日本国憲法 第5条
クイックジャンプ
皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 日本国憲法第5条は、日本の日本国憲法に含まれる条文です。
- 日本国憲法第5条の条文原文は「皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。」で始まります。
- 日本国憲法第5条は第一章 天皇に置かれています。
- 日本国憲法の公布日は昭和21年11月3日です。
- 日本国憲法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 日本国憲法第5条の前の条は日本国憲法第4条です。
- 日本国憲法第5条の次の条は日本国憲法第6条です。
- 日本国憲法第5条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第5条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION - 本サイト収録
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第5条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/321CONSTITUTION/5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点日本国憲法5条は、皇室典範の定めにより摂政を置くとき、摂政が天皇の名で国事行為を代行すると定める。前条一項の準用により、摂政も国政に関する権能は持たない。
Q · 摂政が置かれたら、天皇は退位したことになるの?
いいえ。天皇は在位のまま、国事行為だけを代行します
日本国憲法5条により、皇室典範が定める事由(成年に達しない、重患など)で天皇が国事行為を行えないとき、摂政が天皇の名で国事行為を代行します。天皇は在位したままであり、皇位を譲る退位とは別の制度です。さらに本条は4条1項を準用するため、摂政も国政に関する権能を一切持たず、国事行為のみを行います。1921年から1926年まで、後の昭和天皇が大正天皇の摂政を務めた実例があります。
解説
天皇が幼くして即位したら、あるいは重い病で意識を失ったら、国の手続きは誰が回すのか。憲法5条が用意した答えが「摂政」だ。皇室典範が定める事由に当てはまるとき、摂政が天皇の名で国事行為を代行する。だがここに見落とされがちな仕掛けがある。条文の最後、「前条第一項の規定を準用する」の一文だ。これは、摂政もまた天皇と同じく、憲法に定められた国事行為しか行えず、政治的な権力は一切持たないことを意味する。つまり憲法は、元首が機能停止しても国を止めない代理人を用意しながら、その代理人が政治へ手を出す抜け道を、同じ条文の中で塞いでいる。実際、1921年から1926年まで、病に倒れた大正天皇に代わって、後の昭和天皇が摂政を務めた。これは歴史上の遠い話ではなく、制度として今も生きている。
法的な位置づけ
日本国憲法5条は摂政について定める規定であり、皇室典範が定める事由により摂政が置かれた場合、摂政が天皇の名で国事に関する行為を行う旨を規定する。同条は前条第一項を準用し、摂政の権能を天皇と同様に国事行為のみに限定して、国政に関する権能を排除している。
よくある質問 AI による整理
Q1摂政とは何ですか?
天皇が成年に達しない、または重患などで国事行為を行えないとき、天皇の名でその国事行為を代行する者です。日本国憲法5条と皇室典範16条が根拠です。
Q2摂政は誰が務めるのですか?
皇室典範17条が就任の順位を定めています。原則として皇太子・皇太孫が第一順位で、以下、親王・王、皇后、皇太后などの順に続きます。
Q3摂政が置かれた歴史上の例はありますか?
あります。1921年から1926年まで、病に倒れた大正天皇に代わり、後の昭和天皇(当時は皇太子裕仁親王)が摂政を務めました。
Q4摂政と国事行為の臨時代行の違いは何ですか?
摂政は皇室典範の重大事由による継続的な代行、臨時代行は1964年の臨時代行法に基づく海外訪問など短期の代理で、別制度です。
Q5摂政は政治的な権限を持てますか?
持てません。5条は4条1項を準用するため、摂政も天皇と同様に国事行為のみを行い、国政に関する権能は一切持ちません。
Q6摂政を置く事由は何ですか?
皇室典範16条が定めます。天皇が成年に達しないとき、または精神・身体の重患や重大な事故で国事行為ができないとき、皇室会議の議決で置かれます。
Q7摂政はいつまで続くのですか?
摂政を置く事由が消滅するまでです。天皇が成年に達した、または重患から回復した場合、摂政の任は終わり、天皇自身が国事行為を行います。
Q82016年はなぜ摂政ではなく退位が選ばれたのですか?
政府は摂政案も検討しましたが、最終的に皇室典範特例法で一代限りの退位を選びました。摂政では天皇のまま公務だけを手放す形になるためです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1摂政って、天皇が退位したってことですか?
