民事訴訟法 第212条(鑑定義務)
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- 鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。
- 2.第百九十六条又は第二百一条第四項の規定により証言又は宣誓を拒むことができる者と同一の地位にある者及び同条第二項に規定する者は、鑑定人となることができない。
この条文の基本情報
鑑定義務とは何ですか?
定義鑑定義務とは、民事訴訟法第212条に定められた規定で、「鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第212条(鑑定義務)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第212条の条文原文は「鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。」で始まります。
- 民事訴訟法第212条は第四節 鑑定に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第212条の前の条は民事訴訟法第211条です。
- 民事訴訟法第212条の次の条は民事訴訟法第213条です。
- 民事訴訟法第212条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第212条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第212条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/212
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法212条は、鑑定に必要な学識経験を有する者が鑑定義務を負うと定める。ただし証人のような勾引はなく、証言を拒みうる地位にある者は鑑定人になれない。
Q · 裁判所から鑑定人に指名されたら、必ず引き受けないといけないの?
原則として鑑定義務はあるが、勾引で強制連行はされない
民事訴訟法212条1項により、鑑定に必要な学識経験を有する者は鑑定をする義務を負います。ただし証人と決定的に違う点が二つあります。第一に、証人の勾引(応じない者を強制的に連れて来る制度)は鑑定人には準用されません(216条)。専門家には代わりがきき、嫌々書かせた鑑定書は信用できないからです。第二に、196条等で証言や宣誓を拒みうる地位にある者は、中立性を欠くため鑑定人になれません(2項)。引き受けた以上は誠実に鑑定する義務が生じ、虚偽の鑑定は刑法171条の虚偽鑑定罪に問われます。
解説
医療過誤の裁判で、診断にミスがあったかどうかは、最終的に医学の専門家の意見で決まることが多い。その専門家を「鑑定人」と呼ぶ。212条は、必要な学識経験を持つ者は鑑定をする義務を負うと定める。つまり、あなたが医師・建築士・会計士のような専門家なら、裁判所に鑑定を命じられたとき、原則として引き受ける公的義務がある。ただし証人と決定的に違う点が二つ。一つ、証人のような勾引(応じない者を強制的に連れて来る制度)は鑑定人には準用されない。専門家には代わりがきくし、嫌々書かせた鑑定書は信用できないからだ。二つ、当事者と近い関係にある者(196条で証言を拒める親族など)は、中立性を欠くため鑑定人になれない(2項)。逆に当事者の側から見れば、あてがわれた鑑定人が偏っていると感じたら、意見を述べる前に忌避できる(214条)。鑑定書は、あなたの裁判の勝敗を直接左右する一枚なのだ。
法的な位置づけ
民事訴訟法212条は鑑定人の義務と欠格を定める規定であり、1項で鑑定に必要な学識経験を有する者が一般的な鑑定義務を負うことを、2項で証言・宣誓を拒みうる地位にある者等が鑑定人となれないことを規定する。証人尋問規定を準用しつつ、勾引は準用されない点に特色がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.鑑定人の経歴と利害関係を即座に調査 鑑定が決まったら、選任される鑑定人の所属・出身・当事者との過去の取引や共同研究を調べる。被告と同じ大学医局の出身など、誠実な鑑定を妨げる事情がないかを点検する
- 2.鑑定事項の文面に積極的に関与 裁判所が鑑定事項を定める前に、自分に有利な争点を漏らさず盛り込んだ鑑定事項案を起案して提出する。問いが甘ければ有利な結論も引き出せない
- 3.偏った鑑定人は意見陳述前に忌避 鑑定人に当事者との利害関係などがあれば、その鑑定人が意見を述べる前に裁判所へ忌避を申し立てる(民訴214条)。意見陳述後は原則として手遅れになる
- 4.不利な鑑定は前提・手法の誤りを突く 不利な鑑定意見が出ても諦めず、鑑定人尋問で前提事実や鑑定手法の誤りを追及し、必要なら私的鑑定をぶつける。鑑定意見は裁判官を拘束しない(民訴247条)
よくある質問 AI による整理
Q1鑑定とは何ですか?
特別な学識経験を持つ鑑定人が、専門的事項について判断を述べ、裁判所の事実認定を補助する証拠調べです。医療過誤や建築瑕疵など専門外の事柄で用いられます。
Q2鑑定人を忌避する方法は?
