金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行を除く。以下この節において「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。
要点民事執行法 143 条は、金銭債権などに対する強制執行(債権執行)が執行裁判所の差押命令により開始すると定める。給料・預金・売掛金など第三債務者に対する債権を押さえる回収手続の起点となる。
Q · 判決を取ったのに相手が払わない。給料や口座を差し押さえるにはどうすればいい?
執行裁判所に差押命令を申し立てれば相手の債権を押さえられます
民事執行法 143 条により、金銭債権などに対する強制執行(債権執行)は執行裁判所の差押命令で開始します。債務名義(確定判決・和解調書・執行認諾文言付き公正証書など)を用意し、相手の勤務先や取引銀行を特定して、債務者の住所地を管轄する地方裁判所に差押命令を申し立てます。命令が第三債務者(勤務先・銀行)に送達されると、その者は相手に払えなくなり、送達から 1 週間で債権者に取立権が発生します(155 条)。給料は原則 4 分の 1、養育費なら 2 分の 1 まで、預金は届いた瞬間の残高が対象です。
勝訴判決を手にした。あるいは公正証書に「支払わなければ強制執行に服する」と一筆入れさせた。だが相手は一円も払わない。ここで多くの人は諦める。民事執行法 143 条を知らないからだ。この条文が定めているのは、あなたが相手の「財布そのもの」ではなく「相手が他人から受け取るはずのお金」を、裁判所の命令一本で押さえられるという仕組みである。相手の勤務先に対する給料債権、銀行に対する預金債権、取引先に対する売掛金。執行裁判所が出す差押命令が第三債務者(相手にお金を払う立場の勤務先や銀行)に届いた瞬間、その第三者はもう相手には払えなくなり、あなたに払う立場へと変わる。相手の同意は一切要らない。あなたが握っているのは、相手の背後にいる第三者を動かす見えないレバーだ。
民事執行法 143 条は債権執行の開始を定める規定であり、金銭の支払または船舶・動産の引渡しを目的とする債権に対する強制執行が、執行裁判所の発する差押命令によって開始する旨を規律する。動産執行の対象となる有価証券が発行された債権、および少額訴訟債権執行は、この節にいう債権執行から除外される。
AI 輔助整理,以條文原文為準
相手が第三者から受け取る金銭債権(給料・預金・売掛金など)を、執行裁判所の差押命令で押さえる強制執行の方法です。相手の財産そのものではなく「相手が受け取るはずのお金」を対象にします。
申立手数料の収入印紙は 1 件 4,000 円が基本で、これに郵便切手(予納郵券)や、必要に応じて弁護士費用が加わります。対象や第三債務者の数によって印紙額が変わる場合があります。
債務者にお金を支払う立場の第三者、つまり勤務先・銀行・取引先などを指します。差押命令はこの第三債務者に送達され、その者は債務者に払えなくなり債権者に払う立場に変わります。
差押命令が第三債務者に送達された日から 1 週間を経過して初めて取立権が発生します(民事執行法 155 条 1 項)。この期間は債務者が不服申立てを検討するための猶予です。
できます。相手が取引先に対して持つ売掛金債権も金銭債権であり、143 条の債権執行の対象です。取引先を第三債務者として差押命令を申し立てます。
生活保障のため差押えが禁止・制限される債権で、給料の 4 分の 3(原則)や年金、生活保護費などが該当します(民事執行法 152 条)。全額を押さえられるわけではありません。
できます。ただし少額訴訟に基づく執行は簡易裁判所書記官が担う少額訴訟債権執行という別ルートになり、143 条の通常の債権執行からは除かれています。
原則として債務者(相手)の住所地を管轄する地方裁判所が執行裁判所です(民事執行法 144 条)。相手の所在に応じて申立て先が決まります。
全部は取られない。原則として手取りの 4 分の 1 までで、4 分の 3 は保護される(民事執行法 152 条 1 項)。ただし手取りが月 44 万円を超える部分は全額が対象、養育費など扶養義務にかかる債権なら 2 分の 1 まで届く(同 152 条 3 項、151 条の 2)。業界裏話ヒント:給料差押えは一度発令されると退職まで毎月自動で効き続ける。逆に転職すれば一旦切れるので、債権者側は相手の職場が変わっていないか定期的に押さえ直す必要がある
以前はそうだった。だが 2019 年改正で、債務名義を持つ債権者は裁判所を通じて銀行に口座の有無を照会できる第三者からの情報取得手続(民事執行法 207 条)が使えるようになった。勤務先情報も、養育費や生命身体の損害賠償が対象なら市町村・年金機構から取得できる(同 206 条)。業界裏話ヒント:この情報取得は先に財産開示手続を経ているなどの条件があり、順番を間違えると空振りする。取引がありそうな銀行をあらかじめ絞り込んでおくと精度が上がる
差押命令は債務者にも第三債務者にも送達されるが、順序が肝心。実務では第三債務者(銀行・勤務先)に先に送達され、その後に債務者へ届く運用で、預金を抜かれる前に凍結される仕組みになっている(民事執行法 145 条)。業界裏話ヒント:だからこそ申立てから発令までは相手に悟られないよう一気に進めるのが鉄則。事前に「差し押さえるぞ」と通告してから申し立てると、その隙に口座を空にされる。予告して和解を狙うか、奇襲で押さえるかは相手の資力と性格を読んで選ぶ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する事項 | 143 条:債権執行(差押命令)の開始 | — |
| 対象・効果 | 第三債務者に対する金銭債権を差押命令で押さえる入口 | — |
| 権利者側の制約・保護 | 少額訴訟債権執行・有価証券発行債権は除外 | — |
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