保険業法 第118条(特別勘定)
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- 保険会社は、運用実績連動型保険契約その他の内閣府令で定める保険契約について、当該保険契約に基づいて運用する財産をその他の財産と区別して経理するための特別の勘定(以下この条において「特別勘定」という。)を設けなければならない。
- 2.保険会社は、内閣府令で定める場合を除き、次に掲げる行為をしてはならない。
- 一特別勘定に属するものとして経理された財産を特別勘定以外の勘定又は他の特別勘定に振り替えること。
- 二特別勘定に属するものとして経理された財産以外の財産を当該特別勘定に振り替えること。
- 3.特別勘定に属する財産の管理の方法その他特別勘定に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
この条文の基本情報
特別勘定とは何ですか?
定義特別勘定とは、保険業法第118条に定められた規定で、「保険会社は、運用実績連動型保険契約その他の内閣府令で定める保険契約について、当該保険契約に基づいて運用する財産をその他の財産と区別して経理するための特別の勘定(…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第118条(特別勘定)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第118条の条文原文は「保険会社は、運用実績連動型保険契約その他の内閣府令で定める保険契約について、当該保険契約に基づいて運用する財産をその他の財産と区別して経理するための特別の勘定(…」で始まります。
- 保険業法第118条は第五章 経理に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第118条の前の条は保険業法第117条の2です。
- 保険業法第118条の次の条は保険業法第119条です。
- 保険業法第118条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第118条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第118条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/118
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法118条は、運用実績連動型保険契約の運用財産を他の財産と区別して経理する特別勘定の設置を義務づけ、内閣府令の例外を除き勘定間の財産の振替を禁止する。
Q · 変額保険で損が出たら、保険会社が埋めてくれるんですか?
いいえ。運用損益は特別勘定であなたに帰属し、会社は補填しません
保険業法118条1項により、運用実績連動型保険の運用財産は特別勘定で他の財産と区別して経理されます。2項は内閣府令で定める場合を除き、特別勘定と一般勘定の間、および特別勘定相互間の財産の振替を禁止しています。したがって会社が一般勘定から損失を補填する構造は想定されておらず、運用損益はそのまま契約者に帰属します。争点になるのは成績そのものではなく、募集時の説明、運用方針からの逸脱、不当な振替の有無です。
解説
変額保険や外貨建て運用型の保険に入っている人は、自分の保険料がどこでどう管理されているかを考えたことがあるだろうか。保険業法118条は、運用実績連動型保険契約について、保険会社に「特別勘定」という隔離された財布を作ることを義務づけている。つまりあなたの変額保険の運用資産は、保険会社の一般勘定(定額保険や会社の一般財産)とは物理的に切り離して経理される。さらに2項が決定的だ。特別勘定と一般勘定の間、あるいは特別勘定同士の間で財産を振り替えることを、内閣府令で定める場合を除いて禁じている。この振替禁止こそが、保険会社が損の出た自己勘定の穴埋めにあなたの運用資産を使えない理由であり、逆にあなたの運用成績が良くても会社が横取りできない理由でもある。運用リスクをあなたが負う代わりに、運用成果もあなたのものだという構造を、会計の壁で担保しているのが本条である。
法的な位置づけ
保険業法118条は、運用実績連動型保険契約その他内閣府令で定める保険契約について、その運用財産を保険会社の他の財産と区別して経理するための特別勘定の設置を義務づける規定である。あわせて、内閣府令で定める場合を除き、特別勘定と他の勘定との間および特別勘定相互間における財産の振替を禁止し、管理方法の細目を内閣府令に委任する。
手順
- 1.契約が特別勘定で経理されるかを証券で確認 保険証券と契約時の設計書を並べ、「変額」「運用実績連動型」「特別勘定」の記載を探す。記載があれば運用リスクは契約者帰属であり、会社の補填は制度上想定されていないことを前提に読む
- 2.運用報告書を時系列で保管し基準価額を追う 毎年届く運用報告書をファイルし、基準価額の推移と特別勘定の資産構成・運用方針を年ごとに比較する。運用方針の記載と実際の構成にずれがないかを見るのが要点
- 3.疑問点は条文を引いて文書で照会する 「当該資産移動が保険業法118条2項および内閣府令で定める例外に該当しないか」と具体的に条文を挙げて、会社のお客様相談窓口へ文書で照会し、回答も文書で受け取る
- 4.解決しなければ保険ADRへ申立て 会社の回答で納得できない場合、生命保険協会の裁定審査会(保険版ADR)へ申立てる。訴訟より短期間・低コストで判断が出る。募集時の説明義務が争点なら募集資料と録音記録も添付する
よくある質問 AI による整理
Q1特別勘定とは何ですか?
