町村は、条例で、第八十九条第一項の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。
要点地方自治法 94 条は、町村に限り条例で議会を置かず、有権者全員の『町村総会』を設けられると定める。89 条 1 項の議会制の例外で、市は対象外とされる。
Q · 村に議員のなり手がいなくなったら、議会なしで村を運営できるの?
できる。町村に限り条例で『町村総会』を置ける
地方自治法 94 条により、町村は条例を定めれば議会を置かず、選挙権を有する者全員で構成する『町村総会』を設けて、予算や条例を直接議決できます。これは議会設置を原則とする同法 89 条 1 項の例外です。対象は『町村』に限られ、有権者が多数に上る市は物理的に総会が成立しないため除外されています。現在採用している町村はありませんが、2017 年に高知県大川村が議員のなり手不足を理由に導入を検討しました。
学校では「国民は代表者を選び、その代表者が議会で物事を決める」と習う。だが地方自治法94条は、その常識に静かな例外を開けている。町村に限り、条例さえ作れば議会そのものを置かず、選挙権を持つ住民全員が集まる「総会」で直接ものを決められる、という仕組みだ。代表者を介さず、有権者が自らの手で予算も条例も決める。これは理論上の空想ではない。東京都の八丈小島にあった宇津木村は、1951年から数年間、実際にこの町村総会で村を運営していた。さらに2017年、高知県の大川村は議員のなり手不足から、本気でこの総会への切り替えを検討した。あなたが「日本は間接民主制の国」と思い込んでいるなら、それは半分だけ正しい。規模の小さな町村には、住民が直接統治する扉が、いまも法律上開かれたまま残されている。
地方自治法 94 条は町村総会を定める規定であり、町村が条例を制定することにより、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を議事機関として設けることができる旨を規定する。議会の設置を原則とする同法 89 条 1 項に対する例外であって、規模の小さい町村における直接民主制の形態を許容するものである。
現在採用している町村はありません。過去に東京都の宇津木村が 1951 年から数年間運用した例がありますが、運用上のハードルが高く、実例は極めて少ないのが実情です。
有権者全員が物理的に集まれるか、仕事や高齢で出席できない人の意思をどう扱うかが最大の課題です。2017 年の大川村の検討でもこの点がネックとなり、導入は見送られました。
高知県大川村は議員のなり手不足から検討組織を立ち上げましたが、有権者全員の出席確保や意思集約の難しさから、最終的に議会維持を選択しました。
住民投票は個別の争点を住民に問う仕組みですが、町村総会は議会そのものを住民全員の集会に置き換える、はるかに徹底した直接民主制です。
はい。95 条により議会に関する規定が準用され、96 条の議決事件など、議会が担う権限を総会が行使します。予算・条例の決定も総会が行います。
町村が条例を制定することが要件です。94 条は『条例で』と定めており、条例の制定なしに総会は成立しません。市は対象外で設けられません。
東京都八丈小島にあった宇津木村が、1951 年から数年間、議会を置かず町村総会で村政を運営した実例です。日本で町村総会が現実に機能した数少ない事例とされます。
違反しません。憲法 93 条は地方公共団体に議事機関の設置を求めますが、総会は議会に代わる議事機関と解され、92 条の住民自治の本旨にもむしろ合致します。
作れる。94条は現行法であり、町村が条例を制定すれば、議会を置かずに有権者の総会を設けられる。ただし現在この制度を採用している町村は一つもない。業界裏話ヒント:2017年に高知県大川村が真剣に検討した際、最大のネックは『有権者全員が物理的に集まれるか』『仕事や高齢で出席できない人の意思をどう扱うか』だった。結局大川村は導入を見送り議会維持を選んだが、検討の過程で総務省も研究会を設け、制度設計の論点が整理された。つまり『使える条文』ではあるが、運用上のハードルが高いことが、実例の少なさの正体だ
条文が対象を『町村』に限定しているからだ。理由は規模にある。市は有権者が数万から数十万人規模になり、全員が一堂に会する総会は物理的に成立しない。89条1項が原則として議会の設置を求めているのは、まさに大規模な住民の意思を集約する現実的手段が代表制だからだ。業界裏話ヒント:この線引きは『直接民主制が理想で代表制は妥協』という単純な話ではない。むしろ法は、規模が小さく顔の見える共同体でこそ直接民主制が機能すると見抜いている。地方自治を語るとき、規模と統治形態の関係を理解している人は、安易な『住民投票万能論』に流されない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 議事機関の形態 | 94 条:議会を置かず、有権者全員の総会で議決 | — |
| 適用対象 | 町村のみ | — |
| 設置の要件 | 条例の制定が必要 | — |
| 現在の採用例 | 採用例なし(過去に宇津木村) | — |
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