不動産登記法 第81条の2(配偶者居住権の登記の登記事項)
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- 配偶者居住権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
- 一存続期間
- 二第三者に居住建物(民法第千二十八条第一項に規定する居住建物をいう。)の使用又は収益をさせることを許す旨の定めがあるときは、その定め
この条文の基本情報
配偶者居住権の登記の登記事項とは何ですか?
定義配偶者居住権の登記の登記事項とは、不動産登記法第81条の2に定められた規定で、「配偶者居住権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第81条の2(配偶者居住権の登記の登記事項)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第81条の2の条文原文は「配偶者居住権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。」で始まります。
- 不動産登記法第81条の2は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第81条の2の前の条は不動産登記法第81条です。
- 不動産登記法第81条の2の次の条は不動産登記法第82条です。
- 不動産登記法第81条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第81条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第81条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/81_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法81条の2は、配偶者居住権の登記事項として、59条各号のほか存続期間と第三者への使用収益許諾の定めを掲げる。存続期間は延長できない。
Q · 配偶者居住権を登記すると、登記簿には何が書かれるんですか?
登記されるのは存続期間と使用収益許諾の定めの二つです
不動産登記法81条の2により、配偶者居住権の登記には、第59条各号の共通事項に加えて、存続期間と、第三者に居住建物の使用又は収益をさせることを許す旨の定めがあるときはその定めが記録されます。存続期間は延長も更新もできないとされ、登記された期間が満了すれば権利は消滅します。使用収益許諾の定めが登記されていなければ、建物を貸すには所有者の承諾が必要です(民法1032条3項)。
解説
夫が亡くなり、家の所有権は先妻の子に渡った。それでも妻はその家に住み続けられる。2020年4月に動き出した配偶者居住権という仕組みだ。ただしこの権利は、登記して初めて建物の新しい買主に対抗できる。そして本条が命じる追加の登記事項は、たった二つ。存続期間と、第三者に使用又は収益をさせることを許す旨の定めである。この二行が、あなたの残りの人生の条件を決める。存続期間を「10年」と決めて登記すれば、10年後に延長する手段はない(立法担当者の解説でも延長・更新は認められないとされている)。終身と登記すれば死ぬまで住める。もう一つ、施設に移って空いた家を貸したくなったとき、「第三者に使用収益させることを許す定め」が登記されていなければ、建物所有者の承諾が要る(民法1032条3項)。所有者が代替わりしていたら、その人に頭を下げることになる。登記してあれば、誰が所有者になろうと関係ない。
法的な位置づけ
不動産登記法81条の2は、配偶者居住権の登記に固有の登記事項を定める規定である。権利に関する登記に共通する第59条各号の事項のほか、存続期間、及び第三者に居住建物の使用又は収益をさせることを許す旨の定めがあるときはその定めを、登記事項として掲げる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.遺産分割協議書に二つの文言を入れる 金額の話に入る前に、協議書へ「存続期間は配偶者の終身とする」と「第三者に居住建物の使用又は収益をさせることを許す」の二点を明記させる。この二つがそのまま不動産登記法81条の2の登記事項になる
- 2.登記事項証明書で建物と土地の状況を確認 申請前に居住建物の登記事項証明書を取得し、先順位の抵当権の有無、建物と土地の所有者が一致しているかを確認する。先順位抵当権があれば競売時に対抗できないため、遺産分割の設計自体を組み替える
- 3.協議成立と同日に委任状と印鑑証明を回収 登記は配偶者と建物所有者の共同申請となるため、協議が成立したその場で司法書士に委任状・印鑑証明書・住民票を揃えさせる。日数が空くほど翻意と第三者への売却のリスクが上がる
- 4.建物所在地の法務局へ設定登記を申請 配偶者居住権設定登記を申請する。登録免許税は登録免許税法別表第一により居住建物の価額の1000分の2。存続期間と使用収益許諾の定めが登記記録に反映されているか、完了後の登記事項証明書で必ず確認する
- 5.所有者が協力しないなら訴訟と保全を同時に 建物所有者が判を押さない場合、民法1031条1項を根拠に登記手続請求訴訟を提起する。判決までの間に建物が転売されると対抗できなくなるため、処分禁止の仮処分を並行して検討する
よくある質問 AI による整理
Q1配偶者居住権の登記事項とは?
