要点特定商取引法74条は両罰規定を定め、従業者が業務に関し違反行為をしたとき、行為者を罰するほか法人にも罰金刑を科す。第70条第3号違反なら法人は3億円以下の罰金となる。
Q · 社員が特定商取引法に違反したら、会社もお金を取られるんですか?
はい。行為者のほか会社にも罰金、最大3億円です
特定商取引法74条の両罰規定により、法人の代表者や従業者が業務に関して第70条から第73条の違反行為をすると、行為者個人が処罰されるほか、その法人にも罰金刑が科されます。第70条第3号違反なら法人は3億円以下、第70条第1号・第2号違反なら1億円以下です。個人の罰金上限300万円と比べて桁が違いますが、法人が選任・監督に過失がなかったことを示せれば免責される余地があります。
訪問販売の営業担当が、契約を取りたい一心で「今日契約しないと二度とこの価格は出ません」と嘘をついた。よくある光景に見えるが、特定商取引法はこの一言に二つの罰を用意している。第74条、両罰規定である。「行為者を罰するほか」、つまり嘘をついた営業担当個人が罰せられるのは当然として、それに加えてその会社そのものにも罰金が科される。しかも金額の桁が違う。個人の罰金上限が300万円のところ、会社は最大3億円。100倍だ。これを法人重科という。なぜ会社を100倍重く罰するのか。理由は単純で、300万円では大企業にとって痛くも痒くもなく、売上に対する必要経費として織り込まれてしまうからだ。あなたが経営者なら、社員一人の暴走が会社の存続を揺るがす金額に化けることを知っておくべきだ。逆にあなたが従業員なら、「会社の指示でやった」は免罪符にならないことを知っておくべきだ。
特定商取引法第74条は両罰規定であり、法人の代表者・管理人、法人または人の代理人・使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関し第70条から第73条の違反行為をした場合に、行為者本人を処罰するほか、その法人または人に対しても罰金刑を科す旨を定める。第70条第3号違反については法人に3億円以下という法人重科が適用される。
違反行為をした個人(行為者)を罰するのに加えて、その事業主である法人や人にも罰金刑を科す仕組みです。特定商取引法では第74条が定めています。
第70条第3号の違反行為については法人に3億円以下、第70条第1号・第2号の違反行為については1億円以下の罰金刑です。第71条から第73条の違反は各本条の罰金額となります。
両罰規定で法人に科す罰金の上限を、個人に科す罰金より大幅に引き上げる立法技術です。個人300万円に対し法人3億円という差は、大企業への抑止力を確保するためのものです。
なります。第74条は「法人又は人」と定めており、この「人」には従業者を使用する個人事業主が含まれます。従業員の違反について事業主本人が罰金刑を受ける可能性があります。
事業主の責任を、従業者の選任・監督についての過失が推定されるものと解する立場です。最高裁がこの考え方を採ったことで、無過失を証明できれば事業主は免責されうる構造になっています。
第70条の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、公訴時効は原則3年です。両罰規定で法人に科される罰金刑の時効も同じ期間で、犯罪行為が終わった時から起算します。
訪問販売等における不実告知や威迫困惑など、悪質性の高い違反行為に対する罰則規定です。第74条はこの第70条を号ごとに区分し、法人への罰金額を3億円と1億円に振り分けています。
多数あります。独占禁止法、不正競争防止法、景品表示法、労働基準法、金融商品取引法など行政刑罰を持つ法律の多くが同種の両罰規定を置いています。
必ず3億円というわけではなく、3億円は第70条第3号違反の場合の会社への上限です。重要なのは、会社は「選任・監督に過失がなかった」ことを証明できれば罰を免れうる点。最高裁は両罰規定を会社自身の過失を推定する規定と解しています(最大判昭和32.11.27)。業界裏話ヒント:この過失推定を覆す証拠は、事件後に慌てて作っても通用しない。日常的に研修記録・承認ログを残している会社だけが、この防御を実際に使える。
免れません。第74条は「行為者を罰するほか」と定め、実際に違反行為をした個人と会社の両方を罰します。上司の指示があっても、違法性を認識しうる立場なら行為者としての責任は消えません。業界裏話ヒント:会社と行為者個人は刑事手続で利益が対立する。会社は「個人の暴走」と主張したく、個人は「組織的指示だった」と主張したい。同じ弁護士に任せると一方が切り捨てられる。個人は自分の弁護人を別に立てるべき。
関係あります。第74条第2項が人格のない社団・財団にも適用を及ぼし、代表者・管理人がその団体を代表して刑事手続に立ちます。法人を被告人とする場合の刑事訴訟法の規定(27条など)が準用されます。業界裏話ヒント:「法人化していないから安全」という発想は逆効果で、代表者個人がむしろ前面に立たされる。任意団体で消費者向けビジネスをするなら、法人以上にコンプライアンスの記録が身を守る。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 第74条:両罰規定(行為者に加え法人・事業主も処罰) | — |
| 処罰対象 | 行為者+その法人または人(事業主) | — |
| 法人への罰金額 | 第70条第3号=3億円以下/第70条第1号・第2号=1億円以下/前三条=各本条の罰金刑 | — |
| 免責の余地 | 選任・監督につき無過失を証明できれば法人は免責されうる(過失推定説) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。