要点法人税法 42 条は、国庫補助金等で取得した固定資産の帳簿価額を補助金額の範囲内で圧縮し損金算入できる制度を定める。ただし免税ではなく課税の繰延べで、将来の減価償却費は減少する。
Q · 補助金 1000 万円をもらったら、そのまま全部税金で持っていかれるんですか?
免税ではなく課税の繰延べ。圧縮記帳で今の税を将来へ回せます
法人税法 42 条により、国庫補助金等で取得・改良した固定資産の帳簿価額を補助金額の範囲内で圧縮(直接減額)するか、圧縮積立金として積み立てることで、その金額を損金に算入できます。結果、補助金を受け取った年度の課税は圧縮されます。ただしこれは免税ではなく繰延べです。帳簿価額を下げた分だけ将来の減価償却費が減り、後年度の利益が増えて課税されます。適用には確定申告書への明細記載が必要です(42 条 3 項)。
ものづくり補助金で1000万円が振り込まれた。設備を買う資金だと思って喜んでいたら、決算期末に税理士から「この補助金、利益として課税されます」と言われる。法人税法22条の原則では、返還不要が確定した補助金はその年の益金、つまり課税対象だ。1000万円の設備を買うために受け取った金なのに、そこから約300万円を税金で持っていかれたら、肝心の設備が買えない。42条はこの矛盾を解く。補助金で取得した固定資産の帳簿価額を、補助金額の範囲内で圧縮(減額)し、その減額分を損金に算入する。結果、受け取った年の課税はゼロに近づく。ただし誤解してはならない。これは免税ではなく繰延べだ。帳簿価額を下げた分、将来の減価償却費が小さくなり、その分だけ後年の利益が増えて課税される。今払わずに済んだ税は、消えたのではなく先送りされただけである。
圧縮記帳とは、国庫補助金等で取得・改良した固定資産の帳簿価額を補助金額の範囲内で減額し、その減額分を損金算入する経理処理をいう。法人税法 42 条が定める課税繰延べ制度であり、補助金を受けた年度の益金課税を、将来の減価償却費の減少に置き換える機能を持つ。免税制度ではない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
国庫補助金等で取得した固定資産の帳簿価額を補助金額の範囲で減額し、その分を損金算入する経理処理です。法人税法 42 条が根拠で、受け取った年度の課税を将来へ繰り延べます。
返還不要が確定した事業年度に、全額が益金(課税所得)になります(法人税法 22 条)。圧縮記帳を使わなければ、その年に普通に課税されます。
節税ではなく課税の繰延べです。生涯の税額は基本変わらず、効くのは資金繰りのタイミングだけ。帳簿価額を下げた分、将来の減価償却が減り後年に課税されます。
固定資産の取得・改良に充てる国又は地方公共団体の補助金・給付金、および政令で定めるこれらに準ずるものです(法人税法 42 条、施行令 79 条)。運転資金目的は対象外です。
できますが、適用条文は法人税法ではなく所得税法 42 条です。同じ圧縮記帳でも申告書の書き方や要件が別なので、法人成りのタイミングで扱いが変わります。
必要です。確定申告書に圧縮額の明細を記載した場合に限り適用されます(42 条 3 項)。記載を落とすと原則として適用できません。
併用の可否と計算は方式選択で変わります。直接減額方式だと圧縮後の金額が取得価額になり特別償却の計算基礎が縮みます。積立金方式なら取得価額を保てます。
補助金の交付目的に適合し、かつ事業年度末までに取得・改良した固定資産であることが必要です。目的に適合しない資産を圧縮すると税務調査で否認されます。
何もしなければ、返還不要が確定した補助金は全額その年の益金になり(法人税法22条)、法人税・地方税あわせて実効で概ね2割から3割強が課税されます。中小企業の所得区分や税率で変動します。42条の圧縮記帳を使えば、その年の課税を将来へ繰り延べられます。業界裏話ヒント:税理士があえて強調しないのは、圧縮記帳は「節税」ではなく「繰延べ」だという点。生涯の税額は基本変わらず、効くのは資金繰りのタイミングだけ。ここを誤解して設備投資額を膨らませると、後年の減価償却減で利益が出たとき足をすくわれます(最新の税率をご確認ください)
同じではありません。直接減額方式は圧縮後の金額が取得価額になるため、その設備で特別償却や税額控除(中小企業投資促進税制など)を狙うとき、計算基礎まで縮みます。積立金方式なら取得価額を保てます(42条1項)。業界裏話ヒント:会計ソフトのデフォルトや事務所の慣れで直接減額を選ぶケースは多いが、税額控除を最大化したい設備投資では積立金方式が効く。ただし積立金方式は別表管理が煩雑で、毎期の取崩し処理を誤ると否認リスクもある。方式は設備ごとに損得計算すべきです(実務上、取扱いの確認を)
適格分割・適格現物出資・適格現物分配でグループ内に移す場合、一定の要件下で移転する固定資産についても圧縮記帳の損金算入が認められます(42条5項・6項)。ただし適格分割等の日以後2月以内に所定の書類を税務署へ提出することが条件です(42条7項)。業界裏話ヒント:組織再編で設備を動かすとき、この2月の書類提出を失念すると圧縮記帳が丸ごと使えなくなる。再編を組む税理士は再編実行日から逆算して提出期限を管理します。決算期とは別のカレンダーが動いている点に注意です
原則として、圧縮記帳は確定した決算での経理処理と確定申告書への明細記載が要件です(42条1項・3項)。ただし4項に救済があり、記載がなかったことに「やむを得ない事情」があると税務署長が認めれば適用できます。業界裏話ヒント:この「やむを得ない事情」のハードルは高く、単なる失念はまず認められない。さらに圧縮記帳は当初申告で選択する制度なので、後から更正の請求で追加するのも原則不可。決算を締める前に処理を済ませることが、実質的に唯一の確実な道です(最新の取扱いをご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 課税上の性格 | 42 条:補助金で取得した固定資産の圧縮記帳(課税繰延べ) | — |
| 適用の前提 | 返還不要確定 + 交付目的に適合した固定資産を当期に取得・改良 | — |
| 対象となる原資 | 国庫補助金等(国・地方公共団体の補助金・給付金等) | — |
| 将来の帰結 | 帳簿価額減 → 減価償却減 → 後年度に課税が戻る | — |
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