事業者は、室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙(健康増進法(平成十四年法律第百三号)第二十八条第三号に規定する受動喫煙をいう。第七十一条第一項において同じ。)を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
要点労働安全衛生法 68 条の 2 は、事業者に職場の受動喫煙防止措置を努力義務として課す。罰則はないが、怠れば労働契約法 5 条の安全配慮義務違反として損害賠償責任を負う余地がある。
Q · 職場の受動喫煙対策は努力義務だから、会社は何もしなくていいの?
罰則はないが、健康被害が出れば賠償責任を負いうる
労働安全衛生法 68 条の 2 は、事業者に職場の受動喫煙防止措置を努力義務として課します。直接の罰則はありませんが、「何もしなくてよい」ではありません。措置を怠れば労働基準監督署の行政指導の対象となり、受動喫煙で労働者が健康を害した場合は、労働契約法 5 条の安全配慮義務違反として損害賠償責任(民法 415 条・709 条)を問われる余地があります。罰則のない条文が、民事訴訟の入口に化ける二段構えの仕組みです。
会社の休憩室からタバコの煙が流れてくる、隣の席の同僚が吸う、それを毎日我慢している。労働安全衛生法 68 条の 2 は、事業者に対し、室内またはこれに準ずる環境での労働者の受動喫煙を防止する措置を「講ずるよう努めるものとする」と定める。ここで見落としてはならないのが「努める」の二文字だ。これは努力義務であって、違反しても直接の罰則はない。だが「罰則がない=意味がない」と読むと足をすくわれる。この一行は労働基準監督署の行政指導の根拠になり、さらに労働契約法 5 条の安全配慮義務(会社が従業員の生命・健康を守るべき法的義務)と結びつくと、受動喫煙で健康を害した労働者が会社に損害賠償を請求する土台になる。罰則のない条文が、民事訴訟の入口に化ける。あなたが知っておくべきは、ここに二段構えの仕掛けがあるという点だ。
労働安全衛生法 68 条の 2 は、職場の受動喫煙防止に関する事業者の努力義務を定める規定である。事業者は、室内またはこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙を防止するため、当該事業者および事業場の実情に応じた適切な措置を講ずるよう努めなければならない。罰則を伴わない努力義務として構成され、健康増進法および労働契約法上の安全配慮義務と接続する。
他人のたばこの煙にさらされることです。労安衛 68 条の 2 は健康増進法 28 条 3 号の定義を引用し、室内またはこれに準ずる環境での労働者の受動喫煙防止を事業者の努力義務としています。
業務起因性が立証できれば労災認定の対象になりえます。長期の職場曝露で肺がん・虚血性心疾患等を発症した場合、療養補償給付や障害補償給付の請求が可能です。症状と日時の記録が鍵です。
労安衛 68 条の 2 では努力義務ですが、健康増進法では施設管理者に罰則付きの義務があります。さらに労働契約法 5 条の安全配慮義務により、実質的な対策義務が課されています。
喫煙室の設置自体は義務ではありません。事業場の実情に応じた適切な措置(屋内禁煙・喫煙専用室の設置・換気等)を選択できますが、形だけの分煙は措置義務を果たしたと評価されない場合があります。
健康被害が生じた場合、労働契約法 5 条の安全配慮義務違反(債務不履行)または不法行為に基づき、会社に損害賠償を請求できる余地があります。会社が対策を怠った経緯が証拠になります。
労働者 50 人以上の事業場では衛生委員会の設置義務があり、受動喫煙対策を議題にできます。議事録という公式記録が残り、会社が問題を認識していた証拠として後に効きます。
対象です。条文の「労働者」には短時間労働者やアルバイトも含まれます。飲食店で客席の煙にさらされる学生バイトも、事業者の受動喫煙防止措置の対象者です。
中小企業向けに受動喫煙防止対策助成金が用意されており、喫煙専用室の設置費用等の一部が補助される場合があります。最新の助成内容は厚生労働省でご確認ください。
努力義務に直接の罰則はありません(労安衛法 68 条の 2)。しかし「努めればよい=何もしなくてよい」ではありません。措置を講じない事業者は労働基準監督署の行政指導の対象になり、さらに受動喫煙で労働者が健康を害した場合、労働契約法 5 条の安全配慮義務違反として損害賠償責任を負う可能性があります。業界裏話ヒント:弁護士が職場の受動喫煙事案を組むとき、主戦場にするのは労安衛法ではなく安全配慮義務(労契法 5 条)です。努力義務違反そのものより、会社が対策を怠った事実を安全配慮義務違反の証拠として積み上げる
健康増進法(28 条以下)は施設の管理者に屋内禁煙等を義務づけ、違反には過料の罰則があります。一方、労安衛法 68 条の 2 は事業者に対する努力義務で罰則はありません。前者は施設、後者は労働者の保護という別の角度から同じ受動喫煙を規制しています。業界裏話ヒント:飲食店や事業所は、この二つの法律を同時に守る必要がある。健康増進法だけクリアして労安衛法の努力義務を見落とすと、従業員から安全配慮義務違反を問われる穴が残る
条文は「室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙」を対象とし、これは事業場を想定しています。自宅は事業者の管理下にないため、原則として 68 条の 2 の直接の対象外です。ただし会社が指定したサテライトオフィスやコワーキングスペースは「これに準ずる環境」に含まれうる。業界裏話ヒント:テレワークの拡大で事業場の範囲が曖昧になっている。会社が借り上げた作業スペースでの受動喫煙は事業者の措置義務が及ぶ可能性があり、争点化する前に労使で取り決めておくのが実務の知恵
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 義務の性質 | 労安衛 68 条の 2:努力義務(罰則なし) | — |
| 保護の角度 | 労働者の受動喫煙防止(事業者向け) | — |
| 違反の効果 | 行政指導 + 安全配慮義務違反の証拠化 | — |
| 実務上の主戦場 | 対策懈怠の事実を立証材料として積み上げる | — |
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