不動産登記法81条の2が定める登記事項です。59条各号の共通事項に加え、存続期間と、第三者に居住建物の使用又は収益をさせることを許す旨の定めがあるときはその定めが記録されます。
Q2配偶者居住権の登記は誰が申請しますか?
配偶者が登記権利者、建物所有者が登記義務者となる共同申請です(不動産登記法60条)。所有者には登記に協力する義務があります(民法1031条1項)。
Q3配偶者居住権の登記に期限はありますか?
設定登記自体に法定の申請期限はありません。ただし第三者が先に所有権移転登記を経ると対抗できなくなるため、実質的な期限は相手方が建物を処分するまでです。
Q4存続期間を終身にするとどう登記されますか?
存続期間は必要的な登記事項で、終身の場合も配偶者の死亡時までである旨が記録されます。期間を定めなければ原則は終身です(民法1030条)。
Q5配偶者居住権は土地にも登記できますか?
できません。登記できるのは居住建物のみで、敷地の利用は建物所有者が持つ土地利用権に依存します。土地だけが第三者に売られた場合の扱いは解釈が分かれる論点です。
Q6配偶者居住権付きの建物は売却できますか?
法律上は売却できますが、買主は居住する配偶者を退去させられないため、実務上は市場性が大きく落ちます。この点が遺産分割の交渉材料になります。
Q7使用収益許諾の定めを後から追加できますか?
登記事項の追加には建物所有者の協力が必要で、事後の同意取得は難航しがちです。遺産分割協議書の作成段階で定めを入れておくのが現実的です。
Q8抵当権がついた建物でも配偶者居住権を登記できますか?
登記自体はできますが、先順位の抵当権には対抗できません。競売で買い受けた人からの明渡請求には応じざるを得ず、登記の先後で結論が変わります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1配偶者居住権って、登記しなくても家に住み続けられるんじゃないんですか?
遺産分割で取得すれば建物所有者本人には主張できる。だが登記がないと、その所有者が建物を売った先の買主には対抗できない(民法1031条2項による605条準用)。買主から明渡しを求められれば負ける。所有者には登記に協力する義務がある(民法1031条1項)。実務のポイント:司法書士は遺産分割協議書を作る段階で、配偶者居住権の登記委任状まで同時に取る。協議成立日と申請日が離れるほど、翻意と売却のリスクが跳ね上がると知っているからだ
Q2とりあえず期間を短くしておいて、あとで延ばせばいいですよね?
延ばせない。配偶者居住権の存続期間は延長も更新もできないというのが立法担当者の説明であり、実務の取扱いでもある。存続期間が登記事項とされている(本条1号)のは、期間満了で権利が確定的に消えることを第三者に公示するためでもある。実務のポイント:期間を区切りたいと言い出す動機は、たいてい他の相続人が「いずれ家を売りたい」からだ。それなら期間を削るより、配偶者居住権の評価額を下げて代償金で調整する方が、配偶者側は安全に着地する
Q3老人ホームに入ったら、その家を貸して施設費用に充てられますか?
