職業安定法 第20条(労働争議に対する不介入)
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- 公共職業安定所は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所に、求職者を紹介してはならない。
- 2.前項に規定する場合の外、労働委員会が公共職業安定所に対し、事業所において、同盟罷業又は作業所閉鎖に至る虞の多い争議が発生していること及び求職者を無制限に紹介することによつて、当該争議の解決が妨げられることを通報した場合においては、公共職業安定所は当該事業所に対し、求職者を紹介してはならない。但し、当該争議の発生前、通常使用されていた労働者の員数を維持するため必要な限度まで労働者を紹介する場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
労働争議に対する不介入とは何ですか?
定義労働争議に対する不介入とは、職業安定法第20条に定められた規定で、「公共職業安定所は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所に、求職者を紹介してはならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 職業安定法第20条(労働争議に対する不介入)は、日本の職業安定法に含まれる条文です。
- 職業安定法第20条の条文原文は「公共職業安定所は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所に、求職者を紹介してはならない。」で始まります。
- 職業安定法第20条は第二節 職業紹介に置かれています。
- 職業安定法の公布日は昭和22年11月30日です。
- 職業安定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 職業安定法第20条の前の条は職業安定法第19条です。
- 職業安定法第20条の次の条は職業安定法第21条です。
- 職業安定法第20条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第20条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141 - 本サイト収録
職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第20条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000141/20
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点職業安定法20条は、ストライキや作業所閉鎖が行われている事業所への職業紹介を公共職業安定所に禁じる規定。労働委員会の通報があれば争議前でも紹介が止まる。
Q · ストライキ中の会社に、ハローワークや派遣会社が代わりの人を送ってもいいの?
送れない。民間紹介・派遣会社にも同じ禁止が及ぶ
職業安定法20条1項により、同盟罷業(ストライキ)または作業所閉鎖が行われている事業所に、公共職業安定所は求職者を紹介できません。この規定は同法34条で民間の職業紹介事業者に、労働者派遣法24条で派遣元事業主に準用されます。争議行為の前でも、労働委員会が通報した場合は紹介が禁止されますが、争議前の通常人員を維持する限度までは紹介が認められます(2項但書)。
解説
ストライキ中の工場に、ハローワークは一人も人を送れない。職業安定法20条1項は、同盟罷業(ストライキ)や作業所閉鎖(ロックアウト:使用者側が労働者の就労を拒む対抗手段)が実際に行われている事業所への職業紹介を、例外なしに禁じている。国が「代わりの働き手」を供給すれば、労使の力比べに行政が片方の味方として加わることになるからだ。2項は、ストが始まる前の段階にも禁止を広げている。ストに至るおそれの強い争議が起きていて、無制限に紹介すると解決が妨げられると労働委員会が通報した場合も、紹介は止まる。ただしこちらは、争議前の通常人員を維持するのに必要な人数までなら紹介してよい。見落とされやすいのは、適用される相手の広さである。この中立義務は同法34条で民間の職業紹介事業者に、労働者派遣法24条で派遣会社にも準用される。組合員のあなたにとっては、スト中に人材会社経由の代替要員が現れた時点で、それが行政に持ち込める違反の疑いになる。
法的な位置づけ
職業安定法20条は、労働争議に対する行政の中立を確保するための紹介制限規定である。1項は同盟罷業または作業所閉鎖が現に行われている事業所への求職者紹介を禁止し、2項は労働委員会の通報を要件として争議行為前の段階にも紹介禁止を及ぼすが、争議発生前の通常人員を維持する限度での紹介は除外される。
手順
- 1.代替要員の投入状況を記録する 代替要員が現れたら、人数・到着日時・派遣元や紹介元の事業者名を写真とメモで記録する。時系列は後から再現できないため当日中に行う
- 2.スト開始前後のどちらで入ったかを特定する 既存の派遣社員か、スト開始後に新たに紹介・派遣された人員かを切り分ける。本条1項違反の疑いを左右する決定的な事実となる
- 3.労働局へ情報提供する 紹介元が民間事業者なら職業安定法34条、派遣なら労働者派遣法24条の準用違反の疑いとして、都道府県労働局の需給調整事業部門に情報提供し指導を求める
- 4.争議前なら労働委員会に実情を伝える スト突入前の段階では、労働委員会に争議の実情と人員補充のおそれを伝え、2項の通報につなげられないか相談する。あわせて不当労働行為の救済申立ても検討する
よくある質問 AI による整理
Q1職業安定法20条とは?
