刑事訴訟法 第271条の3
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- 検察官は、前条第二項の規定により起訴状抄本等を提出する場合において、被告人に弁護人があるときは、裁判所に対し、弁護人に送達するものとして、起訴状の謄本を提出しなければならない。
- 2.裁判所は、前項の規定による起訴状の謄本の提出があつたときは、遅滞なく、弁護人に対し、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないものを被告人に知らせてはならない旨の条件を付して起訴状の謄本を送達しなければならない。
- 3.検察官は、第一項に規定する場合において、前項の規定による措置によつては、前条第一項第一号ハ(1)若しくは第二号イに規定する名誉若しくは社会生活の平穏が著しく害されること又は同項第一号ハ(2)若しくは第二号ロに規定する行為を防止できないおそれがあると認めるときは、裁判所に対し、起訴状の謄本に代えて弁護人に送達するものとして、起訴状抄本等を提出することができる。
- 4.裁判所は、前項の規定による起訴状抄本等の提出があつたときは、遅滞なく、弁護人に対し、起訴状抄本等を送達しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第271条の3は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第271条の3の条文原文は「検察官は、前条第二項の規定により起訴状抄本等を提出する場合において、被告人に弁護人があるときは、裁判所に対し、弁護人に送達するものとして、起訴状の謄本を提出しな…」で始まります。
- 刑事訴訟法第271条の3は第一節 公判準備及び公判手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第271条の3の前の条は刑事訴訟法第271条の2です。
- 刑事訴訟法第271条の3の次の条は刑事訴訟法第271条の4です。
- 刑事訴訟法第271条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第271条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第271条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/271_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法271条の3は、被告人に弁護人があるとき、裁判所が「秘匿事項を被告人に知らせてはならない」との条件を付して起訴状の謄本を弁護人に送達する手続を定める。
Q · 性犯罪の被害者です。起訴されたら、私の名前や住所は加害者本人にも知られてしまうんですか?
弁護人には伝わりますが、被告人本人には条件付きで伏せられます
刑事訴訟法271条の3により、個人特定事項を秘匿する事案で被告人に弁護人があるときは、裁判所が「被害者の氏名等を被告人に知らせてはならない」との条件を付して、起訴状の謄本(全文)を弁護人にだけ送達します。弁護人は防御のため被害者が誰かを知りますが、被告人本人には伝えられません。それでも名誉や生活の平穏の保護、報復防止に不十分なおそれがあると検察官が判断すれば、第3項により弁護人にも抄本(伏せた版)のみが送達されます。完全な匿名ではなく、危険源である被告人本人の手前で情報を止める仕組みです。
解説
性犯罪やストーカーの被害者にとって、最大の恐怖の一つは「加害者に自分の名前と住所が知られること」だ。従来、起訴状には被害者の氏名が記載され、それが被告人本人に送達されていた。2024年施行の刑事訴訟法271条の3は、その構造を変えた。被害者の個人特定事項を被告人に伏せたまま、弁護人にだけは起訴状の全文(謄本)を渡す。ただし弁護人には「この秘匿情報を被告人に知らせてはならない」という条件が付く。弁護人は防御のために被害者が誰かを知る必要があるが、被告人本人には伝えられない。それでも名誉や生活の平穏、あるいは報復を防げないと検察官が判断すれば、弁護人にすら抄本(伏せた版)しか渡さない第3項という最終手段がある。あなたの氏名と住所が、刑事手続の中でどこまで、誰の手前で止まるのか、その設計図がこの条文だ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法271条の3は、被害者等の個人特定事項を秘匿する制度の一環として、被告人に弁護人がある場合の起訴状の送達方法を定める規定である。裁判所は弁護人に対し、秘匿事項を被告人に知らせてはならない旨の条件を付して起訴状の謄本を送達し、それでも被害者保護に不十分なおそれがあるときは、弁護人にも起訴状抄本等を送達する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.被害相談の段階で秘匿希望を明確に伝える 警察・検察官・被害者支援員に対し、起訴状の個人特定事項を秘匿してほしいと自分から明確に伝える。黙っていると原則どおり起訴状に氏名が記載されるため、意思表示が出発点になる
- 2.秘匿の対象要件に当たるか確認する 自分の事案が秘匿の対象(性犯罪被害、氏名等が知られると名誉・社会生活の平穏が著しく害される、報復・加害のおそれ等)に該当するかを、支援員や弁護士と一緒に確認する
- 3.起訴前に検察官へ意思表示する 起訴状が被告人へ送達されると氏名が相手に渡るため、起訴前のタイミングで秘匿の意思を検察官へ届ける。送達後では制度が事実上無力化する
- 4.被告人側は防御に不可欠なら通知・開示を求める 被告人側で、被害者の特定が防御に不可欠と考えるなら、その必要性を具体的に整理し、弁護人を通じて個人特定事項の通知・開示を求める手続を検討する。抄本(第3項)しか弁護人に渡っていない場合は早期に争点化する
よくある質問 AI による整理
Q1個人特定事項の秘匿とは何ですか?
