税務署長は、外国法人の各事業年度の第百四十一条第一号イ(課税標準)に掲げる国内源泉所得(以下この条において「恒久的施設帰属所得」という。)に係る所得に対する法人税につき更正又は決定をする場合において、その外国法人の行為又は計算で、これを容認した場合には、当該各事業年度の恒久的施設帰属所得に係る所得の金額から控除する金額の増加、当該各事業年度の恒久的施設帰属所得に係る所得に対する法人税の額から控除する金額の増加、第百三十八条第一項第一号(国内源泉所得)に規定する内部取引に係る利益の額の減少又は損失の額の増加その他の事由により法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その外国法人の当該各事業年度の恒久的施設帰属所得に係る所得に対する法人税の課税標準若しくは欠損金額又は恒久的施設帰属所得に係る所得に対する法人税の額を計算することができる。
要点法人税法147条の2は、外国法人の恒久的施設帰属所得について、税務署長が法人税を不当に減少させる行為・計算を否認し課税所得を計算し直せる包括規定である。個別規定を守っても発動しうる。
Q · 移転価格も内部取引の文書も完璧に整えたら、もう課税し直されることはない?
個別規定を守っても税務署長が否認できる最後の切り札が残る
いいえ。法人税法147条の2により、税務署長は外国法人の恒久的施設帰属所得について、その行為又は計算が「法人税の負担を不当に減少させる結果となる」と認めれば、個別規定に反していなくてもその計算を無視して課税標準・税額を計算し直せます。移転価格税制など個別規定をすべてクリアしても発動しうる包括規定であり、内部取引の独立企業間価格の根拠と事業目的を更正前に文書で固めておくことが防御の分かれ目になります。
外国企業が日本に支店(恒久的施設、PE)を置いて事業をする。移転価格の文書も、本店との内部取引の記録も、専門家を入れて全部ルール通りに整えた。それでも税務署長は、あなたの「行為又は計算」が法人税の負担を不当に減少させると認めれば、その計算をまるごと無視して、自分の認めるところで課税所得を引き直せる。これが法人税法147条の2、外国法人版の伝家の宝刀だ。同族会社を狙う132条のPE版で、平成26年(2014年)改正でAOA(OECD承認アプローチ)が導入されたのと同時に、平成28年(2016年)から新設された。怖いのは要件が「不当に減少」という抽象語である点。個別規定を一つ残らずクリアしても、この一条だけは最後まで抜けない。だからこそ、内部取引の独立企業間価格の根拠と、その取引に事業目的があることを、更正が来る前に文書で固めておけるかどうかが、あなたの課税所得を数億円単位で左右する。
法人税法147条の2は、外国法人の恒久的施設帰属所得に係る法人税について税務署長が行為計算を否認できる包括規定である。当該行為又は計算を容認すると、控除額の増加・内部取引利益の減少・損失の額の増加その他の事由により法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、税務署長は認めるところにより課税標準・欠損金額又は税額を計算できる。同族会社を対象とする132条の外国法人版に当たる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
納税者の行った取引が個別規定に反していなくても、税負担を不当に減少させると税務署長が認めれば、その計算を無視して課税し直せる制度です。法人税法147条の2(外国法人)や132条(同族会社)が根拠です。
132条は内国の同族会社の行為計算否認、147条の2はその外国法人・恒久的施設(PE)帰属所得版です。構造は同じで、132条をめぐる判例法理(経済的合理性の欠如)が147条の2にも共通して持ち込まれます。
外国法人が事業を行う日本国内の支店・事務所・工場など固定的な拠点を指します。PEに帰属する所得は日本の法人税の課税対象となり(法人税法141条・138条)、147条の2の否認もこの所得に及びます。
本店と支店(PE)を別々の独立企業とみなし、両者間の内部取引を独立企業間価格で計算する国際課税ルールです。平成26年改正で日本も帰属主義へ転換し、同時に147条の2が新設されました。
処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に、税務署への再調査の請求または国税不服審判所への審査請求が必要です(国税通則法77条)。この期間を過ぎると原則として争えなくなります。
移転価格税制(租税特別措置法66条の4)は関連者間取引の価格を独立企業間価格で引き直す個別規定です。実務では個別規定で攻めきれないとき、147条の2が最後の切り札として持ち出される傾向があります。
内部取引や関連者間取引の価格算定方法を、あらかじめ税務当局と合意しておく制度です。合意しておけば後日の否認リスクを先に潰せるため、否認対策として有効です。
AOAに沿ってPEと本店の機能・資産・リスクを分析し、独立企業間価格(租税特別措置法66条の4の考え方)で対価を設定します。算定根拠を文書化し、税務調査で即提示できる状態にしておくことが重要です。
本当だ。147条の2は個別規定に反していなくても、税務署長が「法人税の負担を不当に減少させる」と認めれば、その計算を無視して課税標準を引き直せる包括的な否認規定である。同族会社版の132条と同じ構造で、判例では「経済的合理性を欠く不自然な取引」が基準とされている。業界裏話ヒント:実務では税務署がこの条文を単独で使うことは稀で、移転価格税制など個別規定で攻めきれないときの最後の切り札。逆に言えば、内部取引に明確な事業目的と価格根拠があれば、この抽象的な条文は発動しにくい
第一次的には税務署長の認定だが、争えば最終的に裁判所が判断する。132条の2をめぐるヤフー事件(最判平成28.2.29)など否認規定の判例で、租税回避の意図と経済的合理性の欠如が判断枠組みとされ、法理は本条にも共通する。業界裏話ヒント:「不当に」の認定は税務署長の裁量に見えるが、判例の積み重ねで枠はかなり固まっている。調査官が「不当だ」と言ってきても、経済的合理性を具体的に説明できれば覆せる余地は大きい。(最新の改正状況をご確認ください)
恒久的施設(日本の支店等)に帰属する所得が日本の課税対象になるからだ(法人税法141条、138条)。2016年のAOA導入で、支店と本店の間の「内部取引」も独立企業間価格で計算する建前になり、147条の2はその計算を歪める行為を否認する。業界裏話ヒント:昔の総合主義では支店の内部取引という概念が薄かったが、AOA導入後は本店との資金・機能のやり取り一つ一つが課税の対象。海外本社との「社内のやり取り」のつもりが、日本では課税イベントになっている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 否認の対象 | 147条の2:外国法人の恒久的施設帰属所得の行為・計算 | — |
| 適用の前提概念 | 恒久的施設帰属所得・内部取引(138条・141条) | — |
| 判断基準 | 法人税の負担を不当に減少させる結果(132条の判例法理を援用) | — |
| 覆せる手段・限界 | 事業目的と独立企業間価格の根拠の提示、裁量逸脱の主張 | — |
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