不動産登記法 第81条(賃借権の登記等の登記事項)
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- 賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
- 一賃料
- 二存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
- 三賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
- 四敷金があるときは、その旨
- 五賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
- 六土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
- 七前号に規定する場合において建物が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物であるときは、その旨
- 八借地借家法第二十二条第一項前段、第二十三条第一項、第三十八条第一項前段若しくは第三十九条第一項、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条第一項又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め
この条文の基本情報
賃借権の登記等の登記事項とは何ですか?
定義賃借権の登記等の登記事項とは、不動産登記法第81条に定められた規定で、「賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第81条(賃借権の登記等の登記事項)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第81条の条文原文は「賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。」で始まります。
- 不動産登記法第81条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第81条の前の条は不動産登記法第80条です。
- 不動産登記法第81条の次の条は不動産登記法第81条の2です。
- 不動産登記法第81条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第81条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第81条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/81
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法81条は、賃借権および転貸の登記事項として、賃料、存続期間、譲渡転貸の可否、敷金の有無、建物所有目的、定期借地権の定めなど八項目を定める。
Q · 賃借権を登記すると、契約の中身はどこまで他人に見られるんですか?
賃料も存続期間も敷金の有無も公示される
不動産登記法81条により、賃借権の登記には賃料、存続期間や支払時期の定め、譲渡・転貸を許す旨の定め、敷金があるときはその旨、建物所有目的か否か、定期借地権等の定めが記録されます。登記事項証明書は利害関係の有無を問わず誰でも請求できるため(同法119条)、登記された賃借権の賃料水準は第三者からも見える情報になります。その代わり、登記があれば所有者が入れ替わっても賃借権を対抗できます(民法605条)。
解説
登記簿は誰でも数百円の手数料で取れる。だから賃借権を登記した瞬間、その物件にいくらの賃料を払っているかは、競合他社にも取引先にも見える情報になる。不動産登記法81条が並べる八つの項目、賃料、存続期間、譲渡転貸を許すかどうか、敷金の有無、定期借地権かどうか、これらは全部そこに載る。裏返せば、この条文は逆向きにも使える。土地を買う前、資材置場を借りる前、定期借地権付きマンションを検討する前に、権利部乙区のこの欄を読めば、その不動産が何年後に自由になるのか、借りている側がどれだけ強いのかが一目で分かる。そしてもう一つ、多くの借主が知らない事実がある。賃貸人には賃借権の登記に協力する義務がないというのが大審院以来の判例であり、登記は共同申請だ。つまり登記できるかどうかは、契約書にサインする前の交渉でしか決まらない。
法的な位置づけ
不動産登記法81条は、賃借権の登記および賃借物の転貸の登記に固有の登記事項を列挙する規定である。第59条各号の共通登記事項に加えて、賃料、存続期間または賃料の支払時期の定め、譲渡・転貸を許す旨の定め、敷金の有無、賃貸人の処分権限の制限、建物所有目的、事業用定期借地権等および定期借地権等の定めが、権利部乙区に記録される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.契約交渉の段階で登記協力の特約を入れる 賃料や保証金を詰めている最中に、登記に関する特約の可否を切り出す。賃貸人には登記協力義務がないため、契約締結後に頼んでも通らない。登録免許税と司法書士報酬を賃借人が全額負担する条件を先に提示すると、承諾を得られる確率が上がる
- 2.登記事項証明書で現況を確認する 法務局の窓口またはオンライン請求で、対象不動産の登記事項証明書を取得する。権利部乙区に既存の賃借権、抵当権、地上権がないかを確認し、順位と優劣関係を把握する。手数料は請求方法により異なるため、最新額は法務局の案内で確認する
- 3.81条各号のうち登記する事項を確定させる 賃料は必要的登記事項なので必ず記録される。存続期間、賃料の支払時期、譲渡・転貸を許す旨、敷金の有無、建物所有目的、定期借地権等の定めについては、契約内容と登記記録が食い違わないよう条項を突き合わせる。転貸を許す旨を登記するかどうかは将来の事業譲渡の可否に直結する
- 4.賃貸人と共同で賃借権設定登記を申請する 登記権利者を賃借人、登記義務者を賃貸人として共同申請する(同法60条)。登記識別情報、印鑑証明書、登記原因証明情報を揃え、司法書士に委任するのが実務上一般的である。登録免許税額は不動産の価額により変動するため、事前に司法書士へ見積りを依頼する
- 5.完了後の登記記録を検証し、公示範囲を社内共有する 登記完了後に登記事項証明書を再取得し、賃料額、存続期間、定期借地権の定めが意図どおり記録されているかを確認する。賃料が公示される以上、同一エリアで別テナントと交渉する際の材料になり得ることを、営業・経理部門にも共有しておく
よくある質問 AI による整理
Q1賃借権は登記しないとどうなりますか?
原則として新所有者に賃借権を主張できません。建物所有目的の借地は自己名義の建物登記、建物賃貸借は引渡しで代替できますが、駐車場や資材置場の土地賃借には代替手段がありません。
Q2賃借権の登記事項には何が含まれますか?