性犯罪などの被害者の氏名・住所といった個人を特定させる事項を、刑事手続の中で被告人本人に伏せる制度です。刑事訴訟法271条の2以下が根拠で、起訴状の段階から適用されます。
Q2起訴状の謄本と抄本の違いは何ですか?
謄本は起訴状の全文の写し、抄本は個人特定事項を伏せた版です。271条の3では弁護人に原則として謄本を、例外的に抄本のみを送達します。
Q3被害者の名前を伏せてもらうにはいつ言えばいいですか?
起訴状が被告人に送達される前、つまり起訴前に検察官や被害者支援窓口へ秘匿の希望を伝えるのが重要です。送達後は氏名が相手に渡ってしまいます。
Q4刑事訴訟法271条の2と271条の3の違いは?
271条の2は秘匿の対象事案と起訴状抄本等提出の基本ルール、271条の3は被告人に弁護人がいる場合の謄本・抄本の送達方法を定めます。271条の3は271条の2を前提とします。
Q5個人特定事項の秘匿の対象になる事件は?
性犯罪のほか、氏名等が知られると被害者の名誉や社会生活の平穏が著しく害されるおそれ、または加害者からの報復・加害のおそれがある事件が対象です。
Q6弁護人が秘匿条件に違反して被告人に名前を教えたらどうなりますか?
271条の3第2項の裁判所の条件に反するため、弁護人は懲戒など責任を問われ得ます。だからこそ弁護人は被告人に被害者の氏名を伝えられません。
Q7加害者に住所を知られないように刑事手続を進められますか?
個人特定事項の秘匿制度を使えば、起訴状経由で住所が被告人に伝わるのを防げます。DVやストーカー事案では避難先の安全に直結します。
Q8個人特定事項の秘匿はいつから始まった制度ですか?
令和5年(2023年)の刑事訴訟法改正で新設され、令和6年(2024年)に施行されました。被害者保護の強化を目的とした比較的新しい制度です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1被害者の名前を伏せても、弁護人には伝わるんですよね? それって意味あるんですか?
意味はあります。271条の3第2項は、弁護人に全文の謄本を渡しつつ被告人に知らせてはならない条件を付けます。弁護人は守秘義務を負うプロで、違反すれば責任を問われる。情報が止まるのは被告人本人の手前です。実務のポイント: 再被害や報復を最も起こしやすいのは被告人本人。弁護人は知るが本人は知らないという一線が安全上は決定的で、完全匿名でない点を失望でなくリスク源を断つ設計と理解すべきです
Q2被告人として、自分の弁護士が被害者の名前を教えてくれません。これ防御上不利では?
