感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 第56条の20(病原体等取扱主任者の責務等)
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- 病原体等取扱主任者は、誠実にその職務を遂行しなければならない。
- 2.特定一種病原体等の保管、使用及び滅菌等をする施設(以下「一種病原体等取扱施設」という。)又は二種病原体等取扱施設に立ち入る者は、病原体等取扱主任者がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは感染症発生予防規程の実施を確保するためにする指示に従わなければならない。
- 3.特定一種病原体等所持者及び二種病原体等許可所持者は、当該病原体等による感染症の発生の予防及びまん延の防止に関し、病原体等取扱主任者の意見を尊重しなければならない。
この条文の基本情報
病原体等取扱主任者の責務等とは何ですか?
定義病原体等取扱主任者の責務等とは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56条の20に定められた規定で、「病原体等取扱主任者は、誠実にその職務を遂行しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56条の20(病原体等取扱主任者の責務等)は、日本の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に含まれる条文です。
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56条の20の条文原文は「病原体等取扱主任者は、誠実にその職務を遂行しなければならない。」で始まります。
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56条の20は第四節 所持者等の義務に置かれています。
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の公布日は平成10年10月2日です。
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56条の20の前の条は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56条の19です。
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56条の20の次の条は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56条の21です。
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56条の20には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第56条の20 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000114 - 本サイト収録
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第56条の20(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/410AC0000000114/56_20
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点感染症法56条の20は、病原体等取扱主任者に誠実な職務遂行を義務づけ、施設への立入者に主任者の指示への服従を、所持者に主任者の意見の尊重を求める規定である。
Q · 教授や所長でも、病原体等取扱主任者の指示に従わないといけないの?
はい。施設に入る者は肩書きに関係なく主任者の指示に従う義務がある
感染症法56条の20第2項により、一種病原体等取扱施設または二種病原体等取扱施設に立ち入る者は、主任者が法令や感染症発生予防規程の実施を確保するために出す指示に従わなければなりません。対象は「立ち入る者」全員で、教授・所長・外部業者も含まれます。一方、組織(所持者)に対しては3項で主任者の意見の「尊重」が求められるにとどまり、最終判断権は組織側に残ります。
解説
エボラウイルスやペスト菌を扱う研究室には、法律上「病原体等取扱主任者」という一人の人間が置かれている。その人が「今日はその実験を止めろ」と言ったら、所長でも教授でも従わなければならない。それが本条2項の意味だ。あなたが研究者として、あるいは設備業者・清掃員・配管工として一種または二種病原体等取扱施設に一歩入るなら、その瞬間から主任者の指示に従う法的義務を負う。肩書きの上下は関係ない。さらに3項は、所持者(つまり研究機関や企業の本体)に対し、主任者の意見を「尊重」せよと命じる。尊重義務は従う義務より弱いが、法的にはゼロではない。事故が起きたとき、主任者が事前に警告していた記録が残っていれば、その警告を無視した組織側の責任が一段重くなる。主任者の意見書は、組織にとって時限爆弾にも免罪符にもなる。
法的な位置づけ
感染症法56条の20は、病原体等取扱主任者の責務を定める規定であり、主任者自身の誠実職務遂行義務、一種病原体等取扱施設又は二種病原体等取扱施設に立ち入る者の指示服従義務、特定一種病原体等所持者及び二種病原体等許可所持者の意見尊重義務という三層の義務を定める。服従義務の範囲は、法令及び感染症発生予防規程の実施確保のための指示に限られる。
手順
- 1.主任者の指示系統を規程に明文化する 感染症発生予防規程の中に、主任者が入室停止・作業中止を指示できる範囲、指示の伝達方法、立入者への周知方法を具体的に書き込む。外部業者の入室時にも同じ手順が適用されることを明記する
- 2.立入者への事前説明と署名取得 研究者・職員・外部業者を問わず、施設に立ち入る全員に主任者の指示に従う義務があることを説明し、入室簿や誓約書に署名を得る。注意書きの発信者として主任者の氏名を明記する
- 3.主任者の意見を日付入り書面で提出する 設備の不備や運用上の危険を把握した主任者は、口頭でなく日付入りの意見書として所持者に提出し、控えを保管する。3項の尊重義務の対象として記録に残すことが目的
- 4.所持者側は検討結果を書面で回答する 所持者は主任者の意見を検討し、採用・一部採用・不採用とその理由を書面で回答する。不採用の場合も代替措置や再検討時期を記録し、検討の痕跡を残す
よくある質問 AI による整理
Q1病原体等取扱主任者とは何ですか?
