民事執行法 第146条(差押えの範囲)
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- 執行裁判所は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる。
- 2.差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超えるときは、執行裁判所は、他の債権を差し押さえてはならない。
この条文の基本情報
差押えの範囲とは何ですか?
定義差押えの範囲とは、民事執行法第146条に定められた規定で、「執行裁判所は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第146条(差押えの範囲)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第146条の条文原文は「執行裁判所は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる。」で始まります。
- 民事執行法第146条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第146条の前の条は民事執行法第145条です。
- 民事執行法第146条の次の条は民事執行法第147条です。
- 民事執行法第146条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第146条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第146条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/146
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法146条は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発しうると定める一方、差押額が請求債権と執行費用を超える場合は他の債権の差押えを禁じる。
Q · 借金より口座残高のほうが多い場合、預金は全部凍結されてしまうのですか?
一つの債権は全額凍結されるが、他の債権を重ねて押さえるのは違法
民事執行法146条1項により、執行裁判所は差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発せます。借金が10万円でも口座に100万円あれば、その預金債権は全額が凍結対象になります。ただし取り立てで実際に回収されるのは債務額の範囲だけです。さらに2項は、差し押さえた債権の価額が請求債権と執行費用の額を超えるときは、執行裁判所が他の債権(別口座や給料)を差し押さえてはならないと定め、超過差押えを禁止します。
解説
給料日に口座を確認したら残高がゼロ、銀行に問い合わせると「差押えが入っています」と言われる。あるいは逆に、貸した金が返ってこないので相手の預金を押さえたい。どちらの側に立っても最初にぶつかるのが民事執行法146条だ。1項は「差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる」と定める。つまり、あなたの借金が10万円でも、口座に100万円あれば、その預金債権は全額が凍結対象になる。ここが多くの人の誤算だ。だが2項が歯止めをかける。差し押さえた債権の価額が請求額と執行費用を超えたら、裁判所はそれ以上、他の債権(別口座や給料)を差し押さえてはならない。一つの財産は1項で丸ごと飲み込めるが、財産を横に積み増すことは2項が止める。この非対称を知っているかどうかで、過剰な差押えに気付いて取消しを求められるか、黙って泣き寝入りするかが分かれる。
法的な位置づけ
民事執行法146条は債権執行における差押えの範囲を定める規定であり、1項で執行裁判所が差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発しうることを、2項で差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超える場合に他の債権への差押えを禁止する超過差押えの禁止を規定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.差押命令の正本で差押えの範囲を確認 口座凍結や給料差押えの通知が届いたら、差押命令の正本を入手し、差押債権者・請求債権額・執行費用の額・差し押さえられた債権の種類と金額を書き出す。凍結全額と実際の取立可能額は別物である点を理解する
- 2.超過差押えかどうかを計算 差し押さえられた債権の合計額が、請求債権額と執行費用の合計を明らかに超えていないかを計算する。給料は152条で手取りの4分の3が保護される点も差引いて判断する
- 3.超過があれば執行異議を申し立てる 146条2項違反の超過差押えを見つけたら、執行裁判所に執行異議(11条)を申し立て、超過部分の差押えの取消しを求める。放置すれば過剰な凍結のまま執行が進むため速やかに動く
- 4.生活困窮なら差押禁止範囲の変更を申立て 給料差押えで生活が立ち行かない場合は、153条の差押禁止債権の範囲変更を執行裁判所に申し立て、差押可能額の縮減を求める。家計収支を疎明する資料を準備する
よくある質問 AI による整理
Q1差押えの範囲とは何ですか?
差し押さえられる財産の範囲を指します。民事執行法146条1項により、一つの債権はその全部が差押えの対象となり、口座残高が債務額を上回っても全額が凍結されます。
Q2超過差押えとは何ですか?
差し押さえた債権の価額が請求債権と執行費用の合計を超えて、さらに他の債権まで押さえることです。民事執行法146条2項がこれを禁止しています。
Q3借金より口座残高が多いと全額凍結されますか?
はい、預金債権はその全部が凍結対象になります(146条1項)。ただし取り立てで実際に回収されるのは債務額の範囲に限られます。
Q4差押命令はいつ効力が発生しますか?