可能性はあります。271条の3第3項では、第2項の条件付き送達でも足りないと検察官が判断すれば、弁護人にすら抄本しか渡されません。ただし被告人の防御権との緊張があるため、特定が防御に不可欠なら通知や開示を求める手続が用意されています。実務のポイント: 弁護人を責めても無意味、争うべきは裁判所の秘匿措置の当否です。なぜ特定が防御に必要かを具体的に示せるほど開示が認められやすく、抽象的に知る権利があると主張するだけでは通りにくい
間違えやすい点 AI による整理
- 被害者の氏名が伏せられると知って安心する人は多いが、その壁の薄さまでは知らない。弁護人には全文が渡る。つまりあなたが誰かは被告人の弁護人には必ず知られる。完全な匿名ではなく、被告人本人に直接は伝わらないという限定的な保護だと正確に理解しておくべきだ
- 「秘匿を頼めば自動的に守られる」と考えがちだが、問いの立て方が間違っている。秘匿は対象事案(性犯罪、報復や生活の平穏を害するおそれ等)と要件を満たして初めて認められる。あなたがすべき問いは守られるかではなく、自分の事案が秘匿の対象要件に当たるかだ
- 弁護人が被害者の名前を教えてくれないのを「弁護人が不誠実だから」と思う被告人がいるが、実は逆だ。271条の3第2項の裁判所の条件に従っているだけで、教えれば弁護人が責任を問われる。弁護人を責めても何も動かない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 271条の3:弁護人がいる場合の起訴状謄本・抄本の送達方法 | 271条の2:個人特定事項の秘匿と起訴状抄本等の提出(基本規定) 256条:起訴状の記載事項(原則として被害者氏名を記載) |
| 前提となる状況 | 271条の2で抄本等が提出され、かつ被告人に弁護人がある | 秘匿の対象事案に該当する 通常の起訴(秘匿なし) |
| 被告人本人への到達 | 原則伏せる(弁護人には謄本、本人には条件で遮断)/第3項では弁護人も抄本のみ | 抄本等により被告人本人にも個人特定事項を伏せる 起訴状謄本がそのまま被告人に送達され氏名が伝わる |
| 弁護人が知り得る範囲 | 原則は全文(謄本)、例外(3項)は抄本のみ | 条文の局面による 全文(謄本) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も性犯罪被害者の身分資訊を保護し、書類上での秘匿を認める。2020年改正で被害者保護規定を拡充した点が日本の方向性と重なる。
韓国は性暴力犯罪の被害者の身元・私生活の秘密の漏洩を禁止する。手続関係者への守秘義務という構造が日本の条件付き送達と類似する。
ドイツは証人・被害者の身元や住所の秘匿を認める。防御権との均衡を裁判所が判断する構造が日本と共通する。
米国は被害者の保護と尊厳ある取扱いを連邦法で保障する。被害者特定情報の保護は州法・裁判所規則でも個別に手当てされる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 痴漢の被害に遭い加害者を告訴した。起訴されれば起訴状があなたの氏名や住所を載せて被告人に届く、そう思って通報自体をためらっていた。271条の3があれば、あなたの個人特定事項を被告人に伏せたまま手続を進められる。弁護人は知るが、被告人本人には伝わらない
- あなたが被告人で、弁護人が起訴状の謄本を受け取った。だが弁護人は被害者の氏名をあなたに教えてくれない。これは弁護人が隠しているのではなく、裁判所が付けた条件に縛られているからだ。教えれば弁護人自身が責任を問われかねない
- もしあなたがストーカー事案の被害者で、加害者の保釈が近いとしたら? 加害者に住所が知れた瞬間が最も危険だ。秘匿措置は起訴の段階で動く。起訴前に検察官へ秘匿を要望できる時間は限られている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被害の相談段階で、警察や検察官、被害者支援員に個人特定事項の秘匿を希望すると明確に伝える。2. 秘匿の対象(性犯罪被害、氏名等が知られると名誉や生活の平穏が著しく害される、報復のおそれ等)に該当するか要件を一緒に確認する。3. 起訴前に意思表示するのが要、起訴状が被告人に送達される前でないと氏名が相手に渡る。4. 弁護人には伝わる前提なので、完全匿名ではない点を理解したうえで判断する
訴えられた側:1. 弁護人が起訴状謄本を条件付きで受け取った場合、弁護人は被害者の個人特定事項をあなたに伝えられない。これは制度上の縛りで弁護人の落ち度ではない。2. 防御のために被害者の特定が不可欠だと考えるなら、その必要性を具体的に整理し、裁判所への通知や開示を求める手続を弁護人と検討する。3. 抄本(第3項)しか弁護人に渡っていない場合は防御上より不利なので、早期に争点化する。4. 秘匿の当否そのものを争う余地もある
時効(請求できる期限):本条に消滅時効はない。手続上の鍵は時点にある。秘匿措置は起訴状が被告人へ送達される前に動かす必要があり、送達後は氏名が相手に渡るため、起訴前の意思表示が決定的。弁護人への謄本や抄本の送達は遅滞なく行われる(最新の改正や施行状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)改正、令和6年(2024年)施行 新設。個人特定事項の秘匿制度の一環として、被告人に弁護人がある場合に起訴状謄本を条件付きで弁護人へ送達し、足りないときは抄本を送達する仕組みを創設。被害者保護と防御権の調整を図った
改正の年表
- 1.令和5年(2023年) 新設:個人特定事項の秘匿制度の一環として新設。被告人に弁護人がある場合に、条件を付して起訴状の謄本を弁護人へ送達し、足りないときは抄本等を送達する仕組みを創設。令和6年(2024年)施行。被害者保護と被告人の防御権の調整を図った。
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