特定一種病原体等や二種病原体等を扱う施設で、所持者が選任する安全管理の責任者です。感染症法56条の19で選任が義務づけられ、56条の20でその責務が定められています。
Q2病原体等取扱主任者になれるのはどんな人?
特定病原体等の取扱いに関する知識経験について厚生労働省令で定める要件を備えた者から選任されます。具体的な資格要件は施行規則で確認する必要があります。
Q3主任者の指示に従わないと違法になる?
立入者は法令や感染症発生予防規程の実施確保のための指示に従う法的義務を負います。本条違反自体の直接の罰則はありませんが、組織への行政処分や懲戒の根拠になり得ます。
Q4外部の清掃業者や工事業者も主任者の指示に従う必要がある?
必要です。本条2項の対象は「施設に立ち入る者」であり、雇用関係や研究への従事は要件ではありません。入室した時点で指示に従う側になります。
Q5主任者の意見を組織は無視できる?
3項は所持者に意見の「尊重」を求めます。最終判断権は組織に残りますが、検討せず放置することは尊重とはいえず、事故時の過失判断で不利に働きます。
Q6二種病原体等取扱施設とはどんな施設?
厚生労働大臣の許可を受けて二種病原体等を保管・使用等する施設です。一種病原体等取扱施設と並び、本条2項の指示服従義務が及ぶ対象施設となります。
Q7主任者の指示はどこまで従う義務がある?
感染症法やこれに基づく命令、感染症発生予防規程の実施を確保するための指示に限られます。封じ込めや安全管理と無関係な業務命令までは及びません。
Q8主任者が上司から報告内容の修正を求められたら?
1項の誠実職務遂行義務は主任者個人に課されています。事実を薄めた報告に応じれば責任が本人に及ぶおそれがあるため、意見と経緯を書面で残すことが重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1主任者の指示に従わなかったら、個人が罰せられるんですか?
本条2項の服従義務そのものに直接の罰則は置かれていない。ただし指示違反の結果として基準違反状態が生じれば、所持者に対する改善命令や許可取消の事由となり、組織内では懲戒の根拠になる。実務のポイント:実務上効いてくるのは罰則ではなく入室記録だ。指示を無視して入室した記録が残っていると、事故時にその人物が因果の起点として特定される。入室簿への署名は、自分の行動を法的に固定する行為である
Q2主任者に選ばれてしまいました。断れますか?
選任自体は所持者の義務であり、個人が一方的に辞退する仕組みは条文上用意されていない。引き受けるなら1項の誠実職務遂行義務が個人に課される点を理解しておくべきだ。実務のポイント:引き受ける前に交渉すべきは手当ではなく権限と記録だ。意見を書面で提出する経路、入室停止を判断できる範囲、予算要求のルート。これが明文化されていない状態で就任すると、権限なき責任だけを背負う
Q3「尊重しなければならない」って、結局従わなくていいという意味では?
