不動産登記法 第31条(表題部所有者の氏名等の変更の登記又は更正の登記)
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表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、表題部所有者以外の者は、申請することができない。
この条文の基本情報
表題部所有者の氏名等の変更の登記又は更正の登記とは何ですか?
定義表題部所有者の氏名等の変更の登記又は更正の登記とは、不動産登記法第31条に定められた規定で、「表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、表題部所有者以外の者は、申請することができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第31条(表題部所有者の氏名等の変更の登記又は更正の登記)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第31条の条文原文は「表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、表題部所有者以外の者は、申請することができない。」で始まります。
- 不動産登記法第31条は第一款 通則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第31条の前の条は不動産登記法第30条です。
- 不動産登記法第31条の次の条は不動産登記法第32条です。
- 不動産登記法第31条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第31条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第31条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/31
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法31条は、表題部所有者の氏名・住所の変更登記や更正登記を、表題部所有者以外の者は申請できないと定める。買主でも申請適格はなく、30条または74条が迂回路となる。
Q · 買った家の登記簿の一番上に載っている前の持ち主の住所、自分で直せますか?
直せない。本人に申請してもらうか74条で迂回する
不動産登記法31条により、表題部所有者の氏名・名称・住所の変更登記および更正登記は、表題部所有者本人以外の者は申請できません。代金を全額払った買主でも申請適格はなく、申請すれば25条4号(申請の権限を有しない者の申請)で却下され、補正では治りません。取り得る道は二つで、売主本人(死亡していれば30条の一般承継人)に申請してもらうか、表題部に触れず74条により自分名義の所有権保存登記を入れて表題部所有者欄の役目を終わらせるかです。
解説
登記簿には二つの階層がある。上段の表題部には、その土地や建物が「どこにあり、どんな形で、誰のものとして最初に記録されたか」が書かれる。そこに載っている人が表題部所有者である。不動産登記法31条は、その氏名・名称・住所の変更登記と更正登記について、表題部所有者以外の者は申請できないと言い切る。買主でも、隣人でも、代金を全額払った人でも、他人の表題部の住所を一文字も直せない。あなたが所有権の登記のない建物を買い、決済直前に「表題部所有者の住所が20年前のまま」と気付いたとき、あなた自身の手ではどうにもならない。取れる道は二つ。売主本人に申請してもらうか、表題部に触らず74条で自分名義の所有権保存登記を入れて、表題部所有者欄そのものを役目終わりにするか。この二択を持っているかどうかで、決済が予定どおり進むか一か月ずれるかが決まる。
法的な位置づけ
不動産登記法31条は、表示に関する登記のうち、表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記および更正の登記について、申請適格を表題部所有者本人に限定する規定である。適格を欠く第三者の申請は25条4号により却下され、相続人その他の一般承継人については30条が例外を定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書で表題部所有者欄を突合する 登記事項証明書を取得し、権利部より先に表題部の所有者欄(氏名・名称・住所)を確認する。現在の住民票・法人登記事項証明書と一字単位で突合し、権利部に所有権の登記があるかどうかも同時に確認する
- 2.申請できる人が誰かを31条・30条で確定する 表題部所有者本人が存命なら本人のみが申請人となる。死亡していれば30条により相続人その他の一般承継人が申請人となる。買主・仲介業者・隣接地所有者はいずれも適格を欠き、この段階で申請人を確定しておかないと25条4号で却下される
- 3.住所・氏名の沿革をつなぐ書類を集める 住民票の除票と戸籍の附票で旧住所から現住所までの移転履歴を連続させる。除票が保存期間経過で廃棄され連続しない場合は、不在籍証明書・不在住証明書、登記済証、印鑑証明書を添えた上申書で同一性を補完する
- 4.表題部を直すか74条で迂回するかを決める 本人の協力が得られない、所在不明、法人が清算結了しているなど表題部の修正が現実的でない場合は、74条1項1号(相続人)または2号(所有権確認の確定判決)による所有権保存登記に切り替える。保存登記により表題部所有者に関する登記事項には抹消の記号が記録される
- 5.決済日程に費用と責任を織り込む 売買であれば、表題部所有者たる売主の申請協力と必要書類の取得費用を決済条件として契約書に明記する。契約前に条項化すれば売主負担にできるが、契約後の発覚は買主の持ち出しと日程遅延になる
よくある質問 AI による整理
Q1表題部所有者とは何ですか?
所有権の登記がない不動産について、登記記録の表題部に所有者として記録されている者です(2条10号)。権利部の所有権登記名義人とは別の概念で、31条の申請適格はこの表題部所有者に限られます。
Q2未登記建物を買ったら名義変更はどうしますか?
表題部の書き換えではなく、74条1項の所有権保存登記で自分名義を入れるのが本筋です。保存登記が入ると表題部所有者に関する登記事項には抹消の記号が記録され、表題部を直す必要自体が消えます。
Q3表題部と権利部の違いは何ですか?
