保険業法 第100条の5(運用状況に係る情報の提供)
クイックジャンプ
- 保険会社は、運用実績連動型保険契約(その保険料として収受した金銭を運用した結果に基づいて保険金、返戻金その他の給付金を支払うことを保険契約者に約した保険契約をいう。以下この条、第百十八条第一項、第三百十五条第八号及び第三百十七条の二第七号において同じ。)に基づいて運用する財産について、内閣府令で定めるところにより、当該財産の運用状況その他の内閣府令で定める事項に係る情報を当該運用実績連動型保険契約の保険契約者に提供しなければならない。ただし、当該情報を保険契約者に提供しなくても保険契約者の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合は、この限りでない。
- 2.前項の規定は、保険会社が締結した運用実績連動型保険契約の保険契約者が金融商品取引法第二条第三十一項(定義)に規定する特定投資家である場合には、適用しない。ただし、保険契約者等の保護のため支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
運用状況に係る情報の提供とは何ですか?
定義運用状況に係る情報の提供とは、保険業法第100条の5に定められた規定で、「保険会社は、運用実績連動型保険契約(その保険料として収受した金銭を運用した結果に基づいて保険金、返戻金その他の給付金を支払うことを保険契約者に約した保険契約をい…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第100条の5(運用状況に係る情報の提供)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第100条の5の条文原文は「保険会社は、運用実績連動型保険契約(その保険料として収受した金銭を運用した結果に基づいて保険金、返戻金その他の給付金を支払うことを保険契約者に約した保険契約をい…」で始まります。
- 保険業法第100条の5は第三章 業務に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第100条の5の前の条は保険業法第100条の4です。
- 保険業法第100条の5の次の条は保険業法第101条です。
- 保険業法第100条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第100条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第100条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/100_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法100条の6は、変額保険など運用実績連動型保険契約について、保険会社に運用状況等の情報提供を義務付ける規定である。契約者が特定投資家の場合は原則適用されない。
Q · 変額保険の運用報告書って、法律で送ることが決まっているんですか?
はい。保険業法100条の6が情報提供を義務付けています
保険業法100条の6第1項は、運用実績連動型保険契約(変額保険・変額年金など、運用結果に応じて給付額が変わる保険)について、保険会社に運用状況等の情報提供を義務付けています。提供事項・方法は内閣府令に委ねられ、提供しなくても契約者保護に支障がない場合は例外となります。また2項により、契約者が金融商品取引法2条31項の特定投資家である場合は原則として適用されませんが、但書で内閣府令が定める場合には義務が残ります。
解説
変額保険や外貨建て一時払保険を契約したことがあるなら、あなたの手元に毎年届く「運用報告書」は、保険会社の親切心で送られてきているわけではない。保険業法100条の6が、法律として送付を義務付けている。この条文が守っているのは、運用実績連動型保険という商品の構造的な弱点である。あなたが払った保険料は、保険会社の中で特別勘定という別の財布に入り、株式や債券で運用される。運用が良ければ受取額は増え、悪ければ元本を割る。損失リスクを負うのはあなたであって保険会社ではない。そうであれば、いま自分の資産がどう運用され、いくらの手数料が引かれ、現在の解約返戻金はいくらなのかを知る権利は、あなたにある。ただし例外がある。あなたが金融商品取引法上の「特定投資家」(プロの投資家として扱われる法人や一定の資産家)に該当する場合、この保護は原則として外れる。プロは自分で情報を取りに行けるという前提だからだ。
法的な位置づけ
保険業法100条の6は、運用実績連動型保険契約に係る運用財産について、保険会社に対し運用状況等の情報提供義務を課す規定である。運用実績連動型保険契約とは、収受した保険料の運用結果に基づいて保険金・返戻金等を支払うことを約した契約をいい、投資リスクを負う契約者と運用を行う保険会社との情報格差を是正する機能を担う。
よくある質問 AI による整理
Q1運用実績連動型保険契約とは何ですか?
保険料として収受した金銭を運用した結果に基づいて保険金・返戻金等を支払うと約した保険契約です。変額保険や変額年金が典型で、運用損益は契約者が負担します。
Q2変額保険の運用報告書は法律上の義務ですか?
