要点民事執行法 146 条は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発しうると定める一方、差押額が請求債権と執行費用を超える場合は他の債権の差押えを禁じる。
Q · 借金より口座残高のほうが多い場合、預金は全部凍結されてしまうのですか?
一つの債権は全額凍結されるが、他の債権を重ねて押さえるのは違法
民事執行法 146 条 1 項により、執行裁判所は差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発せます。借金が 10 万円でも口座に 100 万円あれば、その預金債権は全額が凍結対象になります。ただし取り立てで実際に回収されるのは債務額の範囲だけです。さらに 2 項は、差し押さえた債権の価額が請求債権と執行費用の額を超えるときは、執行裁判所が他の債権(別口座や給料)を差し押さえてはならないと定め、超過差押えを禁止します。
給料日に口座を確認したら残高がゼロ、銀行に問い合わせると「差押えが入っています」と言われる。あるいは逆に、貸した金が返ってこないので相手の預金を押さえたい。どちらの側に立っても最初にぶつかるのが民事執行法 146 条だ。1 項は「差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる」と定める。つまり、あなたの借金が 10 万円でも、口座に 100 万円あれば、その預金債権は全額が凍結対象になる。ここが多くの人の誤算だ。だが 2 項が歯止めをかける。差し押さえた債権の価額が請求額と執行費用を超えたら、裁判所はそれ以上、他の債権(別口座や給料)を差し押さえてはならない。一つの財産は 1 項で丸ごと飲み込めるが、財産を横に積み増すことは 2 項が止める。この非対称を知っているかどうかで、過剰な差押えに気付いて取消しを求められるか、黙って泣き寝入りするかが分かれる。
民事執行法 146 条は債権執行における差押えの範囲を定める規定であり、1 項で執行裁判所が差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発しうることを、2 項で差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超える場合に他の債権への差押えを禁止する超過差押えの禁止を規定する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
差し押さえられる財産の範囲を指します。民事執行法 146 条 1 項により、一つの債権はその全部が差押えの対象となり、口座残高が債務額を上回っても全額が凍結されます。
差し押さえた債権の価額が請求債権と執行費用の合計を超えて、さらに他の債権まで押さえることです。民事執行法 146 条 2 項がこれを禁止しています。
はい、預金債権はその全部が凍結対象になります(146 条 1 項)。ただし取り立てで実際に回収されるのは債務額の範囲に限られます。
第三債務者(銀行や勤務先)に差押命令が送達された時点で効力が生じます(民訴執行法 145 条)。送達前は債務者が自由に処分できます。
自動では取り消されません。債務者が執行裁判所に執行異議(11 条)を申し立てて初めて是正されます。放置すれば過剰なまま手続が進みます。
可能ですが、合計額が請求債権と執行費用を超えると 146 条 2 項の超過差押えとなり、超過分は取消しの対象になります。
差押えは確定した権利に基づく本執行、仮差押えは判決前に財産を保全する暫定措置です。仮差押えには民事保全法 50 条が本条を準用します。
債務者に対して支払義務を負う第三者、たとえば預金口座のある銀行や給料を支払う勤務先です。差押命令はこの第三債務者に送達されます。
凍結された瞬間に相手のものになるわけではありません。差押命令の送達後、差押債権者が実際に取り立てできるのは原則として送達から 1 週間経過後(155 条)、しかも自分の債権額の範囲だけです。業界裏話ヒント:この 1 週間の間に、債務者側は執行異議や請求異議で争う余地がある。なお預金は差押えの『その瞬間の残高』が対象なので、差押えを予期して事前に資金を移す行為の是非は必ず弁護士に相談を(詐害行為と評価されるリスクがある)。
いいえ。152 条により給料は手取りの 4 分の 3 が差押禁止で、押さえられるのは原則 4 分の 1 まで(手取り月額が政令の基準額を超える部分は全額対象)。養育費など扶養義務に基づく請求では例外的に 2 分の 1 まで押さえられます。業界裏話ヒント:それでも生活が苦しければ 153 条で『差押禁止範囲の変更』を裁判所に申し立てられる。逆に債権者側は、この 4 分の 1 の壁を知らずに『満額取れる』と誤解して交渉を焦ることがある。(最新の改正状況をご確認ください)
以前は支店まで特定しないと困難でしたが、今は令和元年改正の『第三者からの情報取得手続』(205 条以下)で、裁判所を通じて銀行に預金の有無・支店・残高を照会できます。業界裏話ヒント:この手続には先に『財産開示手続』を経る必要がある場合があり、費用と要件もかかる。使いこなす弁護士とそうでない弁護士で回収成功率が大きく変わる領域だ。(最新の改正状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 146 条:差押えの範囲(全部差押え+超過差押えの禁止) | — |
| 効力の発生・実現 | 全部について差押命令を発しうる(1 項) | — |
| 債務者側の防御 | 超過差押えは執行異議(11 条)で一部取消し | — |
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