刑事訴訟法 第327条
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裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人が合意の上、文書の内容又は公判期日に出頭すれば供述することが予想されるその供述の内容を書面に記載して提出したときは、その文書又は供述すべき者を取り調べないでも、その書面を証拠とすることができる。この場合においても、その書面の証明力を争うことを妨げない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第327条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第327条の条文原文は「裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人が合意の上、文書の内容又は公判期日に出頭すれば供述することが予想されるその供述の内容を書面に記載して提出したときは、その文書…」で始まります。
- 刑事訴訟法第327条は第四節 証拠に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第327条の前の条は刑事訴訟法第326条です。
- 刑事訴訟法第327条の次の条は刑事訴訟法第328条です。
- 刑事訴訟法第327条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第327条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第327条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/327
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法327条は、検察官と弁護人が合意すれば、文書や証人の予想供述を書面にして証拠にでき、もとの証人を取り調べずに済むと定める。ただし証明力は争える。
Q · 合意書面って、証人を呼ばずに証言を証拠にできるって本当?
本当。ただし内容を信じるかどうかは後から争える
刑事訴訟法327条により、検察官と弁護人が合意すれば、文書の内容や証人の予想供述を書面にまとめて提出でき、裁判所はもとの文書・証人を取り調べずにその書面を証拠にできます。証人尋問を省くので審理は短くなりますが、その証人への反対尋問の機会は失います。一方で同条後段は「その書面の証明力を争うことを妨げない」と定め、証拠に採用された後でも内容の信用性は最後まで争えます。証拠能力を合意することと、その証拠を信じさせることは別の戦いです。
解説
刑事裁判のニュースで「証人尋問に丸一日」と聞いたことがあるだろう。だが実際には、検察官と弁護人が合意しさえすれば、その証人を法廷に呼ばずに済ませる道がある。刑訴法327条の合意書面だ。両者が「この文書にはこう書いてある」「この人が出廷したらこう証言するはず」という内容を一緒に書面にまとめて裁判所に出すと、裁判所はもとの文書や証人を取り調べないまま、その書面をそのまま証拠にできる。あなたが被告人なら、ここに重大な意味がある。証人尋問を省くということは、その証人に対する反対尋問の機会を自分から手放すということだ。ただし条文の後段が効いてくる。書面を証拠にしても「その証明力を争うことを妨げない」、つまり中身を証拠として入れた後でも「その内容は信用できない」と争う余地は残る。証拠に入れることと、その証拠を信じさせることは、別の戦いなのだ。
法的な位置づけ
合意書面とは、検察官および被告人または弁護人が合意のうえ、文書の内容または証人が公判期日に出頭すれば述べると予想される供述を書面に記載して提出する証拠方法をいう(刑事訴訟法327条)。提出されると、裁判所はもとの文書や供述者を取り調べずにその書面を証拠とすることができ、伝聞法則の当事者処分による例外として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.合意書面の対象を争点か周辺事実かで仕分ける 検察官が提案する合意書面の対象を一つずつ精査し、争いのない周辺事実か、争うべき核心証人かを仕分ける。核心証人を書面で済ませる提案には慎重になる
- 2.反対尋問で崩せる見込みを評価する 対象証人・文書に、被告人側から見て矛盾や反論材料がないかを洗い出す。崩せる材料があるなら合意を断り法廷で尋問、崩せず時間だけ食うなら合意して審理を絞る
- 3.周辺事実は積極的に合意書面化する 被害者の入院期間や防犯カメラの設置場所など争いのない周辺事実は、積極的に合意書面で固め、裁判官・裁判員の注意を本当の争点に集中させる
- 4.採用後も証明力を争う余地を残す 合意して証拠にした後でも、刑訴法327条後段により証明力は争える。刑訴法328条の弾劾証拠などで書面の信用性を切り崩す方針を準備しておく
よくある質問 AI による整理
Q1合意書面とは(刑事訴訟法)何ですか?