第三債務者(銀行や勤務先)に差押命令が送達された時点で効力が生じます(民訴執行法145条)。送達前は債務者が自由に処分できます。
Q5超過差押えを取り消すにはどうすればいいですか?
自動では取り消されません。債務者が執行裁判所に執行異議(11条)を申し立てて初めて是正されます。放置すれば過剰なまま手続が進みます。
Q6複数の口座を同時に差し押さえられますか?
可能ですが、合計額が請求債権と執行費用を超えると146条2項の超過差押えとなり、超過分は取消しの対象になります。
Q7差押えと仮差押えの違いは何ですか?
差押えは確定した権利に基づく本執行、仮差押えは判決前に財産を保全する暫定措置です。仮差押えには民事保全法50条が本条を準用します。
Q8第三債務者とは誰のことですか?
債務者に対して支払義務を負う第三者、たとえば預金口座のある銀行や給料を支払う勤務先です。差押命令はこの第三債務者に送達されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1口座を差し押さえられたら、もうそのお金は完全に取られちゃうんですか?
凍結された瞬間に相手のものになるわけではありません。差押命令の送達後、差押債権者が実際に取り立てできるのは原則として送達から1週間経過後(155条)、しかも自分の債権額の範囲だけです。実務のポイント:この1週間の間に、債務者側は執行異議や請求異議で争う余地がある。なお預金は差押えの『その瞬間の残高』が対象なので、差押えを予期して事前に資金を移す行為の是非は必ず弁護士に相談を(詐害行為と評価されるリスクがある)。
Q2給料を差し押さえられました。生活できないくらい持っていかれるんですか?
いいえ。152条により給料は手取りの4分の3が差押禁止で、押さえられるのは原則4分の1まで(手取り月額が政令の基準額を超える部分は全額対象)。養育費など扶養義務に基づく請求では例外的に2分の1まで押さえられます。実務のポイント:それでも生活が苦しければ153条で『差押禁止範囲の変更』を裁判所に申し立てられる。逆に債権者側は、この4分の1の壁を知らずに『満額取れる』と誤解して交渉を焦ることがある。(最新の改正状況をご確認ください)
Q3相手の口座を差し押さえたいけど、どの銀行のどの支店か分からないと無理ですか?
以前は支店まで特定しないと困難でしたが、今は令和元年改正の『第三者からの情報取得手続』(205条以下)で、裁判所を通じて銀行に預金の有無・支店・残高を照会できます。実務のポイント:この手続には先に『財産開示手続』を経る必要がある場合があり、費用と要件もかかる。使いこなす弁護士とそうでない弁護士で回収成功率が大きく変わる領域だ。(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「差し押さえられたら給料は全部持っていかれる」と思い込んでいる人が多いが、152条により給料は原則として手取りの4分の3が保護され、差し押さえられるのは4分の1まで(手取り月額が政令の定める基準額を超える部分は全額が対象)。生活を続けられるよう設計されている。
- あなたから見れば「口座に100万あるのに10万の借金でなぜ全額凍結されるのか」と理不尽に映る。だが法律から見れば、146条1項は債権の『全部』差押えを当然に認めている。取り立てで実際に持っていかれるのは債務額分だけだが、凍結という効力は残高全額に及ぶ。この落差を知らずに慌てて余計な行動に出ると、傷を広げる。
- 超過差押えが禁止されていること(2項)は知っていても、その深刻度を知らない人が多い。禁止に反した差押えが自動的に取り消されるわけではなく、債務者が執行異議(11条)などを『申し立てて』初めて是正される。黙っていれば過剰なまま執行は進む。ルールがあることと、自動で守られることは別物だ。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 146条:差押えの範囲(全部差押え+超過差押えの禁止) | 143条:債権執行の開始と対象 152条:差押禁止債権(給料の4分の3保護) |
| 効力の発生・実現 | 全部について差押命令を発しうる(1項) | 第三債務者への送達で効力発生(145条) 取立ては送達から原則1週間後(155条) |
| 債務者側の防御 | 超過差押えは執行異議(11条)で一部取消し | 対象外債権なら差押えを争える 153条で差押禁止範囲の変更を申立て |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も債権に対する差押命令(扣押命令)を認め、超過扣押の禁止(第50条)を置く点で日本146条と構造が近い。
