刑事訴訟法 第350条の27
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第三百五十条の二十二の決定があつた事件の証拠については、第三百二十条第一項の規定は、これを適用しない。ただし、検察官、被告人又は弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第350条の27は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第350条の27の条文原文は「第三百五十条の二十二の決定があつた事件の証拠については、第三百二十条第一項の規定は、これを適用しない。ただし、検察官、被告人又は弁護人が証拠とすることに異議を述…」で始まります。
- 刑事訴訟法第350条の27は第三節 証拠の特例に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第350条の27の前の条は刑事訴訟法第350条の26です。
- 刑事訴訟法第350条の27の次の条は刑事訴訟法第350条の28です。
- 刑事訴訟法第350条の27には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の27 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の27(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/350_27
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法350条の27は、即決裁判手続の事件では伝聞法則(320条1項)を適用しないと定める。ただし当事者が異議を述べた証拠は通常の審査に戻る。
Q · 即決裁判に同意したら、もう証拠に文句は言えないの?
いいえ、異議を述べた証拠には伝聞法則が復活します
言えます。刑事訴訟法350条の27により、即決裁判手続の事件では原則として伝聞法則(320条1項)が外れ、検察官は証人を呼ばず供述調書だけで立証できます。ただし同条ただし書により、検察官・被告人・弁護人のいずれかが証拠とすることに異議を述べたものについては、通常の伝聞法則が復活し証拠能力が厳しく審査されます。即決裁判への同意は、個々の証拠への全面同意を意味しません。
解説
覚醒剤の自己使用や軽微な窃盗で起訴され、検察官から「即決裁判手続にしませんか」と持ちかけられたとする。早く終わるし、有罪でも執行猶予が必ず付く(刑訴350条の29)。一見、被告人に有利な取引に見える。だがその取引の裏で何が起きているかを、350条の27が教えてくれる。通常の裁判では、人づての証拠(伝聞証拠、その場にいない人の供述を書面で出すもの)は原則として使えない(320条1項)。あなたには証人を法廷に呼んで反対尋問する権利があるからだ。ところが即決裁判手続では、この伝聞法則のスイッチが切られる。検察官は証人を呼ばず、供述調書という紙だけで有罪を立証できる。ただし、ここに最後の砦が残されている。あなたか弁護人が「この証拠は認めない」と異議を述べれば、その証拠については伝聞法則が復活する。多くの被告人は、即決裁判に同意した時点でこの拒否権ごと手放したと思い込んでいる。違う。条文のただし書が、あなたの手にカードを一枚残している。
法的な位置づけ
刑事訴訟法350条の27は、即決裁判手続の決定(350条の22)があった事件の証拠について、伝聞証拠禁止の原則(320条1項)の適用を排除する特例規定である。ただし当事者が異議を述べた証拠は適用排除の対象から外れ、迅速な審理と反対尋問権の保障を当事者の選択によって調整する仕組みをとる。
よくある質問 AI による整理
Q1即決裁判手続とは何ですか?
争いのない軽微事件を迅速に処理する特別な手続です。検察官の請求と被告人の同意により開始し、原則として執行猶予が付きます(刑訴350条の29)。
Q2即決裁判はどんな事件が対象になりますか?
死刑・無期・短期1年以上の懲役禁錮にあたる事件を除く、比較的軽微な事件が対象です。覚醒剤の自己使用や軽微な窃盗などが典型です。
Q3即決裁判に同意しないとどうなりますか?
通常の公判手続で審理されます。伝聞法則がフルに適用され証人尋問もできますが、その分時間がかかり、執行猶予も保証されません。
Q4即決裁判で伝聞法則が外れるとはどういう意味ですか?
証人を法廷に呼ばず、供述調書という書面だけで有罪を立証できるという意味です。反対尋問の機会が原則として失われます。
Q5即決裁判では執行猶予は必ず付きますか?
懲役・禁錮を言い渡す場合は刑の執行を猶予しなければなりません(刑訴350条の29)。これが被告人にとって最大の利点とされます。
Q6弁護人にはいつ相談すべきですか?
検察官が即決裁判を口にした直後が最適です。当番弁護士・国選弁護人を活用し、乗るか通常裁判で争うか両にらみで証拠を精査できます。
Q7即決裁判でも前科は残りますか?
残ります。執行猶予が付いても有罪判決である以上前科になり、在留資格更新や一部資格試験で不利に働く場合があります。
Q8証拠への異議はいつまでに述べればよいですか?
証拠調べの過程で述べる必要があります。判決後は事実誤認を理由とする控訴ができなくなるため(刑訴403条の2)、同意前後の判断が極めて重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1即決裁判って早く終わるって聞きましたけど、何かデメリットはないんですか?
最大のデメリットは、判決後に事実誤認を理由とする控訴が原則できなくなる点です(刑訴403条の2)。さらに350条の27で伝聞法則が外れ、検察官は証人を呼ばず供述調書だけで立証できます。実務のポイント:弁護人は「執行猶予が確実」という利点ばかり説明しがちですが、事実に少しでも争いがあるなら後で取り返しがつかない。同意前に証拠の中身を必ず確認するのが鉄則です
Q2即決裁判に同意したら、もう証拠について何も言えないんですか?
