階で、決算から8か月が経過しており、その間に配当と欠損が出ていた。総会決議時点で本当に剰余金が存在したのかを証明する書面が作れない。振替そのものが無効になりかねない
- 建設業許可や人材派遣業の登録で最低資本金要件に届かない。現金を追加出資する余裕はないが、利益剰余金なら足りる。準備金の資本組入れという手がある。ただし許認可の審査は登記簿の資本金額を見るので、登記完了までのリードタイムを逆算しないと申請期限に間に合わない
- もし、株主総会で剰余金の資本組入れを決議したのに、その原資が実は前期の粉飾で水増しされていたとしたら? 証明書面は代表者が作成するが、虚偽の記載をすれば商業登記法上の過料(148条)にとどまらず、資本充実を害するものとして責任追及の対象になりうる
- あなたが経理担当で、社長から「来月頭までに資本金1億円にしろ」と言われた。決議・証明書面の作成・登記申請、残り20日。証明書面の数値根拠を会計帳簿から拾い、税理士に整合を確認してもらう工程を最初に押さえないと、申請日に補正で止まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 増資の目的(許認可要件・対外信用・取引条件)を確定し、必要な資本金額を先に決める2. 直前の計算書類で資本準備金・利益準備金・その他資本剰余金・繰越利益剰余金の内訳を確認、どの科目から振り替えるかを税理士と決める(科目により税務上の扱いが異なる) 3. 株主総会または取締役会の決議(会社法448条、450条、451条)を取り、決議時点の残高を証明できる資料を同時に確保4. 代表者作成の証明書面と決議議事録を添えて本店所在地の管轄法務局へ2週間以内に申請
訴えられた側:登記官から補正を求められた場合、多くは証明書面の数値と決議内容の不整合が原因である。1. 補正の趣旨を電話で登記官に直接確認、何が足りないかを具体的に聞く2. 会計帳簿・総勘定元帳・計算書類のうち、どの資料で裏付けられるかを税理士と洗い出す3. 決議時点の残高そのものが不足していた場合は、決議のやり直しを含めて司法書士と再設計する。無理に押し切ると資本充実の原則に反する登記になり、後日の是正コストが跳ね上がる
時効(請求できる期限):資本金の額の増加による変更登記は、効力発生日から2週間以内に本店所在地で申請しなければならない(会社法915条1項)。この期間を過ぎても登記自体は受理されるが、代表者個人に100万円以下の過料の制裁がありうる(会社法976条1号)。起算点は決議日ではなく、決議で定めた効力発生日
学説
通説(形式的審査主義):登記官の審査は申請書と添付書面の記載に基づく形式的なものにとどまるとされる。69条の証明書面に法定様式がないのは、この審査構造の裏返しであり、記載水準の設計責任は申請人側が負うと理解されている。
資本充実の観点からの説明:準備金・剰余金の資本組入れは会社財産の増加を伴わない内部振替であるため、登記簿上の資本金額への信頼を維持する唯一の担保が原資の計上証明であると位置づけられる。69条は重い払込証明を課さずに、実在性の核心のみを審査対象に残した設計と説明される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和38年(1963年) 新設:商業登記法の制定により、商法から独立した登記手続法として体系化され、資本金の額の増加登記に関する添付書面の規律が置かれた
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法制定に伴う関係法律の整備により、準備金・剰余金の額の減少による資本金の額の増加という会社法上の枠組みに合わせて、添付書面規定が現行の文言に整理された
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