労働争議に対する行政の中立を保つため、ストライキや作業所閉鎖が行われている事業所への求職者の紹介を公共職業安定所に禁じる規定です。
Q2スト破り 派遣 違法?
スト中の事業所への新たな労働者派遣は、労働者派遣法24条が準用する職業安定法20条により派遣元事業主に禁じられています。
Q3作業所閉鎖(ロックアウト)とは?
労働争議において使用者側が労働者の就労を集団的に拒否する対抗手段です。本条1項はこの状態の事業所への紹介も禁じています。
Q4労働委員会の通報とは何ですか?
ストや作業所閉鎖に至るおそれの多い争議が発生し、無制限な紹介が解決を妨げると労働委員会が安定所に伝えるもので、通報後は紹介が禁止されます。
Q5争議前の通常人員 どこまで紹介できる?
2項の通報があっても、争議発生前に通常使用されていた労働者の員数を維持するのに必要な限度までは紹介できます(2項但書)。それを超える増員分は紹介できません。
Q6民間の人材紹介会社にも適用される?
適用されます。職業安定法34条により民間の職業紹介事業者にも本条が準用され、違反は改善命令などの行政処分の対象になりえます。
Q7スト中の求人に応募したら処罰される?
求職者は本条の規制対象ではないため、応募しても処罰されません。規制されるのは紹介や派遣を行う側です。
Q8スト中の代替要員 どこに通報する?
民間紹介事業者や派遣元の違反が疑われる場合、都道府県労働局の需給調整事業部門に情報提供し、指導を求めるのが一般的な窓口です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ストやってる会社の求人がハローワークに普通に載ってるんだけど、あれってアリなの?
求人票が掲載されていること自体は直ちに違反ではない。しかし、ストや作業所閉鎖が実際に行われている間、公共職業安定所はその事業所に求職者を紹介してはならない(職業安定法20条1項)。実務のポイント:安定所が争議の発生を把握していないこともある。組合側から管轄の安定所へ争議の事実を書面で伝えると、紹介が止まるまでの時間が短くなる
Q2派遣会社から来てもらった人でストの穴を埋めるのはダメ?
スト中の事業所に関して新たに労働者派遣を行うことは、労働者派遣法24条が準用する本条によって、派遣元事業主に禁じられている。実務のポイント:問題になりやすいのは、スト開始前から来ている派遣社員にスト中の組合員の業務を担当させるケースである。これをどう扱うかは行政の業務取扱要領を確認する必要があり、実務上、判断が分かれる。既存の契約だから大丈夫と決めつけないこと
Q3組合員じゃない自分が、スト中の会社に応募したら何か罰があるの?
求職者は本条の対象ではないため、応募したことで処罰されることはない。本条が縛っているのは、紹介する側の公共職業安定所と、34条で準用を受ける民間の職業紹介事業者である。実務のポイント:争議中に入社すると、争議が終わった後の職場の人間関係が難しくなることがある。紹介を受けた時点で争議中だと分かったら、紹介元にその事実を伝えると、紹介元側の違反を防ぐことにもなる
間違えやすい点 AI による整理
- 「ハローワークの内部ルールだから、民間の人材会社には関係ない」と考えるのは誤りである。職業安定法34条が民間の職業紹介事業者に、労働者派遣法24条が派遣元事業主に、それぞれ本条を準用している。違反は改善命令や事業停止命令の対象になりうるため、人材ビジネス側から見ればむしろ事業許可に直結するルールである
- 「ストのときは代わりの人を雇ってはいけない」という問いの立て方自体がずれている。本条が直接縛っているのは、紹介や派遣という仲介を行う者である。使用者が自分で直接募集することがどこまで制限されるかは、募集への準用規定や不当労働行為(労働組合法7条)の評価によって決まり、実務上、解釈が分かれている。誰が人を送り込んだのかを先に確認しなければ、争点がずれる
- 2項の但書は「通常の人員までなら補充してよい」という緩い抜け道に見える。だが、使用者側から見れば補充の上限を、組合側から見れば補充の下限を同時に決める基準線であり、争議前の在籍人数の記録がそのまま交渉材料になる。この数字を押さえていない側は、通報が出ても実質的な制限を受けられない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制される主体 | 職安法20条:公共職業安定所 | 職安法34条:民間の職業紹介事業者(20条を準用) 労働者派遣法24条:派遣元事業主(20条を準用) |
| 禁止される行為 | 争議中の事業所への求職者の紹介 | 争議中の事業所への有料・無料の職業紹介 争議中の事業所に関する労働者派遣 |
