要点破産法 170 条は、破産者が流出させた財産の転得者に対しても否認権が及ぶことを定める。転得者が悪意・内部者・無償取得のいずれかで、前の全転得者にも否認原因がある場合に限られる。
Q · 破産した人から財産をもらった相手のさらに先の自分まで、破産管財人に返せと言われるの?
無償や悪意で得た財産は転得者でも否認される
破産法 170 条により、否認権は最初の相手方だけでなく転得者にも及びます。転得者が①害することを知っていた(悪意)、②161 条 2 項の内部者、③無償で取得した、のいずれかで、かつ自分より前の全転得者にも否認原因があるときに限られます。代金を払って善意で取得した第三者が途中に一人でも入れば、その環で否認の連鎖は切れます。無償取得の場合は善意でも否認されますが、167 条 2 項準用で返還範囲が現存利益に縮小される余地があります。
あなたが知人から土地を買い、それを別の人に転売した。あるいは、親から生前贈与で受け取った財産を、何年も大切に持っている。その元の持ち主が後で破産したとき、あなたのところに破産管財人から「その財産を破産財団に返してください」という通知が届くことがある。破産法170条は、この「何人かの手を渡った後の財産」にまで否認権(破産管財人が、破産者が破産前にやった財産流出行為を取り消し、財産を取り戻す権限)が届く範囲を定める。鍵は三つの入口だ。第一に、あなたが受け取った当時、元の行為が債権者を害すると知っていた場合。第二に、あなたが破産者の身内(取締役、親族など161条2項の関係者)である場合。第三に、あなたがタダで、または対価らしい対価なしに受け取った場合。注意すべきは第三の入口で、ここでは「知らなかった」という善意の抗弁が効かない。代金を払った買い手より、贈与でもらった人の方が、はるかに無防備な立場に置かれている。
破産法 170 条は転得者否認を定める規定であり、破産者の否認対象行為によって流出した財産を転得した者に対しても、一定の要件の下で破産管財人が否認権を行使できる旨を規律する。転得者が悪意である場合、161 条 2 項の内部者である場合、または無償で取得した場合に限られ、かつ当該転得者より前の全ての転得者にも否認原因があることを要件とする。
AI 輔助整理,以條文原文為準
破産者から流出した財産が転売された場合に、破産管財人が最初の相手方だけでなく、その後の転得者からも財産を取り戻せる制度です。破産法 170 条が根拠で、悪意・内部者・無償のいずれかが要件です。
160 条は破産者と直接取引した相手方に対する否認、170 条はその相手方から財産を受け継いだ転得者に対する否認です。170 条は 160 条等の否認原因が相手方にあることを前提とします。
破産法 176 条により、破産手続開始の日から 2 年、または大本の行為の日から 20 年で行使できなくなります。転得者への行使もこの期間制限の枠内に服します。
原則は取得した財産そのものです。ただし無償取得の転得者には 167 条 2 項が準用され、返還範囲が現に手元に残る利益(現存利益)に縮小される余地があります。
破産者の取締役・役員、親族、実質的支配関係にある法人など、破産者と密接な関係を持つ者を指します。内部者は転得の当時に善意であったことを自ら立証しない限り否認されます。
173 条に基づき、否認の訴え・否認の請求・抗弁のいずれかの方法で行使します。財産が誰に渡ったかを追跡し、各転得者の取得時の認識と対価を調査します。
詐害行為否認(160 条)は財産を減少させる行為、偏頗行為否認(162 条)は特定の債権者だけを優遇する弁済等を対象とします。どちらも 170 条の転得者否認の前提となる否認原因です。
破産手続外の平時は民法 424 条の 5(転得者への詐害行為取消)が働き、破産手続開始後は破産法 170 条が専属的に適用されます。行使主体も債権者と破産管財人で異なります。
有償で、かつ害することを知らずに取得したのであれば、原則として否認されません(170条1項1号の反対解釈)。問題は「知らなかった」を誰が立証するかです。あなたが破産者の親族や役員でなければ、悪意は管財人が立証する必要があります。業界裏話ヒント:実務では、取得価格が市場価格より不自然に安い、相手が明らかに資金繰りに窮していた、といった客観的事情から悪意が推認されます。だから取得時点で適正対価を払った記録と、相手の状況を確認した形跡を残しているかどうかが、後の訴訟で決定的になります
無償行為による転得は、170条1項3号により、あなたが善意でも否認の対象になります。代金を払っていないこと自体が、保護を弱める理由です。ただし167条2項の準用により、返還の範囲が現に受けている利益(現存利益)に縮小される余地があります。業界裏話ヒント:無償取得の否認は善意でも避けられないため、生前贈与による財産移転を「債権者対策」として行うと、贈与した側が破産した瞬間に崩れます。資産防衛のつもりの贈与が、最も否認されやすい形になっていることを、税理士は教えてくれても倒産リスクまでは説明しないことが多い
いいえ。170条1項ただし書は、あなたが他の転得者から転得した場合、あなたの前に転得した全ての転得者に否認原因があるときに限り否認できると定めます。つまり鎖の途中に、善意で対価を払った転得者が一人でもいれば、そこで鎖は切れ、あなたへの否認は成立しません。業界裏話ヒント:否認訴訟では、自分の落ち度を主張するより、自分より前の転得者の善意・有償性を突くほうが効果的なことがあります。鎖のどこか一か所を断ち切れば、後ろにいる自分は守られる。この「前の環を調べる」発想を知っているかどうかで防御の組み立てが変わります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 否認の相手 | 170 条:転得者(相手方から財産を受け継いだ者) | — |
| 否認原因 | 悪意・161 条 2 項内部者・無償のいずれか + 前の全転得者にも原因 | — |
| 返還範囲の特則 | 無償転得者は 167 条 2 項準用で現存利益に縮小の余地 | — |
| 連鎖の切断 | 前に善意有償の転得者が一人でも入ると連鎖が断たれる | — |
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