登記に「第三者に居住建物の使用又は収益をさせることを許す旨の定め」(本条2号)があれば貸せる。なければ建物所有者の承諾が必要で(民法1032条3項)、無断で貸すと是正の催告を経て配偶者居住権を消滅させられる(同条4項)。実務のポイント:施設入居は配偶者居住権を使う人の典型的な将来像なのに、この定めを協議書に入れる例は驚くほど少ない。入れて登記しておけば、所有者が誰に代わろうと賃料収入の道が残る
間違えやすい点 AI による整理
- 「配偶者は自動的に守られる」という前提そのものが誤っている。多くの人が混同しているのは配偶者短期居住権(民法1037条)で、こちらは遺産分割が確定した日か相続開始から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの暫定的な保護にすぎず、登記もできず第三者への対抗力もない。長期の配偶者居住権は、遺産分割・遺贈・死因贈与・審判のいずれかで取得し、さらに登記して初めて第三者に対抗できる。守られるのは自動ではなく、二段階の作業の結果である
- あなたから見れば「住む権利」だが、登記簿から見れば建物に付いた重い負担である。配偶者居住権が登記された建物は、実務上ほぼ売れない。買主は住んでいる配偶者を追い出せないからだ。この視点の落差が他の相続人との感情的対立を生むが、裏返せば、それが遺産分割の交渉であなたの側に生まれるてこになる
- 「登記されるのは建物だけで土地には入らない」ことを知っている人でも、その深刻度までは把握していない。配偶者居住権の登記は居住建物にしか入らず、敷地の利用は建物所有者が持つ土地利用権に依存する構造になっている。土地だけが第三者に売られた場合の配偶者の地位については、実務上、解釈が分かれている論点である。土地と建物の所有者が別々になる可能性がある事案では、遺産分割の設計段階で潰しておくべき穴だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 登記できるか | 配偶者居住権は登記でき、存続期間と使用収益許諾が登記事項(不登法81条の2) | 賃借権も登記でき、賃料・存続期間・譲転特約などが登記事項(不登法81条) 配偶者短期居住権は登記できない(民法1037条) |
| 第三者対抗力の源 | 登記により対抗力を得る(民法1031条2項が605条を準用) | 登記のほか建物賃貸借は引渡しでも対抗できる(借地借家法31条) 対抗力なし。建物取得者に主張できない |
| 存続期間 | 原則は配偶者の終身。期間を定めれば満了で消滅し、延長・更新はできない | 契約で自由に定められ、更新もあり得る 遺産分割確定日か相続開始から6か月経過日のいずれか遅い日まで |
| 第三者への使用収益 | 登記に許諾の定めがなければ所有者の承諾が必要(民法1032条3項) | 転貸は賃貸人の承諾が必要(民法612条) 使用のみが認められ、収益は想定されていない |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾民法には生存配偶者の居住権を物権化する制度がなく、遺産分割協議・遺贈のほか、第1149条の遺産酌給請求で個別に処理される。登記による公示という枠組み自体が存在しない点が日本と決定的に異なる
生存配偶者の居住保護をどう制度化するかは立法論として議論されているが、日本の配偶者居住権に対応する登記可能な権利の有無は確認できないため断定を避ける
2021年施行。居住権は登記により設立され(第368条)、原則として譲渡・相続できず、賃貸には別段の約定が必要とされる。登記を成立要件とする点で、日本の対抗要件構成より公示が強い
住居権は制限的人役権として土地登記簿に登記され、原則として譲渡不可。第三者への使用収益の許諾も登記により公示される構造で、本条の発想に最も近い
2001年改正で、相続開始後1年間の一時的居住権(763条)と終身の居住権(764条)を明文化。短期と長期の二層構造は日本の配偶者短期居住権・配偶者居住権と対応する
生涯不動産権は deed により設定され郡の登録所に記録される。州ごとに elective share や homestead exemption で生存配偶者の居住が保護されるため、統一的な単一制度ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 遺産分割協議がまとまり、母が配偶者居住権を取得することになった。だが登記をしないまま半年が過ぎたら、どうなる? 建物を相続した長男が資金繰りに詰まって第三者に売却した瞬間、母は買主に「ここに住む権利がある」と言えなくなる。登記は所有者との共同申請なので、長男が判を押さなければ登記手続を求める訴訟しか道がない。判決まで1年、その間に建物は転売される
