合議体の審理が長時日にわたることの予見される場合においては、補充の裁判官が審理に立ち会い、その審理中に合議体の裁判官が審理に関与することができなくなつた場合において、あらかじめ定める順序に従い、これに代つて、その合議体に加わり審理及び裁判をすることができる。
要点裁判所法 78 条は、長期化が見込まれる合議事件で補充裁判官を最初から立ち会わせ、本来の裁判官が抜けたときに交代させる制度を定める。これにより審理のやり直しを避けられる。
Q · 何年もかかる裁判の途中で担当裁判官が代わったら、また最初からやり直しになるの?
補充裁判官がいれば、やり直さずに済みます
裁判所法 78 条により、長期化が予見される合議事件では補充裁判官が最初から審理に立ち会います。本来の裁判官が定年・病気・転勤などで関与できなくなっても、あらかじめ定めた順序で補充裁判官が席を埋めるため、刑事訴訟法 315 条の公判手続の更新や民事訴訟法 249 条の弁論の更新といった実質的なやり直しは生じません。補充裁判官は全ての証拠を自分の目と耳で見聞きしているため、直接主義の要請にも反しません。ただしその員数は合議体の裁判官の員数を超えられません。
判決まで何年もかかる刑事裁判や複雑な民事訴訟がある。その長い審理の間に、担当裁判官が定年退官したり、病に倒れたり、転勤になったらどうなるか。日本の裁判には「直接主義」という原則があり、判決を下す裁判官は自分の耳で全ての審理を聴いていなければならない。だから途中で裁判官が代われば、それまでの審理をやり直す「更新」手続が必要になる。何年分もの証人尋問を一から繰り返すのは、当事者であるあなたにとっても悪夢だ。裁判所法 78 条は、この悪夢を防ぐ仕掛けを用意する。長期化が予想される合議体の事件では、本番の裁判官に加えて「補充裁判官」が最初から審理に立ち会う。本番の裁判官が抜けたとき、あらかじめ定めた順序で補充裁判官が静かに席を埋める。彼らは出番が来るまで一言も発しないが、全証拠を自分の目と耳で見聞きしているから更新は要らない。ただしその員数は本番の裁判官の数を超えられない。
裁判所法 78 条にいう補充裁判官とは、長期化が予見される合議事件において本来の合議体の裁判官に加えて最初から審理に立ち会い、その裁判官が審理に関与できなくなった場合に、あらかじめ定めた順序で交代して審理及び裁判に加わる予備の裁判官をいう。その員数は合議体の裁判官の員数を超えることができない。
長期化が予見される合議事件で、本来の裁判官が抜けたときに備えて最初から審理に立ち会う予備の裁判官です。裁判所法 78 条が根拠で、交代しても審理のやり直しが要りません。
合議体の裁判官の員数を超えられません(裁判所法 78 条但書)。3 人の合議体なら補充は最大 3 人までです。何人でも置けるわけではありません。
複数の裁判官が合議して裁判を行う体制です。地裁の重大事件や高裁では 3 人、最高裁では 5 人や 15 人で構成され、単独制と区別されます。
刑事裁判で裁判官が交代したとき、従前の審理結果を改めて法廷で顕出する手続です(刑事訴訟法 315 条)。直接主義を満たすために必要ですが、その分だけ審理が延びます。
補充裁判官はプロの裁判官の予備、補充裁判員は市民から選ばれる裁判員の予備です。発想は同じで、長い裁判で誰かが抜けても審理を止めないための控えです。
あらかじめ定めた順序で本来の裁判官に代わり、合議体に加わって審理と判決に関与します。それまで全審理に立ち会っているため、更新手続なしでそのまま判決を書けます。
置かれません。裁判所法 78 条は合議体の審理を前提とした制度です。単独事件で裁判官が代わった場合は更新手続で対応します。
必要な更新手続を欠いたまま判決すると手続違背となり、上訴審で原判決が覆る理由になりえます。記録上の更新手続の有無は判決後にまず確認される箇所です。
原則は「公判手続の更新」(刑事訴訟法 315 条)や「弁論の更新」(民事訴訟法 249 条)が必要で、従前の審理結果を改めて法廷で陳述し直します。ただし裁判所法 78 条で補充裁判官が最初から立ち会っていれば、その者が席を埋めるので実質的なやり直しは生じません。業界裏話ヒント:弁護人は判決後の控訴を見据えて、裁判官交代の有無と更新手続が正しく記録されているかを必ず確認します。この手続を欠いた判決は、内容に踏み込む前に手続違背だけで覆せることがある
出番が来るまで評議にも判決にも加わりませんが、本番の裁判官と全く同じように全ての審理に立ち会い、証拠を見聞きします(裁判所法 78 条)。出番が来た瞬間に判決を書ける状態を保つためで、直接主義の要請を満たす方法です。業界裏話ヒント:補充裁判官が実際に交代するケースは多くありませんが、置くこと自体が「この裁判は長期化する」という裁判所の見立てを示すサイン。配置されたと聞けば、判決まで相当の時間を覚悟したほうがいい
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 仕組み | 補充裁判官が最初から同席し、交代で席を埋める(裁判所法 78 条) | — |
| 発動の前提 | 長期化が予見される合議事件で事前に配置 | — |
| 審理への影響 | やり直し不要、審理は中断しない | — |
| 直接主義の充足 | 補充裁判官が全証拠を直接見聞きするため当然に充足 | — |
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