不動産登記法 第13条(登記記録の滅失と回復)
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法務大臣は、登記記録の全部又は一部が滅失したときは、登記官に対し、一定の期間を定めて、当該登記記録の回復に必要な処分を命ずることができる。
この条文の基本情報
登記記録の滅失と回復とは何ですか?
定義登記記録の滅失と回復とは、不動産登記法第13条に定められた規定で、「法務大臣は、登記記録の全部又は一部が滅失したときは、登記官に対し、一定の期間を定めて、当該登記記録の回復に必要な処分を命ずることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第13条(登記記録の滅失と回復)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第13条の条文原文は「法務大臣は、登記記録の全部又は一部が滅失したときは、登記官に対し、一定の期間を定めて、当該登記記録の回復に必要な処分を命ずることができる。」で始まります。
- 不動産登記法第13条は第三章 登記記録等に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第13条の前の条は不動産登記法第12条です。
- 不動産登記法第13条の次の条は不動産登記法第14条です。
- 不動産登記法第13条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第13条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第13条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/13
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法13条は、登記記録が滅失したとき、法務大臣が登記官に期間を定めて回復に必要な処分を命じられると定める。所有権は失われないが、回復までは登記事項証明書が交付されない。
Q · 災害で法務局の登記記録が消えたら、自分の不動産はどうなるの?
所有権は消えません。回復命令で登記記録は復元されます。
不動産登記法13条により、登記記録の全部又は一部が滅失したときは、法務大臣が登記官に対し一定の期間を定めて回復に必要な処分を命ずることができます。所有権の移転は契約によって生じ、登記は第三者に対抗するための要件にすぎないため(民法177条)、記録が消えても権利そのものは失われません。ただし回復が完了するまでは登記事項証明書が交付されず、所有権移転登記も抵当権設定登記もできないため、売買の決済や住宅ローンの実行は止まります。実害は所有権ではなく流動性の側に出ます。
解説
法務局が水害に遭い、登記記録が失われたとする。そのとき消えるのはあなたの所有権ではない。所有権は契約と代金の支払で移り、登記はそれを他人に主張するための札にすぎない(民法177条)。消えるのは、その札を国が保証してくれている状態のほうだ。本条は、その空白を埋める指揮系統を定める。法務大臣が登記官に対し、期間を区切って回復に必要な処分を命じる。押さえるべきは二点。第一に、回復は登記官の職権で動くので、あなたは原則として待つ側に置かれる。第二に、「一定の期間」が定められる以上、回復作業には締切がある。その間にあなたの権利を裏づける資料(登記識別情報通知や旧権利証、売買契約書、代金の振込記録、固定資産税の納税通知書)を出せるかどうかで、回復後の登記が実態どおりになるかが決まる。そして回復が終わるまで登記事項証明書は出ず、抵当権設定登記もできない。つまり、住宅ローンの決済は止まる。
法的な位置づけ
不動産登記法13条は、登記記録の滅失に対する回復命令を定める規定である。登記記録の全部又は一部が滅失した場合、法務大臣は登記官に対し、一定の期間を定めて当該登記記録の回復に必要な処分を命ずることができる。回復は登記官の職権により進められ、実体上の権利変動を新たに創設し又は消滅させるものではなく、失われた公示を復元する手続として位置づけられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.管轄法務局に滅失の範囲と回復期間を照会する 滅失が公表されたら、まず管轄法務局に対し、滅失した登記記録の範囲、回復命令で定められた期間、登記事項証明書の交付再開見込みを照会する。回答は電話で済ませず、書面またはメールで残す。後の日程交渉と説明責任の証拠になる
- 2.権利を裏づける資料を一式そろえる 登記識別情報通知または旧権利証、売買契約書、決済時の振込明細、固定資産税の納税通知書、抵当権者の残高証明を集める。一点ではなく複数資料の整合が回復の判断材料になるため、断片でも捨てずに時系列で並べる
- 3.決済を担当した司法書士に申請書控えを照会する 登記申請を担当した司法書士事務所には、申請書控えと添付書面の写しが数年単位で保管されていることが多い。自宅の書類を失っている場合ほど、当時の司法書士に連絡したほうが復元は速い。事務所名が不明なら決済時の領収書や振込先から辿る
- 4.回復期間が満了する前に資料を提出する 回復は登記官の職権で進むが、資料が欠ける部分では関係者の提出資料が判断材料になる。回復作業の終了後に「記載が違う」と更正を求めるより、作業中に差し出すほうが桁違いに軽い手続で通る。提出日と受領の記録を残す
- 5.取引相手と金融機関に見込みを共有し日程を組み直す 売却や融資の予定がある場合、登記事項証明書が取得できない事実とその理由・見込み時期を書面で相手方に開示し、所有権移転登記および抵当権設定登記が可能になる時期を停止条件または延期条項として契約書に落とす
よくある質問 AI による整理
Q1登記記録の滅失回復とは何ですか?
