信託財産について破産手続開始の決定があったときは、固有財産等責任負担債務(信託法第二十二条第一項に規定する固有財産等責任負担債務をいう。)に係る債権を有する者は、破産債権者としてその権利を行使することができない。
要点破産法244条の9は、信託財産の破産時、固有財産等責任負担債務に係る債権者が破産債権者として権利を行使できないと定める。配当に並べるのは信託財産責任負担債務の債権者に限られる。
Q · 同じ受託者に貸したお金でも、信託財産が破産したら配当を受けられるの?
受託者個人あての債権では、信託財産の破産配当を受けられません
破産法244条の9により、信託財産について破産手続が開始されても、固有財産等責任負担債務(信託法22条1項、受託者が自分の固有財産で負う債務)に係る債権者は、破産債権者として権利を行使できません。配当の列に並べるのは信託財産責任負担債務(信託法21条)の債権者だけです。同じ受託者にお金を貸していても、契約が『信託財産あて』か『受託者個人あて』かで、破産時の立場は正反対に分かれます。届出前に自分の債権の性質を確定させることが重要です。
信託銀行や信託会社にお金を貸した、あるいは家族信託の受託者と取引した。その相手が「信託財産」の名義で借りたのか、「自分個人」の名義で借りたのか、あなたは確認しただろうか。破産法244条の9は、信託財産そのものが破産したとき、誰がその配当に手を挙げられるかを線引きする条文だ。信託の世界には二つの財布がある。一つは信託財産が責任を負う債務(信託財産責任負担債務)、もう一つは受託者が自分の固有財産で負う債務(固有財産等責任負担債務、信託法22条1項)。信託財産が破産したとき、配当の列に並べるのは前者の債権者だけ。後者のあなたは、たとえ同じ受託者にお金を貸していても、この手続では一円も請求できない。あなたの債権は、もともと信託財産に向いていなかったからだ。どちらの財布あてに契約したか、その一点が破産時のあなたの立場を決める。
破産法244条の9は、信託財産の破産手続における債権行使の制限を定める規定である。信託財産について破産手続開始の決定があった場合、固有財産等責任負担債務(信託法22条1項)に係る債権を有する者は、破産債権者としてその権利を行使することができない。信託財産責任負担債務の債権者と固有財産等責任負担債務の債権者を峻別し、信託の倒産隔離を破産手続上も貫徹する機能を担う。
AI 輔助整理,以條文原文為準
受託者個人ではなく、信託財産そのものについて破産手続が開始する制度です。破産法第十章の二の特則が適用され、配当対象となる債権者の範囲が一般の破産とは異なります。
受託者が信託財産ではなく自分の固有財産で負う債務のことです(信託法22条1項)。信託財産の破産では、この債務の債権者は破産債権者として権利行使できません。
信託財産責任負担債務(信託法21条)は信託財産が引当てとなる債務で、信託財産破産で配当を受けられます。固有財産等責任負担債務は受託者個人が引当てで、配当から排除されます。
信託財産と受託者の固有財産を法的に分離し、一方の破産が他方に及ばない仕組みです。244条の9はこの分離を信託財産破産の場面でも貫徹する規定です。
受益者の受益債権は信託財産責任負担債務に含まれますが、他の債権に劣後する取扱いを受ける場合があります。配当順位は信託契約と破産法の特則で決まります。
裁判所が破産手続開始決定で定める債権届出期間(破産法31条)内に届け出る必要があります。徒過すると配当から除斥されうるため、通知到達後すぐに確認すべきです。
限定責任信託では信託財産のみが責任財産となるため、信託財産破産の特則が実務上重要になります。固有財産等責任負担債務の債権者は本条で配当から排除されます。
平成18年(2006年)の信託法全部改正に伴う関係法律整備法により、破産法に信託財産破産の特則が新設され、本条もその一部として創設されました。施行は平成19年(2007年)です。
預けた財産が信託として分別管理されていれば、信託財産は受託者である信託銀行の固有財産と切り離され、信託銀行自身の破産財団には入りません(信託法25条)。逆に信託財産そのものが破産する場面で、244条の9が誰を破産債権者として扱うかを定めます。業界裏話ヒント:『信託』と名のつく商品でも、本当に分別管理・倒産隔離されているかは信託契約の構造次第。商品名を信じる前に、信託財産責任負担債務の範囲を契約書で確認するのが玄人の動きです
原則取られません。信託財産は受託者である子の固有財産と分離され、子個人の破産財団に属しません(信託法25条)。子個人の債権者は信託財産に手を出せず、これが家族信託の倒産隔離の核心です。ただし信託の設定が債権者を害する目的だと認定されると詐害信託として取り消されえます(信託法11条)。業界裏話ヒント:『信託すれば借金から全部守れる』と過信して詐害的に設定すると、設定の動機とタイミングを後で突かれ、信託法11条で一気に崩れます
形式的には債務者の表示(『○○信託の受託者として』か『○○個人』か)、実質的には信託法21条が列挙する信託財産責任負担債務に該当するかで判断します。信託事務の処理として生じた債務なら信託財産責任負担債務になりやすい。業界裏話ヒント:受託者が『受託者である旨を示して(顕名)』契約したか否かが分水嶺です。プロは契約段階で必ず顕名し、相手にも信託財産責任負担債務であることを書面で確認させる。この一行の有無が破産時の天国と地獄を分ける
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 244条の9:固有財産等責任負担債務の債権者を破産債権者から排除 | — |
| 対象となる債権者 | 固有財産等責任負担債務(信託法22条1項)の債権者=排除される側 | — |
| 配当への影響 | 届け出ても排除され、配当を受けられない | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。