要点不動産登記法 80 条は、承役地の地役権登記の登記事項として要役地・目的・範囲を定め、地役権者の氏名住所は登記不要とする。要役地に所有権の登記がなければ設定登記はできない。
Q · 地役権を登記するとき、なぜ権利者の名前が登記簿に載らないのですか?
地役権者の名前は登記されない。権利は土地に付くからだ
不動産登記法 80 条 2 項は、同法 59 条 4 号にかかわらず、地役権者の氏名又は名称及び住所を登記することを要しないと定めます。地役権は要役地に付従して移転する権利(民法 281 条 1 項)であり、要役地の所有者が誰であるかは要役地の所有権登記で公示されるためです。したがって要役地を売却しても地役権の移転登記は不要です。代わりに 80 条 1 項は要役地、地役権設定の目的及び範囲、別段の定めを登記事項とし、「どの土地のための、どういう内容の権利か」を特定させています。
隣の土地を通らないと自分の家の車庫に入れない、水道管を隣地の地下に通している、隣地に建物を建てられると自分の家の日照が消える。こうした「他人の土地を自分の土地のために使う権利」が地役権であり、不動産登記法 80 条はその登記の設計図を定めている。ここであなたが握るべき事実は二つある。第一に、地役権の登記には「誰が権利者か」を書かない(2 項)。地役権は人ではなく土地(要役地)にくっついた権利だからで、要役地を売れば地役権も自動的に買主へ移り、名義変更の登記も要らない。第二に、承役地(使われる側)に地役権の登記が入ると、登記官が職権で要役地の登記記録にもその旨を書き込む(4 項)。つまり、あなたが土地を買うとき承役地側の登記簿だけ見ても足りないし、逆に要役地側を見れば「この土地には他人の土地を使う権利が付いてくる」ことが読み取れる。目に見えない通行権や眺望確保の約束が、登記簿の中で土地に縫い付けられている。
不動産登記法 80 条は、承役地についてする地役権の登記の登記事項を定める規定である。同法 59 条各号の一般的登記事項に加え、要役地、地役権設定の目的及び範囲、民法 281 条 1 項ただし書等の別段の定めを登記事項とし、地役権者の氏名又は名称及び住所の登記は要しない。あわせて要役地への職権登記および設定登記の前提要件も規律する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
自分の土地(要役地)の便益のために他人の土地(承役地)を利用する物権です。民法 280 条が内容を定め、通行・引水・眺望確保・建築制限などを目的にできます。
不動産登記法 59 条各号の一般事項に加え、要役地、地役権設定の目的及び範囲、民法 281 条 1 項ただし書などの別段の定めです(80 条 1 項)。地役権者の氏名住所は含みません。
承役地の所有者を登記義務者、要役地の所有者を登記権利者として共同申請します(不動産登記法 60 条)。要役地に所有権の登記があることが前提です(80 条 3 項)。
登録免許税は承役地の不動産 1 個につき 1,500 円が基本で、別途、司法書士報酬と登記事項証明書の取得費用がかかります。承役地が複数筆なら筆数分が積み上がります。
地役権の消滅(放棄・合意解除・目的の消滅・時効)を原因として、承役地の所有者と要役地の所有者が共同で抹消登記を申請します。争いがあれば訴訟で確認してから単独申請します。
継続的に行使され、かつ外形上認識できる地役権に限り時効取得できます(民法 283 条)。通行地役権では要役地所有者自身による通路の開設が要求されるのが実務の理解です。
地役権は要役地に付従して当然に買主へ移転します(民法 281 条 1 項)。地役権者の氏名が登記されていないため(80 条 2 項)、移転登記の申請も費用も発生しません。
承役地の登記事項証明書の乙区で地役権設定登記を確認し、あわせて要役地の登記事項証明書で 80 条 4 項の職権記載を確認します。片側だけでは全体像を把握できません。
口約束でも当事者間では有効だが、隣地が売られた瞬間に新所有者へは主張できない。登記して初めて第三者に対抗できる(民法 177 条)。80 条 1 項が要役地・目的・範囲を登記事項とするのはそのためだ。業界裏話ヒント:不動産業者は承役地側の登記簿だけを重要事項説明に添えることが多い。要役地側の職権記載(4 項)まで確認する買主はごく少数で、そこに未開示の負担が眠っていることがある。
証明は要役地の所有権登記が担う。要役地の所有者であることを示せば、その時点で地役権者だと示せる仕組みで、だからこそ 80 条 2 項は地役権者の氏名・住所の登記を不要とした。要役地を売っても地役権の移転登記は要らない。業界裏話ヒント:この随伴性ゆえに、要役地を分筆・売却する場面で地役権の帰属が争点になりやすい。分筆時に地役権をどの筆に残すか、民法 282 条 2 項の扱いも含めて司法書士と事前に詰めるかどうかで、後の紛争率が変わる。
建物を建てたばかりの土地や相続で放置された土地は、表題登記だけで所有権保存登記が未了のことがある。この状態では 80 条 3 項により承役地への地役権設定登記ができない。まず要役地の所有権保存登記が先だ。業界裏話ヒント:相続で数世代放置された土地は、所有権保存の前提として相続登記が必要になり、着手から完了まで数か月かかる。地役権の設定交渉がまとまっているのに登記できず、その間に隣地が売られて話が振り出しに戻る、という事故が実際に起きる。
不要である。80 条 4 項により、登記官が職権で要役地の登記記録に法務省令で定める事項を記録する。申請人が別途申請する必要はなく、費用も発生しない。業界裏話ヒント:この職権記載は自動だが、要役地側の登記記録を後から取得して記載を実際に確認する人は少ない。記録漏れや地番の誤記が残っていると、将来の売買で買主側から「地役権の存在が確認できない」と指摘される。設定完了後に要役地の登記事項証明書を一通取って目視確認するだけで防げる。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 不登法 80 条:承役地の地役権登記に固有の登記事項(要役地・目的・範囲・別段の定め) | — |
| 権利者の氏名住所 | 登記不要(80 条 2 項、59 条 4 号の特則) | — |
| 登記の前提要件 | 要役地に所有権の登記があること(80 条 3 項) | — |
| 職権登記の有無 | 登記官が要役地に職権登記する義務あり(80 条 4 項) | — |
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