賃料、存続期間や支払時期の定め、譲渡・転貸を許す旨、敷金があるときはその旨、賃貸人の処分権限の制限、建物所有目的、事業用定期借地権等、定期借地権等の定めの八項目です。
Q3登記簿を見れば賃料は分かりますか?
賃借権が登記されていれば分かります。81条1号で賃料は必要的登記事項とされ、登記事項証明書は利害関係の有無を問わず誰でも請求できます(同法119条)。
Q4賃借権の登記は誰が申請しますか?
賃貸人と賃借人の共同申請です(同法60条)。賃貸人には登記に協力する義務がないとされるため、契約締結前に登記協力の特約を入れられるかが実質的な分かれ目になります。
Q5転貸を許す旨の定めも登記されますか?
定めがあるときは登記されます(81条3号)。任意的登記事項のため定めがなければ記録されず、その場合は民法612条の原則どおり賃貸人の承諾なく転貸はできません。
Q6土地を借りて建物を建てる場合、登記簿には何が載りますか?
賃借権設定の目的が建物の所有であるときはその旨が記録されます(81条6号)。その建物が借地借家法23条の事業用の建物であれば、7号でその旨も記録されます。
Q7賃貸人に処分権限がない場合も登記されますか?
賃貸人が行為能力の制限を受けた者や財産の処分権限を有しない者であるときは、その旨が登記事項になります(81条5号)。短期賃貸借の期間制限(民法602条)に関わる情報です。
Q8太陽光発電のための土地賃借は登記できますか?
建物所有目的ではないため借地借家法は適用されませんが、賃借権自体の登記は可能です。賃貸人の同意が得られれば、81条の賃借権登記が事実上唯一の対抗手段になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1大家さんに「賃借権を登記してください」って頼めば、やってもらえるものなんですか?
原則として通らない。登記は賃貸人と賃借人の共同申請であり(不動産登記法60条)、賃貸人には登記に協力する義務がないというのが大審院以来の判例だからだ。だから契約締結前に特約として入れるしかない。実務のポイント:貸主が渋る本音は費用と賃料公示の二つである。交渉の場で「登録免許税と司法書士報酬は全額こちら持ち」と先に言うと、通る確率が目に見えて上がる
Q2登記簿に定期借地権かどうか書いてあるって聞いたんですが、どこを見ればいいんですか?
権利部乙区の賃借権の欄を見る。81条8号により、借地借家法22条1項前段(一般定期借地権)、23条1項(事業用定期借地権)、38条1項前段(定期建物賃貸借)等の定めがあれば、その旨が記録される。実務のポイント:販売資料に定期借地権とあるのに8号の記載がない物件は、その定めが登記されていない可能性がある。契約前に自分で登記事項証明書を取り、資料と突き合わせる
間違えやすい点 AI による整理
- 「賃借権を登記すれば安心だ」と考える人は多いが、その問いの立て方自体がずれている。登記は賃貸人と共同で申請するもの(不動産登記法60条)であり、賃貸人には登記に協力する義務がないというのが大審院以来の判例である。つまり「登記するかどうか」はあなたが決められる事柄ではなく、契約締結前の交渉でしか手に入らない条件の一つにすぎない
- あなたから見れば賃料は当事者間の私的な取引条件だが、法から見れば公示すべき権利内容である。81条1号で賃料が登記事項とされている以上、登記された賃借権の賃料額は誰でも取得できる証明書に記載される。この視点の落差が、次の更新交渉やテナント募集の場面で、そのまま相手方の材料になる
- 「借地なら建物を登記しておけば守られる」は正しい知識だが、その保護が及ぶ範囲を正確に把握している人は少ない。借地借家法10条の保護は建物所有目的の借地権に限られ、駐車場、資材置場、野立ての太陽光発電のような土地賃借には及ばない。この領域では81条の賃借権登記だけが対抗手段であり、それを取れていない案件が実務には大量にある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 登記事項の対象となる権利 | 81条:賃借権および賃借物の転貸 | 59条:権利に関する登記すべてに共通する事項 81条の2:配偶者居住権 |
| 必ず記録される事項 | 賃料(1号)は定めがある限り必要的登記事項 | 登記の目的、受付年月日・受付番号、登記原因およびその日付、権利者の氏名または名称・住所 存続期間、第三者に使用収益させることを許す旨の定めがあるときはその定め |
| 任意的登記事項 | 存続期間・支払時期、譲渡転貸を許す旨、敷金の有無、処分権限の制限、建物所有目的、事業用定期借地権等、定期借地権等の定め | 共有持分、権利消滅に関する定め、信託に関する事項など 存続期間の定めなど |
| 実務上の最大の障害 | 賃貸人に登記協力義務がなく、共同申請(60条)が成立しない | 共通事項のため単独では登記の可否を左右しない 遺産分割・遺贈による取得が前提で、当事者間の合意だけでは設定できない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では不動産賃借権そのものは登記できず、建物所有目的の基地賃貸借について賃借人が地上権設定登記を請求できる構成をとる。日本の81条のように賃料を登記事項として公示する仕組みはない
韓国も賃貸借の登記を認め、차임(賃料)、존속기간、임차보증금などを登記事項とする点で日本と極めて近い。植民地期に日本の登記制度を継受した痕跡が条文構成に残っている