検察官と弁護人が合意し、文書の内容や証人の予想供述を書面にまとめて提出する証拠方法です。刑訴法327条が根拠で、もとの文書・証人を取り調べずに証拠にできます。
Q2同意書面と合意書面の違いは何ですか?
同意書面(326条)は相手が作った書面を証拠にしてよいと一方が同意する仕組み、合意書面(327条)は検察官と弁護人が内容を共同で作って提出する仕組みです。
Q3合意書面を証拠にされたら証明力は争えますか?
争えます。刑訴法327条後段が「その書面の証明力を争うことを妨げない」と明記し、採用後も内容の信用性は最後まで争えます。証拠能力と証明力は別問題です。
Q4合意書面に応じると反対尋問はできなくなりますか?
その証人を法廷に呼ばないため、反対尋問の機会は失います。証言に矛盾を突けそうな場合は、安易に合意せず尋問を残す判断が重要です。
Q5合意書面は裁判員裁判でも使われますか?
よく使われます。専門的所見や周辺事実を全部尋問すると裁判員が消耗するため、争いのない部分を書面にまとめ、争点だけ法廷に残します。
Q6合意書面は公判前整理手続で決まりますか?
実務上、公判前整理手続(刑訴法316条の2以下)で争点・証拠整理の一環として合意の枠組みが固められることが多いです。
Q7合意書面は被告人本人に関係ありますか?
大いに関係します。反対尋問権を手放すかの判断は被告人の利害に直結し、その証人を崩せるかは本人の記憶と情報がなければ判断できません。
Q8合意書面を採用させた後に内容を弾劾できますか?
できます。刑訴法328条の弾劾証拠などを使い、合意書面の証明力(信用性)を切り崩す余地が残ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1合意書面って、要するに証人を呼ばずに済ませる手抜きじゃないんですか?
手抜きではなく訴訟経済の道具です。刑訴法327条は、検察官と弁護人が文書の内容や証人の予想供述を共同で書面化して出せば、もとの文書・証人を取り調べずに証拠にできると定めます。争いのない事実を省いて争点に審理を集中させる狙いです。実務のポイント:実務では裁判員裁判で特に重宝されます。専門的な所見や周辺事実を全部尋問でやると裁判員が消耗するので、争いのない部分を合意書面にまとめ、勝負どころだけ法廷に残す。何を書面にし何を尋問に残すかの線引きそのものが、弁護戦略の腕の見せ所です
Q2合意書面を証拠にされたら、もうその内容には反論できないんですか?
反論できます。刑訴法327条の後段が「その書面の証明力を争うことを妨げない」と明記しており、証拠に採用された後でも内容の信用性は争えます。証拠能力(法廷に入れる資格)を合意したことと、その証拠を信じさせること(証明力)は別問題です。実務のポイント:合意したのは「この内容の書面を証拠として扱う」ことだけで、「その内容が真実だ」と認めたわけではありません。採用後も刑訴法328条の弾劾証拠などで証明力を切り崩す余地が残る。だからこそ、合意書面に応じること自体は必ずしも不利とは限りません
間違えやすい点 AI による整理
- 「合意書面に署名したら、もうその内容に文句は言えない」と思われがちだが、条文の後段がはっきり否定している。書面を証拠として採用した後でも「その証明力を争うことを妨げない」。証拠能力(証拠として法廷に入れる資格)と証明力(その証拠をどこまで信じるか)は別物で、前者を合意しても後者は最後まで争える
- 同意書面(326条)と合意書面(327条)を同じものだと思っている人が多いが、構造が違う。326条は相手が作った書面を「証拠にしてよい」と一方が同意する仕組み、327条は検察官と弁護人が内容を共同で作文して出す仕組みだ。後者は事実上の「当事者間の事実の取り決め」に近く、争点を絞る道具として使われる
- 「合意書面は弁護士同士の手続の話で、被告人本人には関係ない」と感じるかもしれないが、反対尋問権を手放すかどうかの判断は被告人の利害に直撃する。弁護人が合意を進めようとしたとき、その証人を法廷で崩せる見込みがあるかどうかは、被告人自身の記憶と情報がなければ判断できない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 作成主体 | 327条 合意書面:検察官と弁護人が内容を共同で作成 | 326条 同意書面:相手が作った書面に一方が同意 320条 伝聞禁止:原則として伝聞証拠は証拠にできない |
