保険業法 第117条の2(生命保険会社における保険契約者等の先取特権)
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- 生命保険会社にあっては、保険契約者(再保険に係る保険契約者を除く。)は被保険者のために積み立てた金額につき、次に掲げる権利(再保険に係る権利を除く。)を有する者はその権利の額につき、それぞれ当該生命保険会社の総財産の上に先取特権を有する。
- 一保険金請求権
- 二損害をてん補することを請求する権利(前号に掲げるものを除く。)
- 三返戻金、剰余金、契約者配当に係る配当金その他の給付金(保険金を除く。)を請求する権利
- 2.前項の先取特権の順位は、民法第三百六条第一号(共益費用の先取特権)に掲げる先取特権に次ぐ。
この条文の基本情報
生命保険会社における保険契約者等の先取特権とは何ですか?
定義生命保険会社における保険契約者等の先取特権とは、保険業法第117条の2に定められた規定で、「生命保険会社にあっては、保険契約者(再保険に係る保険契約者を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第117条の2(生命保険会社における保険契約者等の先取特権)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第117条の2の条文原文は「生命保険会社にあっては、保険契約者(再保険に係る保険契約者を除く。」で始まります。
- 保険業法第117条の2は第五章 経理に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第117条の2の前の条は保険業法第117条です。
- 保険業法第117条の2の次の条は保険業法第118条です。
- 保険業法第117条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第117条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第117条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/117_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法117条の2は、生命保険会社の契約者に総財産上の一般の先取特権を与える。順位は共益費用に次ぐ2番手で、従業員の未払給与より優先するが、再保険に係る権利は対象外である。
Q · 入っている生命保険会社が潰れたら、私のお金はどういう順番で戻ってくるんですか?
契約者は総財産への先取特権者で、社員の給料より先順位です
保険業法117条の2により、生命保険会社の保険契約者は被保険者のために積み立てた金額につき、また保険金請求権・損害てん補請求権・返戻金等の請求権を持つ者はその権利の額につき、当該会社の総財産の上に一般の先取特権を有します。順位は民法306条1号の共益費用に次ぐ2番手で、同条2号の従業員給与より先です。登記や申請は不要で、契約成立により法律上当然に発生します。ただし再保険に係る保険契約者・再保険に係る権利は除外され、また順位が上でも総財産が不足すれば満額の回収は保証されません。
解説
生命保険会社が破綻したとき、あなたの立場は銀行が潰れたときの預金者とは根本から違う。保険業法117条の2は、保険契約者に対し、その生命保険会社の総財産の上に先取特権(法律が自動的に与える担保権)を与えている。あなたが担保を要求した覚えがなくても、契約が成立した時点で既に発生している。しかも順位は民法306条1号の共益費用に次ぐ二番手。つまり、その保険会社の従業員の未払給与(同条2号)より、あなたの解約返戻金の方が先に取れる。対象は保険金請求権、損害てん補請求権、そして返戻金・剰余金・契約者配当金その他の給付金請求権と広い。ただし再保険に関する権利は二重に除外されている。プロ同士の与信までは面倒を見ない、という線引きだ。この権利は保険契約者保護機構の補償とは別の層にある、あなた自身が会社の財産に対して持つ権利である。
法的な位置づけ
保険業法117条の2は、生命保険会社の保険契約者等に法定担保権を付与する規定である。保険契約者は被保険者のために積み立てた金額につき、保険金請求権・損害てん補請求権・返戻金等の給付金請求権を有する者はその権利の額につき、当該生命保険会社の総財産の上に一般の先取特権を有する。その順位は民法306条1号の共益費用の先取特権に次ぐ。再保険に係る保険契約者および再保険に係る権利は適用対象から除かれる。