誠実な鑑定を妨げる事情があれば、鑑定人が意見を述べる前に裁判所へ忌避を申し立てます(民訴214条)。意見陳述後は原則として申し立てられません。
Q3鑑定人と証人の違いは何ですか?
証人は経験した事実を述べ代替できないため勾引されますが、鑑定人は専門知識で判断を述べ代替可能なので勾引は準用されません(民訴216条)。
Q4鑑定人になれない人はいますか?
当事者の親族など196条等で証言・宣誓を拒みうる地位にある者は、中立性を欠くため鑑定人になれません(民訴212条2項)。
Q5私的鑑定の意見書は証拠になりますか?
なります。当事者が自ら専門家に依頼した私的鑑定の意見書も書証として提出でき、裁判所選任の鑑定と対抗させることができます。
Q6虚偽の鑑定をするとどうなりますか?
宣誓した鑑定人が虚偽の鑑定をすると、刑法171条の虚偽鑑定罪に問われ、偽証罪と同じ刑(3月以上10年以下の拘禁刑)が科されます。
Q7鑑定事項は誰が決めますか?
裁判所が定めますが、当事者は鑑定事項(質問内容)の案を提出して関与できます。問いの立て方が鑑定人の答える範囲を左右します。
Q8鑑定意見が不利でも覆せますか?
覆せる余地があります。鑑定意見は証拠の一つにすぎず裁判官を拘束しません(自由心証主義、民訴247条)。前提事実や手法の誤りを尋問で突けます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁判所に鑑定人として呼ばれたんですが、本業が忙しくて断れないんですか?
原則として、専門知識を持つ人には鑑定義務があります(民事訴訟法212条1項)。ただし証人と違い、強制的に連れて来られる勾引の制度は鑑定人には準用されません。専門家には代わりがきくからです。実務のポイント:実務では、利害関係や多忙を理由に辞退を申し出ると、裁判所は無理に強制せず別の専門家を探すことが多い。嫌々書かせた鑑定書は信用性を欠くと裁判官も分かっているからです
Q2鑑定人の意見って、裁判官は絶対に従うんですか?
いいえ。鑑定意見は証拠の一つにすぎず、裁判官を法的に拘束しません(自由心証主義、民事訴訟法247条)。前提事実や手法に誤りがあれば、裁判官がこれを採用しないこともできます。実務のポイント:不利な鑑定が出ると諦めて和解する当事者が多い。だが本当に効くのは鑑定人尋問で前提や論理の穴を突くこと。結論より、結論に至る過程に弱点が潜んでいることが多い
Q3鑑定って高いと聞きますが、費用は誰が払うんですか?
鑑定費用(鑑定人の報酬・旅費・日当)は、まず鑑定を申し立てた側が予納し、最終的には敗訴者が訴訟費用として負担するのが原則です(民事訴訟費用等に関する法律)。医療や建築の鑑定では数十万円から百万円を超えることもあります。実務のポイント:費用の高さから裁判所が職権鑑定をためらうこともある。だからこそ、まず双方の私的意見書をぶつけ、決着しないときに正式な鑑定へ進むのが実務の流れです
間違えやすい点 AI による整理
- 「鑑定人は裁判所が選ぶから、当事者は口を出せない」と思われているが、当事者は誠実な鑑定を妨げる事情があれば、意見陳述前に鑑定人を忌避できる(214条)。さらに自分で専門家に依頼した私的鑑定を証拠として提出することもできる。鑑定は裁判所だけの専権事項ではない
- 「鑑定を頼まれたら断れない」のは知っていても、その義務の中身を誤解している人が多い。鑑定義務はあるが、証人と違って勾引(強制連行)はない。正当な事情があれば拒める。そして引き受けた以上は誠実に鑑定する義務が生じ、虚偽の鑑定には刑事罰(刑法171条 虚偽鑑定罪)が待つ。義務の重さは「出頭の強制」ではなく「内容の正確さ」にある
- 「鑑定人の意見が出たら、もう覆せない」と思い込んで諦める当事者が多いが、その問いの立て方そのものが間違っている。鑑定意見は証拠の一つにすぎず、裁判官を法的に拘束しない(自由心証主義、247条)。鑑定の前提となった事実や手法に誤りがあれば、鑑定人尋問や私的鑑定で揺さぶれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 供述の性質 | 鑑定人(212条):専門知識に基づく判断・意見を述べる | 証人(190条以下):自ら経験した過去の事実を述べる 当事者本人(207条):当事者自身が事実を供述する |
| 勾引の可否 | 勾引は準用されない(216条、代替可能なため) | 正当な理由なく出頭しなければ勾引されうる 勾引はなく、不出頭は事実認定で不利に評価されうる |