運用実績連動型保険の運用財産を、保険会社の他の財産と区別して経理するために設ける勘定です。保険業法118条1項が設置を義務づけています。
Q2運用実績連動型保険契約とは?
運用の成果がそのまま給付額や解約返戻金に反映される設計の保険契約です。変額保険や変額個人年金が代表例で、118条の特別勘定で経理されます。
Q3特別勘定の振替はなぜ禁止されているの?
会社が一般勘定の損失を契約者の運用資産で埋めたり、逆に運用成果を吸い上げることを防ぐためです。118条2項が原則禁止、例外は内閣府令に委ねられています。
Q4特別勘定のスイッチングはできる?
商品が複数の特別勘定を用意していれば、契約者の選択による資産移転は可能です。118条2項が禁じるのは会社側の勝手な振替で、契約者のスイッチングとは別問題です。
Q5自分の契約が特別勘定かどうか確認する方法は?
保険証券と契約締結時の設計書に「変額」「運用実績連動」「特別勘定」の記載があるかを確認します。毎年届く運用報告書に基準価額の推移があるのも目印です。
Q6特別勘定の管理方法は何で定められている?
118条3項が内閣府令に委任しており、保険業法施行規則および保険会社向けの総合的な監督指針が管理・運用体制の細目を定めています。
Q7保険業法118条に違反したらどうなる?
金融庁が会社に対して業務改善命令や業務停止命令などの行政処分を行う根拠になります(保険業法132条)。契約者に損害が生じれば別途民事責任の問題にもなります。
Q8確定拠出年金の保険商品も特別勘定ですか?
運用実績連動型の保険商品であれば特別勘定で経理されます。元本確保型の保険商品は一般勘定で扱われるのが通常で、商品ごとに約款で確認が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1特別勘定って、要は自分専用の口座があるってことですか?
個人ごとの口座ではなく、同じ運用方針の契約者の資産をまとめた勘定です。あなたの持分は単位(ユニット)として管理され、基準価額の変動で評価額が動きます。実務のポイント:同じ保険会社でも特別勘定は複数本設定されるのが通常で、本数と運用方針は商品ごとに違う。契約前に「この商品で選べる特別勘定は何本か」を聞くと、営業資料に載っていない選択肢が出てくることがある
Q2保険会社が潰れたら、特別勘定のお金は返ってくるんですか?
118条の区別経理により一般財産とは切り離されていますが、これは経理上の区別であって完全な倒産隔離とは異なります。実際の取扱いは保険業法の更生特例や生命保険契約者保護機構の補償の枠組みで決まります。実務のポイント:変額保険は運用リスクを契約者が負う分、補償の考え方が定額保険と異なる。証券に「変額」「運用実績連動」の記載があるなら、保護機構の補償内容を商品類型ごとに確認しておくべき(最新の制度状況をご確認ください)
Q3運用がずっとマイナスなんですが、保険会社に責任は問えませんか?
運用実績連動型は市場変動リスクが契約者に帰属する設計なので、成績不振そのものは責任問題になりません。問えるとすれば、募集時の説明義務違反や、運用方針からの逸脱、2項に反する不当な振替です。実務のポイント:争うなら「損したこと」ではなく「聞いていた話と違うこと」を軸に組み立てる。募集時の設計書と意向確認書面が残っているかどうかで、勝負の土俵に上がれるかが決まる
間違えやすい点 AI による整理
- 「特別勘定があるから、保険会社が破綻しても資産は100%守られる」と理解している人が多い。だが118条が義務づけているのは経理上の区別であって、信託法上の信託財産のような完全な倒産隔離とイコールではない。区別経理は保護の第一歩であり、実際の破綻時の帰趨は保険業法の更生特例や生命保険契約者保護機構の枠組みで決まる。この落差を知らないまま「特別勘定だから安全」と信じるのが最も危険
- 特別勘定は「保険会社が運用を頑張るための専用口座」だと思われがちだが、法的な焦点は逆側にある。本条の主眼は、会社が財産を勝手に動かすことの禁止(2項)にある。制度の中心は運用の自由度ではなく、移動の禁止である。この視点で読み直すと、なぜ振替が原則禁止で例外が内閣府令に委ねられているのかが腑に落ちる
- 「変額保険の運用が悪いのは保険会社の善管注意義務(プロとして当然払うべき注意のレベル)違反だ」と考える人がいるが、問いの立て方が違う。運用実績連動型では市場変動リスクは契約者に帰属する設計であり、成績不振そのものは責任問題にならない。争点になるのは、運用方針からの逸脱、特別勘定間の不当な振替、説明義務違反といった手続と行為の側だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 118条:運用実績連動型保険の運用財産(資産側の区別経理) | 116条:責任準備金(負債側の積立て) 117条:支払備金(未払保険金等の負債計上) |
| 誰のリスクを扱うか | 運用リスクは契約者に帰属。会計の壁で成果と損失の帰属先を固定 | 将来の給付履行リスクは会社が負担。健全性確保が目的 既発生の支払義務を確実に履行させるための備え |
