要点著作権法 92 条の 2 は実演家に送信可能化権を認めるが、録画の承諾を得て固定された映像実演には第 2 項により及ばない。これをワンチャンス主義という。
Q · 自分が出演した作品が配信されても、なぜ追加のギャラが入らないの?
録画を承諾した時点で送信可能化権が及ばなくなるからです
著作権法 92 条の 2 第 1 項は実演家に送信可能化権を認めますが、第 2 項により、録画の承諾を得て固定された映像実演にはこの権利が及びません(ワンチャンス主義)。映画やドラマで「録画してよい」と一度承諾すると、その後の配信について許諾権も法定の報酬請求権も原則発生しないため、配信報酬は出演契約の取り決め次第になります。逆に録音のみで録画を伴わないライブ音源などでは送信可能化権が手元に残り、無断配信に差止め・損害賠償を請求できます。
配信サービスで 20 年前の連続ドラマが並んでいる。出演していた俳優の多くは、その配信で一円も受け取っていない。なぜか。著作権法 92 条の 2 は実演家に「送信可能化権」、つまり自分の演技をネット配信できる状態に置く権利を与えている、それは確かだ。だが第 2 項に落とし穴がある。映画やドラマのように、実演家が一度「録画してよい」と承諾した時点で、その後の配信についての送信可能化権は消えるのだ。これがワンチャンス主義(交渉の機会は一度きりという原則)である。あなたが声優、俳優、ミュージシャンとして映像作品への出演を承諾した瞬間、配信やサブスク、二次利用での主導権を手放している。逆に、生配信やネット限定の実演のように録画承諾を伴わない場合は、この権利はあなたの手元に残る。承諾の署名をする前か後か、その一点で力関係が反転する。
著作権法 92 条の 2 は、実演家の送信可能化権を定める著作隣接権規定である。実演家は自らの実演をインターネット等で自動公衆送信し得る状態に置く行為を専有するが、第 2 項により、録音・録画の承諾を得て固定された映像実演についてはこの権利が及ばない(ワンチャンス主義)。放送権や録音録画権とは別個の独立した権利として位置づけられる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
実演をインターネット等で自動公衆送信できる状態(サーバーへのアップロード等)に置く行為を実演家が専有する権利です。著作権法 92 条の 2 が根拠で、著作隣接権の一つです。
実演家が一度録画を承諾すると、その後の複製・配信・放送など多くの二次利用に許諾権が及ばなくなる原則です。交渉の機会は録画承諾の一度きり、という意味で使われます。
実演を行った時から 70 年です(著作権法 101 条)。著作権本体(原則著作者の死後 70 年)とは別建てで計算されます。最新の改正状況はご確認ください。
俳優・声優・歌手・演奏家など、著作物を演じ・歌い・奏する実演家本人が原始的に取得します。プロデューサーやレコード会社は契約や譲渡を通じて権利を得ます。
録画の承諾を得て固定された映像実演、および同意の下で録音・録画された実演(91 条 2 項該当)です。これらはワンチャンス主義で送信可能化権が働きません。
自動公衆送信は実際に送信される行為、送信可能化はその前段階でサーバー等に蓄積し送信し得る状態に置く行為です。定義は 2 条 1 項 9 号の 2・9 号の 5 にあります。
できます。著作隣接権は財産権として譲渡可能で、出演契約や実演家権譲渡契約で移転されるのが実務です。ただし実演家人格権(90 条の 2 等)は一身専属で譲渡できません。
送信可能化権は 1997 年新設のため、それ以前の出演契約には「送信可能化」の文言がなく、配信化の際に権利処理の範囲が争点になりやすいからです。
法律上は、録画を承諾した時点で送信可能化権が及ばなくなるため(92 条の 2 第 2 項)、配信ごとの許諾も法定の報酬請求権も原則ありません。実際の報酬は出演契約の取り決め次第です。業界裏話ヒント:大手の出演契約書には『あらゆるメディア・媒体での利用を含む』という包括条項(バイアウト)が入っていることが多く、これに署名すると配信展開まで丸ごと織り込んだ買い切りになります。ギャラの額を見るとき、それが買い切りか歩合かを見抜くのが交渉の分かれ目です
録画を伴わない録音実演であれば、あなたに送信可能化権が残っているため(92 条の 2 第 1 項)、配信の差止めと損害賠償を請求できます。録画していたかどうかが決定的な分かれ目です。業界裏話ヒント:ワンチャンス主義は『録画』には及びますが『録音のみ』の実演には及びません。だからミュージシャンは、映像収録を伴うかどうかで手元に残る権利が大きく変わる。ライブ収録の契約では『映像は別建て』と切り分けて交渉すると、札が残ります
別です。放送・有線放送は 92 条、ネット上でオンデマンドに視聴できる状態に置くのが 92 条の 2 の送信可能化権です。テレビ放送の許諾と、見逃し配信やサブスク配信の許諾は、法的に別の権利として扱われます。業界裏話ヒント:『テレビで流す許可は出したが、ネット配信は聞いていない』という争いの根がここにあります。古い出演契約には『送信可能化』の文言がそもそも無い(条文が 1997 年新設のため)ことがあり、それ以前の作品の配信化では権利処理が論点になりやすい
送信可能化権は『実演をネット配信できる状態に置く』行為を対象にするので、AI 学習や合成音声の生成そのものをこの条文単独で止めるのは難しい、というのが実務の見方です。論点は録音・録画の承諾範囲と契約、そして実演家人格権(90 条の 2、90 条の 3)に移ります。業界裏話ヒント:この領域は実務上、解釈が分かれている最前線です。既存の出演・収録契約に『AI 利用』の想定が無いケースが大半なので、今は契約に AI 条項を明示的に入れるかどうかが攻防の中心になっています
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる利用行為 | 92 条の 2:送信可能化(ネットでオンデマンド視聴できる状態に置く) | — |
| ワンチャンス主義の適用 | 適用あり(録画承諾済み映像実演には及ばない・2 項) | — |
| 録音のみ実演での帰趨 | 送信可能化権は実演家に残る(差止め可) | — |
| 権利の性質 | 著作隣接権(許諾権)、譲渡可能・存続 70 年 | — |
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