災害や事故で登記記録が失われた場合に、法務大臣の命令を受けた登記官が職権で記録を復元する手続です。不動産登記法13条が根拠で、一定の期間を定めて行われます。
Q2登記簿が滅失している間に不動産を売買できますか?
売買契約自体は有効に締結できますが、所有権移転登記ができず登記事項証明書も交付されないため、実務上は決済が止まります。抵当権設定登記も不可能で、住宅ローンの実行も見送られます。
Q3滅失回復の期間はどれくらいかかりますか?
法律上の固定日数はなく、法務大臣が事案ごとに「一定の期間」を定めます。滅失の範囲と残存資料の量で大きく変わるため、管轄法務局に見込み時期を照会するのが確実です。
Q4住宅ローンの決済直前に法務局が被災したらどうなりますか?
抵当権設定登記ができないため、金融機関は融資実行を見合わせるのが通常です。決済日を延期し、登記が可能になる時期を停止条件として契約書に定め直す対応が現実的です。
Q5登記事項証明書はいつから取れますか?
滅失した部分については回復が完了するまで交付されません。不動産登記法119条の交付制度は登記記録が存在することを前提としているためです。再開時期は管轄法務局に確認します。
Q6回復後の登記が実態と違っていたらどうすればいいですか?
更正登記の申請または登記官の職権更正によって是正します。ただし回復後の是正は資料の負担が重いため、回復期間中に権利資料を提出しておくほうが手続は軽く済みます。
Q7登記記録が滅失していても相続登記の義務は進みますか?
進みます。不動産登記法76条の2の申請義務は令和6年(2024年)4月1日施行で、相続を知った日から3年です。間に合わない見込みなら相続人申告登記や法務局への事情の申出を先に動かします。
Q8登記官のミスで損害が出たら賠償請求できますか?
登記官の職務上の過失により損害が生じた場合、国家賠償法1条に基づく請求が考えられます。ただし回復作業中の遅延そのものが直ちに違法と評価されるわけではありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記簿が燃えたら、家って他人のものになっちゃうんですか?
なりません。所有権の移転は契約で生じ、登記は第三者に対抗するための要件です(民法177条)。本条による回復命令で登記記録は復元されます。実務のポイント:本当に痛いのは「取られる」ことではなく、滅失中は登記事項証明書が出ず、売却も融資も抵当権の抹消も止まる点です。回復の見込み時期を管轄法務局に照会して書面で残しておくと、買主や金融機関との日程交渉でそのまま材料になります。
Q2回復のとき、こっちから何か出せるんですか? それとも全部役所任せ?
回復は登記官の職権で進みますが、資料が欠ける部分では関係者の提出資料が判断材料になります。登記識別情報通知(旧権利証)、売買契約書、代金の振込記録、固定資産税の納税通知書を早めに出すのが実務です。実務のポイント:決済を担当した司法書士の事務所には、申請書控えと添付書面の写しが数年単位で残っていることが多い。自宅の書類を失った人ほど、当時の司法書士に連絡したほうが復元は速い。
間違えやすい点 AI による整理
- 「登記簿が消えたら家を取られるのでは」という問いの立て方そのものが誤っている。所有権は登記によって生まれるのではなく、登記は第三者に対抗するための手段(民法177条)。立てるべき問いは「取られるか」ではなく、「記録が空白の間に第三者が現れたら、自分は何で権利を立証するか」である
- 回復の仕組みがあること自体は知っていても、その期間中の実害を軽く見ている人が多い。登記事項証明書が出ない間は、売却も融資も抵当権抹消も相続登記も止まる。権利は無傷でも、資産としては動かせない塊になる。滅失の本当の被害は所有権ではなく、流動性のほうに出る
- 権利証さえ持っていれば安心だと思われがちだが、回復の判断で効くのは一枚の書面ではなく複数資料の整合である。売買契約書、代金の振込記録、固定資産税の納税通知書、これらが噛み合って初めて登記官が回復の材料にできる。書類が一点しか残っていない人ほど、回復後の記載が薄くなる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 不登法13条:滅失した登記記録の回復命令(非常時の指揮系統) | 不登法11条:登記記録の作成方法(平時の基本ルール) 不登法119条:登記事項証明書の交付(記録の外部提供) |
| 動く主体 | 法務大臣が命令、登記官が職権で回復 | 登記官が一筆の土地・一個の建物ごとに作成 請求者の申請に基づき登記官が交付 |
| 権利者の関与 | 原則として待つ側。資料提出で回復の精度に影響を与えられる | 表示・権利の登記申請を通じて関与 誰でも手数料を納付して請求できる |
| 滅失時の帰結 | 一定の期間を定めて回復処分が命じられる | 回復後に本条の様式で記録が立て直される 回復完了まで滅失部分の証明書は交付されない |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾も地政機関による登記制度をとり、登記簿が滅失した場合は関係資料に基づく重造手続で復元する。登記に公信力を認める点(土地法43条)が日本と異なり、回復後の記載の重みが大きい
韓国は登記簿の損傷またはそのおそれがある場合に必要な処分を命じうる構造で、日本の本条と極めて近い。命令主体が司法行政機関である点も類似する