| 禁止・強制の型 | 特別勘定の設置義務+勘定間の振替の原則禁止(例外は内閣府令) | 積立義務。水準・方法は内閣府令および保険数理に依拠 積立義務。支払見込額に応じた計上 |
| 違反時の帰結 | 132条に基づく業務改善命令等。不当振替は契約者への民事責任にも波及 | 積立不足は健全性規制上の是正措置の対象 計上漏れは決算の適正性・行政処分の問題 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は投資型保険の専設帳簿資産について、当該保険の受益者以外による主張・差押えを排除する形で独立性を明文化している。日本の118条が経理上の区別と振替禁止を軸にするのに対し、台湾は資産への権利主張の遮断を正面から規定する点が対照的
韓国も変額保険等について特別勘定の設定・区分運用を保険業法本体に置き、細目を下位法令に委ねる構造をとる。日本と極めて近い立法形式
ドイツはファンド連動型保険について別個の Anlagestock を形成させる。加えて EU の Solvency II 体制のもとで健全性規制と一体的に運用される点が日本と異なる
米国は変額商品を証券規制と保険規制の二重の枠組みで扱い、separate account 自体を投資会社として登録させる仕組みをとる。日本は保険監督法の内部で処理する点で設計思想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 変額個人年金の運用報告書を見たら、去年より基準価額が3割下がっていた。「保険会社が損失を補填してくれないのか」と問い合わせても答えはノー。運用実績連動型の保険は118条の特別勘定で経理され、その損益はそのままあなたに帰属する。会社が一般勘定から補填することは、そもそも2項の振替禁止に抵触しかねない
- もし加入している保険会社が破綻したら、変額保険の資産はどうなる? 定額保険とは扱いが違う。特別勘定の資産は会社の一般財産と区別されているため、破綻処理での取扱いも別建てになる。ただし生命保険契約者保護機構の補償対象範囲は商品類型によって異なるので、あなたの契約がどの類型かを証券で確認する必要がある
- 保険会社の商品開発・経理部門であなたが担当者だとする。新商品の運用資産を、期末の数字調整のために一般勘定へ一時的に移す案が上から降りてきた。それは2項1号が真正面から禁止する行為だ。内閣府令の例外に当たるかどうかを確認せずに実行すれば、あなたの署名した伝票が行政処分(金融庁が会社に直接下す業務改善命令や業務停止命令)の証拠になる
- 銀行窓口で変額年金を勧められ、「元本保証ではありませんが、しっかり運用します」と説明された。あと3日でクーリングオフ(申込日を含めて8日間)の期限が切れる。その商品が特別勘定で運用されるということは、運用リスクはあなた持ちだという意味だ。パンフレットの「特別勘定」の文字は、法的にはリスク帰属の宣言でもある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 保険証券と設計書で、契約が運用実績連動型か(特別勘定で経理されるか)を確認する2. 毎年届く運用報告書を時系列で保管し、基準価額の推移と特別勘定の構成を追う3. 不審な資産移動や説明との齟齬があれば、会社のお客様相談窓口へ文書で照会し、回答も文書で受け取る4. 解決しない場合は生命保険協会の裁定審査会(保険版のADR)へ申立て。訴訟より短期間・低コストで判断が出る
訴えられた側:1. 保険会社側であれば、まず当該振替が内閣府令上の例外に該当するかを条文ベースで検証し、根拠文書を時系列で整える2. 特別勘定の管理方法は3項により内閣府令に委ねられているため、社内規程が府令と整合しているかを点検3. 販売側の説明義務が争点なら、募集時の説明資料・意向確認書面・録音記録を保全4. 金融庁への報告と自主的な是正措置は、後の行政処分の重さを左右する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。保険金請求権は3年(保険法95条)、説明義務違反等による損害賠償請求は不法行為なら知った時から3年(民法724条)、債務不履行なら権利行使できると知った時から5年(民法166条)。クーリングオフは申込日または書面交付日のいずれか遅い日から起算して8日間が原則(商品・募集形態により異なるため契約書面で確認すること)
学説
一般的理解:118条の中心は運用の自由度ではなく移動の禁止にあると解される。原則禁止・例外は内閣府令という規範配分自体が、実務上必要な資金移動と契約者資産の隔離との均衡を監督当局に委ねる趣旨と理解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 改正:保険業法の全部改正により現行の条文体系へ整備。運用実績連動型保険契約についての区別経理義務、勘定間振替の原則禁止、管理方法の内閣府令委任という三層構造が置かれた。
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