要点所得税法165条の3は、非居住者の恒久的施設に自己資本相当額を擬制し、純資産の不足分に対応する負債利子を必要経費に算入しないと定める規定である。
Q · 外国企業の日本支店を薄い資本で運営すると、借入利子は経費で落とせるの?
薄い資本の支店は借入利子の一部が経費否認されます
落とせない部分があります。所得税法165条の3により、非居住者の恒久的施設(PE)に帰せられるべき自己資本相当額に純資産が満たない場合、その不足分に対応する負債利子は必要経費に算入されません。OECD の AOA(独立企業原則)に基づく資本配賦アプローチで、薄い資本で日本に進出し利子を大量計上して課税ベースを削る抜け道を塞ぐ規定です。本店ローンだけでなく利子に準ずる費用も対象で、計算の大半は政令に委ねられています。
外国銀行が東京に支店を置く。その支店は法律上は本店と一体の存在だが、税金の世界では「独立した一つの企業」とみなして所得を計算する。これが AOA(OECD が定めた国際課税ルール、恒久的施設を独立企業として扱う考え方)で、2014 年の税制改正で日本も採用した。165 条の 3 はその中核の一つだ。非居住者の恒久的施設(日本国内の支店・事業所など、いわゆる PE)には、事業規模に見合った自己資本を持たせるべきだという発想がある。もし PE に配られるべき純資産(自己資本相当額)より実際の純資産が少なければ、その足りない分は本来なら借金ではなく自己資本で賄うべきだったとみなす。そして、その借金に対応する支払利子は必要経費に入れさせない。利子を経費で落とせないぶん、日本での課税所得が増える。薄い資本で日本に進出し、利子を大量に計上して課税ベースを削る、その抜け道を塞ぐ規定だ。計算方法の大半は政令に委ねられており、条文本体だけ読んでも実額は出ない。
所得税法165条の3は、非居住者の恒久的施設(PE)に係る負債利子の必要経費不算入を定める規定である。PE に帰せられるべき自己資本相当額に純資産が満たないとき、その不足分に対応する支払利子を必要経費に算入させず、恒久的施設帰属所得の計算上、課税ベースを回復する資本配賦アプローチを採用する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
非居住者や外国法人が国内で事業を行う支店・事業所・サーバー等の物理的拠点を指します。PE ありと認定されると、その帰属所得に日本の課税権が及び、165条の3 の資本配賦ルールも起動します。
恒久的施設を本店から独立した企業とみなして帰属所得を計算する国際課税の考え方です。日本は平成26年(2014年)改正で採用し、165条の3 はその中核の一つです。
PE の事業規模に見合った自己資本相当額を擬制し、それに満たない純資産の不足分に対応する借入利子を否認する仕組みです。薄い資本による利子計上での課税逃れを防ぎます。
資本配賦の判定は決算日時点の純資産を基準に行われます。期末の貸借対照表で自己資本相当額に足りなければ否認されるため、勝負は期中の資本政策で決まります。
過少資本税制(租税特別措置法66条の5)は主に子会社の関係者借入を制限する制度、165条の3 は非居住者の支店(PE)の自己資本不足を対象とします。適用される主体が異なります。
所得金額に比して過大な純支払利子の損金算入を制限する制度です。165条の3・過少資本税制と並ぶ利子控除制限の一つで、複数が重複する場合は最も大きい否認額が適用されます。
平成26年(2014年)改正で新設され、非居住者については平成29年(2017年)分以後の所得税に適用されています。AOA の国内法化に伴う導入です。
不足分に対応する負債利子として政令で計算した金額が必要経費に算入されず、その分だけ日本での課税所得が増えます。税務調査で過去数年分がまとめて否認される例もあります。
避けられません。子会社は別の法人なので 165 条の 3 は適用されませんが、代わりに過少資本税制(租税特別措置法 66 条の 5)や過大支払利子税制(同 66 条の 5 の 2)が働きます。どちらも過大な利子控除を制限する制度です。業界裏話ヒント:支店か子会社かの選択は、どの利子制限の土俵で戦うかの選択にすぎない。税務顧問は両制度を試算して有利な方を選ぶ。逃げ道と思い込んで選ぶと足をすくわれる
一概には言えません。所得税法 162 条により条約に異なる定めがあれば条約が優先しますが、2010 年以降の新しい条約は AOA(独立企業原則)を取り込んでおり、国内法とほぼ同じ結論になります。業界裏話ヒント:勝負を分けるのは条約の締結・改正の時期。AOA を採用していない旧型条約なら国内法の資本配賦と食い違い、条約優先で否認を覆せる余地がある。まず自国との条約の事業所得条項を精読する
そのリスクはあります。165 条の 3 で否認された利子相当の所得は日本で課税され、本国でも同じ所得が課税されうるためです。調整手段は本国側の外国税額控除、または適用条約の相互協議(権限ある当局間の協議)です。業界裏話ヒント:二重課税は日本で否認された瞬間ではなく、本国で控除しきれなかった時に初めて実損化する。日本側の否認と本国側の控除余地を必ずセットで試算しないと、実際の負担額を読み違える
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用対象 | 所得税法165条の3:非居住者の恒久的施設(支店・PE) | — |
| 制限の仕組み | 自己資本相当額を擬制し不足分に対応する利子を必要経費不算入 | — |
| 覆せる主な手段 | AOA非採用の旧型条約優先(所得税法162条)、資本振替、算定前提の誤り指摘 | — |
| 重複時の扱い | 複数の利子制限が重なる場合、最も否認額が大きい制度を適用 | — |
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