中国は不動産登記簿の保管・修復を条例レベルで規律し、登記機構が原本と電子データの双方を保存する。民法典209条以下により登記が物権変動の効力要件である点で日本と根本的に異なる
ドイツは登記に公信力を認め、登記が物権変動の効力要件であるため、登記簿の滅失は権利関係そのものの証明に直結する。回復手続は日本より厳格な資料審査を伴う
フランスは公示(publicité foncière)を対抗要件として構成する点で日本に近い。滅失時は公証人の保管する原本(minute)が再構成の中核資料となり、公証制度が実質的なバックアップとして機能する
米国は州ごとの登録制度で、記録滅失時の再構成手続も州法に委ねられる。実務上は権原保険(title insurance)が記録滅失リスクを吸収するため、行政的回復命令への依存度が低い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 引渡し決済を三日後に控えた朝、管轄法務局が被災して登記記録が滅失したと知らされたらどうなる? 売主も買主も権利そのものは失わないが、所有権移転登記も抵当権設定登記もできず、銀行は融資を実行できない。決済は延期、その間もローンの金利条件と引越し日程だけが動いていく。回復命令の期間を法務局に確認できるかどうかで、再設定できる日程の精度が変わる
- 戦災で登記簿が焼けた地域では、いまも登記事項証明書に「滅失回復」の文字が残る。回復時の資料が乏しければ、面積や持分が実態とずれたまま固定される。その歪みが数十年後、相続の場面で表に出る
- あなたが仲介業者や売主の側で、回復手続の途中にある物件を扱ったとする。登記事項証明書が取れない状態で買主に「問題ありません」と言えば、後で説明義務違反を問われるのはあなただ。回復命令の期間と進捗を法務局に照会し、その内容を書面で買主に渡した記録があるかどうかで、立場は正反対になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 管轄法務局に、滅失の範囲と回復命令で定められた期間、証明書交付の再開見込みを照会し、回答を書面またはメールで残す2. 権利を裏づける資料(登記識別情報通知または旧権利証、売買契約書、決済時の振込明細、固定資産税納税通知書、抵当権者の残高証明)を集めて早期に提出する3. 決済を担当した司法書士に連絡し、申請書控えと添付書面の写しの有無を確認する4. 売却・融資の予定があれば、相手方と金融機関に回復見込みを共有して日程を組み直す
訴えられた側:1. 仲介・売主・金融機関の側であれば、回復期間中に登記事項証明書が取得できない事実と、その理由・見込み時期を書面で相手方に開示する2. 決済を強行せず、所有権移転登記および抵当権設定登記が可能になる時期を停止条件または延期条項として契約書に落とす3. 事務所に残る過去の申請書控えと添付書面の写しを整理し、依頼者の回復申出に提供できる状態にする4. 説明した内容と交付日時の記録を残す。後日の説明義務違反の主張に対し、この記録が唯一の防御線になる
時効(請求できる期限):本条の「一定の期間」は法務大臣が事案ごとに定めるもので、法律上固定の日数はない。他方、相続登記の申請義務(不動産登記法76条の2、令和6年(2024年)4月1日施行、相続の開始と所有権取得を知った日から3年、正当な理由なく怠れば10万円以下の過料)は、登記記録が滅失していても進行する。回復待ちで期限に届かない見込みなら、相続人申告登記(同76条の3)や法務局への事情の申出を先に動かす。回復後の記載に誤りがあった場合の是正は、更正登記または登記官の職権更正で争う
学説
通説:滅失回復は失われた公示を復元する手続であり、実体上の権利関係を新たに形成するものではない。したがって回復後の記載が実体と異なる場合、記載が権利を生じさせることはなく、更正登記等による是正の対象となる。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 現行不動産登記法(平成16年法律第123号)の制定により、旧法下の滅失回復に関する規律を承継しつつ、対象を紙の「登記簿」から電子化を前提とした「登記記録」へと改めた。オンライン申請・磁気ディスク登記簿への移行に対応した文言整理である
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)により、旧法下の滅失回復に関する規律を承継しつつ、対象を紙の「登記簿」から電子化を前提とする「登記記録」へ改めた。オンライン申請・磁気ディスク登記簿への移行に対応する文言整理である
- 不動産登記法 第11条回復対象となる登記記録の作成方法の基本規定
- 不動産登記法 第14条地図・図面も登記所備付資料として滅失回復の対象
- 不動産登記法 第119条回復完了まで交付できない登記事項証明書の根拠
- 不動産登記法 第76条の2滅失中も進行する相続登記の申請義務と過料
- 民法 第177条登記を物権変動の対抗要件とする実体法上の根拠
- 商業登記法 第9条商業登記簿の滅失回復命令に関する同旨規定(現行効力を要確認)
- 国家賠償法 第1条登記官の過失による損害の賠償根拠
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