民事訴訟法 第92条の2(専門委員の関与)
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- 裁判所は、争点若しくは証拠の整理又は訴訟手続の進行に関し必要な事項の協議をするに当たり、訴訟関係を明瞭にし、又は訴訟手続の円滑な進行を図るため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、決定で、専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させることができる。この場合において、専門委員の説明は、裁判長が書面により又は口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日において口頭でさせなければならない。
- 2.専門委員は、前項の規定による書面による説明に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法又は当該書面に記載すべき事項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法により説明を行うことができる。
- 3.裁判所は、証拠調べをするに当たり、訴訟関係又は証拠調べの結果の趣旨を明瞭にするため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、決定で、証拠調べの期日において専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させることができる。この場合において、証人若しくは当事者本人の尋問又は鑑定人質問の期日において専門委員に説明をさせるときは、裁判長は、当事者の同意を得て、訴訟関係又は証拠調べの結果の趣旨を明瞭にするために必要な事項について専門委員が証人、当事者本人又は鑑定人に対し直接に問いを発することを許すことができる。
- 4.裁判所は、和解を試みるに当たり、必要があると認めるときは、当事者の同意を得て、決定で、当事者双方が立ち会うことができる和解を試みる期日において専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させることができる。
この条文の基本情報
専門委員の関与とは何ですか?
定義専門委員の関与とは、民事訴訟法第92条の2に定められた規定で、「裁判所は、争点若しくは証拠の整理又は訴訟手続の進行に関し必要な事項の協議をするに当たり、訴訟関係を明瞭にし、又は訴訟手続の円滑な進行を図るため必要があると認める…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第92条の2(専門委員の関与)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第92条の2の条文原文は「裁判所は、争点若しくは証拠の整理又は訴訟手続の進行に関し必要な事項の協議をするに当たり、訴訟関係を明瞭にし、又は訴訟手続の円滑な進行を図るため必要があると認める…」で始まります。
- 民事訴訟法第92条の2は第一款 専門委員に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第92条の2の前の条は民事訴訟法第92条です。
- 民事訴訟法第92条の2の次の条は民事訴訟法第92条の3です。
- 民事訴訟法第92条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第92条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第92条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/92_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法92条の2は、裁判所が当事者の意見を聴いて専門委員を手続に関与させ、専門的説明を聴くことを認める規定。説明は証拠ではなく裁判所の理解を補助するにとどまる。
Q · 裁判で「専門委員」が技術を説明したら、それは証拠になるの?
証拠にはならず、関与には当事者の意見聴取が必要です
民事訴訟法92条の2により、裁判所は争点整理・証拠調べ・和解の各場面で、当事者の意見を聴いた上で決定により専門委員を関与させ、専門的説明を聴くことができます。ただし専門委員の説明は証拠ではなく、裁判官が技術を理解するための補助にすぎません。証拠として扱われる鑑定(212条以下)とは法的性質が全く異なり、反対尋問の対象にもなりません。証人等への直接質問(2項)と和解期日への関与(3項)には、当事者の同意が必要です。
解説
医療ミスを疑って病院を訴えた、建てた家に欠陥が見つかってハウスメーカーと争っている、発注したシステムが動かずベンダーと揉めている。こうした技術が核心になる裁判で、法律のプロである裁判官は、医学も建築もプログラムも素人だ。そこで登場するのが専門委員、つまり裁判所が中立の立場で呼ぶ専門家(医師や建築士など)である。だがあなたが必ず知っておくべき落とし穴がある。専門委員の説明は「証拠」ではない。あくまで裁判官が技術を理解するための補助にすぎず、鑑定とは全く別物だ。にもかかわらず、その中立そうな一言が、証拠を吟味する前の裁判官の頭の中に理解の土台を作ってしまう。しかもあなたには権利がある。関与の前にはあなたの意見を聴かねばならず、証人尋問で専門委員が直接問いを発するには、あなたの同意が要る。和解の場に入れるのも同意が前提だ。
法的な位置づけ
民事訴訟法92条の2は専門委員の関与を定める規定であり、裁判所が争点整理・証拠調べ・和解の各場面で、専門的知見に基づく説明を聴くために中立の専門委員を手続に関与させることを認める。専門委員の説明は証拠方法ではなく、鑑定(212条以下)とは法的性質を異にする補助的なものである。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.技術的争点を含む訴訟か早期に見極める 医療・建築・IT・知財など専門知識が核心になる事件かを訴訟の初期段階で判断する。専門委員の関与が打診される可能性が高いため、関与決定前の意見聴取に備えて論点を整理しておく
- 2.関与決定前の意見聴取で人選と中立性を確認 裁判所が専門委員の関与を決める前に行う意見聴取の場で、誰が委員になるか、相手方と利害関係がないかを確認する。中立性に疑問があればその場で意見を述べ、記録に残す
- 3.勝敗を分ける技術判断は鑑定で証拠化する 専門委員の説明は証拠にならないため、判決を左右する技術的判断は鑑定(212条以下)の申立てで証拠化する。専門委員任せにせず、証拠で勝負する論点を切り分ける
- 4.証人尋問での直接質問の同意可否を戦略的に判断 専門委員が自分側の証人へ直接質問することへの同意は、自分側の証人が技術的に強ければ同意し、弱ければ同意しない。安易に頷かず、同意拒否権を意識して判断する
- 5.利害関係があれば遅滞なく除斥・忌避を申し立てる 専門委員に相手方との利害関係や中立性を疑う事情があれば、原因を知った後遅滞なく除斥・忌避(92条の6)を申し立てる。時機を逃すと申立てが却下される
よくある質問 AI による整理
Q1専門委員とは何ですか?
