信託法第四十九条第一項(同法第五十三条第二項及び第五十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定により受託者が有する権利は、信託財産についての破産手続との関係においては、金銭債権とみなす。
要点破産法 244 条の 8 は、信託法 49 条 1 項により受託者が有する費用償還請求権等を、信託財産の破産手続との関係では金銭債権とみなすと定める。受託者は優先権のない一般の破産債権者となる。
Q · 信託財産が破産したら、管理してきた受託者の立替費用や報酬はどう扱われるの?
金銭債権とみなされ、一般の破産債権者として按分配当を受けます
破産法 244 条の 8 により、信託法 49 条 1 項の費用償還請求権、53 条 2 項準用の損害補償請求権、54 条 4 項準用の信託報酬請求権は、信託財産の破産手続との関係では金銭債権とみなされます。受託者は財産を管理する立場でありながら、優先権のない一般の破産債権者として債権届出をし、他の債権者と並んで按分配当を待つことになります。金庫の鍵を握ることと、中身を取り戻せることは別の話です。
親の認知症対策で家族信託を引き受け、受託者として実家の修繕費や固定資産税を自腹で立て替えてきたとする。信託法49条1項は、こうして立て替えた費用を信託財産から取り戻す権利を受託者に与えている。ところが、その信託財産自体が借入金などで行き詰まり、信託財産の破産という事態になったらどうなるか。破産法244条の8は、この受託者の費用償還請求権、さらに損害の補償(53条2項準用)や信託報酬(54条4項準用)の請求権を、破産手続のなかでは金銭債権とみなすと定める。つまりあなたは、財産を管理してきた立場でありながら、いざ破産すれば一人の債権者として届出をし、他の債権者と並んで配当を待つ立場に変わる。鍵を握っていることと、中身を取り戻せることは別なのだ。
破産法 244 条の 8 は、信託財産の破産手続における受託者の権利の性質を定める規定である。信託法 49 条 1 項の費用償還請求権、53 条 2 項準用の損害補償請求権、54 条 4 項準用の信託報酬請求権を、当該破産手続との関係では金銭債権とみなし、受託者を優先権のない一般の破産債権者と同列に位置づける。
受託者や委託者個人ではなく、信託財産そのものを対象とする破産手続です。倒産隔離された信託財産が債務超過に陥った場合に行われ、破産法 244 条の 2 以下が特則を定めます。
信託法 49 条 1 項の受託者の費用償還請求権等を、信託財産の破産手続では金銭債権とみなす規定です。受託者を優先権のない一般の破産債権者として扱います。
裁判所が破産手続開始決定と同時に定める債権届出期間内です(破産法 31 条・111 条)。期間を過ぎると原則として配当から除斥されます。
立て替えた介護費や修繕費は金銭債権とみなされ、他の債権者と按分配当を競います。優先権はなく、届出をしなければ回収できません。
優先されません。信託法 54 条 4 項準用の報酬請求権も破産法 244 条の 8 で金銭債権とみなされ、一般の破産債権として按分配当の対象になります。
現物での取戻しや優先弁済ができなくなり、届出が必要な一般債権に格下げされます。黙っていても配当されず、額の根拠資料も求められます。
原則として信託財産の範囲に限られます。ただし責任限定の登記不備や固有財産での保証があると、隔離が崩れて受託者個人に及ぶことがあります。
領収書等の証憑を整理し、届出期間内に費用償還・損害補償・報酬の各請求権を破産債権として届け出ます。優先弁済ではなく按分配当となります。
全額は期待できません。破産法244条の8によりその費用償還請求権は金銭債権とみなされ、破産手続のなかで他の破産債権者と按分配当されます。信託財産が債務超過なら、立て替え額の何割かしか戻らないのが通常です。業界裏話ヒント:受託者は信託法49条2項で費用の前払いを信託財産から受ける権利も持っています。破産してから債権者として並ぶより、平時から立て替えず前払いで処理しておく方が、回収リスクをそもそも負わずに済む。立て替えグセが命取りになる
原則として守られます。信託財産は受託者の固有財産から独立しており、受託者個人が破産しても信託財産は破産財団に属しません(信託法25条)。信託財産の破産はあくまで信託財産の範囲の話です。業界裏話ヒント:ただし受託者が信託債権者に固有財産で保証していたり、限定責任信託(信託法216条以下)の登記をしていなかったりすると、この隔離は崩れることがある。信託を引き受けるときは、責任の範囲を契約書で必ず確認する
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|---|---|---|
| 弁済の順位 | 破産法 244 条の 8:金銭債権とみなされる一般の破産債権(按分配当、優先権なし) | — |
| 権利行使の方法 | 債権届出が必要(破産法 111 条)、手続によらなければ行使不可(破産法 100 条) | — |
| 根拠条文 | 破産法 244 条の 8 + 信託法 49 条・53 条・54 条 | — |
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