要点不動産登記法 79 条は、永小作権の登記事項として小作料を必須とし、存続期間や支払時期の定め、民法 272 条ただし書の譲渡禁止特約は、定めがあるときに登記事項となる。
Q · 永小作権を登記するとき、登記簿には何が載るんですか?
小作料は必ず登記、特約は定めがあるときだけ登記します
不動産登記法 79 条により、永小作権の登記事項は、同法 59 条各号の共通登記事項に加えて、①小作料(無条件で必須)、②存続期間または小作料の支払時期の定めがあるときはその定め、③民法 272 条ただし書の譲渡・賃貸の禁止の定めがあるときはその定め、④その他永小作人の権利義務に関する定めがあるときはその定め、となります。1 号の小作料だけが「定めがあるときは」の条件を持たないのは、民法 270 条が小作料の支払を永小作権の要素としているためで、無償の永小作権は成立せず、記載を欠く申請は登記官の段階で通りません。
相続した農地の登記事項証明書を開くと、永小作権の欄には必ず小作料の金額が書かれている。これは偶然ではない。79条が挙げる登記事項のうち、1号の小作料だけが「定めがあるときは」という条件を持たない。すぐ手前の78条は地上権の地代を「定めがあるときは」と条件付きにしているのに、である。理由は永小作権の本質にある。民法270条は小作料を支払うことを永小作権の要素としており、無償の永小作権は存在しない。だから小作料の記載を欠く申請は登記官の段階で通らない。そしてもう一つ、3号が名指しする民法272条ただし書、つまり譲渡・賃貸の禁止特約。これを登記簿に載せなければ、地主は永小作権を買い受けた第三者に「譲渡は禁じてあった」と言えない。契約書に書いてあっても、登記簿になければ、その特約はあなたの外の世界には存在しない。
不動産登記法 79 条は、永小作権の登記の登記事項を定める規定である。同法 59 条各号の共通登記事項に加え、小作料を必須の登記事項とし、存続期間または小作料の支払時期の定め、民法 272 条ただし書による譲渡・賃貸の禁止の定め、その他永小作人の権利義務に関する定めについては、定めがあるときに限り登記事項となる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
他人の土地で耕作や牧畜を行う物権です。民法 270 条以下が定め、小作料の支払が要素とされます。賃借権と違い地主の承諾なく譲渡・相続でき、抵当権の目的にもなります。
59 条各号の共通事項に加え、小作料が必須です。存続期間または支払時期の定め、民法 272 条ただし書の譲渡等禁止の定め、その他永小作人の権利義務の定めは、定めがあるときに登記します。
登記申請そのものが通りません。79 条 1 号は小作料を無条件の登記事項とし、民法 270 条も小作料の支払を永小作権の要素とするため、無償の永小作権は登記できないからです。
設定行為で定める場合は 20 年以上 50 年以下で、50 年を超える定めは 50 年に短縮されます。定めがないときは、別段の慣習がある場合を除き 30 年です(民法 278 条)。
必要です。増額は当事者間では合意時から有効ですが、登記しなければ永小作権を譲り受けた第三者には登記簿上の旧額しか主張できません。79 条 1 号の登記事項の変更として申請します。
できます。物権なので地主の承諾は不要で、相続により当然に承継されます。相続した土地の乙区に永小作権が残っていれば、所有者であっても自由な耕作や売却はできません。
小作料の滞納が引き続き 2 年以上あれば消滅請求ができます(民法 276 条)。ほかに存続期間の満了、合意解除、永小作人による放棄(民法 275 条)、混同という道があります。
売買自体は可能ですが、買主は永小作権の負担をそのまま引き継ぎます。金融機関の担保評価も大きく下がるため、実務では先に消滅させるか、価格に反映させて取引します。
できる。民法270条以下は現行法として生きており、79条も登記事項を定めたままだ。ただし農地に設定するなら農地法3条の許可が要り、新規設定は実務上ごく少ない。登記簿に残るものの多くは明治・大正期からの承継である。業界裏話ヒント:司法書士でも永小作権の設定登記を一度も扱わずに引退する人がいる。永小作権が絡む相続や売買では、依頼前に取扱経験の有無を聞いておくと事故が減る
当事者の間では有効だ。だが79条3号が民法272条ただし書の定めをわざわざ登記事項に挙げているのは、登記しなければ第三者に対抗できないからにほかならない。権利が譲渡されれば、譲受人に禁止特約を突きつける足場を失う。業界裏話ヒント:登記官は当事者間の設定契約書まで見に行かない。特約を登記簿に載せるかどうかは、実質的に申請人側の選択になっている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対価の登記 | 79 条 1 号:小作料は無条件の必須登記事項 | — |
| 譲渡に関する定めの扱い | 79 条 3 号:民法 272 条ただし書の「禁止する定め」を登記事項とする | — |
| 権利の性質と処分の自由 | 物権。地主の承諾なく譲渡・相続でき、抵当権の目的にもなる(民法 272 条本文、369 条 2 項) | — |
| 存続期間 | 20 年以上 50 年以下、定めがなければ別段の慣習を除き 30 年(民法 278 条) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。