児童福祉法 第33条の8
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- 児童相談所長は、親権を行う者のない児童について、その福祉のため必要があるときは、家庭裁判所に対し未成年後見人の選任を請求しなければならない。
- 2.児童相談所長は、前項の規定による未成年後見人の選任の請求に係る児童(小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託中、児童福祉施設に入所中又は一時保護中の児童を除く。)に対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行う。ただし、民法第七百九十七条の規定による縁組の承諾をするには、内閣府令の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 児童福祉法第33条の8は、日本の児童福祉法に含まれる条文です。
- 児童福祉法第33条の8の条文原文は「児童相談所長は、親権を行う者のない児童について、その福祉のため必要があるときは、家庭裁判所に対し未成年後見人の選任を請求しなければならない。」で始まります。
- 児童福祉法第33条の8は第六節 要保護児童の保護措置等に置かれています。
- 児童福祉法の公布日は昭和22年12月12日です。
- 児童福祉法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 児童福祉法第33条の8の前の条は児童福祉法第33条の7です。
- 児童福祉法第33条の8の次の条は児童福祉法第33条の9です。
- 児童福祉法第33条の8には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第33条の8 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164 - 本サイト収録
児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第33条の8(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000164/33_8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点児童福祉法33条の8は、親権を行う者のない児童について児童相談所長に家庭裁判所への未成年後見人選任請求を義務付け、選任までの間は児相所長が親権を行うと定める。
Q · 親を亡くした子どもに後見人がいないとき、誰が手続をするの?
児童相談所長が後見人選任を請求し、決まるまで親権を行います
児童福祉法33条の8第1項により、児童相談所長は、親権を行う者のない児童について福祉のため必要があるときは、家庭裁判所に未成年後見人の選任を請求しなければなりません。第2項により、選任されるまでの間は児童相談所長が親権を行います(施設入所中・里親等委託中・一時保護中の児童を除く)。ただし、15歳未満の子の養子縁組の承諾(民法797条)には都道府県知事の許可が必要です。
解説
親を事故で失った14歳の子どもには、その瞬間から「法律上の代理人」が一人もいない状態が生まれる。銀行口座の手続も、アパートの契約も、高校の入学手続も、誰もハンコを押せない。児童福祉法33条の8は、その空白に行政が踏み込む条文である。児童相談所長は「請求することができる」ではなく「請求しなければならない」と書かれている。つまり義務である。児相が動かなければ、それは裁量の問題ではなく職務の懈怠になる。さらに第2項が本当の急所だ。未成年後見人が家庭裁判所で選任されるまで数か月かかるが、その空白期間、児相所長自身が親権を行う。ただし里親委託中・施設入所中・一時保護中の児童は除かれる(それらは33条の2や47条が別に手当てしている)。そして養子縁組の承諾だけは、児相所長の一存では絶対にできない。都道府県知事の許可が要る。子どもの人生を根本から変える一手にだけ、二重の鍵がかかっている。
法的な位置づけ
児童福祉法33条の8は、親権を行う者のない児童に関し、児童相談所長に家庭裁判所への未成年後見人選任請求を義務付けるとともに、施設入所中・里親等委託中・一時保護中の児童を除き、親権者または未成年後見人が現れるまでの間、児童相談所長が親権を行う旨を定める規定である。縁組の承諾には都道府県知事の許可を要する。
手順
- 1.児童相談所に親権者不在を連絡する 親権者の死亡や親権喪失の審判確定などで子どもの親権者がいなくなったら、子どもの住所地を管轄する児童相談所に連絡し、未成年後見人の選任請求(児童福祉法33条の8第1項)の状況を確認する
- 2.後見人候補者の意思を早めに伝える 祖父母や叔父叔母など、後見人を引き受けてもよい親族がいれば、早い段階で児童相談所に申し出て、家庭裁判所への候補者の上申を調整する
- 3.選任までの手続は児相所長の親権行使で進める 進学・医療同意・口座手続などで窓口に「保護者の同意」を求められた場合は、児童福祉法33条の8第2項により児童相談所長が親権を行うことを説明し、児相に文書での説明を依頼する
- 4.相続財産の管理と遺産分割の時期を調整する 亡くなった親に財産がある場合、預貯金や不動産の保全方法を児童相談所と相談し、遺産分割協議は法定代理人の関与を確保したうえで進める
- 5.退所や委託解除の前に権限の切替えを確認する 施設退所や里親委託解除の予定が決まったら、その時点で未成年後見人の選任状況を確認し、権限の根拠が本条第2項へ切り替わる移行期に手続が止まらないようにする
よくある質問 AI による整理
Q1未成年後見人とは何ですか?
親権を行う者がいない未成年者のために、家庭裁判所が選任する法定代理人です。身上監護と財産管理を担い、子が18歳で成年に達すると後見は終了します。
Q2未成年後見人の選任は誰が申し立てられる?