| 欠格・排除事由 | 196条等で証言を拒みうる地位の者は欠格(2項)、偏れば忌避(214条) | 原則として誰でも証人適格があり忌避制度はない 当事者であるため適格・忌避の問題は生じない |
| 虚偽供述の制裁 | 宣誓した鑑定人の虚偽鑑定は刑法171条(偽証罪と同等) | 宣誓した証人の虚偽証言は刑法169条 偽証罪 宣誓した当事者の虚偽陳述は過料(民訴209条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も特別の学識経験を有する者に鑑定義務を課し、鑑定には人証(証人)の規定を準用する点で日本と構造が共通する。
韓国も感定義務を明文化し、証人尋問規定を準用する。日本法を経由してドイツ法の枠組みを継受した点が共通する。
ドイツは鑑定人に Gutachten 作成義務を課す(§ 407)。日本の鑑定制度の母法であり、忌避(§ 406)の枠組みも対応する。
米国は裁判所選任鑑定人制度を定めるが、実務では当事者が依頼する expert witness(FRE 702)が中心で、当事者主導の専門家対決という点が大陸法系と大きく異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、医療過誤で訴えた裁判の鑑定人が、被告の病院と同じ大学医局の出身だったら? 誠実な鑑定を妨げる事情として忌避できる可能性がある。だが鑑定人が意見を述べる前に申し立てなければ、原則として手遅れになる。残された時間は意見陳述の日まで
- あなたが一級建築士で、ある日裁判所から建物の瑕疵について鑑定を命じられた。報酬は出るが、本業の合間に膨大な図面を精査することになる。原則として断れない公的義務だが、当事者と利害関係があるなら速やかに申告すべきだ
- 交通事故の後遺障害の程度を争う裁判。相手方の出した私的な医師の意見書に、こちらの主治医の意見書をぶつけ合っている。裁判所が中立の鑑定人を選任するかどうかで、あなたの賠償額が数百万円変わる
- 被告として訴えられ、相手方が申請した鑑定で不利な意見が出そうな雲行き。鑑定人が相手方と過去に共同研究をしていた事実を見つけたら、意見陳述前なら忌避で交代を求められる。気づくのが一日遅れれば、その機会は閉じる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 鑑定が決まったら、選任される鑑定人の経歴・所属・当事者との利害関係を即座に調べる2. 誠実な鑑定を妨げる事情(被告と同じ医局、過去の取引や共同研究など)があれば、意見陳述前に忌避を申し立てる(214条) 3. 鑑定事項(質問内容)の起案に積極的に関与し、自分に有利な争点を漏らさず盛り込む4. 不利な鑑定が出ても諦めず、前提事実や手法の誤りを鑑定人尋問・私的鑑定で突く。鑑定は裁判官を拘束しない
訴えられた側:1. 裁判所から鑑定を命じられたら、まず当事者との利害関係・過去の関与を点検し、あれば速やかに裁判所へ申告する2. 196条等に該当する近親関係があれば鑑定人になれない(212条2項)ので辞退できる3. 引き受けるなら報酬(旅費・日当・鑑定料)の範囲を確認する4. 虚偽の鑑定は刑法171条の虚偽鑑定罪(偽証罪と同じ刑)に問われる。誠実さが最大の防御
時効(請求できる期限):鑑定人の忌避は、その鑑定人が意見を述べる前に申し立てなければならない(民事訴訟法214条)。意見陳述後は、その後に忌避の原因が生じた、または原因を知った場合に限り申立て可能。タイミングを逃すと、偏った鑑定人をそのまま受け入れたことになる
学説
通説:212条1項の鑑定義務は公法上の義務だが、証人尋問規定を準用しつつ勾引(216条)は準用されない。鑑定人は代替可能であり、強制された鑑定は信用性を欠くため、出頭の強制までは及ばないと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正。旧法の鑑定規定を整理し、現行212条として鑑定義務と鑑定人欠格を規定。証人尋問規定の準用と勾引の不準用を明確化した。
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事裁判手続の IT 化に伴う改正。電磁的記録・ウェブ会議等に関する規律が整備され、鑑定手続もデジタル化対応の文脈で見直された。
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