保険業法 第117条(支払備金)
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- 保険会社は、毎決算期において、保険金、返戻金その他の給付金(以下「保険金等」という。)で、保険契約に基づいて支払義務が発生したものその他これに準ずるものとして内閣府令で定めるものがある場合において、保険金等の支出として計上していないものがあるときは、支払備金を積み立てなければならない。
- 2.前項の支払備金の積立てに関し必要な事項は、内閣府令で定める。
この条文の基本情報
支払備金とは何ですか?
定義支払備金とは、保険業法第117条に定められた規定で、「保険会社は、毎決算期において、保険金、返戻金その他の給付金(以下「保険金等」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第117条(支払備金)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第117条の条文原文は「保険会社は、毎決算期において、保険金、返戻金その他の給付金(以下「保険金等」という。」で始まります。
- 保険業法第117条は第五章 経理に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第117条の前の条は保険業法第116条です。
- 保険業法第117条の次の条は保険業法第117条の2です。
- 保険業法第117条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第117条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第117条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/117
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法117条は、保険会社が毎決算期に、支払義務が発生した保険金等で未計上のものについて支払備金を積み立てる義務を定める。積立方法は内閣府令に委任されている。
Q · 保険会社が「まだ払っていない保険金」って、会社の帳簿ではどう扱われているの?
支払備金という負債として積み立てが義務づけられている
保険業法117条により、保険会社は毎決算期において、保険契約に基づき支払義務が発生した保険金・返戻金その他の給付金のうち、まだ支出として計上していないものがあるときは、支払備金を積み立てなければなりません。対象は金額が確定した案件だけでなく、内閣府令が定める「これに準ずるもの」として、事故は発生したがまだ請求が届いていない損害(IBNR)も含まれます。積立方法の詳細は内閣府令に委任され、行政が経済環境や損害統計に応じて調整できる構造です。
解説
保険会社が「支払います」と認めた保険金は、まだ振り込まれていない段階でも、会社の帳簿の中ではすでにあなたのものとして切り分けられている。保険業法117条が命じる支払備金とは、決算期末の時点で支払義務が発生した保険金等について、保険会社が負債として積み立てなければならない資金のことだ。しかも積立対象は支払額が確定したものだけではない。事故は起きたが金額交渉が続いているもの、まだ請求は届いていないが既に発生したはずの事故(IBNR備金、内閣府令で定める「これに準ずるもの」)まで含まれる。つまり、あなたが交通事故に遭って保険会社と示談交渉している真っ最中も、その保険会社の帳簿の裏側では、あなたに払うべき金額が見積もられ、金融庁に報告される数字として積まれている。保険会社が「予算がない」と言い訳できない構造が、この二項だけの条文の中に組み込まれている。
法的な位置づけ
支払備金とは、保険業法117条に基づき、保険会社が毎決算期において、保険契約により支払義務が既に発生した保険金・返戻金その他の給付金のうち未だ支出として計上していない額について、負債として積み立てる準備金をいう。将来の保険事故に備える責任準備金と異なり、既発生債務に対応する点に本質がある。
よくある質問 AI による整理
Q1支払備金とは何ですか?
保険業法117条に基づき、既に支払義務が発生した保険金等のうち未払分を負債として積み立てる準備金です。決算期末時点が判定基準となり、積立方法は内閣府令が定めます。
Q2支払備金と責任準備金の違いは?
支払備金(117条)は既に発生した事故の未払分、責任準備金(116条)は将来発生しうる事故への備えです。時間軸が正反対で、財務分析上の読み方も異なります。
Q3IBNR 備金とは何ですか?
既発生未報告(Incurred But Not Reported)損害に対する備金です。事故は起きたが請求が届いていない分を統計的に推計して積み立てるもので、117条の「これに準ずるもの」に含まれます。
Q4支払備金はいつ積み立てる?
毎決算期においてです。決算期末時点で支払義務が発生し、かつ保険金等の支出として計上していないものがあれば積立義務が生じます。期中の任意積立ではありません。
Q5支払備金が急増していたら危ない?
支払案件の滞留や大型損害の発生を示す可能性があります。ただし単年の増加だけで判断せず、責任準備金やソルベンシー・マージン比率(130条)と併せて読むべきです。
Q6支払備金を積まないとどうなる?
内閣府令の算出基準に沿わない積立不足は監督上の問題となり、報告徴求(128条)や業務改善命令等(132条)の対象となりえます。
Q7支払備金は契約者が確認できる?
できます。保険会社のディスクロージャー誌や有価証券報告書に支払備金の残高・推移が記載されています。複数年の推移を並べて見るのが実務的です。
Q8支払備金が積まれていれば保険金は必ず払われる?
いいえ。117条は会社全体の支払能力を確保する監督規定であり、個別請求の当否は保険法や約款の免責事由によって判断されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険会社が支払備金を積んでるなら、私の保険金は必ず払われるってことですか?
積立ては会計上の負債計上であって、個別請求の支払を保証するものではない。免責事由(保険法や約款)に該当すれば、備金が積まれていても支払は拒否される。117条が守るのは会社全体の支払能力であって、あなた個人の請求の当否ではない。実務のポイント:支払備金は査定中の案件も見積計上されるため、社内では「払う前提の数字」が既に動いている。担当者が「まだ何とも」と言う段階でも、内部見積りは存在する
Q2支払備金と責任準備金、どっちを見れば会社の健全性が分かりますか?
両方だが、読み方が違う。責任準備金(法116条)は将来の保険金支払いに備える残高で規模を示し、支払備金は既発生の未払残高で滞留や大型損害を示す。急増していれば災害や訴訟の影響を疑う。総合判断はソルベンシー・マージン比率(法130条)。実務のポイント:支払備金の「戻り」(前期積立額と実際支払額の差)は見積精度の指標で、慢性的に不足していれば経営の見積りが甘い会社と読める
Q3まだ請求されてない事故の分まで積むって、そんなこと分かるんですか?