裁判所が中立の立場で関与させる専門家(医師・建築士・IT技術者など)で、裁判官が技術を理解するのを助けます。民事訴訟法92条の2が根拠で、その説明は証拠にはなりません。
Q2専門委員はどんな事件で関与しますか?
医療過誤、建築欠陥、システム開発紛争、知的財産など、技術的・専門的知見が争点になる訴訟で関与します。裁判官だけでは事案を正確に理解しにくい類型が中心です。
Q3専門委員の意見に反論できますか?
専門委員の説明は証拠ではないため反対尋問はできません。技術的判断を覆したい場合は、鑑定(212条以下)や書証・証人など証拠で正面から対抗する必要があります。
Q4専門委員の説明は判決にどう影響しますか?
形式上は証拠ではありませんが、証拠調べの前に裁判官の理解の枠組みを作るため、心証形成に事実上大きく影響します。後から証拠で覆すのは想像以上に困難です。
Q5専門委員の除斥・忌避はできますか?
できます。特定の委員が相手方と利害関係を持つなど中立性に疑いがある場合、民事訴訟法92条の6により除斥・忌避を申し立てられます。原因を知った後遅滞なく行う必要があります。
Q6専門委員は誰が選びますか?
各裁判所が備える専門委員名簿の中から、裁判所が事件ごとに指定します(92条の5)。当事者は関与決定前の意見聴取で人選や中立性について意見を述べられます。
Q7専門委員と専門家証人の違いは?
専門委員は中立の補助者で説明は証拠になりません。専門家証人(私的鑑定を含む)は当事者側の立場で証拠を提供します。立場と証拠能力の両面で性質が異なります。
Q8専門委員に報酬は当事者が払いますか?
専門委員には旅費・日当・報酬が支給され、その費用は手続費用として扱われます。鑑定費用のように高額な予納を当事者が直接負担する仕組みとは異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1専門委員と鑑定人って何が違うんですか?
専門委員は裁判官が技術を理解するのを助ける中立の補助者で、その説明は証拠になりません(民事訴訟法92条の2)。一方、鑑定人は専門的判断そのものを証拠として提供し(民事訴訟法212条以下)、当事者は反対尋問できます。実務のポイント:専門委員の説明は証拠ではないため、後から「あの説明は間違いだ」と正面から争う手続が乏しい。技術的争点の核心は、専門委員ではなく鑑定で勝負すべきで、弁護士は最初にこの振り分けを考える
Q2専門委員の関与を断ることはできますか?