表題部は不動産の物理的現況と最初の所有者を記録する階層、権利部は所有権や抵当権など権利関係を記録する階層です。住所変更登記の義務化(76条の5)が及ぶのは権利部の所有権登記名義人のみです。
Q4表題部所有者が死亡している場合はどうなりますか?
30条により相続人その他の一般承継人が申請できます。さらに74条1項1号で相続人が直接、自分名義の所有権保存登記に進む選択肢もあり、表題部を経由しないほうが早い場面も多くあります。
Q5表題部所有者の住所変更登記に必要な書類は?
旧住所から現住所までの移転履歴をつなぐ住民票の除票または戸籍の附票が中心です。氏名変更なら戸籍謄本、法人の名称・本店変更なら登記事項証明書で沿革を証明します。
Q6住民票の除票が取れないときはどうしますか?
保存期間経過で廃棄された除票は復元できません。実務では不在籍証明書・不在住証明書、登記済証、印鑑証明書を添えた上申書で同一性を補完します。登記所ごとの運用差があるため事前相談が有効です。
Q7表題部所有者不明土地はどうなりますか?
「山田太郎外7名」のような記録では本人を特定できず、31条により誰も直せません。令和元年制定の表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律により、登記官の職権探索という別経路が用意されました。
Q8表題部所有者以外が申請したらどうなりますか?
25条4号の「申請の権限を有しない者の申請」として却下されます。添付書類を足しても補正では治らず、申請人そのものを差し替えるしかありません。却下は登録免許税や日程に直接響きます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1引っ越したんですけど、表題部の住所も変えないと過料を取られますか?
取られない。表題部所有者の氏名・住所の変更登記に申請義務も過料もない。2026年4月1日施行の住所等変更登記の義務化(76条の5)が対象とするのは権利部に記録された所有権の登記名義人であり、2条10号の表題部所有者はそこに含まれない(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:義務がないから放置され、20年後の売却や相続で除票が取れず、上申書と印鑑証明の束を作る側に回る。住所がつながっている今が最も安い。
Q2司法書士に頼めば、他人名義の表題部でも直してもらえますよね?
代理と申請適格は別の話である。専門家は本人の代理人として申請できるだけで、申請人は31条により表題部所有者本人のままであり、適格のない者の申請は25条4号で却下されて補正でも治らない。実務のポイント:氏名・住所の変更登記は表示に関する登記に属し、実務上その申請代理は土地家屋調査士の領域とされる。事務所に持ち込んで話が進まないのは能力ではなく担当領域の線引きの問題であり、最初から相談先を分けると数週間短縮できる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「どうすれば他人名義の表題部を直せるか」という問いの立て方自体が誤っている。31条は方法の問題ではなく申請適格の問題であり、工夫や添付書類で乗り越えられる性質のものではない。道は「本人(または30条の一般承継人)に申請させる」か「表題部を経由せず74条で自分名義の保存登記を入れる」かの二本しかない。後者を選べば、保存登記と同時に表題部所有者に関する登記事項には抹消の記号が記録され、直す必要そのものが消える
- あなたから見れば「代金を払い、鍵も受け取った自分の家」だが、登記から見れば「まだ売主が表題部所有者のままの不動産」である。この落差が続いている間、あなたは31条上は完全な部外者であり、登記所の窓口では申請権限を有しない者として扱われる。所有の実感と申請適格は、まったく別の座標にある
- 「本人しか申請できない」ことは知っていても、本人が死亡し相続人も分からない、行方不明、法人が清算結了した瞬間に、その不動産の表題部が事実上凍結されることまでは知られていない。凍結の深刻さは、国が特別法を一本作らなければ解けなかった水準である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰が申請できるか | 31条:表題部所有者本人のみ | 30条:相続人その他の一般承継人 74条:所有権を有することが確定した者(相続人・判決取得者等) |
| 何を動かすか | 31条:表題部所有者の氏名・名称・住所の変更/更正 | 30条:被承継人が申請できた表示に関する登記全般 74条:権利部への所有権保存登記(表題部所有者欄には抹消の記号) |
| 適格を欠いた場合の帰結 | 31条:25条4号で却下、補正不可 | 30条:承継の証明(戸籍等)が不足すれば補正または却下 74条:所有権取得の証明が不足すれば却下、表題部は残置 |
| 実務上どちらを選ぶか | 31条:本人が存命で協力が得られるときの最短路 | 30条:本人死亡で相続人が確定しているとき 74条:本人非協力・所在不明・清算結了のときの迂回路 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の登記簿は標示部・所有権部・他項権利部の三部構成で、日本の表題部所有者に相当する独立階層を持たない。建物は建物所有権第一次登記により権利部から始まり、登記名義人の住所変更登記も名義人本人が申請する点は日本と同じ構造である
韓国の登記簿も표제부・갑구・을구の三段構成で、表題部の概念が日本と直接対応する。日本統治期を経由して受け継がれた構造であり、表示に関する登記の申請人が限定される点も共通する
ドイツの Grundbuch は日本のような物理的現況と権利関係の二階建て分離を採らず、Bestandsverzeichnis と Abteilungen で構成される。名義表示の訂正は Berichtigung として、影響を受ける者の申請または Bewilligung により行われる
