信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、破産手続開始の時において信託財産に属する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
要点破産法 244 条の 5 は、信託財産の破産手続開始時に信託財産へ属する一切の財産を破産財団と定める。海外資産も含み、受託者個人の財産とは別勘定となる。
Q · 信託財産が借金まみれになったら、受託者の私も一緒に破産するの?
受託者が無事でも信託財産だけが単独で破産することがあります
破産法 244 条の 5 により、信託財産について破産手続開始の決定があると、破産手続開始の時点で信託財産に属する一切の財産が破産財団になります。この財産は日本国内にあるかどうかを問わず、海外資産も含みます。重要なのは、これが受託者個人の破産とは別個の手続だという点です。受託者が健全でも信託財産だけが破産することがあり、逆に受託者個人が破産しても信託財産は倒産隔離により守られます(信託法 25 条)。信託財産の債権者は、この破産財団からのみ回収します。
親が認知症になる前に、収益不動産を息子に信託しておく。最近よく聞く家族信託だ。ここで多くの人が見落とすのが、その信託した財産が「受託者である息子の財産」とは法律上きっぱり切り離されるという点。息子が事業で失敗して自己破産しても、信託財産は息子の破産財団には入らない(信託法 25 条)。これが倒産隔離と呼ばれる信託最大の武器だ。だが本条は、その裏側を定める。信託財産そのものが債務超過になれば、受託者個人とは別に、信託財産だけが単独で破産する。そのとき破産財団になるのは、破産手続開始の時点で信託財産に属する一切の財産。しかも日本国内にあるかどうかを問わず、海外にある財産も含む。受託者の家計とは完全に別勘定で、信託財産の債権者だけがそこから回収する。一つの財布が二つに割れる、その境界線を引くのが 244 条の 5 だ。
破産法 244 条の 5 は、信託財産の破産における破産財団の範囲を定める規定であり、破産手続開始の時点で信託財産に属する一切の財産を、日本国内にあるかどうかを問わず破産財団とする。受託者の固有財産から独立した、信託財産のみを引き当てとする独立破産の建付けを画定する条文である。
受託者個人とは別に、信託財産だけが独立して破産する手続です。破産法 244 条の 5 により、開始時の信託財産すべて(海外資産含む)が破産財団になります。
原則差し押さえられません。信託財産と受託者の固有財産は別勘定で、信託債権者の追及は信託財産に限られます。ただし善管注意義務違反があれば固有財産で賠償責任を負う余地があります。
対象外ではありません。破産法 244 条の 5 は日本国内にあるかどうかを問わず一切の財産を破産財団とします。海外口座や海外不動産も破産財団に取り込まれます。
別々です。別々の手続、別々の破産財団、別々の債権者集団で進みます。一方が破産しても他方は無傷でありうるのが信託の倒産隔離です。
受託者、信託財産責任負担債務の債権者、受益者などが申立権者です(破産法 244 条の 4)。開始原因は信託財産の債務超過です(同 244 条の 3)。
破産財団はまず信託財産責任負担債務の債権者に配当され、残余があれば受益者に分配されます。受益者は信託債権者より回収順位が後になります。
あります。受託者が信託財産名義で借入れを重ね債務超過になれば、家族信託の信託財産でも 244 条の 5 により単独で破産しうります。
信託財産が債務超過(破産法 244 条の 3)に陥ったときです。放置は受託者の善管注意義務違反や受益者・債権者の損害拡大につながるため、早期の判断が重要です。
取られません。信託財産は受託者であるあなたの固有財産とは法律上分離され、あなたの破産財団には属しません(信託法 25 条)。あなた個人の借金の債権者は、信託財産に手を出せません。業界裏話ヒント:この倒産隔離を確実にするには、信託口口座(しんたくぐちこうざ)という専用口座で信託財産を管理することが実務上ほぼ必須。普通のあなた名義口座に混ぜると、固有財産との分離が曖昧になり、隔離効果が後で争われる余地が生まれる。口座の作り方一つで防火壁の強度が変わる
全額が必ず消えるわけではありません。破産手続開始時の信託財産(海外資産を含む、本条)が破産財団となり、まず信託財産責任負担債務の債権者に配当され、残余があれば受益者に分配されます。業界裏話ヒント:受益者は信託債権者より回収順位が後。だが信託契約の設計次第で、受益権に優先・劣後の階層(シニア・メザニン・エクイティ)が付いていることがある。自分の受益権がどの階層かで、回収可能性は天と地ほど違う。契約書の受益権区分を真っ先に確認する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 破産財団の範囲 | 244 条の 5:開始時の信託財産に属する一切の財産(海外含む) | — |
| 破産する主体 | 信託財産そのもの(受託者個人と別勘定) | — |
| 開始原因 | 本条は財団範囲のみを規律(原因は 244 条の 3) | — |
| 申立権者 | 本条は財団範囲のみを規律(申立権は 244 条の 4) | — |
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