関与の決定前に裁判所は当事者の意見を聴かねばなりませんが(民事訴訟法92条の2第1項)、これは意見であって拒否権ではないため、反対しても関与が決まることはあります。ただし証人等への直接質問(第2項)と和解期日への関与(第3項)には、あなたの同意が必要です。実務のポイント:同意が要る場面では安易に頷かないこと。特定の委員に利害関係があれば除斥・忌避(民事訴訟法92条の6)も使える。中立性に少しでも引っかかったら、その場で記録に残す
間違えやすい点 AI による整理
- 専門委員が言ったことは裁判の証拠になる、と思い込んでいる人が多い。実は専門委員の説明は証拠ではない(民事訴訟法92条の2)。証拠として扱われる鑑定人の鑑定(民事訴訟法212条以下)とは法的性質が全く違い、反対尋問の対象にもならない。不正確だと感じても、証拠と同じやり方では争えない
- 専門委員は中立だと知っていても、その「中立さ」がもつ威力を甘く見ている。証拠調べの前に裁判官の理解の枠組みを作ってしまうため、後から証拠でひっくり返すのは想像以上に難しい。中立だからこそ、裁判官は無防備にその説明を受け入れる。そこが本当の急所だ
- 「専門委員の人選には口出しできない」と諦めているが、その前提が誤り。関与の決定前には当事者の意見を聴く手続があり(民事訴訟法92条の2第1項)、特定の委員に利害関係があれば除斥・忌避を申し立てられる(民事訴訟法92条の6)。問うべきは「反論できるか」ではなく「誰が、どんな立場で説明するのか」だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 証拠能力 | 92条の2:専門委員の説明は証拠ではない(理解の補助) | 212条:鑑定人の鑑定は証拠(証拠方法) 92条の6:除斥・忌避により公正を担保 |
| 当事者の防御手段 | 反対尋問不可、意見聴取・同意・除斥忌避で関与 | 鑑定人質問で反対尋問が可能 利害関係を理由に委員を排除 |
| 関与の場面 | 争点整理・証拠調べ・和解の各場面 | 証拠調べ手続(鑑定) 委員の指定・任免の前提手続(92条の5) |
| 同意の要否 | 証人等への直接質問・和解関与には当事者の同意が必要 | 鑑定の採否は裁判所の判断、同意不要 除斥・忌避は当事者の申立てによる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は知財事件で技術審査官が裁判官の技術理解を中立に補助する。専門委員と同様に証拠そのものを提供する立場ではない点が共通する
韓国は2007年に専門審理委員制度を導入し、日本の専門委員制度を実質的に継受した。中立の補助者で説明は証拠でない点も共通する
ドイツは裁判所選任の鑑定人(Sachverständiger)が証拠として専門判断を提供する構造で、証拠ではない中立的説明者という専門委員の設計とは性質が異なる
米国は特許訴訟等で裁判所が中立の技術顧問を任命する運用があり、証拠としての専門家証言とは区別される点で機能的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの医療過誤訴訟で裁判所が専門委員の関与を決めようとしたら? 決定の前にあなたの意見を聴く手続がある。ここで人選や中立性に疑問があれば声を上げる、その機会は事実上一度きりに近い
- あなたがシステム開発のベンダー側で訴えられた。原告は「仕様どおり動かない」と主張するが、専門委員がIT技術者として「この設計では当然動かない」と説明し始めたら、裁判官の心証は一気に傾く。あなたは専門委員の説明の前提そのものに、自分の技術的反論をぶつける準備が要る
- 建築欠陥の裁判。専門委員が図面を見て「施工に問題なし」と一言。証拠ではないのに、判決の方向が見えた気がした
- 証拠調べで、専門委員があなたの証人に直接質問したいと裁判長が言う。ここであなたが同意しなければ、専門委員は直接問えない。この同意拒否権を知らずに頷いてしまう当事者が多い
取るべき行動
被害を受けた側:1. 訴訟が技術的争点を含むなら、関与決定の前にある意見聴取の機会で、人選と中立性を必ず確認する2. 専門委員の説明は証拠ではないと理解し、勝敗を分ける技術判断は鑑定(民事訴訟法212条以下)の申立てで証拠化する3. 専門委員が証人へ直接質問する場面では、その問いが不利な前提に立っていないか監視し、同意の可否を判断する4. 委員に相手方との利害関係があれば除斥・忌避(民事訴訟法92条の6)を遅滞なく申し立てる
訴えられた側:1. 専門委員の説明が業界の一般論に流れ、あなたの個別事情を無視していないか、その場で釈明を求める2. 不利な説明には証拠(鑑定・書証・証人)で正面から対抗する、専門委員の説明自体は証拠ではないので証拠で塗り替える発想を持つ3. 証人尋問での専門委員の直接質問には同意が要る、不利と判断すれば同意しない選択肢を残す4. 和解期日に専門委員を入れる提案にも同意権がある、技術評価が和解圧力になると感じたら断れる
時効(請求できる期限):専門委員の関与自体に時効はない。ただし関与決定前の意見聴取、証人等への直接質問の同意、和解関与の同意は、いずれもその手続の期日・場面でしか行使できない。除斥・忌避(民事訴訟法92条の6)の申立ては、原因を知った後遅滞なく行う必要がある
学説
通説:専門委員の説明は証拠資料ではなく、裁判所が専門的事項を理解するための補助にとどまるとされる。鑑定(212条以下)と峻別され、関与決定前の意見聴取、直接質問・和解関与への同意、除斥・忌避(92条の6)が当事者の手続保障を担保すると解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)改正で新設 専門委員制度を創設、平成16年(2004年)施行。それ以降の令和4年(2022年)IT化関連改正等による文言修正の有無は要検証
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:民事訴訟法改正により専門委員制度を創設、平成16年(2004年)施行。医療・建築・IT・知財など専門訴訟で裁判所の専門的理解を補助する手続として導入
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