米国は登記簿ではなく証書録(deed records)方式で、grantor/grantee index により所有の連鎖を追跡する。氏名・住所の誤りは correction deed や scrivener's affidavit で是正するが、いずれも record owner 本人でなければ作成できない点は日本31条と機能的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが買った築古の建物に所有権の登記がなく、表題部所有者の住所が20年前の旧住所のままだったら? 決済まであと21日。あなたは買主として住所変更登記を申請できない。売主本人に申請してもらうか、売主から所有権を取得したことを証明して74条の保存登記に持ち込むか、その二択を今日中に決めないと決済日は動く
- 相続した実家の登記簿を見たら、亡父の旧住所のままだった。31条の壁に見えるが、30条が一般承継人による申請を認めている。相続人であるあなたは、この登記を自分の名で申請できる側にいる
- 市が道路を広げるため用地買収に入ったが、対象地に所有権の登記がなく、表題部所有者欄は「山田太郎外7名」とだけ書かれている。外7名が誰か分からず、31条により本人以外は誰も直せないため、工事は半世紀止まったまま。令和元年に表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律が作られ、登記官の職権による探索という別ルートがようやく開いた
取るべき行動
被害を受けた側:1. 表題部所有者欄の氏名住所と、現在の住民票・登記事項証明書を突合する2. 本人が存命なら本人が申請する(表示に関する登記なので、申請代理は実務上、土地家屋調査士の領域) 3. 住所移転の履歴は住民票の除票と戸籍の附票でつなぐ4. 除票が廃棄済みでつながらない場合は、不在籍・不在住証明書、登記済証、印鑑証明書付きの上申書で補完する5. 本人死亡なら30条で相続人が申請するか、74条1項1号で相続人が直接、所有権保存登記に進む
訴えられた側:他人の表題部を直そうとして止められた側の手順。1. 31条違反の申請は、申請の権限を有しない者の申請として25条4号で却下される。補正では治らず、申請人を差し替えるしかないと理解する2. 売買なら、表題部所有者たる売主の申請協力を決済条件として契約書に明記する3. 売主が協力しない、または所在不明なら、所有権確認の確定判決を得て74条1項2号で自分名義の保存登記に切り替える4. 表題部所有者が不明の土地なら、通常の申請ルートを諦め、表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律に基づく登記官の探索手続を検討する
時効(請求できる期限):本条の登記に申請期限も過料もない。1月以内の申請義務があるのは物理的現況の変更(土地の地目・地積は37条、建物の表示変更は51条)であり、氏名・住所は対象外である。2026年4月1日施行の住所等変更登記の義務化(76条の5、変更から2年以内、違反は5万円以下の過料)は、権利部に記録された所有権の登記名義人が対象で、表題部所有者には及ばない(最新の改正状況をご確認ください)。実質的な期限は書類側にある。2019年6月20日より前に5年の保存期間を過ぎて廃棄された住民票の除票は復元できず、その一点で住所の連続性の立証コストが跳ね上がる
学説
通説:31条は登記手続上の申請適格を定める規定であり、実体的な所有権の帰属を左右するものではないと解される。したがって買主が所有権を実体的に取得していても、表題部の記録を自ら是正する権能は生じず、是正は本人・一般承継人による申請か、74条の保存登記による表題部所有者欄の失効に委ねられる。
立法論・実務上の指摘:表題部所有者に氏名・住所の変更登記の義務がなく、他方で本人以外は申請できないという組み合わせが、表題部所有者不明土地という滞留を生んだと指摘される。令和元年の特別法による登記官の職権探索は、この構造的副作用を申請主義の外側で補正する立法対応と位置付けられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)全部改正 明治32年制定の旧不動産登記法を全部改正した現行法(平成16年法律第123号)により、表示に関する登記の通則の一つとして現在の条番号に置かれた。旧法下の対応規定との異同、およびその後の改正の有無は要検証
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:明治32年制定の旧不動産登記法を全部改正した現行法(平成16年法律第123号)により、表示に関する登記の通則の一つとして現在の条番号に置かれた。旧法下の対応規定との異同は要検証
- 2.令和元年(2019年) 新設(特別法):表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律が制定され、31条の申請適格の壁により是正できない表題部所有者不明土地について、登記官による所有者等の探索という別経路が設けられた
- 不動産登記法 第2条表題部所有者と登記名義人の定義の分岐
- 不動産登記法 第30条相続人その他一般承継人による申請の道
- 不動産登記法 第32条表題部所有者自体の更正登記の申請適格
- 不動産登記法 第74条所有権保存登記の申請適格、表題部を迂回する経路
- 不動産登記法 第25条申請権限のない者の申請は4号で却下
- 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律 第3条登記官の職権探索の根拠(条番号要確認)
- 民法 第177条権利登記の対抗力、表示登記には及ばない
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