はい。保険業法100条の6第1項が情報提供義務を定めています。具体的な提供事項・方法・時期は内閣府令に委任されています。
Q3特定投資家だと運用報告は届かない?
同条2項により法定義務は原則として外れます。ただし但書で、契約者等の保護に支障を生ずるおそれがある場合として内閣府令が定める場合には義務が残ります。
Q4保険会社が情報提供を怠ったらどうなる?
業法違反として業務改善命令(保険業法132条)の対象となりうるほか、同法315条・317条の2に運用実績連動型保険契約に関する罰則・過料の定めがあります。
Q5特別勘定と一般勘定の違いは?
特別勘定は運用実績連動型保険の資産を他と区分して経理する勘定で、損益が契約者に直接帰属します。一般勘定は保険会社がリスクを負い、予定利率で運用されます。
Q6運用報告書を紛失した場合は再交付できますか?
保険会社に再交付を請求するのが実務上の対応です。法定の情報提供義務の履行状況を確認する資料になるため、契約以来の分をまとめて請求するのが有効です。
Q7電子交付だけでも情報提供義務を満たしますか?
提供方法は内閣府令の定めに従う必要があります。府令が定める方法・事項を満たさない電子交付のみの運用は、業法違反と評価される余地があります。
Q8契約時の説明義務と運用状況の情報提供義務は同じですか?
別の義務です。契約時の意向把握・情報提供は保険業法294条、契約期間中の運用状況開示が100条の6です。一方を履行しても他方の不履行は治癒されません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1変額保険の報告書、正直まったく読めないんですが、どこを見ればいいですか?
最低三つである。特別勘定の期末残高、期中に控除された費用の合計、現時点の解約返戻金。100条の6が内閣府令に委ねている提供事項の中核がここにある。実務のポイント:営業担当者が実績を語るとき示すのは特別勘定の運用利回りであることが多いが、あなたの財布に返ってくる数字は費用控除後の解約返戻金である。この二つを並べて示させると、話の精度が一段変わる
Q2特定投資家に同意すると、何が変わるんですか?
本条2項により法定の情報提供義務が原則として外れる。金融商品取引法2条31項の特定投資家に該当する契約者は、自ら情報を収集し判断できる主体として扱われる。ただし但書により、契約者等の保護に支障が生じるおそれがある場合として内閣府令で定める場合は義務が残る。実務のポイント:特定投資家への移行は、法人であっても申出により一般投資家に戻れる制度が金融商品取引法側に用意されている。プロ扱いは一度受け入れたら固定される身分ではない
Q3報告書が届いていなかったら、それだけで保険会社に賠償請求できますか?
業法違反の可能性はあるが、それが直ちに民事の損害賠償に結び付くわけではない。業法上の義務は監督法上の規律であり、賠償を得るには情報提供がなかったことと損害の間の因果関係、つまり届いていれば別の判断をしていたという筋を立てる必要がある。実務のポイント:この因果関係を裏付ける最も強い材料は、当時あなたが解約や見直しを検討していた形跡である。相談履歴、家族との LINE、他社への問い合わせ記録が残っていれば、後から作れない証拠になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「運用報告書が届いている=保険会社は説明義務を果たした」と考えるのは、問いの立て方が誤っている。100条の6の情報提供義務は契約期間中の継続的な運用状況の開示であり、契約時点でリスクを正しく説明したか(保険業法294条の意向把握・情報提供義務、金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律上の説明義務)とは別の義務である。片方を果たしても、もう片方の不履行は消えない
- 変額保険のリスクは「元本割れするかもしれない」ことだと理解している人は多い。しかし深刻なのはその先である。特別勘定からは運用関係費用、保険関係費用、解約控除が継続的に差し引かれ、市場が横ばいでも残高は減っていく。運用報告書に記載される手数料の内訳を見て初めて、自分が負っているのは市場リスクだけではなく、コストの複利負けであると分かる
- 「特定投資家に該当しても、保険会社が何も教えてくれなくなるわけではない」というのは半分正しく、半分危うい。2項で外れるのは法定の義務であり、契約や約款で情報提供が続くことはある。ただし義務が外れた状態では、提供されなかったことを業法違反として当局に持ち込む足場が失われる。契約上の請求と、監督上の是正申立ては、あなたが使える道具の数がまるで違う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象時点 | 100条の6:契約期間中の運用状況の継続開示 | 294条:契約締結時の意向把握・情報提供 118条:特別勘定の設置と区分経理(会計の枠組み) |