違います。摂政が置かれても天皇は天皇のまま、ただ国事行為を代わりにやってもらうだけです。退位は皇位そのものを次代へ譲ること。2016年の上皇さまのケースでは、政府は摂政案も検討しましたが、最終的に皇室典範特例法で退位を選びました(憲法5条、皇室典範16条)。実務のポイント:摂政と退位は憲法上まったく別物。ニュースでも試験でも、ここの混同が一番の落とし穴です
Q2海外訪問で天皇が不在のときも摂政が置かれるんですか?
いいえ、それは別の制度です。短期の不在や軽い病気のときは「国事行為の臨時代行に関する法律」(1964年)に基づく臨時代行で、摂政ではありません。摂政は皇室典範が定める継続的・重大な事由(成年に達しない、重患など)のときだけ置かれます(憲法5条、皇室典範16条)。実務のポイント:この「摂政」と「臨時代行」の区別が、憲法の論点で最も狙われるポイント。区別できる人とできない人で、議論の解像度がまるで違ってきます
間違えやすい点 AI による整理
- 「摂政が置かれた=天皇が退位した」と思い込んでいる人がいるが、その問いの立て方自体がずれている。摂政は天皇が在位したまま、その国事行為だけを代行する制度。皇位はまったく動いていない。退位とは根本的に別の話だ
- 摂政の存在は知っていても、摂政が政治的な権力を一切持てないことまでは意識されていない。条文末尾の「前条第一項を準用する」が効いていて、摂政も天皇と同じく国事行為に限定される。代役だからといって権限が広がるわけではなく、むしろ天皇と同じ檻の中にいる
- あなたから見れば摂政は「天皇の代理人」という便利な制度に見えるかもしれない。だが憲法の設計から見れば、国家権力が一人の人間の体調で空白になることを防ぐ非常用回路であり、同時にその回路が政治に通電しないよう二重に絞った安全装置だ。この視点の差が、5条の本当の狙いを見えなくする
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 根拠 | 摂政:憲法5条・皇室典範16条 | 臨時代行:国事行為の臨時代行に関する法律(1964年) 退位:皇室典範特例法(2017年、一代限り) |
| 皇位の変動 | なし(天皇は在位のまま) | なし(天皇は在位のまま) あり(皇位を次代へ譲る) |
| 想定事由 | 成年未達・重患など継続的・重大な事由 | 海外訪問・軽度の病気など一時的事由 高齢などによる恒久的な退位 |
| 権能の範囲 | 国事行為のみ(4条1項準用、政治権能なし) | 国事行為のみ(短期) 皇位を離れ上皇に |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は共和制で君主の摂政は存在しないが、元首(総統)が職務を行えないときの副総統・行政院長による職務代行という同種の継続性確保の仕組みを持つ。
韓国も共和制で、大統領の欠位・事故時に国務総理などが権限を代行する。元首機能の空白を防ぐ点で機能的に対応する。
ドイツは連邦大統領の職務遂行不能時に連邦参議院議長が代行する。象徴的元首の職務代行という構造が共通する。
米国は大統領の職務遂行不能時に副大統領が職務を代行する。職務代行と権限移譲の手続を憲法で明文化している点が対応する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし在位中の天皇が突然、重い病で意識を失ったとしたら、国会の召集も法律の公布も止まってしまうのか。止まらない。憲法5条と皇室典範が、摂政という代役をあらかじめ用意している。国家の手続きは、元首個人の健康状態には左右されない設計になっている
- 憲法の試験で「摂政」と「国事行為の臨時代行」の違いを問われて、答えに詰まる。前者は皇室典範の重大事由による継続的な代行、後者は1964年の臨時代行法による短期の代理。この一線を引けるかどうかで、設問の正誤が分かれる
- 2016年、上皇さまが退位の意向をにじませたとき、ニュースで「摂政を置く案」も報じられた。なぜ政府は摂政ではなく退位を選んだのか。その分岐点に立っていたのが、この5条だった
学説
通説:摂政は皇室典範16条の事由により置かれ、天皇の名で国事行為を代行する。本条が4条1項を準用することから、摂政の権能は国事行為に限定され、国政に関する権能を一切持たないと解される。これは天皇の政治的中立と国民主権原理の延長線上に位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 昭和22年(1947年) 日本国憲法施行とともに新設。明治憲法下の摂政制度を引き継ぎつつ、摂政の権能を国事行為に限定し政治権力を排除する現行の枠組みを確立した。以後、憲法は一度も改正されておらず本条も無修正
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:日本国憲法施行とともに新設。明治憲法下の摂政制度を引き継ぎつつ、摂政の権能を国事行為に限定し政治権力を排除する現行の枠組みを確立。以後、憲法は一度も改正されておらず本条も無修正。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める