法的拘束力としては2項の服従義務より弱く、最終判断権は所持者に残る。しかし検討せず放置することは尊重にあたらず、3項の不履行と評価されうる。実務のポイント:弁護士が事故後に最初に探す書類が、主任者の意見とそれに対する組織の回答だ。意見があって回答がない組織は最も危険な類型に分類される。回答を書面で残すことは、組織を守る行為でもある
間違えやすい点 AI による整理
- 主任者は「法令で置くことを求められた名義上の役職」と思われがちだが、2項は立入者全員に対する指示服従義務を創設している。名義だけの選任で実際には指示権を行使させていない体制は、それ自体が感染症発生予防規程の実施確保義務の不履行として評価されうる
- 「主任者の意見は参考意見に過ぎない」という理解は、3項の尊重義務を知っているつもりで深刻度を見落としている。尊重義務違反それ自体に直接の罰則はないが、事故後の民事責任(民法709条、715条)や業務上過失(刑法211条)の認定において、主任者の警告を記録付きで無視した事実は組織側の過失を強く基礎づける。罰則がないことと法的に無害であることは別の話だ
- あなたから見れば主任者は「同じ組織の同僚」だが、法律から見れば主任者は組織の内部に置かれた法令遵守の結節点だ。この落差が危うい。同僚だと思って指示を軽く扱った記録が、事故後の調査で組織の体質として読まれる
- 「自分は研究者ではなく清掃や設備の請負業者だから関係ない」というのは前提が誤っている。2項の対象は「立ち入る者」であって、雇用関係も研究従事も要件ではない。一歩入れば従う側になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 56条の20:主任者・立入者・所持者の三者の責務 | 56条の19:所持者による主任者の選任義務 56条の18:所持者による感染症発生予防規程の作成義務 |
| 義務を負う者 | 主任者(誠実職務遂行)、立入者(指示服従)、所持者(意見尊重) | 特定一種病原体等所持者・二種病原体等許可所持者 特定一種病原体等所持者・二種病原体等許可所持者 |
| 相互関係 | 選任された主任者が規程の実施を現場で確保する仕組み | 本条の前提となる主任者を置く根拠 本条2項の指示の基準となる規程の根拠 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では感染性生物材料を扱う機関に生物安全会や専責人員の設置を求める。日本のように立入者全員への指示服従義務を法律本文で明記する構造とは異なり、規則レベルでの管理が中心
韓国は高危険病原体を扱う機関に安全管理措置と責任者の配置を求めており、日本と同様に行政規制型の管理体系をとる
ドイツは労働保護法の枠組みで生物剤の取扱いを規律し、危険度区分に応じた保護措置と専門人員の関与を求める
米国は登録機関に Responsible Official の指名を義務づけ、施設の安全管理とコンプライアンスの責任を一元化する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは大学の施設管理課の職員で、BSL-4相当の実験棟の空調フィルター交換に業者を案内する予定だった。主任者が「今日は内部で実験進行中、入室不可」と言う。工期が遅れる。それでも従う義務がある。あなたが業者を押し通せば、2項違反の構図が成立する
- 研究室の准教授が主任者に就任した。教授が「この実験を進めろ」と指示してくるが、主任者の判断では感染症発生予防規程に反する。2項の構造では、施設に立ち入る教授も主任者の指示に従う側だ。職位の序列と法律上の序列が逆転している場面
- もし、主任者が「この封じ込め設備は基準を満たしていない」と意見書を出したのに、経営判断で改修が後回しになり、半年後に漏出事故が起きたらどうなる? 3項の尊重義務違反が、組織の過失認定の決定的材料になる。意見書一枚が証拠になる
- あなたが主任者本人で、上層部から「報告を穏当な表現に直せ」と言われた。1項の誠実職務遂行義務は、あなた個人に課されている。組織の意向に合わせて事実を薄めた報告を出せば、その責任はあなたに返ってくる
- 新規に二種病原体等の所持許可を取り、立入検査まであと10日。主任者の指示系統が書面で整備されていないと、感染症発生予防規程の実施確保体制そのものが不備と評価される。規程と指示記録の整備は今週中が勝負
取るべき行動
被害を受けた側:主任者として指示や意見が組織に無視されている場合、まず指示内容と日時を書面化し、所持者宛に提出した控えを自分の手元に保全する。改善されないときは厚生労働大臣への情報提供を検討しつつ、設備や運用の具体的危険点を本法第56条の23以下の立入検査で検証可能な形に整理しておく。口頭の警告は事故後に存在しなかったことになりやすい
訴えられた側:指示違反を指摘された立入者側であれば、当該指示が本法または感染症発生予防規程の実施確保のためのものであったかを確認する。2項の服従義務はその範囲に限られ、無関係な業務命令まで及ばない。所持者側であれば、主任者の意見をどう検討し何を理由に別の判断をしたか、その過程の記録が防御の中核になる。検討した痕跡のない不採用が最も不利に働く
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期限規定はない。ただし漏出事故に伴う民事賠償は損害および加害者を知った時から3年、人の生命身体への侵害は5年、行為時から20年(民法724条、724条の2)。業務上過失致死傷(刑法211条)の公訴時効は、致死の場合10年、致傷の場合5年(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:感染症法の改正により特定病原体等の所持・使用等に関する規制が導入され、主任者の選任や責務を含む病原体等管理体制の一環として本条が設けられた
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