要点著作権法 89 条は、実演家・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者に著作隣接権を与える規定。これらの権利は登録不要で、演奏や録音をした瞬間に自動で発生する。
Q · CD を流すとき、JASRAC に払えば著作権は全部クリアできるの?
できない。音源には別の権利者がいる
著作権法 89 条は、実演家・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者に著作隣接権を与えます。JASRAC が管理するのは作詞家・作曲家の著作権だけで、録音された音源(原盤)そのものを使うときは、実演家とレコード製作者の著作隣接権という別の層に触れます。これらの権利は 5 項により登録もマークも不要で、演奏・録音した瞬間に自動で発生するため、「どこにも登録されていないから自由」という理屈は通りません。
カフェで CD をかける。あなたは JASRAC に使用料を払えば問題ないと考えているかもしれない。だがそれは半分しか正しくない。音楽には二つの権利の層が重なっている。一つは作詞家・作曲家の著作権、もう一つが、演奏した実演家とレコードを作ったレコード会社の著作隣接権だ。89 条は、この第二の層を生み出す入口の条文である。実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者、この四者に対し、作品を世に届けた労力そのものを保護する権利を与える。しかも 5 項が決定的だ。これらの権利は登録も申請も一切要らず、演奏した瞬間、録音した瞬間に自動で発生する。あなたが見落としていたのは、音源そのものを使う行為が、作詞作曲家とは別の権利者の領域を踏むという事実だ。
著作権法 89 条は著作隣接権の享有主体を定める規定であり、実演家・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者の四者に対し、作品を演じ・録音し・放送するという伝達への投資を保護する権利を付与する。これらの権利は無方式主義(5 項)により方式の履行を要せず発生し、6 項により実演家人格権および報酬・二次使用料を受ける権利は著作隣接権の概念から除外される。
作品を創作した著作者ではなく、実演・録音・放送によって作品を世に伝えた者に与えられる権利です。著作権法 89 条が実演家・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者の四者に付与します。
不要です。89 条 5 項の無方式主義により、演奏・録音・放送をした瞬間に自動で発生します。©マークや申請も要りません。
それだけでは足りません。JASRAC は作詞作曲の著作権を管理しますが、音源にはレコード製作者と実演家の著作隣接権が別に存在します。
含まれません。89 条 6 項が実演家人格権と報酬・二次使用料請求権を著作隣接権から除外しています。人格権は譲渡もできません。
放送事業者の著作隣接権(89 条 3 項、98 条以下)に触れる可能性があります。試合内容が著作物でなくても、その放送が保護されています。
作詞作曲を処理しても、その音源を録音したレコード製作者の権利は別系統です。原盤を使うなら原盤権者の許諾が必要です。
あります。実演家として著作隣接権を持ち、音源が二次利用された場合は二次使用料を受ける権利(95 条)が生じることがあります。
実演・レコードは原則 70 年、放送・有線放送は 50 年が目安です(101 条、改正状況をご確認ください)。
それだけでは足りない場合があります。JASRAC が管理するのは作詞家・作曲家の著作権です。市販 CD の音源そのもの(原盤)には、レコード製作者と実演家の著作隣接権(89 条 1 項・2 項)が別に存在します。業界裏話ヒント:店舗 BGM では実演家とレコード製作者の権利は『商業用レコードの二次使用料』として処理されますが、許諾ルートが著作権とは別系統だと知らず、片方だけ払って安心している事業者は驚くほど多い
あります。あなたは実演家として、その録音について著作隣接権を持ちます(89 条 1 項)。とくにその音源が放送やネット配信で二次利用された場合、二次使用料を受ける権利(95 条)が生じることがあります。業界裏話ヒント:多くの収録契約は『録音物の権利は制作側に帰属』と包括的に書かれ、実演家が自分の二次使用料請求権を意識しないまま署名している。芸団協 CPRA のような団体が分配を管理しており、登録すれば受け取れるケースもある
人格権は残ります。6 項により、実演家人格権(氏名表示権 90 条の 2、同一性保持権 90 条の 3)は著作隣接権に含まれず、そもそも譲渡できません。業界裏話ヒント:『著作隣接権を譲渡する』条項があっても人格権は移らないため、クレジット表示を外したり実演を本人の意に反して改変すれば、譲渡を受けた側でも人格権侵害になりうる。譲渡契約書に『人格権を行使しない』旨の特約があるかどうかが、実務では決定的な分かれ目になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 権利主体 | 89 条:実演家・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者 | — |
| 規定する内容 | 四者の著作隣接権の享有(入口規定) | — |
| 方式の要否 | 無方式(5 項)、登録・申請一切不要 | — |
| 著作隣接権への該当 | 1〜4 項の権利が著作隣接権の本体 | — |
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