民法840条により、未成年者本人、親族、その他の利害関係人が申し立てられます。児童福祉法33条の8では、児童相談所長にも請求が義務付けられています。
Q3親が亡くなった子どもの親権は誰に移る?
日本法では親権は自動的に承継されません。家庭裁判所が未成年後見人を選任するまでの間は、条件を満たせば児童相談所長が親権を行います。
Q4児童相談所長の親権代行はいつまで続く?
親権を行う者または未成年後見人が現れるまでの間です。子が18歳に達すると未成年後見の必要自体がなくなるため、その時点でも終了します。
Q5未成年後見人に報酬は出る?
民法862条により、家庭裁判所は被後見人の財産の中から相当な報酬を後見人に与えることができます。親族後見人の場合、報酬を求めないことも多いです。
Q6未成年後見人の選任にはどれくらい時間がかかる?
家庭裁判所の候補者調査などを経るため、事案によっては数か月程度かかることがあります。その空白期間を埋めるのが本条第2項の親権代行です。
Q7親権喪失の審判と後見人選任はセットで必要?
親権喪失で親権者がいなくなると法定代理人が空白になるため、実務上は後見人選任の請求も併せて準備します。空白期間は本条第2項で児相所長が埋めます。
Q8児童相談所長が後見人選任を請求しないのは違法?
本条第1項は「請求しなければならない」と定める義務規定です。本条に罰則はありませんが、必要があるのに請求しなければ職務上の義務を果たしていないことになります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1祖父母が引き取るなら、後見人を立てなくてもいいんじゃないですか?
引き取って一緒に暮らすことと、法的に代理できることは別です。祖父母が家庭裁判所で未成年後見人に選任されなければ、進学手続や口座開設で法定代理人として扱われません(民法838条以下)。実務のポイント:児相が選任請求をする際、親族が候補者として名乗り出ているかどうかで家裁の審理スピードが変わります。早い段階で「自分が後見人になりたい」と児相に伝えておくと、候補者調査が前倒しで進む
Q2児童相談所長が親権を行うって、どこまでできるんですか?
身上監護と財産管理の両方に及びます。医療同意、進学手続、預貯金の管理まで含みますが、民法797条の養子縁組の代諾だけは都道府県知事の許可が必要です(本条2項ただし書)。実務のポイント:現場では「児相所長名義で契約できるのか」と窓口が戸惑う場面が多い。条文番号を書いた書面を用意しておくと手続が一気に通りやすくなるため、児相に文書での説明を依頼するとよい
Q3施設に入っている子は、この条文の対象外なんですか?
第2項の児相所長による親権代行からは除外されますが、第1項の選任請求義務は及びます。施設入所中は施設長が監護等の措置をとれる建付けになっており(児童福祉法47条)、役割分担がされています。実務のポイント:退所や委託解除の直後に権限の根拠が切り替わるため、この移行期が最も抜けやすい。退所予定が決まった時点で後見人の選任状況を確認しておく
間違えやすい点 AI による整理
- 「親がいなくなれば自動的に親族が親権者になる」と思われているが、日本法に親権の自動承継はない。祖父母も叔父叔母も、家庭裁判所で未成年後見人に選任されて初めて法的な権限を得る。それまでの間、法的に子どもを代理できるのは児相所長だけであり、善意の親族がした契約は無権代理になりうる
- この条文の「親権を行う」という文言を、多くの人は「一時的な世話をする」程度に読む。だが親権とは身上監護権と財産管理権の両方であり、子どもの相続財産の管理、遺産分割協議への参加、預貯金の払戻しまで含む。両親が死亡した子どもには往々にして相続財産があり、その管理責任の重さを軽く見ていると、後に未成年後見人から責任を問われる場面が生じる
- 「里親に預けられている子には後見人は要らない」と理解している人がいるが、問いの立て方が逆である。第2項が里親委託中の児童を除外しているのは「後見人が不要だから」ではない。第1項の選任請求義務は里親委託中の児童にも及ぶ。除外されているのは第2項の児相所長による親権代行だけで、その間の監護は里親や施設長の権限(47条等)が受け持つ。除外の射程を取り違えると、後見人選任を怠る運用になる
- 「養子縁組の承諾も児相所長ができる」と読めてしまうが、第2項ただし書はそれを明確に制限している。民法797条の代諾縁組には都道府県知事の許可が必須。子どもの親子関係を永久に変える決定だけは、行政内部でも一段上の決裁を通す設計になっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる児童 | 33条の8第2項:未成年後見人の選任請求に係る児童(施設入所中・里親等委託中・一時保護中を除く) | 33条の2:一時保護中の児童で親権者・未成年後見人のないもの 47条:児童福祉施設入所中の児童、里親等委託中の児童 |
| 親権を行う者 | 児童相談所長 | 児童相談所長 施設入所中は施設長、里親等委託中は児童相談所長 |
| 親権を行う期間 | 親権を行う者または未成年後見人が現れるまで | 親権を行う者または未成年後見人が現れるまで 親権を行う者または未成年後見人が現れるまで |
