日本国憲法 第65条
クイックジャンプ
行政権は、内閣に属する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 日本国憲法第65条は、日本の日本国憲法に含まれる条文です。
- 日本国憲法第65条の条文原文は「行政権は、内閣に属する。」で始まります。
- 日本国憲法第65条は第五章 内閣に置かれています。
- 日本国憲法の公布日は昭和21年11月3日です。
- 日本国憲法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 日本国憲法第65条の前の条は日本国憲法第64条です。
- 日本国憲法第65条の次の条は日本国憲法第66条です。
- 日本国憲法第65条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第65条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION - 本サイト収録
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第65条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/321CONSTITUTION/65
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点日本国憲法65条は「行政権は、内閣に属する」と定め、行政権が総理大臣個人や省庁ではなく内閣という合議体に帰属することを規定する。三権分立で行政を担う条文である。
Q · 「政府が決めた」っていうけど、その『政府』って結局だれのこと?
行政権は総理個人でなく内閣という合議体に属します
日本国憲法65条は「行政権は、内閣に属する」と定めます。ここで権限を持つのは総理大臣個人でも各省庁でもなく、総理と国務大臣で構成される『内閣』という合議体です。重要な決定は閣議で行われ、内閣は行政について国会に対し連帯して責任を負います(66条3項)。日本が大統領制ではなく議院内閣制を採るのはこの構造のためで、総理は国会の指名で選ばれ(67条)、内閣は国会の信任に依存します。許認可・徴税・警察など膨大な行政活動の正統性は、最終的にこの一文に由来します。
解説
ニュースで「政府が決めた」「国の方針だ」と聞くたび、その『政府』の正体を考えたことがあるだろうか。日本国憲法65条はたった一文、「行政権は、内閣に属する」と宣言する。ここで決定的なのは、行政権が総理大臣個人にでも、各省庁にでも、官僚機構にでもなく、『内閣』という合議体に帰属すると書いてある点だ。あなたが知っておくべきは、これが日本の統治の三本柱(立法は国会・41条、司法は裁判所・76条、行政は内閣・65条)の一本を据える条文だということ。さらに『行政権』とは何かについて、通説は『国家のすべての作用から立法と司法を除いた残り』と定義する(控除説)。つまり、あなたが役所で受ける許認可、税の徴収、警察の活動、年金の支給、その膨大な営みの正統性は、最終的にこの一文にぶら下がっている。誰が責任を負うのか、その出発点がここにある。
法的な位置づけ
日本国憲法65条は行政権の帰属を定める統治機構規定であり、国家のすべての作用から立法と司法を除いた残余の作用(控除説)である行政権が、内閣という合議体に帰属する旨を規定する。議院内閣制の下、内閣は国会の信任に基づき、行政について国会に対し連帯して責任を負う基礎をなす。
よくある質問 AI による整理
Q1行政権とは何ですか?
国家のすべての作用から立法と司法を除いた残りの作用を指すとするのが通説(控除説)です。許認可・徴税・警察活動・社会保障の給付など、政府の膨大な営みが含まれます。
Q2三権分立とは何ですか?
国家権力を立法(国会・41条)、行政(内閣・65条)、司法(裁判所・76条)に分け、相互に抑制と均衡を働かせて権力の集中と濫用を防ぐ統治原理です。
Q3日本はなぜ議院内閣制なのですか?
65条で行政権を内閣に置きつつ、67条で総理を国会が指名し、66条3項で内閣が国会に連帯責任を負うため、行政が立法の信任に依存する構造になっているからです。
Q4行政権が内閣に属するとはどういう意味ですか?
行政権の主体が総理個人や個々の省庁ではなく、総理と国務大臣で構成される合議体『内閣』であるという意味です。重要決定は閣議によって一体的に行われます。
Q5内閣総理大臣は誰が指名しますか?
国会が国会議員の中から指名します(67条)。形式的には天皇が任命しますが、実質的な選定権は国会にあり、これが議院内閣制の核心です。
Q6行政訴訟の被告は誰になりますか?
行政権の主体は内閣ですが、行政訴訟で国を訴える場合の被告は『国』であり、法務大臣が代表します。行政権の帰属主体と訴訟の被告は区別されます。
Q7内閣の連帯責任とは何ですか?
内閣は行政権の行使について、国会に対して一体として責任を負う仕組みです(66条3項)。一人の大臣の問題も最終的に内閣全体の責任に帰着します。
Q8行政権は無制限に広がるのですか?
控除説では行政は『立法・司法以外の残り』と消極的に定義されるため、社会の変化とともに範囲が膨張しやすく、その統制が現代統治論の大きな争点になっています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1内閣と省庁って、結局どう違うんですか?
