要点労働施策総合推進法 34 条は、厚生労働大臣が大量雇用変動と外国人雇用状況の届出の施行に必要な限度で、事業主への報告命令と事業所への立入検査を行えると定める。犯罪捜査のためではない。
Q · 労働局の職員が来て帳簿を見せろと言われたら、断れますか?
届出関係の検査なら断れません。拒否は 30 万円以下の罰金です。
労働施策総合推進法 34 条により、厚生労働大臣は第 27 条第 1 項(大量雇用変動の届出)と第 28 条第 1 項(外国人雇用状況の届出)の施行に必要な限度で、報告命令と事業所への立入検査ができます。この範囲内の検査は拒めず、報告拒否・虚偽報告・検査忌避は 30 万円以下の罰金(第 40 条第 1 項第 3 号)で、両罰規定により法人にも同額が科されます。一方、パワハラ防止措置を理由に事業所へ立ち入る権限は本法にはなく、使えるのは報告請求にとどまります。
あなたの事業所の受付に、役所の職員が二人立っている。身分証を示し、帳簿を見せてほしいと言う。断れるのか。答えは、その職員が口にする条文番号で完全に変わる。本条が与えた立入検査の権限は、第二十七条第一項(大量雇用変動の届出)と第二十八条第一項(外国人雇用状況の届出)、この二つを施行するためだけのものだ。裏返せば、パワハラ防止措置(第三十条の二)を理由に事業所へ立ち入る権限は、この法律のどこにもない。そこで使えるのは第三十六条第一項の報告請求だけで、応じなくても二十万円以下の過料(第四十一条)、前科はつかない。ところが本条の報告を拒み、虚偽を述べ、検査を忌避すれば三十万円以下の罰金(第四十条第一項第三号)、しかも両罰規定で法人にも同額が科される。同じ一本の法律の中に、行政が踏み込める領域と踏み込めない領域が、条文単位で線引きされている。
労働施策総合推進法第 34 条は、行政調査の権限を定める規定である。厚生労働大臣は、大量雇用変動の届出(第 27 条第 1 項)および外国人雇用状況の届出(第 28 条第 1 項)を施行するために必要な限度において、事業主に報告を命じ、または職員に事業所への立入り、関係者への質問、帳簿書類その他の物件の検査をさせることができる。当該立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
厚生労働大臣が大量雇用変動の届出(27 条 1 項)と外国人雇用状況の届出(28 条 1 項)の施行に必要な限度で、事業主に報告を命じ、職員に事業所の立入検査をさせられると定めた行政調査の規定です。
条文上、事前通知は要件になっていません。予告なく来訪される場合もあるため、受付段階で身分証明書の提示(34 条 2 項)と根拠条文を確認する社内フローを決めておくことが実務上の備えになります。
条文は「帳簿書類その他の物件」と定めます。実際には外国人従業員の名簿、在留カードの写し、出勤簿、賃金台帳、離職者数の記録など、27 条 1 項・28 条 1 項の届出義務に関係する資料が中心です。
報告をせず、虚偽の報告をし、検査を拒み妨げ忌避した場合は 30 万円以下の罰金(40 条 1 項 3 号)です。過料ではなく刑罰であり、両罰規定により行為者個人と法人の双方が処罰されえます。
27 条 1 項は大量雇用変動が生じる「前に」届け出ることを求めます。事業規模の縮小等で 1 か月以内に相当数の離職者が生じる計画を立てた時点が起点で、届出を怠ると罰則の対象になります。
検査を待たず、ハローワークへ遅れた分の届出を自主的に提出してください。自主的に是正した記録は、行政が告発に踏み切るかどうかの判断材料を一つ減らします。届出漏れ自体も罰則の対象です。
不要です。34 条 1 項は令状なしの行政調査を認めています。その代わり権限の射程が 27 条 1 項・28 条 1 項の施行に限定され、3 項で犯罪捜査への転用が明文で否定されています。
本法に、パワハラ防止措置を理由として事業所へ立ち入る権限の規定はありません。行政が使えるのは報告請求や助言・指導・勧告の枠であり、34 条の立入検査とは制度上の重みが異なります。
外国人雇用状況の届出(第二十八条第一項)や大量雇用変動の届出(第二十七条第一項)に関する範囲なら拒めません。拒否・妨害・忌避は三十万円以下の罰金(第四十条第一項第三号)、法人にも同額が科されます。業界裏話ヒント:職員は根拠条文を尋ねられると対象を限定して答えざるをえません。冒頭で「本日は法第何条に基づく検査ですか」と聞いて記録する事業所は、範囲外の資料要求を後から積まれにくい
第三項は権限の性格を定めただけで、そこで述べた内容が後に第四十条の罰金事件の資料になる可能性までは排除していません。一方、答弁を拒んだり虚偽を述べたりすること自体が罰則対象なので、黙秘という選択肢もありません。業界裏話ヒント:実務上の安全地帯は「確認できていないことは推測で答えず、後日書面で回答する」の一択。その場の当てずっぽうが虚偽陳述と評価されるリスクを避ける
人数の下限はありません。第二十八条第一項は雇入れと離職の都度、アルバイト・パートを含む全員が対象です(特別永住者および在留資格「外交」「公用」の者は除く)。届出漏れは三十万円以下の罰金(第四十条第一項第二号)。業界裏話ヒント:実際に罰金まで至る例は多くありませんが、行政の是正指導の記録は残ります。それが後の特定技能・技能実習の受入れ適格性の審査や、雇用関係助成金の支給審査で効いてくる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 権限の根拠と対象 | 34 条:27 条 1 項・28 条 1 項の施行に必要な限度での報告命令と立入検査 | — |
| 事業所への立入り | 可(関係者への質問・帳簿書類その他の物件の検査を含む) | — |
| 応じなかった場合 | 30 万円以下の罰金(40 条 1 項 3 号)+両罰規定で法人も処罰されうる | — |
| 職員側の手続的な縛り | 身分証明書の携帯・提示義務(2 項)、犯罪捜査への転用禁止(3 項) | — |
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