要点著作権法 116 条は、著作者・実演家の死後、その遺族が人格的利益の侵害に対し差止めと名誉回復を請求できると定める。財産的著作権が消滅した後も、この請求は可能である。
Q · 著作権が切れた昔の作品なら、勝手に改変しても誰にも文句を言われませんか?
いいえ、故人の遺族が改変の差止めを請求できます
著作権法 116 条により、著作者・実演家の死後は、その遺族(配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹)が、故人の意に反する改変など人格的利益の侵害に対して差止め(112 条)と名誉回復措置(115 条)を請求できます。財産としての著作権が死後 70 年で消滅しても、人格的利益の保護(60 条)は別の回路で続きます。孫や兄弟姉妹であっても、自分の名で請求できる立場にあります。
祖父が遺した絵が、死後に誰かの手で色を塗り替えられ、別人の作品のように世に出ていた。あなたは孫として何ができるのか。著作権法 116 条が答えを持っている。著作者人格権そのものは本人だけのもので、死ねば相続されない(59 条)。だが作品に込められた人格的利益は、死後も守られ続ける(60 条)。そしてその守り手として法律が名指しするのが遺族だ。配偶者、子、父母、孫、祖父母、そして兄弟姉妹。あなたが孫でも、自分の名で差止め(112 条)と名誉回復措置(115 条)を請求できる。決定的なのは、これが著作権の財産的保護期間(死後 70 年)とは別の回路だという点。財産権が切れても、人格的利益の侵害に対する遺族の請求権は残る。
著作権法 116 条は、著作者・実演家の死後における人格的利益の保護(60 条・101 条の 3)を実現する手続規定である。遺族(配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹)に対し、侵害行為の差止め(112 条)および名誉回復措置(115 条)の請求権を認め、故人の人格を財産権とは独立した回路で守る仕組みを定める。
相続されません。著作者人格権は一身専属で、死亡とともに消滅します(著作権法 59 条)。ただし人格的利益の保護は 60 条で死後も続き、遺族がそれを守ります。
財産的著作権が切れても、改変が故人の意に反すると評価されれば遺族が差止めを請求できます(60 条・116 条)。パブリックドメイン=完全に自由ではありません。
著作者の死後も、その人格的利益を侵害してはならないと定める規定です。116 条はこの 60 条違反に対する遺族の請求権を具体化しています。
守られます。平成 14 年改正で実演家人格権が創設され、116 条により実演家の遺族も差止め等を請求できるようになりました(101 条の 3)。
できます。116 条 3 項により、著作者・実演家は遺言で遺族に代わり請求できる者を指定できます。ただしその権利は死亡の翌年から 70 年で消滅します。
差止請求(112 条)自体に消滅時効はありません。ただし損害賠償を併せて求める場合は不法行為の時効(民法 724 条)がかかります。
求められます。侵害者に対し内容証明郵便で差止め(112 条)と名誉回復措置(115 条)を通知するのが実務の第一歩です。応じなければ仮処分・本訴を検討します。
財産権(著作権)と人格的利益は別の回路だからです。財産権が死後 70 年で消滅しても、人格的利益の保護(60 条)に固定の期限はありません。
財産としての著作権が切れていても、改変が著作者の意に反すると評価されれば、著作者の遺族が差止めや名誉回復措置を請求できます(60 条・116 条)。保護期間切れ=何でも自由、ではありません。業界裏話ヒント:問題になりやすいのは「改変が故人を侮辱する方向か」です。原文の意図を尊重した翻案や、明らかにパロディと分かる体裁なら争いになりにくい。出版前に故人の意図との整合性を一行メモで残しておくと、後の防御材料になる
116 条 2 項により、請求できる遺族には順位があり、原則として上位者(配偶者・子)が優先します。ただし遺言で順位が別に定められていればそれに従います(同項但書)。業界裏話ヒント:順位はあるものの、上位者が動かない・動けない場面で下位者が動ける余地は実務上あります。まず親(子の立場)と相談し、誰の名で請求するかを整理してから動くと、相手に『遺族内で足並みが揃っていない』という反論の隙を与えません
著作者本人が生前に許諾していた使い方であれば、それは「意に反する」とは言いにくく、60 条違反になりにくい。116 条の請求も、故人の意思に沿う利用には及びません。業界裏話ヒント:鍵は『故人の意思』の立証です。口頭の約束より、生前のメール・SNS 投稿・契約書など書面の痕跡が決定的。許諾を主張する側はその証拠を早めに確保し、遺族側も故人の真意がどこにあったかを慎重に検討する必要がある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 116 条:死後の人格的利益を守る遺族の請求権(手続) | — |
| 権利の主体 | 遺族(配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹) | — |
| 存続期間 | 遺族の請求権は無期限、指名者は死後 70 年 | — |
| 請求できる内容 | 差止め(112 条)・名誉回復措置(115 条) | — |
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