内閣は総理大臣と各国務大臣で構成される最高の合議体で、65条により行政権そのものがここに帰属します。各省庁(財務省、厚労省など)は内閣の下で実務を分担執行する組織で、各省を担当大臣が統括します(国家行政組織法)。実務のポイント:重要な政策は閣議決定という形を取りますが、閣議は全会一致が慣行です。だから一人の大臣が強硬に反対すると政策が止まる。総理が反対する大臣を罷免(68条2項)してでも通すかどうか、そこに政権の力学が現れます
Q2公正取引委員会みたいな独立した役所は、65条に違反しないんですか?
通説・実務とも合憲と解しています。これらの独立行政委員会は、内閣が委員の任命権や予算編成権を握ることで、最終的な民主的統制が及んでいると説明されます(人事院、公取委、国家公安委員会など)。実務のポイント:合憲とされる本当の理由は、政治からの中立性が特に必要な分野(競争政策、人事行政、警察)に限って独立性が認められている点です。だから何でも独立委員会にできるわけではなく、独立させる必然性が問われます。この『なぜ独立が許されるのか』の理屈は、行政書士・司法試験の頻出論点です
間違えやすい点 AI による整理
- 「行政権は総理大臣が握っている」と思われがちだが、65条が権限を与えているのは総理個人ではなく『内閣』という合議体である。総理は内閣の首長(66条)であって独裁者ではなく、重要な決定は閣議で全大臣の合意を要する。この一点が、日本がアメリカ型の大統領制ではなく議院内閣制である理由の核心だ
- 三権分立は『立法・司法・行政が完全に対等に分離している』と学校で習った人が多いが、その理解は前提から少しずれている。日本は議院内閣制であり、内閣は国会の信任に依存し(67条・69条)、国会議員から総理が選ばれる。立法と行政は意図的に『融合』する設計になっている。完全分離を前提にニュースを読むと、なぜ与党が法案を通せるのかが理解できなくなる
- 「行政権の中身は条文に列挙されている」と思い込んでいる人がいるが、実は憲法は行政権を積極的に定義していない。通説の控除説は『全国家作用から立法・司法を引いた残り』とする消極的定義だ。だからこそ行政の範囲は時代とともに膨張し、その肥大化を誰がどう統制するかが、現代統治論の最大の争点になっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権力の種類と帰属先 | 行政権 → 内閣(合議体)・65条 | 立法権 → 国会・41条 司法権 → 裁判所・76条 |
| 民主的正統性の経路 | 国会の信任を受けた内閣(議院内閣制・67条) | 国民の直接選挙で選ばれた議員 内閣の指名・天皇の任命+国民審査 |
| 責任の負い方 | 国会に対し連帯責任(66条3項) | 選挙を通じて国民に対し責任 身分保障により独立、政治責任を負わない(76条3項) |
他国ではどう定めているか 4 か国
行政院を国家最高行政機関とする。半大統領制的な要素を持ち、行政院長(閣揆)が行政を統括する点で内閣帰属に近い構造を採る
行政権は大統領を首班とする政府に属する。大統領が直接選挙で選ばれる大統領制であり、行政権を合議体たる内閣に置く日本とは正統性の経路が異なる
連邦政府は連邦首相と連邦大臣で構成され、首相が施政方針を決定する首相原則(Richtlinienkompetenz)を採る。議院内閣制の点で日本と共通するが、首相の指導性がより強い
行政権を単一の大統領に帰属させる大統領制。合議体たる内閣に帰属させ国会の信任に依存する日本の議院内閣制とは責任構造が根本的に異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが公正取引委員会や人事院といった『独立行政委員会』の決定に不服を持ったら、どうなる? これらは内閣から一定の独立性を持つが、65条は『行政権は内閣に属する』と言っている。矛盾しないのか。通説はこれらを合憲とするが、その理由を理解しているかどうかで、行政機関の責任の所在の見え方が変わる
- あなたが国を相手に行政訴訟を起こすとき、被告は『内閣』ではなく『国』であり、法務大臣が代表する。なぜ行政権の主体が内閣なのに、訴える相手は国なのか。この区別を取り違えると、訴状の被告欄から書き間違える
学説
控除説(通説):行政権を積極的に定義せず、全国家作用から立法作用と司法作用を除いた残余の作用と理解する。65条が行政権の内容を列挙していないことと整合し、行政の範囲が時代とともに拡大しうる点を説明する。
積極説(少数説):行政を「法の下に法の規制を受けながら現実具体的に国家目的を実現する全体的作用」などと積極的に定義しようとする立場。通説の控除説に対する批判から主張されるが、定義の困難さから少数にとどまる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和21年(1946年) 新設:日本国憲法の制定により行政権の内閣帰属を新設。大日本帝国憲法下で天皇大権に属した行政から、議院内閣制の下で国会の信任に基づく内閣への帰属へと根本的に転換した。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める