厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、基本方針において定められた施策で、関係行政機関の所管に係るものの実施について、必要な要請をすることができる。
要点労働施策総合推進法 10 条の 2 は、厚生労働大臣が基本方針の施策のうち他省庁の所管に係るものの実施を、関係行政機関の長に要請できると定める。要請に法的拘束力はない。
Q · 厚生労働大臣が他の省庁に「やってください」と言ったら、その省庁は従わないといけないんですか?
命令ではなく要請なので、相手の省庁に従う義務はありません
労働施策総合推進法 10 条の 2 により、厚生労働大臣は基本方針に定められた施策のうち、他の行政機関が所管するものについて、その長に実施を要請できます。ただしこれは指揮命令ではなく要請にとどまり、内閣法 3 条の分担管理原則により各大臣は自らの所管に責任を負うため、要請を受けた側に実施義務は生じません。国民の側から大臣に要請を求める請求権もなく、要請しないことを裁判で争うこともできません。
厚生労働大臣には、他の省庁に命令する権限がない。内閣法が各大臣の分担管理を定めている以上、文部科学省や国土交通省の所管に厚生労働省が手を突っ込むことはできない。ところが働き方の問題は、ほぼ必ず他省庁の縄張りをまたぐ。トラック運転手の残業は荷主と物流政策(国土交通省)、下請への無理な納期は取引慣行(経済産業省・公正取引委員会)、教員の長時間勤務は給特法(文部科学省)。この境界線をまたぐために置かれた唯一の道具が、本条の「要請」である。だが要請に法的拘束力はなく、受け取った側が動かなくても制裁はない。あなたが握っておくべきはこの一点だ。職場の長時間労働の原因が社外の発注者側にあるなら、労働基準監督署は構造的に無力であり、最初から働きかける相手が別の建物にいる。
本条は、労働施策の基本方針に定められた施策のうち、他の行政機関の所管に属するものについて、厚生労働大臣がその機関の長に実施を要請できる権限を定める規定である。指揮監督ではなく要請にとどまるため、受けた機関に実施義務は生じず、内閣法が定める各大臣の分担管理原則との調整を図る仕組みとして機能する。
厚生労働大臣が、労働施策基本方針に定めた施策のうち他の行政機関が所管するものについて、その長に実施を要請できると定めた規定です。要請に法的拘束力はありません。
国土交通大臣、経済産業大臣、文部科学大臣など、当該施策を所管する各府省の長です。公正取引委員会など委員会組織の長も、所管に係る限り対象になり得ます。
制裁はありません。内閣法 3 条の分担管理原則により実施の判断は所管大臣に委ねられ、従わなかった事実を公表する義務も本条には規定されていません。
本条自体は公表を義務づけていません。実務では報道発表や関係府省庁会議の資料として公開されることがありますが、公開の有無は個別の運用によります。
厚生労働省が策定・公表する行政文書で、同省サイトの労働政策関連ページに掲載されます。条文上の根拠は同法 10 条で、本条の要請はこの方針の内容を前提とします。
労働基準監督署は荷主の発注行為自体を取り締まれません。発注側の産業を所管する省庁の窓口と、優越的地位の濫用や下請取引を扱う公正取引委員会が受け皿になります。
公立学校の教員には給特法という別枠の法律が適用され、所管も文部科学省にあるためです。労働施策側からは本条の要請という形でしか働きかけられません。
できません。要請するかどうかは大臣の裁量で、国民に請求権はなく、要請しないことを裁判で争うこともできません。行政機関相互の行為に処分性がないためです。
法的拘束力はありません。内閣法 3 条の分担管理原則により各大臣は自分の所管に責任を負い、要請を受けても従う義務はありません。行政機関相互の行為なので行政手続法も適用除外(同法 4 条)で、処分性もありません。業界裏話ヒント:実務で本当に効くのは単独の要請より、関係府省庁の連絡会議や閣議決定で複数省庁が同時に縛られる形です。だから業界要望は厚生労働省と所管省庁の両方へ同時に出すのが定石になっています。
労働基準監督署は労働基準法 36 条などの執行機関で、取引先の発注行為そのものには手が出ません。発注側の商慣行は所管省庁の監視窓口と、公正取引委員会の優越的地位の濫用・下請取引の枠組みが受け皿になります。業界裏話ヒント:同じ事実でも、労働問題として出すか取引適正化の問題として出すかで担当する役所が変わります。証拠は一つでも、申告先は二系統に分けて出せます(最新の窓口体制はご確認ください)。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 10 条の 2:他省庁への実施要請の権限 | — |
| 名宛人 | 関係行政機関の長(他府省の大臣等) | — |
| 法的効果 | 拘束力なし、実施は相手方の判断 | — |
| 起動するタイミング | 方針策定後の実施段階 | — |
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