要点著作権法 93 条は、放送の許諾を得た放送事業者が実演を放送・放送同時配信等のために録音録画できると定める。目的外で使用・提供すれば、91 条の無断録音・録画とみなされる。
Q · テレビに出演したら、その録画は放送局が自由に使えるんですか?
使えるのは許諾した番組のためだけ。別番組への流用は違法録画とみなされます
著作権法 93 条 1 項により、実演の放送について許諾を得た放送事業者は、その実演を放送および放送同時配信等のために録音・録画できます。しかし固定が許されるのは許諾した番組の範囲内で、契約に別段の定めがある場合や、許諾に係る番組と異なる内容の番組に使う目的の固定は認められません。さらに 2 項は、目的外に使用・提供した者や、固定物を他の放送事業者・放送同時配信等事業者へ再提供した者を、91 条 1 項の無断録音・録画を行った者とみなします。
テレビやラジオに出演する。歌手として、俳優として、声優として。あなたがその放送に「出ていい」と許諾した瞬間、放送局はあなたの実演を録音・録画する権限を自動で手に入れる。93条1項がそれを認めている。だが落とし穴はここからだ。その録画が許されるのは、あなたが許諾した「その番組のため」だけ。局が勝手に別番組へ使い回したり、目的外で外部へ提供したりすれば、2項によって「無断録音・録画とみなす」。つまり91条の録音権侵害として、あなたは差止めも損害賠償も請求できる立場に立つ。さらに2021年改正で「放送同時配信等」、TVer や radiko でのネット同時配信・見逃し配信もこの枠組みに入った。一度OKした出演がネット配信まで自動で許されるのか、それとも別途交渉できるのか。契約書のたった一行が、あなたの取り分を左右する。
著作権法第 93 条は、放送のための固定を定める規定である。実演の放送について許諾を得た放送事業者に対し、放送および放送同時配信等の目的に限って実演の録音・録画を認め、契約に別段の定めがある場合、および許諾に係る番組と異なる内容の番組に使用する目的の固定を除外する。目的外の使用または提供は、第 91 条第 1 項の録音・録画とみなされる。
放送の許諾を得た放送事業者が、その実演を放送および放送同時配信等の目的で録音・録画できる制度です。著作権法 93 条 1 項が根拠で、目的は許諾番組の範囲に限られます。
著作権法 91 条 1 項です。93 条 1 項はその例外として放送目的の固定を認めますが、目的外使用は 2 項により 91 条の無断録音・録画とみなされます。
令和 3 年(2021 年)改正で放送同時配信等が導入され、令和 4 年 1 月 1 日施行です。TVer や radiko の同時配信・見逃し配信が枠組みに入りました。
93 条 1 項ただし書により許諾番組と異なる内容の番組に使う目的の固定は認められず、目的外使用は 2 項で 91 条 1 項の無断録音・録画とみなされます。
93 条 2 項は、提供を受けた事業者がさらに他の放送事業者・放送同時配信等事業者へ提供した場合、その者を無断録音・録画をした者とみなすと定めます。
93 条 1 項ただし書は「契約に別段の定めがある場合」を除外事由とします。契約で固定や二次利用の範囲を定めれば、契約が優先します。
91 条の録音権侵害とみなされるため、差止め(112 条)と損害賠償を請求できます。損害額は 114 条の推定規定を利用できます。
93 条は放送のための固定そのものを認める規定、94 条は 93 条で作成された固定物を他の放送事業者の放送に利用する場合を規律する規定です。
いいえ。93条1項で局が録画できるのは、あなたが許諾した『その番組のため』だけです。別番組への流用や目的外提供は2項で91条の録音権侵害とみなされます。業界裏話ヒント:ただし多くの出演契約書には『二次利用』『アーカイブ配信』を包括的に許諾させる条項が仕込まれていて、サインした瞬間に93条の原則保護より契約が優先します。出演料の交渉より、この一行を読む方が長期的な取り分を左右する
2021年改正で『放送同時配信等』が93条の枠組みに加わり、制度上は放送許諾と一体で処理しやすくなりました。ただし契約で放送と配信を切り分けることは可能です。業界裏話ヒント:実演家団体による集中管理ができたため局は個別交渉なしに配信できる一方、出演者側は配信分の対価が放送料に埋もれて見えなくなりがち。契約段階で配信対価を別建てに要求できるかが分かれ目です(最新の運用をご確認ください)
目的外使用は2項により91条の録音権侵害とみなされるので、差止め(112条)と損害賠償(民法709条、損害額は著作権法114条で推定)を請求できます。業界裏話ヒント:114条の損害額推定を使えば、実損を細かく立証しなくても相手の得た利益や通常の使用料相当額を損害として主張できる。著作隣接権侵害は刑事罰(119条)の対象でもあり、その存在を交渉で示すだけで局の法務は和解に傾く
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規範の性格 | 著作権法 93 条:放送目的の固定を認める権利制限(例外) | — |
| 適用の前提 | 92 条 1 項の放送許諾を得た放送事業者であること | — |
| 許される範囲 | 放送および放送同時配信等の目的、かつ許諾番組と同一内容の番組 | — |
| 違反した場合 | 2 項により 91 条 1 項の無断録音・録画とみなされる | — |
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