- あなたは建物を相続した側だ。所有者には配偶者居住権の設定登記に協力する義務がある(民法1031条1項)。放置すれば、義務の履行を求めて訴えられる立場になる
- 母が施設に入ることになり、空いた実家を貸して入居費用に充てたい。登記に「第三者に使用又は収益をさせることを許す旨の定め」があるかどうかで、話は正反対になる。定めがなければ所有者の承諾が必要で、無断で貸すと是正の催告を経て配偶者居住権そのものを消滅させられる(民法1032条4項)
取るべき行動
被害を受けた側:1. 遺産分割協議書に「存続期間は配偶者の終身」と「第三者に居住建物の使用又は収益をさせることを許す」の二点を明記させる2. 協議成立と同日に登記の委任状・印鑑証明を回収し、司法書士に即日申請させる3. 申請前に建物の登記事項証明書を取得し、先順位の抵当権と土地の所有者を確認する4. 所有者が登記に協力しないなら、民法1031条1項を根拠に登記手続請求訴訟を提起する。並行して処分禁止の仮処分も検討する
訴えられた側:1. 所有者側にも登記協力義務があるため、拒否は訴訟リスクと遅延損害の負担になると理解する2. 交渉すべきは登記の可否ではなく中身で、存続期間の設定と使用収益許諾の有無を配偶者居住権の評価額・代償金と一体で詰める3. 建物を将来売却したいなら、配偶者居住権付き建物の市場性が著しく落ちる点を早期に共有し、代償金や他資産での調整を提案する4. 合意内容のうち登記されない事項(修繕費・固定資産税の負担など)は、必ず協議書に債権的合意として残す
時効(請求できる期限):配偶者居住権の設定登記そのものに法定の申請期限はない。2024年4月に義務化された相続登記(不動産登記法76条の2、3年以内)の対象は所有権の移転登記であって、配偶者居住権の設定登記ではない。実質的な期限は二つある。第一に、所有者に対する登記手続請求権は債権であり、一般消滅時効(民法166条1項、権利を行使できることを知った時から5年)にかかる。第二に、第三者が先に所有権移転登記を経た時点で対抗できなくなる。起算点は遺産分割の成立日または遺贈の効力発生日
学説
立法担当者解説・実務通説:存続期間を定めた配偶者居住権は期間満了で確定的に消滅し、延長・更新はできない。存続期間を必要的登記事項とした本条1号は、この確定的消滅を取引の相手方に公示する機能を持つ
登記事項限定説(本条の構造理解):本条が登記事項を二つに絞ったのは、建物取得者の利害に直結する事項のみを公示する趣旨であり、修繕費分担・固定資産税負担・退去時精算などの当事者間合意は債権的効力にとどまり新所有者を拘束しない
敷地利用権をめぐる議論:配偶者居住権の登記は建物にのみされるため、土地のみが第三者に譲渡された場合の配偶者の敷地利用の可否について解釈が分かれる。土地建物が同一人所有でなくなる事案では遺産分割段階での手当てが必要とされる
改正沿革 AI による整理
- 平成30年(2018年)相続法改正、令和2年(2020年)4月1日施行 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律により新設。民法が創設した配偶者居住権を登記で公示するため、存続期間と第三者への使用収益許諾の定めを登記事項として追加した。同時に不動産登記法3条に配偶者居住権が登記可能な権利として加えられた
改正の年表
- 1.平成30年(2018年) 新設:民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)により新設。民法が創設した配偶者居住権を登記により公示するため、存続期間と第三者への使用収益許諾の定めを登記事項として追加し、あわせて不動産登記法3条に配偶者居住権が登記可能な権利として加えられた
- 2.令和2年(2020年) 施行:2020年4月1日施行。同日以後に開始した相続について配偶者居住権の設定登記が可能となり、法務省民事局通達により登記手続と添付情報の取扱いが実務化された
- 不動産登記法 第3条配偶者居住権を登記できる権利として列挙
- 不動産登記法 第59条本条が明示的に引用する権利登記の共通登記事項
- 不動産登記法 第60条配偶者と所有者の共同申請主義の根拠
- 不動産登記法 第81条賃借権の登記事項、本条と並行する規律構造
- 不動産登記法 第69条配偶者死亡による消滅時の抹消登記の取扱い(最新の通達をご確認ください)
- 民法 第1030条存続期間の実体規定、原則は配偶者の終身
- 民法 第1032条第三者への使用収益許諾と違反時の消滅
- 民法 第1037条配偶者短期居住権、登記できない対照類型
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