手順
- 1.自分の権利の種類と金額を特定する 保険証券と直近の契約内容通知を出し、責任準備金額と解約返戻金額を確認する。そのうえで自分の請求権が1項1号(保険金請求権)、2号(損害てん補請求権)、3号(返戻金・剰余金・契約者配当金等)のどれに当たるかを特定する。号が違えば破綻処理での扱いが変わる
- 2.業務停止・手続開始の通知が届いたら期間を最優先で確認 破綻時には業務停止命令(保険業法245条)や更生手続開始の通知が届く。通知書に記載された債権届出期間・届出先・届出方法を最優先で確認する。この期間を逃すと、先取特権があっても配当の行列に並べなくなる
- 3.届出書に「保険業法117条の2の先取特権付債権」と明記する 債権届出書の債権種別欄に、保険業法117条の2に基づく先取特権付債権である旨を必ず記載する。何も書かずに提出すると一般債権として処理される恐れがある。破産手続であれば破産法98条の優先的破産債権として扱われる
- 4.解約か継続かを控除後の手取りで比較してから決める 破綻後の解約は早期解約控除の対象になりうる。解約した場合の控除後の手取り額と、契約を継続して救済会社へ引き継がれた場合の見込み額を両方試算し、数字で比較してから判断する。報道が出た夜に反射的に解約するのが最も損をしやすい
- 5.取引先・貸付先の立場なら与信条件を組み替える 保険会社の取引先や貸付先であれば、契約者の先取特権が総財産に及ぶ前提で与信枠を設計し直す。特定財産上の担保(抵当権の設定と登記)や前受金・保証金を確保し、既存の無担保債権については契約者と共益費用の後に残る分だけを前提に引当てを行う
よくある質問 AI による整理
Q1先取特権とは何ですか?
法律が特定の債権者に自動的に与える担保権です。契約や登記がなくても発生し、債務者の財産から他の債権者に優先して弁済を受けられます。保険業法117条の2のものは総財産にかかる「一般の先取特権」です。
Q2保険業法117条の2は損害保険会社にも適用されますか?
本条1項は「生命保険会社にあっては」と定めており、対象は生命保険会社です。損害保険会社の破綻時の契約者保護は損害保険契約者保護機構など別の仕組みによります。
Q3保険契約者保護機構の補償と先取特権はどう違いますか?
保護機構は制度が用意した受け皿で、責任準備金等の原則90% を補償します。先取特権は破綻会社の総財産に対してあなた自身が持つ権利です。別の層にあり、両方が並行して働きます。
Q4生命保険会社が破綻した場合、保険金請求権の時効は何年ですか?
保険給付の請求権および返戻金等の請求権の消滅時効は3年です(保険法95条1項)。先取特権に固有の時効はなく、被担保債権が時効消滅すれば先取特権も消滅します。
Q5なぜ再保険は保護の対象外なのですか?
1項柱書と各号が二重に「再保険に係る」ものを除いています。再保険は保険会社同士のプロ間取引で、自ら与信管理と担保設定ができるため、法が一律の保護を与える必要がないという線引きです。
Q6銀行が破綻したときの預金者と何が違うのですか?
預金者は預金保険の枠を超えた部分について一般債権者として他の債権者と横並びになります。生命保険契約者は保険業法117条の2により総財産への先取特権を持つ点で、法的な立ち位置が異なります。
Q7先取特権付債権として債権届出をするにはどう書きますか?
届出書の債権種別欄に、保険業法117条の2の先取特権付債権であることを明記します。破産手続では破産法98条の優先的破産債権として扱われます。何も書かないと一般債権として処理される恐れがあります。
Q8解約返戻金と責任準備金は同じものですか?
別物です。責任準備金は将来の保険金支払いに備えて会社が積み立てる金額、解約返戻金はそこから解約控除等を差し引いて契約者に返る金額です。保護機構の補償は責任準備金等を基準に計算されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1生命保険会社が潰れたら、私の保険はどうなるんですか?
契約自体は消えません。救済保険会社または保険契約者保護機構に引き継がれ、責任準備金等の原則90%まで補償されます(保険業法270条の3ほか、最新の改正状況をご確認ください)。それとは別枠で、117条の2により総財産への先取特権を持ちます。実務のポイント:補償は「責任準備金の90%」であって「保険金額の90%」ではない。加えて予定利率が引き下げられるため、実質的な目減りは9割より大きくなることが多い
Q2先取特権って、私が何か手続をしないと使えないんですか?
