要点民事執行法 167 条は、不動産・動産・債権以外の財産権に対する強制執行は債権執行の例によると定める。特許権やゴルフ会員権、非上場株式も差押えの対象となる。
Q · 相手に預金も不動産もないと言われたら、もう回収できないんですか?
特許や会員権など「その他の財産権」を差し押さえる道が残っています
民事執行法 167 条は、不動産・船舶・動産・債権のいずれにも当たらない財産権に対する強制執行を認め、手続は特別の定めがあるもののほか債権執行の例によるとします(1 項)。特許権・商標権・ゴルフ会員権・非上場株式・持分などが対象です。権利移転に登記等を要するものは登記等の地の裁判所が管轄し(2 項)、第三債務者がいない権利は差押命令が債務者に送達された時に効力が生じます(3 項)。差押えの登記等が送達より先にされた場合は、登記等の時が効力発生時点となります(4 項)。
勝訴判決を手にした。だが相手は『預金も土地も車もない』と開き直る。ここで多くの人は回収を諦める。それが最大の誤りだ。債務者の財産は、不動産・動産・債権という三つの標準カテゴリーに収まらない形で存在することが多い。特許権、商標権、ゴルフ会員権、非上場株式、合同会社の持分。167条は、これら『その他の財産権』に対しても強制執行できると定める。手続は原則として債権執行の例による(1項)。権利の移転に登記や登録が必要な財産は、その登記等の地の裁判所が管轄する(2項)。そして最も重要なのが効力の発生時期だ。特許のように第三債務者がいない権利は、差押命令が債務者に送達された瞬間に効力が生じる(3項)。あなたがこの条文を知っているかどうかで、『財産がない』という相手の言葉を鵜呑みにするか、その裏を検証しにいくかが分かれる。
民事執行法 167 条は、不動産・船舶・動産・債権のいずれにも当たらない財産権(その他の財産権)に対する強制執行の通則を定める規定である。手続は特別の定めがある場合を除き債権執行の例によるものとし、権利の移転に登記等を要する財産については登記等の地を管轄の基準とし、差押えの効力発生時期を債務者への送達時と登記等の時とで区分する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
不動産・船舶・動産・債権のいずれにも当たらない財産権のことです。特許権・実用新案権・商標権・著作権、ゴルフ会員権、非上場株式、合同会社の持分などが典型例で、民事執行法 167 条の対象になります。
差し押さえられます。株券不発行の非上場株式はその他の財産権として 167 条により執行し、差押命令の後に譲渡命令や売却命令で換価します。定款の譲渡制限があると換価に時間がかかります。
取引所に預けた暗号資産は差押えの射程に入りうると考えられていますが、これを債権と見るか「その他の財産権」と見るかで手続の建て付けが分かれ、解釈は固まっていません。申立て前に手続選択の検討が必要です。
権利の移転に登記等を要する財産権は、その登記等の地を管轄する裁判所が執行裁判所になります(167 条 2 項)。登記等を要しない権利は債権執行の例により、原則として債務者の普通裁判籍の所在地が基準です。
第三債務者に準ずる者がいない権利は、差押命令が債務者に送達された時です(3 項)。登記等を要する権利で差押えの登記等が送達より先にされた場合は、登記等がされた時に効力が生じます(4 項)。
債権執行の例により、譲渡命令・売却命令など裁判所が定める換価方法によります。名義移転には特許庁への登録が必要で、市場性が乏しい権利は買い手が付かず費用倒れになることもあります。
持分もその他の財産権として差押えの対象です。ただし持分の譲渡には他の社員の承諾が要るため、換価は容易でなく、実務では持分の払戻請求権を押さえる構成も検討されます。
対象や範囲に不服があるときは執行異議(民事執行法 11 条)を申し立てます。執行抗告ができる裁判については、告知を受けた日から 1 週間の不変期間内に抗告する必要があります。
諦めるのは早い。財産開示手続(民事執行法196条以下)や第三者からの情報取得(同207条以下)で調べると、預金以外に特許・非上場株式・会員権が出てくることがあり、これらは167条でその他の財産権として差し押さえられる。業界裏話ヒント:弁護士は『預金・給与・不動産』の三点セットで空振りした後、最後にゴルフ会員権と非上場株式を狙う。ここは債務者本人が取られると思っていないため、隠されずに残っていることが多い。
会員証ではなく、預託金返還請求権とプレー権が結合した財産権とみなされ、その他の財産権として差押え・換価できる(167条)。ただし規約に譲渡制限があると換価に手間がかかる。業界裏話ヒント:会員権相場が下がっている時期は、換価しても名義書換料などを引くと手元にほとんど残らず費用倒れになる。実務では相場と諸費用を差し引いた『実際に回収できる額』を計算してから着手する。
差押えだけで直ちに使えなくなるわけではないが、譲渡やライセンス設定などの処分が制限され、換価(譲渡命令等)まで進むと権利者が入れ替わる。効力の発生は登録と送達の前後で決まる(167条3項・4項)。業界裏話ヒント:特許権は移転に特許庁の登録が効力要件(特許法98条)なので、差押登録のタイミングが決定的。債務者が先にライセンスを設定して価値を抜き取る『資産の空洞化』を防ぐため、債権者は情報を掴んだら即日申立てを狙う。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象財産 | 167 条:不動産・船舶・動産・債権以外の財産権(特許権・商標権・会員権・持分・非上場株式) | — |
| 手続の建て付け | 特別の定めがあるもののほか債権執行の例による(1 項) | — |
| 管轄の基準 | 登記等を要する権利は登記等の地(2 項)、それ以外は債権執行の例による | — |
| 効力発生時期 | 第三債務者がいなければ債務者への送達時(3 項)、登記等が先行すれば登記等の時(4 項) | — |
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