| 違反時の帰結 | 行政の中立義務違反(国の機関としての是正) | 改善命令・事業停止命令等の行政処分の対象になりうる 改善命令・事業停止命令等の行政処分の対象になりうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も合法な罷工期間や調解期間中、就業服務機構が争議の場所へ求職者を推介することを禁じており、日本の本条と同じ発想に立つ
韓国は使用者による争議中の代替採用そのものを制限しており、紹介機関の中立にとどまる日本より規制範囲が広い
ドイツは連邦雇用エージェンシーの争議時の紹介を制限し、派遣労働者をスト破りとして投入することも禁じる
米国では経済的ストライキ中の代替要員の雇用が原則認められており、日本とは対照的である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- スト3日目の物流センターに、見慣れない派遣スタッフが十数名入ってきた。組合の書記長であるあなたが確認すべきは、彼らがスト開始後に新たに送り込まれたのかどうかである。開始後の新規派遣なら、労働者派遣法24条が準用する本条1項に触れる疑いが濃い
- もしハローワークで紹介された求人先に行ってみたら、門の前で組合員がプラカードを掲げていたら、どうなる? 求職者のあなたが処罰されることはない。だが、紹介した側は本条1項に反している可能性がある。面接に入る前に、その場から安定所へ電話する価値はある
- 人材紹介会社の営業担当として、取引先の工場長から「来週ストがあるから、穴埋めの人をすぐ10人」と頼まれた。断れば取引を失うかもしれない。だが応じれば、34条を通じて会社の許可が懸かる案件になる
- 労働委員会が安定所に2項の通報を出した。会社が求めている30人は、争議前の通常人員を10人上回る。紹介できるのは不足分の範囲までで、増員分は止まる
- スト突入まであと48時間。使用者側は今のうちに紹介会社経由で人を確保したい。組合側はそれまでに労働委員会へ実情を伝え、2項の通報につなげたい。どちらが先に動くかで、スト初日の現場の人数が変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 代替要員が投入されたら、人数・到着日時・派遣元や紹介元の社名を写真とメモで記録する2. スト開始前から在籍していたのか、開始後に新たに入ったのかを特定する3. 紹介元が民間事業者なら都道府県労働局の需給調整事業部門に、派遣なら同じく労働局に情報提供し、職業安定法34条または労働者派遣法24条の違反の疑いとして指導を求める4. スト前の段階なら、労働委員会に争議の実情を伝え、2項の通報につなげられないか相談する5. 使用者の行為が組合の弱体化を狙っていれば、不当労働行為の救済申立ても並行して検討する
訴えられた側:1. 人材会社の立場なら、急な大量依頼を受けた時点で、取引先に争議が起きていないかを確認し、記録に残す2. スト中と判明したら新規の紹介・派遣を直ちに停止し、社内で停止の判断をした日時を保存する3. 使用者の立場なら、争議前の通常人員を数字で示せるよう名簿を整え、2項の範囲内であることを説明できるようにしておく4. 労働局から照会があったら、事実経過を時系列で正直に提出する。改善命令の段階で是正すれば、事業停止まで進むリスクは下げられる
時効(請求できる期限):本条違反そのものに特定の時効はない。ただし関連する不当労働行為の救済申立ては、行為の日(継続する行為はその終了日)から1年以内に労働委員会へ行う必要がある(労働組合法27条2項)。代替要員の投入は争議が続いている間に争わなければ意味が薄れるため、実際には数日単位の勝負になる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:職業安定法の制定時に、公共職業安定所の労働争議に対する中立を定める規定として設けられた
- 職業安定法 第34条民間の職業紹介事業者への準用
- 職業安定法 第42条の2労働者の募集への準用(現行効力を要確認)
- 職業安定法 第48条の3違反事業者への改善命令(現行効力を要確認)
- 職業安定法 第2条職業選択の自由の原則
- 労働者派遣の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第24条派遣元事業主への準用(通称 労働者派遣法)
- 労働組合法 第7条代替要員投入と不当労働行為
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