ドイツでは Miete は登記されず、売却があっても法律上当然に買主が賃貸人の地位を承継するため、日本のような登記の有無による対抗力の断層が生じない。長期の土地利用は Erbbaurecht を独立の登記簿に記録して処理する
米国では州の登録法により lease または memorandum of lease を登録して後の譲受人に対抗する。賃料など条件の秘匿を望む当事者は memorandum のみを登録し、契約全文は非公開とする実務が定着している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 借りている資材置場の土地が売られたら、あなたは何を根拠に居座れる? 決済まであと三週間。建物がないので借地借家法10条の建物登記による対抗は使えず、契約書を何枚持っていても、登記がなければ新所有者に賃借権を主張できないのが原則である(民法605条)。今から賃貸人に登記を頼んでも、協力義務はない。動かせるのは、新所有者との条件交渉だけになる
- あなたが土地を買う側に回った。登記簿の乙区に賃借権があり、81条6号の「建物所有目的」が記録されている。借地借家法の適用がある借地権で、更新を拒むには正当事由が要る。実質、当分は返ってこない土地だと登記簿が告げている
- 店舗の賃借権を登記してもらえることになり、これで安心だと思った翌月、同業の知人から「あそこ、坪いくらで借りてるよね」と言われる。81条1号の賃料は登記事項であり、登記事項証明書は誰でも請求できる(不動産登記法119条)
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約書を開き、登記に関する特約があるか確認する2. なければ、建物所有目的の借地なら借地借家法10条(自己名義の建物登記)、建物賃貸借なら同法31条(引渡し)で対抗要件が代替できないか検討する3. どちらも使えない土地賃借(駐車場、資材置場、発電設備)なら、売却の話が具体化する前に賃貸人へ登記を打診し、登録免許税等の費用を自己負担すると提示する4. 売却が決まっている場合は、新所有者との間で賃貸借を承継する合意書を書面で取り、そこで登記まで詰める
訴えられた側:1. 賃貸人として登記を求められたら、賃料が公示されること、抵当権者との優劣、将来の売却時の価格影響を確認したうえで諾否を決める2. 承諾する場合は存続期間と譲渡転貸の可否(81条2号、3号)を明確に定め、無断転貸を許す形の記録にならないよう文言を詰める3. 買主の立場なら、決済前に乙区の賃借権の有無、6号の建物所有目的の記載、8号の定期借地権の定めを確認し、価格と引渡条件に反映させる
時効(請求できる期限):本条に固有の時効はない。賃借権設定登記には申請義務も申請期限もなく(令和6年4月1日開始の3年以内の申請義務は相続による所有権移転が対象、不動産登記法76条の2)、決め手は第三者が権利を取得する前に登記が完了しているかという早い者勝ちの構造である。未払賃料等の債権自体は一般消滅時効(民法166条、5年または10年)にかかる
学説
通説:賃借権は債権であるが、民法605条の登記および借地借家法の代替的対抗要件により物権に接近した保護を受ける。81条はその公示内容を法定し、第三者が権利の重さを事前に測定できるようにする機能を担うと解されている
通説(登記請求権):賃貸借契約から当然に賃借権の登記請求権が発生するとは解されず、特約がある場合にのみ賃貸人に登記協力義務が生じる。この帰結により、81条が用意する精緻な登記事項は実務上ほとんど稼働していないという評価が一般的である
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 旧不動産登記法のオンライン化対応を含む全部改正に伴い、賃借権および転貸の登記事項が現行81条として整理された。条文番号と条文構成が旧法から変わっているため、旧法時代の解説書との条番号の対応に注意が必要である(改正内容の詳細は人的検証を要する)
- 借地借家法等の改正に伴う引用条項の整理 8号が引用する借地借家法22条1項前段、38条1項前段という表記は、借地借家法側で電磁的記録による契約締結が認められた改正を反映したものである。また大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法7条1項の引用は、同法の制定に伴って加えられた。改正年次と新設・改正の区別は人的検証を要する(最新の改正状況をご確認ください)
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)に伴い、賃借権および転貸の登記事項が現行81条として整理された。旧法時代の解説書とは条番号が対応しないため、参照時に注意を要する
- 不動産登記法 第59条権利に関する登記の共通登記事項、本条の前提
- 不動産登記法 第3条賃借権を登記できる権利として列挙
- 不動産登記法 第60条共同申請主義、賃貸人の関与が不可欠
- 不動産登記法 第119条登記事項証明書の交付請求、賃料公示の根拠
- 不動産登記法 第81条の2配偶者居住権の登記事項、並列する居住権公示
- 民法 第605条賃借権登記による第三者対抗力の実体法上の根拠
- 借地借家法 第10条借地上建物の登記による対抗要件の代替手段
- 借地借家法 第22条一般定期借地権、本条8号の登記対象
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