要点特定商取引法39条の2は、連鎖販売取引の停止命令に併せて、その役員・使用人および命令の日前1年以内の退任者個人に対し、同一期間の同種業務の新規開始を禁止できると定める。
Q · 会社が業務停止命令を受けたら、役員や社員個人も同じ商売ができなくなるの?
会社だけでなく役員・使用人個人も同一期間禁止されます
特定商取引法39条の2により、主務大臣は連鎖販売取引の停止命令を出す際、その法人の役員・使用人、および命令の日前1年以内に役員・使用人であった者のうち主務省令で定める者に対して、停止命令と同一の期間、同種の連鎖販売業務を新たに開始すること(その業務を担当する役員に就任することを含む)の禁止を命じることができます。さらに4項では、命令の理由となった行為者の特定関係法人で同一業務を行う者への業務停止も命じられ、5項により命令は公表されます。
ネットワークビジネスの世界には、長く使われてきた逃げ道があった。会社が行政処分を受けたら、その会社をたたみ、同じ顔ぶれで別会社を立ち上げて再起する。連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)の停止命令は「会社」に向けられるので、中の人間は無傷で次へ行ける、というわけだ。特定商取引法39条の2は、この回転ドアに鍵をかけた。主務大臣は、統括者・勧誘者・一般連鎖販売業者に停止命令を出すとき、その役員や使用人個人に対しても、同じ期間・同じ範囲の連鎖販売業務を新たに始めること(新会社でその業務の担当役員になることを含む)を禁じられる。恐ろしいのは射程だ。命令の日の1年前までさかのぼり、当時の役員・使用人だった者も対象になる。処分の直前に辞表を出して逃げる手も通じない。しかも命令は公表される(5項)ので、あなたの名前が業界に残る。
特定商取引法39条の2は、連鎖販売取引の業務停止命令に付随する個人向けの業務禁止命令を定める規定である。主務大臣は、停止命令の名宛人である法人の役員・使用人および命令の日前1年以内にその地位にあった者のうち、命令の理由となった事実への責任の程度を考慮して相当と認められる者に対し、停止命令と同一の期間、同種業務の新規開始を禁止できる。
事業者への業務停止命令の実効性を確保するため、その役員・使用人個人に対して同種業務を新たに始めることを禁じる行政処分です。特定商取引法39条の2が連鎖販売取引について定めています。
条文上は「当該停止を命ずる期間と同一の期間」です。つまり会社に対する連鎖販売取引の停止命令の期間がそのまま個人の禁止期間になります。個別に長短が決まるわけではありません。
役員・使用人の全員ではなく、命令の理由となった事実とその者の責任の程度を考慮して、業務を制限することが相当と認められる者に絞られます。具体的範囲は特定商取引法施行規則で定められます。
公表されます。39条の2第5項は「主務大臣は、前各項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない」と定め、公表は裁量ではなく義務です。氏名が業界に残ることを意味します。
業務禁止命令は不利益処分なので、行政不服審査法による審査請求か、行政事件訴訟法による取消訴訟で争います。いずれも出訴期間の制限があるため、命令を知った時点で早期に弁護士へ相談すべきです。
特定商取引法33条が定義する取引類型で、いわゆるマルチ商法・ネットワークビジネスを指します。特定利益を示して人を誘引し、特定負担を伴う取引をさせる販売形態が該当します。
あります。業務禁止命令は不利益処分にあたるため、行政手続法に基づく聴聞手続が先行します。ここで責任の程度が低いことを資料で示せれば、そもそも名宛人にならない余地があります。
命令の理由となった行為をした統括者等と一定の関係にある法人です。39条の2第4項は、そこで同一業務を行う役員・使用人にも同一期間の業務停止を命じられるとし、グループ内の横移動を封じています。
会社を止めても中の人間が別会社で同じ商売を続けられては、停止命令が骨抜きになるからです。39条の2はその実効性を確保するための個人向けの禁止です。ただし対象は『責任の程度を考慮して相当と認められる者』に限られます(1項)。業界裏話ヒント:末端の平社員が自動的に対象になるわけではなく、命令の理由となった行為に責任を持つ立場かどうかで線が引かれる。だからこそ、自分の関与の薄さを示す資料を早く固めた人ほど対象から外れやすい
逃げられません。条文は『命令の日前一年以内においてその役員であつた者』を明記しており(1項各号)、命令の1年前までさかのぼって退任者も対象に取り込みます。業界裏話ヒント:噂を聞いてから慌てて辞表を出す動きは、この1年遡及規定の前では意味を持たない。むしろ辞任より、当初から意思決定に関与していなかったことの立証のほうが効く。逃げ道を探す時間を、記録集めに回すのが正解
4項がその抜け道を塞いでいます。命令の理由となった行為者の『特定関係法人』で同一の連鎖販売業務を行う者には、同一期間の業務停止を命じられます。横移動も想定済みです。業界裏話ヒント:規制側は『会社を替える』『関連法人に逃がす』『名義を替える』という典型パターンを研究したうえで条文を作っている。移籍先を探す前に、その会社が特定関係法人に当たらないかを確認しないと、移った先でまた止められる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 命令の名宛人 | 39条の2:役員・使用人個人、および命令の日前1年以内の退任者(主務省令で定める者) | — |
| 処分の内容 | 同種の連鎖販売業務を新たに開始することの禁止(担当役員への就任を含む) | — |
| 期間 | 会社への停止命令と同一の期間(39条の2第1項〜3項) | — |
| 潜脱防止の射程 | 退任者への1年遡及+特定関係法人での同一業務停止(4項)+公表の義務化(5項) | — |
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