一般の先取特権なので、登記も登録も申請も不要です。契約が成立していれば法律上当然に発生し、民法336条により登記なしで一般債権者に対抗できます。実務のポイント:手続不要である反面、破綻処理の実務では届出書の債権種別欄の書き方で扱いが変わる。何も言わずにいると一般債権として処理されて流れることがあり、それを止めるのは契約者側の一言です
Q3順位が2番目って、具体的に誰より先ということですか?
民法306条の一般の先取特権のうち、1号の共益費用(債権者全体のためにかかった費用)の次です。つまり2号の雇用関係(従業員の給料)、3号の葬式費用、4号の日用品供給より先になります。実務のポイント:ただし2位はあくまで一般の先取特権の中での順位。抵当権を登記している銀行など特定財産上の担保権者との関係は別問題で、そこには勝てない場面がある
Q4解約返戻金も対象になるんですか? 保険金だけじゃなくて?
対象です。1項3号が「返戻金、剰余金、契約者配当に係る配当金その他の給付金」を明記しており、保障部分だけでなく貯蓄部分の請求権もカバーする設計になっています。実務のポイント:権利があることと満額戻ることは別。破綻後の解約には早期解約控除がかかるため、「先取特権があるから今すぐ解約しても安心」は逆で、控除の分だけ手取りが減る
間違えやすい点 AI による整理
- 「生保が破綻したら保護機構が全部払ってくれるのか」という問いの立て方自体がずれている。機構の補償は制度が用意した受け皿、117条の2の先取特権は会社の財産に対するあなた自身の権利で、二つは別の層にある。片方だけを見ていると、何が守られて何が削られるのかを構造的に取り違える
- 先取特権と聞くと不動産に付く抵当権のような手続を想像しがちだが、これは一般の先取特権であり、登記も登録も申請も不要。民法336条により、登記がなくても一般債権者には対抗できる。あなたが何もしていない今この瞬間に、既に成立している
- あなたから見れば「契約どおり保険金が出るか」の話だが、法律から見れば「総財産という限られたパイの取り分順位」の話である。パイが足りなければ、順位が上でも満額は出ない。この視点の落差が、「先取特権があるのになぜ減額されるのか」という破綻現場での混乱を毎回生んでいる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 守り方の性質 | 117条の2:契約者自身が総財産に対して持つ法定担保権(先取特権) | 116条:会社側に責任準備金の積立を義務づける事前規制 259条以下:保険契約者保護機構という制度側の受け皿 |
| 発動するタイミング | 契約成立により当然に発生し、破綻・清算の配当段階で効く | 平常時の決算ごとに継続的に効く 破綻認定後、契約の移転・補償の段階で効く |
| 手続の要否 | 登記・登録・申請は不要(民法336条により登記なしで対抗可) | 契約者側の手続は不要(会社の義務) 契約の引継ぎ・補償の案内に従った対応が必要 |
| 限界 | 総財産が不足すれば順位が上でも満額は出ない。再保険に係る権利は対象外 | 積立が十分でも運用環境次第で不足しうる 補償は責任準備金等の原則90%、予定利率引下げで実質目減りしうる |
他国ではどう定めているか 5 か国
人寿保険の要保人・被保険人・受益人が保単価値準備金に対して優先受償権を持つ。日本が「総財産」を対象とするのに対し、台湾は「保単価値準備金」という特定の引当財産に照準を合わせている点が対照的
保険会社の破産財産は破産費用・共益債務の後、従業員賃金、保険金の賠償または給付、税金、普通破産債権の順で弁済されるとされる。従業員賃金が保険金より先順位である点で、日本の117条の2とは順位が逆転している
保険会社の倒産手続において、保険契約者は保証資産(Sicherungsvermögen)に対して優先的地位を有する。ドイツは分別管理された保証資産を引当とする方式で、日本の総財産方式とは設計思想が異なる
被保険者は保険会社の規制資産(actifs réglementés)に対して privilège(優先特権)を有する。フランスもドイツ同様、規制上区分された資産を引当とする構造をとる
