河川法 第53条の2(渇水時における水利使用の特例)
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- 水利使用者は、河川管理者の承認を受けて、異常な渇水により許可に係る水利使用が困難となつた他の水利使用者に対して、当該異常な渇水が解消するまでの間に限り、自己が受けた第二十三条及び第二十四条の許可に基づく水利使用の全部又は一部を行わせることができる。
- 2.前項の承認に係る水利使用を行わないこととなつた場合においては、当該承認を受けた者は、遅滞なく、河川管理者にその旨を届け出なければならない。
- 3.河川管理者は、前項の規定による届出があつた場合又は第一項に規定する他の水利使用者の許可に係る水利使用が困難でなくなつた場合においては、同項の承認を取り消さなければならない。
この条文の基本情報
渇水時における水利使用の特例とは何ですか?
定義渇水時における水利使用の特例とは、河川法第53条の2に定められた規定で、「水利使用者は、河川管理者の承認を受けて、異常な渇水により許可に係る水利使用が困難となつた他の水利使用者に対して、当該異常な渇水が解消するまでの間に限り、自己が受…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 河川法第53条の2(渇水時における水利使用の特例)は、日本の河川法に含まれる条文です。
- 河川法第53条の2の条文原文は「水利使用者は、河川管理者の承認を受けて、異常な渇水により許可に係る水利使用が困難となつた他の水利使用者に対して、当該異常な渇水が解消するまでの間に限り、自己が受…」で始まります。
- 河川法第53条の2は第四款 緊急時の措置に置かれています。
- 河川法の公布日は昭和39年7月10日です。
- 河川法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 河川法第53条の2の前の条は河川法第53条です。
- 河川法第53条の2の次の条は河川法第54条です。
- 河川法第53条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第53条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000167 - 本サイト収録
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第53条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/339AC0000000167/53_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点河川法53条の2は、異常な渇水時に河川管理者の承認を受け、水利使用者が自己の水利使用を他の水利使用者に一時的に行わせることを認める。効力は渇水解消まで。
Q · 渇水のとき、農業用水を水道に回しても水利権はなくならないの?
承認を得れば渇水解消まで一時的に融通でき、権利は残る
河川法53条の2により、水利使用者は河川管理者の承認を受けて、異常な渇水で取水困難となった他の水利使用者に、自己の許可に基づく水利使用の全部又は一部を行わせることができます。これは権利の譲渡(同法34条)ではなく、渇水解消までの一時的な使用の融通です。使わせるのをやめたら遅滞なく届け出る義務があり、届出があったとき又は相手の取水難が解消したとき、河川管理者は承認を取り消さなければなりません。
解説
ダムの貯水率がニュースで毎日読み上げられる夏、実は川の水は「誰がどれだけ取ってよいか」が許可で細かく割り当てられている。農業用水、水道、工場、発電。割り当てを受けた者を水利使用者という。普段、自分の取り分を他人に使わせることはできない。権利を譲るなら河川法34条の承認が要るし、相手が新しく取水するなら23条の許可(役所が個別に出す使用許可)を一から取り直すことになる。どちらも渇水の緊急時には遅すぎる。53条の2は、異常な渇水で取水が困難になった他の水利使用者に、河川管理者の承認を受けて自分の水利使用の全部または一部を「行わせる」ことを認める。ポイントは三つある。第一に、権利は手放さない。貸すのは渇水が解消するまでの使用だけである。第二に、使わせるのをやめたら遅滞なく届け出る義務がある。第三に、届出があったとき、または相手の取水難が解消したとき、河川管理者は承認を必ず取り消す。裁量はない。水を融通する側も受ける側も、この仕組みを知っていれば、渇水の会議で「前例がない」と言われても慌てずに済む
法的な位置づけ
河川法第53条の2は、渇水時における水利使用の融通の特例を定める規定であり、同法第23条・第24条の許可を受けた水利使用者が、河川管理者の承認を条件として、異常な渇水で取水困難となった他の水利使用者に自己の水利使用の全部又は一部を一時的に行わせることを認める。権利の帰属は移転せず、効力は渇水解消までに限られる。
よくある質問 AI による整理
Q1水利権とは何ですか?
河川の流水を継続的・排他的に使う権利で、法的には河川法23条の流水占用許可として与えられます。農業用水、水道、工業用水、発電などの目的と水量が許可で定められます。
Q2河川法53条の2の承認は誰が申請しますか?
条文上、承認を受けるのは水を使わせる側の水利使用者です。取水に困っている側が直接申請するのではなく、貸し手が河川管理者に承認を求める構造になっています。
Q3「異常な渇水」とはどの程度の渇水ですか?
条文に貯水率などの数値基準はありません。許可に係る水利使用が困難となるほどの渇水かどうかを、河川管理者が個別の状況に応じて判断します。
Q4水利権は他人に譲渡できますか?
河川法34条により、河川管理者の承認を受ければ譲渡できます。53条の2は譲渡ではなく渇水時の一時的な使用の融通で、権利の帰属は動きません。
Q5渇水調整協議会とは何ですか?
渇水時に水利使用者同士が取水制限などを話し合う場です。河川法53条は、水利使用者が相互に調整に努め、河川管理者が必要な情報提供などを行う旨を定めています。
Q6許可なしで川から取水したら違法ですか?
違法です。流水の占用には河川法23条の許可が必要で、許可外の取水は同法75条の監督処分の対象となり、罰則が科されることもあります。
Q7河川管理者とは誰のことですか?
一級河川は国土交通大臣(区間により都道府県知事が一部を担う)、二級河川は都道府県知事が河川管理者です。承認の申請先は河川の区分で変わります。
Q8渇水時の水の融通に対価は払うものですか?
