この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。
要点借地借家法 40 条は、一時使用が明らかな建物賃貸借には法定更新や正当事由などの借家人保護規定を適用しないと定める。該当性は契約書の文言でなく客観的実態で判断される。
Q · 契約書に「一時使用」と書けば、大家は借家人保護を外して自由に明渡しを求められるの?
文言だけでは外れず、実態が一時使用と明らかな場合に限る
借地借家法 40 条により、一時使用のために建物を借りたことが明らかな場合は、法定更新(26 条)や正当事由(28 条)などの借家人保護規定が適用されません。ただし、契約書に「一時使用」と書くだけでは足りず、裁判所は使用目的・期間・建物の構造といった客観的事情で判断します。逆に、契約書に記載がなくても実態が明らかに一時的なら保護は外れます。見るべきは文言ではなく、その賃貸借が客観的にどう見えるかです。
モデルルーム、選挙事務所、工事現場の仮設プレハブ、夏だけのビアガーデン。これらの建物の賃貸借には、あなたが当然あると思っている借家人の強力な盾、つまり契約の法定更新(26条)や、大家が出て行けと言うには正当事由が要るという縛り(28条)が、まるごと効かない。借地借家法40条は、一時使用のために建物を借りたことが明らかな場合には、この章の保護規定を一切適用しないと定めている。問題は二つある。第一に、大家が保護逃れのために契約書へ「一時使用」と書き込んでも、それだけでは外れない。裁判所は使用目的、期間、建物の構造といった客観的事情で判断する。第二に、逆もある。契約書に何も書いていなくても、実態が明らかに一時的なら保護は外れる。あなたが見るべきは契約書の文言ではなく、その賃貸借が客観的にどう見えるかだ。
借地借家法 40 条は、一時使用のための建物賃貸借を借家人保護規定の適用対象から除外する規定である。一時使用であることが明らかな場合、法定更新や正当事由の制約を定める同章の規定は適用されず、民法の一般原則に従う。一時使用該当性は契約書の文言ではなく、使用目的・期間・建物構造などの客観的事情によって判断される。
モデルルーム、選挙事務所、工事現場の仮設事務所、季節限定店舗など、初めから短期間だけ使うことが目的の建物賃貸借を指します。借地借家法 40 条はこれを保護規定の対象外とします。
返還されます。一時使用でも敷金返還は民法 622 条の 2 の一般ルールに従い、明渡し時の未払賃料や原状回復費用を差し引いた残額が返ります。原状回復の範囲を契約書で先に確認しておくのが安全です。
販売期間限定で建てた仮設的な建物なら一時使用と認められる典型例です。ただし期間が長期化したり定住向け構造だと、客観的事情から一時使用とは言えなくなる余地があります。
一時使用が明らかなら法定更新(26 条)が働かず、期間満了でストレートに明渡し義務が生じます。普通借家のような更新の主張は通りません。
できません。造作買取請求権を定める 33 条も同章の規定であり、一時使用では丸ごと適用が外れます。退去時に取り付けた設備の買取を主張できなくなります。
年数で一律に決まるわけではありません。当初の使用目的と建物の仮設性が判断の中心ですが、工事の長期化で実態が崩れると普通借家として保護される余地が出てきます。
一時使用の前提が崩れ、通常の借家契約として保護される余地が生まれます。期間が延びた事実や生活の本拠として使った事実が、普通借家化の主張材料になります。
争えます。「一時使用が明らかとは言えない」と主張するのが反撃の起点です。期間が延びた、生活の本拠だった、建物が定住向けだった等の事実を積み上げると保護が復活します。
書いてあるだけでは確定しません。借地借家法40条が見るのは契約書の文言ではなく、一時使用のためであることが明らかという客観的実態です。期間が短い、目的が明確に一時的、建物が仮設的、といった事情が揃って初めて26条や28条の保護が外れます。業界裏話ヒント:大家側のテンプレ契約書には保護逃れのため安易に「一時使用」と入っていることがありますが、生活の本拠として住んでいた、期間が当初より延びた、という事実があれば普通借家と認められた裁判例があります。書いてあっても諦めない
結果は似て見えますが仕組みが全く別です。定期借家(38条)は更新がない代わりに、書面交付と事前説明という厳格な手続が法律で要求されます。一時使用(40条)は、そもそもこの保護章が丸ごと適用されず、手続要件もありません。業界裏話ヒント:大家が定期借家の事前書面説明を怠ると、その契約は普通借家に転落します。一方、一時使用は手続不要で保護を外せるため、大家側が一時使用を悪用したがる動機があります。借りる側は、契約がどちらの建付けかを最初に確認すると、後の立場が全く変わる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 法定更新(26 条)の適用 | 適用なし(同章ごと不適用、期間満了で明渡し) | — |
| 成立・手続要件 | 一時使用であることが客観的に明らか(書面要件なし) | — |
| 造作買取請求権(33 条) | 適用なし | — |
| 判断のポイント | 契約書の文言でなく使用目的・期間・建物構造の客観的実態 | — |
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