韓国も日本と同じく債権差押命令を第三債務者への送達で効力発生とし、賃金の差押制限を設ける。日本法の影響が強い。
ドイツは金銭債権の差押え(Pfändung)を規定し、労働所得については § 850以下で広範な差押保護を設ける。超過差押えは比例原則で制限される。
米国は州法の garnishment 手続で第三債務者から回収する。連邦の Consumer Credit Protection Act が賃金差押えの上限(原則可処分所得の25%)を定める。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- ある朝、コンビニでデビットが通らない。残高照会すると、給料が振り込まれた直後の口座が丸ごと差し押さえられていた。146条1項により、預金債権はその全額が凍結対象になる。
- もし、あなたが貸した50万円を回収しようと相手の給料を差し押さえたのに、まだ足りないからと相手の預金口座も同時に押さえたら、どうなる? 給料の差押可能額と預金額の合計が50万円と執行費用を超えた瞬間、2項違反の超過差押え。相手から一部取消しを申し立てられる立場に回る。
- 離婚後の養育費が半年滞納。あなたは元配偶者の勤務先を突き止め、給料差押えに踏み切る。第三債務者(勤務先)への差押命令送達まであと数日、送達された瞬間から相手の手取りの一部があなたに回る道が開く。ただし押さえられるのは原則として手取りの4分の1まで(152条)。
- 会社の経理担当のあなたのもとに、従業員の給料を差し押さえる裁判所からの命令(第三債務者への差押命令)が届く。これを無視して本人に満額を払えば、あなた(会社)が差押債権者にもう一度払わされる二重払いのリスクを負う。第三債務者になった瞬間、あなたは板挟みだ。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差押命令の正本を確認し、差押債権者・請求債権額・執行費用を把握する。2. 給料なら152条で手取りの4分の3が保護されるので『全額持っていかれる』という誤解を捨てる。3. 押さえられた債権の合計が請求額と執行費用を明らかに超えていれば2項の超過差押え。執行裁判所に執行異議(11条)を申し立て一部取消しを求める。4. 生活が困窮するなら153条の差押禁止範囲の変更を申し立てる。
訴えられた側:1. 相手の財産を調べ、預金・給料・売掛金のどれを狙うか決める。継続回収なら給料(将来分にも効力が及ぶ)、即時性なら預金。2. 一つの債権は1項で全額押さえられるが、複数を重ねると2項の超過差押えで一部取り消される。狙いを絞る。3. 財産が不明なら財産開示手続(196条以下)や第三者からの情報取得手続(205条以下)で勤務先・口座を特定してから動く。4. 効力は第三債務者への送達で発生するので、送達のタイミングを管理する。
時効(請求できる期限):差押命令の申立て自体に時効はないが、前提となる債権には消滅時効がある。確定判決で確定した権利は10年(民法169条)、通常の債権は権利行使できると知った時から5年(民法166条)。時効完成前に強制執行へ着手する必要がある。超過差押えに対する執行異議(11条)に特段の期間制限はないが、執行手続が終了すると争えなくなるため、凍結に気付いたら速やかに動くこと。
学説
通説:146条1項は一個の債権を単位として全部差押えを当然に認め、2項は複数の債権への重畳的差押えを債権額と執行費用の範囲に限る比例原則の表れと解される。2項違反の超過差押えは当然無効ではなく、執行異議(11条)による取消しを要するとするのが一般的理解である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:旧民事訴訟法の強制執行編を分離・独立させ民事執行法を制定。債権執行における差押えの範囲と超過差押えの禁止を明文化した。
- 2.令和元年(2019年) 改正:第三者からの情報取得手続(205条以下)の新設等により、債務者の預金・勤務先の特定が容易になり、本条の債権差押えの実効性が高まった(2020年施行)。
- 民事執行法 第143条債権執行の開始と対象債権の範囲
- 民事執行法 第145条差押命令の発令と第三債務者への送達による効力発生
- 民事執行法 第152条差押禁止債権、給料の4分の3保護による範囲制限
- 民事執行法 第153条差押禁止債権の範囲変更の申立て
- 民事執行法 第155条差押債権者の取立権と取立ての時期
- 国税徴収法 第63条租税滞納処分による債権差押えの特則(行政上の強制執行)
- 民事保全法 第50条仮差押えの執行に民事執行法の差押規定を準用
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