連邦統一法ではなく州法ベース。保険契約者の請求権は清算手続で上位のクラスに位置づけられ、これに加えて州の保証協会が上限付きで補償する二層構造をとる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 加入して20年の終身保険、その会社が明日破綻したらあなたの300万円の解約返戻金はどうなる? 契約は救済会社または保険契約者保護機構に引き継がれ、責任準備金等の原則90%が補償される(保険業法270条の3ほか、最新の改正状況をご確認ください)。それと並行して、あなたは117条の2の先取特権者として会社の総財産に対しても並ぶ。ゼロにはならないが満額でもない。その差額を破綻前に一度計算しておく価値がある
- あなたが破綻した生保会社の取引先で、システム開発費2,000万円が未回収だとする。あなたは一般債権者、契約者は先取特権者。配当表であなたは全契約者の後ろに並ぶことになる。取引開始時に前受金や保証金を取っていたかどうかが、ここで生死を分ける
- 保険金の受取人になった。会社が更生手続中だと知らされる。あなたの請求権は1項1号の保険金請求権で、総財産の上に先取特権が付いている
- 満期保険金の請求書類を出そうとした週に、その会社へ業務停止命令が出た。支払いは凍結され、再開時期は不明。請求権が消えたわけではなく、保険金請求権として先取特権が張り付いたまま待機している。ここで焦って解約に切り替えると、同じ先取特権の対象でも破綻後の早期解約控除の対象になり、手取りが削られる。判断できる時間は、更生手続開始決定が出るまでの数週間しかない
- あなたが外資系再保険会社の日本担当だとしたら、元受生保が破綻しても117条の2の保護は一切及ばない。条文が1項柱書と各号で二重に「再保険に係る」ものを除いているのは、プロ同士の与信は自分で管理せよという明確な線引きだからだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 保険証券と直近の契約内容通知を出し、責任準備金額と解約返戻金額を確認する2. 自分の請求権が1項1号(保険金)、2号(損害てん補)、3号(返戻金・配当金等)のどれかを特定、更生計画での扱いが変わる3. 業務停止や更生手続開始の通知が来たら、通知書記載の債権届出期間と方法を最優先で確認4. 届出時は必ず保険業法117条の2の先取特権付債権であることを明記、一般債権として処理されないようにする5. 破綻後の解約は早期解約控除の対象になりうるため、控除後の手取りと契約継続時の見込みを両方試算してから決める
訴えられた側:1. あなたが保険会社の取引先・貸付先なら、契約者の先取特権が総財産に及ぶ前提で与信枠を設計する2. 一般の先取特権に劣後しない立場を作るには、特定財産上の担保(抵当権の設定と登記)または前受金・保証金が現実的な手段3. 既に無担保で債権がある場合、配当見込みは契約者と共益費用の後に残った分だけと想定して引当てを行う4. 再保険取引であれば117条の2の保護は及ばないため、担保差入れや信託スキームなど契約上の手当てで補う
時効(請求できる期限):保険給付を請求する権利および返戻金等の請求権の消滅時効は3年(保険法95条1項)、起算点は権利を行使できる時。先取特権自体に固有の時効はなく、被担保債権が時効消滅すれば先取特権も消滅する。破綻処理に入った場合は、更生手続・破産手続で通知される債権届出期間が実質的なタイムリミットになる
学説
通説:本条の先取特権は民法上の一般の先取特権であり、総財産を対象とし、登記・登録を対抗要件としない。したがって民法336条により登記なくして一般債権者に対抗でき、破産手続では破産法98条の優先的破産債権として扱われる。他方、特定財産上に登記された抵当権等との優劣は別の問題として処理される。
改正沿革 AI による整理
- 制定経緯(要人的検証) 保険法の制定に伴う関係法律の整備の一環として保険業法に追加された条文と考えられるが、追加年次および新設か改正かの区別について確証が得られないため、人的検証を要する
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