河川法53条の2は対価について何も定めていません。費用負担や対価の有無は当事者間の取り決めに委ねられるため、承認申請前に書面で合意しておくのが実務的です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1農業用水を水道に回したら、来年の許可更新で水を減らされませんか?
本条の融通は権利の譲渡(河川法34条)ではなく、渇水解消までの一時的な使用であり、許可そのものは残ります。ただし更新時の審査で取水実績がどう評価されるかは河川管理者の判断に委ねられ、実務上の扱いは事案によって分かれます。実務のポイント:融通した量と期間を承認書面と一緒に保存しておくと、更新時に「使わなかった」のではなく「渇水時に融通した」と説明できる
Q2渇水が終わったら、借りていた水はいつまで使えますか?
相手の取水が困難でなくなった時点で、河川管理者は承認を取り消さなければなりません(本条3項)。猶予期間は条文にありません。実務のポイント:借りる側は、取消通知が来る前から元の取水体制への切替手順を準備しておく。取消後も取水を続けると許可外取水を疑われ、監督処分(河川法75条)の対象になりうる
間違えやすい点 AI による整理
- 「一度でも他人に水を使わせたら、水利権が減らされる」と恐れる農業団体は多いが、本条は譲渡ではなく一時的な使用の融通である。承認は渇水解消まで、または使わせる行為の終了で取り消され、元の許可は残る。ただし更新時の取水実績の評価にどう影響するかは個別判断であり、実務上、関係者間で記録を残しておくことが勧められる
- 承認の終わり方を軽く見ている人が多い。届出があったとき、または相手の取水難が解消したとき、河川管理者は「取り消さなければならない」(3項)。交渉で延長できる余地はない。借りる側は、渇水が収まりかけた瞬間に水が止まる前提で備蓄計画を立てておく必要がある
- 「水が足りないのだから、余っている人から直接分けてもらえばよい」という発想自体が法律の外にある。当事者間の合意だけで取水口を開けば、許可外の取水になる。合意は出発点にすぎず、河川管理者の承認が加わって初めて適法になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権利の帰属 | 河川法53条の2:移転しない(使用のみ一時融通) | 河川法34条:譲渡により移転する 河川法23条:受け手が新たに自己の許可を取得 |
| 期間 | 異常な渇水が解消するまでに限る | 恒久的な移転 許可期間(更新制) |
| 必要な行政手続 | 河川管理者の承認+終了時の届出 | 河川管理者の譲渡承認 流水占用許可の新規申請・審査 |
| 終了の仕方 | 届出又は取水難解消で承認を必ず取り消す(裁量なし) | 譲渡後は譲受人の権利として存続 期間満了・取消・失効 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は用水標的の優先順位を法定し、主管機関が実情に応じて順位を調整する仕組みで渇水に対応する。日本のような使用者間の承認制融通とは発想が異なる
中国は取水許可制を基礎に、干ばつ時は行政主導の抗旱措置で水配分を調整する。使用者間融通より行政の統一調度が中心
ドイツは水域利用を許可(Erlaubnis)・承認(Bewilligung)で管理し、渇水時の調整は州水法と行政措置に委ねられる
フランスは渇水時に県知事が取水制限措置を発する行政主導型。使用者間の一時融通を個別承認する日本型とは対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 土地改良区の理事として、田植え後の用水に少し余裕がある。下流の市の水道局は取水制限30% で給水車を手配し始めた。農業用水の一部を水道に回したいが、水利権を失うのではと組合員が反対する。53条の2の承認なら、渇水解消と同時に使用は元に戻り、許可そのものは動かない
- もし水を借りている側の工場が、渇水がまだ続いているのに雨で取水量が回復したと判断されたら、どうなる? 相手の取水難が解消した時点で、河川管理者は承認を取り消さなければならない(3項)。借りていた分の取水は、その日から根拠を失う
- 渇水がピークを越え、貸していた発電用水を自社の発電に戻したい。使わせるのをやめたなら、遅滞なく河川管理者に届け出る義務がある。届出を忘れたまま放置すると、承認が残ったまま実態とずれ、監督上の指摘の火種になる
取るべき行動
被害を受けた側:取水が困難になった側の動き方:1. 自らの取水量の減少と影響(給水人口、操業停止の見込み)を数字で記録2. 渇水調整協議会や河川管理者の窓口で、余裕のある水利使用者を確認3. 貸し手と期間・量・費用負担を書面で詰め、貸し手から河川管理者へ承認を申請してもらう4. 渇水解消で承認は必ず取り消されるため、終了後の代替水源も並行して手配する
訴えられた側:水を貸す側、または承認や届出の手続を問われた側:1. 承認の範囲(量、取水地点、期間)を超えた使用をさせていないか確認2. 使わせるのをやめた時点で、遅滞なく河川管理者に届け出る(2項) 3. 承認申請が拒否された場合、その判断は処分(役所が直接下す決定)として審査請求や取消訴訟で争える余地がある4. 手続の記録を整理し、許可更新時の説明資料として保存する
時効(請求できる期限):本条の承認は「当該異常な渇水が解消するまでの間に限り」効力を持つ。使わせる行為をやめたら遅滞なく届出(2項)。承認拒否等に不服がある場合、審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成9年(1997年)河川法改正 渇水調整の円滑化を図る改正の一環として、渇水時に水利使用者間で水利使用を融通する特例を新設した
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:河川法改正により、渇水調整の円滑化を図る一環として、異常な渇水時に水利使用者間で水利使用を融通する特例を新設した
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