| 縁組の承諾(民法797条) | 都道府県知事の許可が必要 | 都道府県知事の許可が必要 都道府県知事の許可が必要 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾では、法院が監護人を選定するまでの間、当地の社会福利主管機関が監護人となると明文で定めており、行政が空白を埋める構造は日本と共通する
韓国でも自治体の長や児童保護機関の長などに後見人選任の請求が認められ、家庭法院が選任する
中国では監護資格を有する者がいない場合、民政部門が監護人を担うと定められ、行政が最終的な監護の受け皿となる
ドイツでは家庭裁判所が後見人を選任し、少年局(Jugendamt)が官職後見人となる制度が確立している
フランスでは後見の引受け手がいない場合、後見裁判官が児童社会援助を担う公共団体に後見を委ねる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 両親が交通事故で同時に死亡し、祖父母は遠方かつ高齢。子どもは親族宅に身を寄せているが、施設入所でも里親委託でもない。この場合、児相所長が未成年後見人の選任を家裁に請求する義務を負い、選任されるまでの間は児相所長が親権を行う。祖父母が「うちで引き取る」と言っていても、法的な親権の所在は別問題である
- 児童虐待で親権喪失の審判が確定した。親権者が法的にゼロになった瞬間から、この条文が起動する。親権喪失は「親を切り離す」手続だが、切り離した後に誰が子どもの法定代理人になるのかを埋めるのがこの33条の8だ。切り離しだけでは子どもの生活は一歩も進まない
- もし、親のいない中学生が高校進学のために奨学金を申し込むとしたら、誰が同意書にサインするのか? 未成年後見人がまだ選任されていなければ、児相所長である。学校側がこの仕組みを知らず「保護者のサインを」と言い続けて手続が止まる事例は、実際に起きている
- 施設を退所して自立準備中の17歳。施設入所中は47条で施設長が親権を代行していたが、退所した瞬間にその根拠が消える。未成年後見人がいなければ、33条の8第2項の対象に切り替わる。あと数か月で18歳、成年に達すれば後見自体が終了する。この時間切れのタイミングが、実務上いちばん取りこぼしやすい
取るべき行動
被害を受けた側:1. 親権者が死亡・親権喪失などで不在になったら、居住地を管轄する児童相談所に連絡し、未成年後見人選任請求(33条の8第1項)の手続状況を確認する2. 親族が後見人候補になる意思があれば、家庭裁判所への候補者上申を児相と調整する3. 選任までの間に必要な契約・医療同意・学校手続は、児相所長が親権を行う旨を先方に説明し、条文を示す4. 相続財産がある場合は、遺産分割の時期を後見人選任後に調整するか、児相と管理方法を詰める
訴えられた側:1. 親権喪失・停止を申し立てられた親の側でも、手続への意見陳述権はある。家裁からの照会には期限内に必ず回答する2. 親権が制限された後も面会交流や扶養義務の問題は残るため、後見人選任後に誰が窓口になるかを確認する3. 養子縁組の代諾に関しては都道府県知事の許可が必要であり、実親の同意要否は民法797条・798条の要件を個別に確認する(最新の改正状況をご確認ください) 4. 親権回復を目指す場合は、審判取消しの申立て(民法836条)の要件を弁護士と検討する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期限はないが、第1項は「請求しなければならない」という義務規定であり、必要が生じた時点で遅滞なく請求すべきものとされる。未成年後見は子が成年(18歳)に達した時点で当然に終了するため、実務上は残存期間が短いほど選任のメリットと期間を天秤にかける判断が入る
学説
一般的な理解:本条第2項による児童相談所長の親権行使は、家庭裁判所による未成年後見人選任までの暫定的な措置と位置づけられ、最終的な法定代理人の決定は司法に委ねられる構造と理解されている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成23年(2011年) 改正:民法等の一部を改正する法律(親権停止制度の創設等)に伴う児童福祉法改正。親権を行う者のない児童について、未成年後見人選任までの間の児童相談所長による親権代行が整備された
- 2.令和4年(2022年) 改正:こども家庭庁の設置に伴う関係法律の整備により、ただし書の知事許可手続を定める命令が厚生労働省令から内閣府令に改められた(2023年4月施行)
- 児童福祉法 第33条の2一時保護中の児童に対する児相所長の監護権限
- 児童福祉法 第33条の7親権喪失・停止審判の児相所長による請求権
- 児童福祉法 第33条の9未成年後見人の解任請求に関する規定
- 児童福祉法 第47条施設長・里親等による親権代行の分担規定
- 民法 第838条未成年後見の開始事由、本条請求の実体的根拠
- 民法 第797条十五歳未満の子の代諾縁組、本条ただし書の対象
- 民法 第834条親権喪失の審判、親権者不在を生む前段階
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