統計的に推計する。過去の報告遅れの分布から、決算期末時点で発生済みだが未報告の損害額を数理的に見積もる。これがIBNR備金で、内閣府令が定める算出方法に従う。アクチュアリー(保険数理の専門職)の仕事の核心部分である。実務のポイント:この推計手法の違いが会社間の利益水準を左右する。同じ事故を抱えても、積み方が保守的な会社と楽観的な会社では利益額が変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 支払備金と責任準備金を同じものだと思っている人が多いが、この二つは時間軸が正反対だ。責任準備金(法116条)は「これから起こるかもしれない事故」に備える将来の備え、支払備金は「もう起きてしまった事故」の未払分。前者は未来の債務、後者は既発生の債務。保険会社の健全性を読むとき、この二つの増減が示す意味は全く違う
- 「支払備金は支払額が確定した分だけ積む」と理解している人は、この制度の半分しか知らない。実は請求すら届いていない事故(IBNR、Incurred But Not Reported)についても、統計的見積りで積立てが求められる。保険会社は、まだ自社が知らない損害まで数字にして帳簿に載せている
- 契約者の視点では「保険金が払われるかどうか」の問題に見えるが、監督法の視点では「支払能力が期末時点で確保されているか」の問題である。この落差が意味するのは、あなたの個別請求が拒否されたとしても、それは会計上の積立不足とは別の話であり、逆に会社が健全でもあなたへの支払が渋られることはありうるという冷たい事実だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる債務の時点 | 117条・支払備金:既に支払義務が発生した未払分 | 116条・責任準備金:将来発生しうる保険金支払への備え 130条・ソルベンシー・マージン:通常の予測を超えるリスクへの支払余力 |
| 積立・算定の判定時点 | 毎決算期末 | 毎決算期(契約ごとの数理計算に基づく) 基準日における比率算定 |
| 見積りの不確実性 | 査定中案件と IBNR を統計的に推計するため見積要素が大きい | 予定利率・予定死亡率等の数理前提に依存 リスク係数の設定に依存 |
| 契約者から見た意味 | 自分の請求案件が帳簿上どう扱われているかの根拠 | 会社の契約規模と将来債務の総量 会社の健全性を示す総合指標 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は各種責任準備金の一類型として賠款準備金(未決賠款)の提存を義務づけ、具体的基準は主管機関の規則に委ねる点で日本と構造が近い
韓国も責任準備金等の積立てを法律で義務づけ、算出基準を下位規定に委任する構造。監督当局の検証対象となる点も共通
ドイツは未処理保険事故引当金を商法典の保険会社特則で規律し、既報告分と未報告分(Spätschäden)を区分する点が IBNR の考え方と対応する
米国は州保険監督官協会の法定会計基準で未払損害と損害調査費用の積立てを規律し、アクチュアリー意見書による裏づけを求める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 契約していた保険会社が経営不安と報道された。契約者として真っ先に確認すべきなのは知名度でも格付けでもなく、直近のディスクロージャー誌に載る支払備金と責任準備金の推移だ。支払備金が急に膨らんでいれば、支払うべき案件が滞留しているか、想定外の大型損害が発生している可能性がある
- 自動車事故の示談交渉が半年に及んでいる。担当者は「上と相談しないと金額が出せない」と繰り返す。だが決算期末をまたぐと、あなたの案件は見積額ベースで支払備金に計上される。つまり会社側は、あなたに払うべき金額の内部見積りを既に持っている
- もし保険会社が破綻したら、積み立てられた支払備金はどこへ行く? 会社の一般財産に紛れて債権者に食われるわけではなく、保険契約者保護機構(法259条以下)を通じた補償の計算基礎になる。保険金請求権は優先度の高い位置に置かれる
- 損害保険会社の経理担当として初めて決算を回すことになった。あと20日で期末。既報告未払案件の洗い出しと、IBNR備金の統計的見積り。積立不足は内閣府令違反として行政処分の対象になりうる
- 生命保険の死亡保険金請求を出したが、支払査定に時間がかかっている。年をまたいでも、その請求は前期の支払備金に計上済み。会社が「今期の予算の都合で」と言うことは、会計構造上ありえない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 保険金請求は事故発生後すみやかに書面で行い、受付日を記録する。この日付が支払備金計上の起点になる2. 交渉が長期化したら、請求内容と金額根拠を文書で提出し、社内で見積額を立てざるを得ない状態を作る3. 支払が不当に遅延・拒否された場合、まず社内の苦情窓口、次に指定紛争解決機関(保険業法上の指定ADR、そんぽADRセンター・生命保険相談所)へ申立て4. 会社の財務不安があれば、ディスクロージャー誌とソルベンシー・マージン比率を確認
訴えられた側:1. 保険会社側の経理・アクチュアリー担当であれば、既報告未払案件(既発生・報告済)とIBNR(既発生・未報告)を分けて把握し、内閣府令の算出方法に沿った積立てを行う2. 見積根拠の資料は保存する。金融庁検査で問われるのは金額そのものより算出過程の合理性3. 積立不足が判明したら隠さず速やかに是正、報告徴求(法128条)への対応方針を早期に固める
時効(請求できる期限):積立義務の判定時点は毎決算期末。保険金請求権自体の消滅時効は保険法95条により3年(保険料返還請求権も3年、保険料請求権は1年)。起算点は権利を行使できる時から。支払備金が積まれていることと、あなたの請求権が時効消滅しないこととは別問題である
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