要点労働基準法 116 条は、船員、同居の親族のみを使用する事業、家事使用人について同法の適用を除外する規定。家庭が直接雇う家事使用人には残業代や有給の規定が及ばない。
Q · 家政婦を個人で雇ったら、残業代や有給は払わなくていいの?
家庭が直接雇う家事使用人なら労基法は適用されません
労働基準法 116 条 2 項により、個人の家庭が直接雇用する家事使用人には、同法(残業の割増賃金、労働時間の上限、有給休暇など)が適用されません。ただし『労基法上は』という意味で、雇用契約(民法 623 条)で合意した労働条件を守る義務は残り、安全配慮義務(労働契約法 5 条)も及びます。同じ家事でも家事代行会社に雇われて派遣される人は会社の労働者として労基法でフル保護されるため、契約の相手が個人か会社かが分かれ道になります。
家政婦さんを自宅に直接雇い、朝から晩まで働いてもらっているのに、残業させても割増賃金を払っていない。実はそれ、労働基準法の世界では合法だ。116条2項は、家事使用人(個人の家庭が直接雇う家政婦や住み込みの世話人)と、同居の親族だけを使う事業には、この法律をまるごと適用しないと定めている。1日8時間の上限も、割増賃金も、有給休暇も、法律上は及ばない。ところが、同じ料理や掃除でも、家事代行会社に雇われて派遣される人は会社の労働者だから労基法でフルに守られる。雇い主が「個人」か「会社」か、その一点だけで、同じ労働をしていても守られ方が天と地ほど変わる。あなたが家事使用人を雇う側でも、働く側でも、この見えない線引きを知らないと、片方は思わぬ責任を、もう片方は丸腰の労働を背負うことになる。
労働基準法 116 条は、同法の適用除外を定める規定である。第 1 項は船員法に規定する船員について大半の条文の適用を除外し、第 2 項は同居の親族のみを使用する事業および個人家庭が直接雇用する家事使用人について同法全体を適用しないものとする。労働者保護法規の人的・事業的適用範囲を画定する境界規定として機能する。
労基法が及ばない人や事業のことです。116 条は船員(船員法で別途規律)、同居の親族のみを使用する事業、家事使用人の 3 つを適用除外と定めています。
個人の家庭が直接雇った家事使用人は 116 条 2 項で対象外です。ただし家事代行会社に雇われて派遣される人は会社の労働者なので、労基法がフルに適用されます。
経営者と同居する親族だけで営む家業です。親族以外を一人でも雇った瞬間、事業全体が労基法の適用対象に切り替わります。
船員法上の船員には、116 条 1 項により労基法の大半が適用されません。代わりに船員法が労働時間や災害補償などを規律します。
個人家庭が直接雇った家事使用人は原則として労災保険の対象外です。過労死でも労災が認められなかった裁判例があります。会社経由なら会社の労災が使えます。
家事代行会社に雇われて派遣される人は会社の労働者で労基法がフル適用。家庭が直接雇う家政婦は家事使用人扱いで適用除外。契約の相手が分かれ道です。
労基署は動けませんが、雇用契約(民法 623 条)に基づき未払い賃金を、安全配慮義務違反(労働契約法 5 条)に基づき損害賠償を民事で請求できます。
適用除外の見直し議論が進んでいます。改正の動向は厚生労働省の審議会資料などで確認できますが、現時点では適用除外が維持されています(最新の動向をご確認ください)。
家庭が個人として直接雇った家事使用人であれば、労基法116条2項により割増賃金の規定は適用されません。ただし『労基法上は』という意味で、雇用契約(民法623条)で合意した労働条件は守る義務があります。業界裏話ヒント:家事代行会社に登録している人を頼んでいる場合、その人はあなたの家事使用人ではなく会社の労働者です。残業代を払う義務は会社が負うので、自分が直接雇っているのか会社に頼んでいるのか、契約書の相手の名義を確認するのが最初の一手
家庭が直接雇った家事使用人は労災保険の対象外が原則で、労災給付は受けられないのが通常です(東京地判令和4年9月29日も家政婦の過労死で労災を認めませんでした)。業界裏話ヒント:ただし家事代行会社経由なら会社の労災が使え、雇い主には安全配慮義務(労働契約法5条)があるので、危険な環境で働かせて怪我をさせれば労災とは別に民事の損害賠償を請求できます。労災が下りない=何ももらえない、ではない(最新の改正状況をご確認ください)
同居の親族『のみ』を使っている事業なら116条2項で適用除外です。しかし親族以外を一人でも雇えば、事業全体が労基法の適用対象に切り替わります(労働者の範囲は労基法9条で判断)。業界裏話ヒント:『同居』『親族』の判定は実態で見られます。別居の親族や、形式上は家族でも実態が一般従業員と同じ人は労働者として扱われ、労基法が適用されることがある。家族だから大丈夫と油断すると、未払い残業代を一気に請求される
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象 | 労基法 116 条:船員・同居親族のみの事業・家事使用人(適用除外) | — |
| 適用される保護 | 労基法の労働時間・割増賃金・有給・労災等は及ばない | — |
| 残る義務・救済ルート | 雇用契約(民法 623 条)・安全配慮義務(労働契約法 5 条)は残り、民事請求が可能 | — |
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