民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十四条第一項の規定による詐害行為取消権を保全するための仮処分命令において定められた第二十五条第一項の金銭の額に相当する金銭が供託されたときは、同法第四百二十四条第一項の債務者は、供託金の還付を請求する権利(以下「還付請求権」という。)を取得する。この場合において、その還付請求権は、その仮処分の執行が第五十七条第一項の規定により取り消され、かつ、保全すべき権利についての本案の判決が確定した後に、その仮処分の債権者が同法第四百二十四条第一項の債務者に対する債務名義によりその還付請求権に対し強制執行をするときに限り、これを行使することができる。
要点民事保全法 65 条は、詐害行為取消の仮処分で解放金が供託されると、詐害行為をした債務者が還付請求権を取得すると定める。債権者はその権利に強制執行して初めて回収できる。
Q · 詐害行為取消の仮処分で相手が解放金を供託したら、その金はどうやって回収するの?
仮処分取消と本案確定後、還付請求権への強制執行が必要です
民事保全法 65 条により、詐害行為取消権を保全する仮処分で解放金が供託されると、その供託金の還付請求権を取得するのは、あなた(債権者)でも受益者でもなく、詐害行為をした債務者本人です。しかもその権利は凍結されます。回収するには、仮処分執行の取消し(57 条 1 項)、本案(詐害行為取消訴訟)判決の確定、そして被保全債権について債務者に対する債務名義でその還付請求権に強制執行(民事執行法 143 条)をかける、この三つを順に揃える必要があります。一つでも飛ばすと執行できません。
貸した金が返ってこない。相手を調べると、唯一まともな資産だったマンションを親族へ相場より安く名義変更していた。差押えから逃げるための典型的な財産隠しだ。あなたは民法424条の詐害行為取消権でこの譲渡を巻き戻そうとし、その前に物件を仮処分で凍結する。ところが法律は、譲り受けた側が「解放金」を供託すれば凍結を解けると定めている。ここで効いてくるのが65条だ。供託された金は、あなたの口座に直接は入らないし、受益者の親族の手にも残らない。詐害行為をした債務者本人が供託金の還付請求権を取得する。だがその権利は凍結されたまま。あなたが本案で勝訴を確定させ、仮処分の執行が取り消され、しかも債務者に対する債務名義でその還付請求権に強制執行をかけたときにだけ、はじめて金が動く。この順序を一つ踏み外すと、目の前まで来た金が指の間からこぼれ落ちる。
民事保全法 65 条は、詐害行為取消権を保全する仮処分において供託された解放金の帰属と行使を定める規定である。供託により詐害行為をした債務者が還付請求権を取得するが、その行使は仮処分執行の取消し・本案判決の確定・債務者に対する債務名義による強制執行という三要件を満たしたときに限られる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
仮処分の目的物拘束を解くために、受益者側が目的物の価額相当額を供託する金銭です。民事保全法 25 条が定め、供託すれば物件の凍結を解けますが、65 条によりその還付請求権は債務者名義になります。
取消しの原因を知った時から 2 年、詐害行為の時から 10 年で提起できなくなります(民法 426 条)。2017 年改正で行為時からの期間が 20 年から 10 年に短縮されました。最新の改正状況をご確認ください。
被保全債権について債務者に対する債務名義を用意し、民事執行法 143 条の債権差押命令を申し立てます。仮処分執行の取消しと本案判決の確定が前提です(民事保全法 65 条後段)。
裁判所が目的物の価額を基準に定めます(民事保全法 25 条)。審尋で適正な評価額を主張しないと過小に設定され、回収できる上限がその時点で削られます。
受益者または転得者が被告で、債務者は被告になりません。そのため還付請求権を差し押さえるには、被保全債権について債務者に対する別の債務名義が必要になります。
優良資産だけを新会社へ移し負債を旧会社に残す行為は、詐害行為取消の射程に入りえます。連帯保証している経営者は、資産保全にこの仮処分と解放金の枠組みが使われる点に注意が必要です。
相当性を超える過大な財産分与は詐害行為取消の対象になりうると判断された裁判例があります。債権者から逃れるための偽装的な分与は取り消される余地があります。
仮差押解放金(22 条)は供託すれば債務者が金を受領できますが、詐害行為取消の仮処分解放金は 65 条により還付請求権が凍結され、決められた順序を踏んだ債権者だけが到達できます。
なりません。詐害行為取消権(民法424条)は債務者の責任財産を回復させる制度で、あなたに優先弁済権を与えるものではありません(民法425条)。回収時には他の債権者も競合しえます。業界裏話ヒント:金銭を取り戻す類型では取消債権者が自分の債権と相殺的に事実上回収できてしまう場面があるのに対し、不動産は登記が債務者に戻るだけで他の債権者も差押え可能。金銭型か現物返還型かで回収の実益がまるで違う
取り戻せません。65条で供託金の還付請求権を取得するのは受益者ではなく、詐害行為をした債務者本人であり、しかも凍結されます。業界裏話ヒント:だから受益者にとって解放金供託は、物件の凍結は解けても供託した金は戻らないかもしれない諸刃の剣。安易に供託するより、本案で詐害性そのものを争った方が得なケースが多い。供託を勧められたら誰が金を取り戻せるのかを必ず確認する
65条後段の要件が未了です。仮処分執行の取消し(57条1項)、本案判決の確定、そして債務者に対する債務名義による還付請求権への強制執行(民事執行法143条)、この三つが順に揃って初めて行使できます。業界裏話ヒント:詐害行為取消訴訟の被告は受益者や転得者であって債務者ではない。還付請求権を差し押さえるには、貸金など被保全債権についての債務者に対する債務名義が別に要る。ここを取り違えて執行不能に陥る例がある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 解放金の性質 | 65 条:詐害行為取消保全の仮処分解放金 | — |
| 還付請求権の帰属 | 詐害行為をした債務者本人が取得(凍結) | — |
| 行使の前提 | 仮処分執行取消し+本案確定+債務名義による強制執行 | — |
| 債権者の回収経路 | 還付請求権への債権執行(民執 143 条)を要する | — |
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