言えます。350条の27のただし書により、あなたか弁護人が異議を述べた証拠については、通常の伝聞法則(320条1項)が復活し、証拠能力が厳しく審査されます。実務のポイント:実務では、即決裁判への同意と個々の証拠への同意は別物です。全体としては即決裁判に乗りつつ、特定の不利な調書だけ異議を出す使い分けができる。これを知らずに「全部認めます」と言ってしまう被告人が少なくない
間違えやすい点 AI による整理
- 「即決裁判に同意したら、もう証拠には一切口を出せない」と思い込んでいる人が多い。違う。350条の27のただし書は、検察官・被告人・弁護人のいずれかが異議を述べた証拠について伝聞法則を復活させる。同意は全面降伏ではない
- 伝聞法則が外れることは知っていても、その深刻さを知らない人がいる。伝聞法則の核心は、あなたが証人を法廷に呼んで反対尋問する権利(憲法37条2項)だ。これが外れるとは、不利な供述をした人物に直接問い質す機会を失うことを意味する。紙に書かれた一方的な供述が、そのまま有罪の柱になる
- 「即決裁判は得か損か」という問いの立て方そのものがずれている。即決裁判の本質は、事実を争わないと決めた事件のための高速レーンだ。争点が残る事件で問うべきは損得ではなく、そもそも即決裁判に乗ってよい事件か、という入口の判断である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 伝聞法則の扱い | 350条の27:原則適用排除(異議あれば復活) | 320条1項:原則として伝聞証拠は使えない 326条:当事者の同意があれば個別に証拠能力を付与 |
| 適用の前提 | 350条の22の即決裁判手続決定があること | 通常の公判手続全般 当事者が当該書面・供述に個別同意すること |
| 当事者の関与 | 異議で例外を維持できる(拒否権が残る) | 原則として反対尋問権が保障される 同意するか否かを証拠ごとに選択 |
| 上訴への影響 | 判決後は事実誤認控訴が原則不可(403条の2) | 通常どおり控訴可能 通常どおり控訴可能 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の簡式審判程序では証拠調べが伝聞法則・厳格な証拠調べ手続の制限を受けない点で日本と発想が共通する。被告人が事実を争わないことを前提に手続を簡素化する構造。
韓国の簡易公判手続では、伝聞法則に関する規定の一部が証拠能力を有するものとみなされ、被告人が公判廷で自白した場合に適用される。日本の異議による復旧構造とは細部が異なる。
ドイツの迅速手続では、調書や書面の朗読による証拠調べが広く許容され、直接主義・口頭主義が緩和される。当事者の同意を前提に証拠調べを簡略化する点で機能的に類似。
米国では対面権(Confrontation Clause)が強く保障されるが、有罪答弁(guilty plea)により放棄される。証拠規則自体も量刑等の局面では適用が外れ、簡易処理の場面で防御の水準が下がる構造は共通。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 覚醒剤取締法違反で逮捕され、初犯で素直に認めた。検察官が即決裁判手続を提案してくる。同意すれば執行猶予はほぼ確実、だが伝聞法則は外れる。同意書にサインする前に、提出される証拠の中に争いたいものがないか確認できる。それを知らずにサインすると、紙の証拠だけで有罪が固まる
- もし弁護人から「明日までに即決裁判に同意するか決めてください」と言われたら、何を基準に判断する? 即決裁判は早く終わる代わりに、後から事実を争う控訴がほぼ封じられる(403条の2)。残り時間で確かめるべきは、検察官の証拠の中に異議を出すべきものがあるかどうかだ
- 友人が万引きで即決裁判になりそうだとあなたに相談してきた。あなたは一言「証拠に異議を出す権利は残ってるよ」と伝えられる。その一言が、友人の選択肢を変える
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが被害者で、加害者の事件が即決裁判手続で進むと知ったら、早期に終結し執行猶予が付く可能性が高いと理解しておく2. 量刑に意見があれば、被害者参加制度や意見陳述(刑訴292条の2)を通じて早めに検察官へ伝える、即決裁判は進行が速いので動きも速く3. 損害賠償は刑事と別に民事で(民法709条)、刑事手続中の損害賠償命令申立ても検討4. 示談の有無が量刑に影響するので、和解の意思があれば検察官経由で早期に動く
訴えられた側:1. 検察官から即決裁判手続を提案されたら即答せず、必ず弁護人に相談する、当番弁護士・国選弁護人を活用2. 提出予定の証拠一覧を確認し、争いたい証拠があれば350条の27ただし書に基づき異議を述べる、その証拠は通常の伝聞法則の審査に戻る3. 事実関係に争いがある、または無罪を主張したいなら同意しない、同意すると事実誤認を理由とする控訴が原則できなくなる(403条の2) 4. 争いがなく執行猶予を確実にしたいだけなら、即決裁判は有力な選択肢
時効(請求できる期限):即決裁判手続そのものに固有の出訴期間はないが、手続は迅速進行が原則で、同意・異議を判断できる機会は限られる。証拠への異議は証拠調べの過程で述べる必要があり、判決後は事実誤認を理由とする控訴ができない(刑訴403条の2)。判断の実質的なタイムリミットは、同意書にサインする前後の極めて短い窓
学説
通説:350条の27は、争いのない軽微事件における迅速処理の要請から伝聞法則を原則停止するが、反対尋問権(憲法37条2項)の核心を完全に奪えば違憲の疑いが生じる。ただし書による当事者の異議権は、迅速性と防御権の均衡を当事者の自律的選択に委ねた合憲的調整と理解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 裁判の迅速化を目的とする刑事訴訟法改正で即決裁判手続が新設され、その証拠法上の特例として本条の内容が創設された。施行は平成18年(2006年)
- 平成28年(2016年) 協議・合意制度等の新設に伴い即決裁判手続の規定群が繰り下げられ、本条が現在の第350条の27となった。証拠法上の特例という内容自体に実質的変更はない
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:裁判の迅速化を目的とする刑事訴訟法改正で即決裁判手続が新設され、その証拠法上の特例として本条の内容が創設された。施行は平成18年(2006年)。
- 2.平成28年(2016年) 改正:協議・合意制度等の新設に伴い即決裁判手続の規定群が繰り下げられ、本条が現在の第350条の27となった。証拠法上の特例という内容自体に実質的変更はない。
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