| 名宛人と保護法益 | 保険会社 → 運用実績連動型保険の契約者の知る権利 | 保険会社・募集人 → 契約前の適合的な意思決定 保険会社 → 運用財産の混同防止・帰属の明確化 |
| 適用除外 | 2項:特定投資家は原則適用除外(但書で府令が定める場合は残る) | 特定投資家等に関する別途の特則が金商法準用で及ぶ 適用除外の枠組みなし(該当契約は一律に区分経理) |
| 違反時の帰結 | 業務改善命令(132条)、315条・317条の2の罰則・過料 | 業務改善命令のほか、民事上の説明義務違反の評価に影響 区分経理違反として監督上の是正対象 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も投資型保険の専設帳簿(特別勘定に相当)資産を区分し、運用状況の定期告知を求める。規律の骨格は日本と近い
韓国は特別勘定の設定・運用規定と説明義務規定に分かれて規律。変額保険の定期報告は下位法令レベルで具体化される
ドイツはファンド連動型生命保険について年次の運用状況通知を求める。EU の保険販売指令(IDD)・PRIIPs 規則による情報開示も重畳的に及ぶ
米国は変額保険を証券としても規律し、SEC 規制と州保険規制が重畳。セパレートアカウントの年次報告が求められる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 銀行の窓口で勧められた外貨建て一時払終身保険を契約して3年。届く報告書を封も開けずに積んでいたが、ある日「解約返戻金が払込額を200万円下回っている」と気付いた。あなたが開封していなかった報告書には、その推移が毎年書かれていた。説明義務違反を争うとき、報告書が届いていた事実は保険会社側の防御材料になる
- 変額保険を売る側の立場ならどうか。あなたが保険会社の商品担当者で、特別勘定の運用報告の発送を「コスト削減」の名目で電子交付のみに切り替えたとする。内閣府令の定める方法・事項を満たさなければ、これは業法違反であり、業務改善命令(保険業法132条)の対象になりうる
- 親が亡くなり、遺品の中から見覚えのない変額年金保険の証券が出てきた。運用状況が今どうなっているのか分からない。保険会社は契約者に情報提供する義務を負っているので、まず契約者たる被相続人宛の直近の運用報告書を探す。そこに特別勘定の残高と手数料の履歴がある
- もし、あなたの会社が法人契約で変額保険に入っていて、金融商品取引業者から「特定投資家として扱う」旨の同意書にサインしていたとしたら? 2項によりこの情報提供義務は原則として適用されなくなる。プロ扱いを受け入れるとは、法定の情報提供という安全網を自分で外すことでもある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約以来の運用報告書を全て集める。手元にないものは保険会社に再交付を請求する2. 各年の特別勘定残高、控除された費用、解約返戻金の推移を時系列で表にする3. 契約時の設計書・意向確認書と照合し、示された想定と実際の乖離を特定する4. 情報提供の内容・頻度が内閣府令の要件を満たしていない疑いがあれば、生命保険協会の指定紛争解決機関(生命保険相談所)に申し出る。並行して金融庁の金融サービス利用者相談室にも記録を残す
訴えられた側:1. 保険会社側であれば、まず内閣府令が定める提供事項・提供方法・提供時期の要件と、自社の実務を突き合わせる2. 但書による免除(提供しなくても契約者保護に支障が生じない場合)に依拠しているなら、その根拠を府令の条文レベルで文書化しておく3. 特定投資家該当を理由に2項で義務を外している契約については、特定投資家該当性の確認記録と、2項但書に当たらないことの検証記録を残す4. 不備が判明した場合、当局の検査で指摘される前に自主的に是正し報告する方が、処分の重さが変わる
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期間制限はない。情報提供義務違反を理由とする損害賠償請求は、債務不履行または不法行為の消滅時効(民法166条、724条)に服する。金融 ADR の申立てには機関ごとの運用があるため、解約や満期から時間が経つほど資料の保存期間切れで立証が困難になる(最新の改正状況をご確認ください)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める