| 証拠にする仕組み | 両者合意で文書・証人を取り調べずに書面を証拠化 | 相手方の同意により証拠能力を付与 公判廷での供述・反対尋問が原則 |
| 証明力の扱い | 後段で証明力を争うことは妨げない(争える) | 採用後の証明力は328条等で争える — |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も当事者の同意により伝聞証拠の証拠能力を認める枠組みを持つ。証拠能力付与の点で327条と発想が近い
韓国も当事者の証拠同意により書面等の証拠能力を認める。当事者処分による伝聞例外という構造が共通する
ドイツは関係者の同意があれば調書の朗読により証人尋問を代替できる。直接主義の例外として当事者の同意を要件とする点が類似する
米国も当事者が証言内容を stipulation で合意すれば証人尋問を省ける。合意書面の母体である伝聞法則の本拠地でもある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが被告人で、弁護人が「この目撃者は呼ばずに、証言予定の内容を書面で出すことで検察官と合意しましょう」と提案してきたとしたら、首を縦に振る前に考えるべきことがある。その合意は、あなたがその目撃者に反対尋問をぶつける機会を永久に捨てるという意味だ。証言内容に矛盾を突けそうな箇所があるなら、合意は不利になりうる
- 公判前整理手続の終盤、争いのない周辺事実(被害者の入院期間、防犯カメラの設置場所など)について、検察官と弁護人が合意書面で処理することにした。これで公判は争点だけに絞られ、審理は数日短縮される。傍観者には地味だが、被告人にとっては身柄拘束の長さに直結する
- 裁判員裁判で、専門医の所見を全部証人尋問でやると裁判員が疲弊する。そこで医師の意見の要旨を合意書面にまとめ、争いのある部分だけ証人尋問に残す。あと数週間で公判が始まるという段階で、何を書面にし何を法廷に残すか、その線引きが弁護方針の核心になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被告人・弁護側として合意書面を検討する場合、まずその証人・文書の内容にあなたから見て矛盾や反論材料がないか洗い出す2. 反対尋問で崩せる見込みがあるなら安易に合意せず、法廷での尋問を残す方向で弁護人と協議3. 逆に争いのない周辺事実なら、積極的に合意書面化して審理を争点に集中させる4. 合意して証拠にした後でも、刑訴法327条後段により証明力(信用性)は争えるので、書面採用=全面降伏ではないと理解しておく
訴えられた側:1. 起訴され公判前整理手続に入ったら、検察官が提案する合意書面の対象を一つずつ精査、争いのない事実か、争うべき核心かを仕分ける2. 核心証人を書面で済ませる提案には慎重に、反対尋問の機会を失う代償を弁護人と必ず確認3. 合意書面を採用させた後も、刑訴法328条の弾劾証拠などを使って書面の証明力を争う余地を残す4. 合意は検察官と弁護人の合意が要件なので、弁護人を通じてしか動かせない、本人の意向を弁護人に明確に伝える
時効(請求できる期限):特定の時効はない。合意書面は公判手続の中で当事者が合意し提出する証拠方法であり、提出・採否は判決前の証拠調べ段階で行われる。実務上は公判前整理手続(刑訴法316条の2以下)で争点・証拠整理の一環として合意の枠組みが固められることが多く、争うなら証拠調べ手続の進行中に意思を示す必要がある
学説
通説:327条の合意書面は、伝聞法則(320条)の当事者処分による例外であり、証拠能力の付与にとどまる。後段が明示するとおり証明力は争えるため、合意は『内容を真実と認めること』ではなく『この書面を証拠として扱うこと』にすぎないと解される。
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