要点破産法170条の2は、否認により財産を返還した転得者が、支払った反対給付の価額を限度に破産財団から回収できる権利を定める。回収順位は破産者の隠匿意思等で変わる。
Q · 正規に代金を払って買った財産を、二段階前の他人の破産で取り上げられたら、払ったお金は戻りますか?
返還すれば支払った反対給付の価額を限度に財団から回収できる
破産法170条の2により、否認で財産を破産財団へ返還した転得者は、自らが前者から財産を取得するために支払った反対給付の価額を限度として、財団債権者として償還を請求できます(同条1項・4項)。財団債権なら配当に先立ち優先弁済されます。ただし破産者が対価財産の隠匿等の意思を持ち、中間の売主がそれを知っていた場合には、地位が破産債権に降格し配当でわずかしか戻りません(同条2項)。あなたの落ち度と無関係な事情で回収順位が変わる点に注意が必要です。
中古の生産設備を業者から相場どおりに買った。一年後、その業者がさらに前に仕入れた相手が破産し、破産管財人があなたを名指しで『その設備を破産財団に返せ』と言ってくる。これが転得者に対する否認権だ。あなたは正規に代金を払った第三者なのに、二段階前の他人の破産に巻き込まれる。だが170条の2は、あなたを丸裸にはしない。財産を返したあなたは、自分が支払った反対給付(相手に渡した代金や対価)の価額を限度に、破産財団から回収する権利を持つ。問題はその回収が優先弁済される『財団債権』なのか、配当でわずかしか戻らない弱い地位なのかだ。破産者が財産を隠す意思を持ち、中間の売主がそれを知っていた等の事情があれば、回収順位は一段下がる。同じ『返した』でも、満額戻る人と、ほとんど戻らない人に分かれる。その分岐点を握るのが、この条文だ。
破産法170条の2は、転得者に対する否認権が行使された場合における転得者の権利を定める規定である。否認により破産財団へ返還すべき財産を返した転得者は、その前者から財産を取得するためにした反対給付の価額を限度として、財団債権者として反対給付の価額の償還を請求できる。破産者の隠匿等の意思と相手方の悪意がある場合には、その地位は破産債権に降格する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
破産者から財産を得た相手方(中間者)を経て、さらにその財産を取得した第三者(転得者)に対し、破産管財人が財産を破産財団へ取り戻す制度です。破産法170条が根拠で、転得者が前の否認原因を知っていた場合に限られます。
転得者が前者から財産を取得するために支払った代金や対価、または取得によって消滅した債権のことです。この価額が財団から回収できる金額の上限(限度)になります(同条4項)。
破産手続開始の日から2年、または対象行為の日から20年を経過すると行使できません(破産法176条)。管財人がこの期間を徒過すれば、転得者はもはや追及されません。
財団債権は配当手続によらず随時かつ優先的に弁済されます。破産債権は配当でしか戻らず、破産財団が乏しければ数%しか回収できないこともあります。170条の2はこの順位を分ける規定です。
破産管財人は、財産の現物返還に代えて、財団債権となる額を控除した残額の価額償還を転得者に請求することを選択できます(同条5項)。どちらになるかは管財人の選択次第です。
返す必要はありません。転得者否認(破産法170条)は、転得者が前の取引の否認原因を知っていた場合に限られます。善意の転得者はそもそも否認されず、財産を保持できます。
譲り受けた資産を破産財団へ返還し、支払った対価の価額を限度に回収を試みることになります。安く取得できても回収順位の不安が残るため、譲渡人の資金繰りや資産の出所を事前に確認することが重要です。
否認権は原則として破産手続開始前の破産者の行為を対象とします。開始後の財産処分は否認ではなく管理処分権や別の規律の問題となるため、取引時期と経緯の確認が必要です。
破産法170条が『転得者に対する否認権』を認めているからです。あなたの売主がさらに前の人(後に破産した人)から不当に財産を得ていた場合、二段階前まで遡って財団に取り戻されうる。ただしあなたが前の取引の否認原因を知っていた場合に限られます。業界裏話ヒント:善意の転得者は170条で守られ否認されない。だから取引前に『この資産はどんな経緯で出てきたか』を確認した記録こそ、後日あなたを守る盾になる。
戻り方の『順位』次第です。原則、支払った反対給付の価額を限度に、財団債権者として回収できます(170条の2第1項・第4項)。財団債権なら配当に先立ち優先弁済される。だが破産者に隠匿の意思があり中間の売主がそれを知っていた等の事情があると、地位が破産債権に落ち配当でわずかしか戻らない(同条2項)。業界裏話ヒント:同じ『返した』でも満額の人と数%の人に分かれる。その分岐は破産者と中間者の事情で決まり、あなたの落ち度と無関係に順位が下がりうる。
本当です。170条の2第3項は、中間の売主(相手方)が破産者の親族や役員など161条2項に挙げる『内部者』だった場合、その売主は破産者の隠匿の意思を知っていたと推定すると定めます。すると同条2項が働き、転得者であるあなたの回収順位が破産債権に下がりうる。業界裏話ヒント:内部者取引が一枚噛んでいると、あなたが完全に善意でも回収条件が悪化する。資産の出所が破産者の関係会社やオーナー一族なら、価格が魅力的でも一歩引いて経緯を精査する価値がある。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる者 | 170条の2:否認された財産を保有する転得者(第三者) | — |
| 規律内容 | 転得者が支払った反対給付の価額を限度とする償還請求権 | — |
| 回収の地位 | 原則は財団債権、隠匿意思+相手方悪意で破産債権に降格(2項) | — |
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