要点所得税法 243 条は両罰規定で、従業者が業務に関して脱税すれば、行為者に加え法人や事業主にも罰金刑が科される。判例は事業主の過失を推定し、選任監督の無過失立証がなければ免責されない。
Q · 従業員が勝手にやった脱税でも、会社に罰金が科されるの?
科されます。会社は無過失を自ら立証しないと免責されません。
所得税法 243 条の両罰規定により、従業者が業務に関して脱税等(238 条以下)をした場合、行為者本人を罰するほか、法人または事業主にも同じ罰金刑が科されます。判例(最大判昭和 32 年 11 月 27 日)は事業主の選任・監督上の過失を推定するため、会社は「落ち度がなかった」ことを自ら立証しない限り免責されません。さらに 2 項により、法人に科す罰金の時効は元の脱税罪の時効期間に従います。
経理担当者が売上を抜いて脱税していた。社長のあなたは何も知らなかった。それでも会社は罰金を科される。所得税法 243 条、いわゆる両罰規定がそれを可能にする。従業員や代理人、使用人が業務に関して脱税(238 条以下)をやれば、その行為者本人が処罰されるのは当然として、会社(法人)または事業主本人にも、同じ条文の罰金刑が別途科される。ここで多くの経営者が見落とすのは、判例が採る過失推定説だ。会社は自動的に有罪になるのではなく、従業員の選任・監督に過失がなかったと立証できれば罰金を免れる余地がある。ただし、その立証責任は事実上あなたの側にある。無罪推定の大原則が、ここでは静かに裏返っている。さらに 2 項の罠。会社に科す罰金の時効は、通常の罰金の短い時効ではなく、元になった脱税罪の時効に従う。逃げ切れると思った期間計算が、根本から狂う。
所得税法 243 条は両罰規定と呼ばれる規定であり、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が業務または財産に関して脱税等の違反行為をした場合に、その行為者を処罰するほか、法人または事業主本人にも当該違反行為に定める罰金刑を科すことを定める。2 項は、法人等に科す罰金の時効を、元となった脱税罪の時効期間によるものとする。
違反行為をした行為者本人に加え、その事業主である法人や個人にも罰金刑を科す規定です。所得税法では 243 条が定め、脱税等(238 条以下)を対象とします。
両罰規定で法人を罰する根拠を事業主の選任・監督上の過失に求め、その過失を推定する判例の立場です(最大判昭和 32 年 11 月 27 日)。無過失は会社側が立証します。
最高裁は事業主の過失を推定する構成をとることで責任主義との整合を図り、両罰規定を合憲としています。自己の過失に基づく処罰と説明されています。
従業員の選任・監督に過失がなかったと立証できれば免責の余地があります。就業規則、承認フロー、内部監査記録など平時の内部統制記録が証拠になります。
243 条 2 項により、法人・人に罰金を科す場合の時効は元の脱税罪(238 条等)の時効期間に従います。重い脱税罪ほど時効が長くなります。
代表者が違反行為者であれば行為者として処罰されます。両罰規定は行為者処罰に加えて法人にも罰金を科す仕組みで、両者は別個の処罰対象です。
なりません。243 条は「その行為者を罰するほか」法人にも罰金を科す構造で、実行した従業者本人の刑事責任は当然に残ります。
あります。法人税法 163 条に同趣旨の両罰規定が置かれています。多くの税法・行政刑罰法規に両罰規定は共通して存在します。
243 条の両罰規定によるものです。従業員が業務に関して脱税すれば、行為者本人に加えて法人にも罰金が科されます。ただし判例(最大判昭和 32.11.27)は、会社が選任・監督上の過失がなかったと立証すれば免責される余地を認めています。業界裏話ヒント:この『無過失の立証』は理屈上は可能でも実務では極めて難しく、認められた例は少ない。だからこそ平時の内部統制記録が唯一の武器になる。事件が起きてから作った書類は後付けと見なされ信用されない
税理士が会社の業務に関与する立場で違反行為をしたと評価されれば、射程に入りえます。ただし会社が丸投げせず適切に内容を確認していたなら、選任・監督の過失を否定する主張が可能です。業界裏話ヒント:『税理士に任せていたから知らなかった』は免責事由にならないどころか、放任すなわち監督懈怠と評価されるリスクすらある。任せることと放置することは、法的にまったく別物だ
関係あります。243 条は『法人若しくは人』と定めており、個人事業主(人)も対象です。使用人や家族従業員が業務に関して脱税すれば、事業主本人に罰金が科されえます。業界裏話ヒント:小規模事業ほど『家族や番頭に任せきり』で監督記録が皆無なため、いざ両罰規定が発動すると無過失の立証手段が何一つ残っていない。規模が小さいことは免責の理由にならない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 処罰の対象 | 243 条:行為者に加え法人・事業主も罰金刑 | — |
| 行為の内容 | 243 条:238〜242 条の違反を業務に関して行うこと | — |
| 免責・防御の焦点 | 243 条:選任・監督上の過失がなかったことの立証 | — |
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