刑事訴訟法 第350条の26
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即決裁判手続の申立てを却下する決定(第三百五十条の二十二第三号又は第四号に掲げる場合に該当することを理由とするものを除く。)があつた事件について、当該決定後、証拠調べが行われることなく公訴が取り消された場合において、公訴の取消しによる公訴棄却の決定が確定したときは、第三百四十条の規定にかかわらず、同一事件について更に公訴を提起することができる。前条第一項第一号、第二号又は第四号のいずれかに該当すること(同号については、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述と相反するか又は実質的に異なつた供述をしたことにより同号に該当する場合に限る。)となつたことを理由として第三百五十条の二十二の決定が取り消された事件について、当該取消しの決定後、証拠調べが行われることなく公訴が取り消された場合において、公訴の取消しによる公訴棄却の決定が確定したときも、同様とする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第350条の26は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第350条の26の条文原文は「即決裁判手続の申立てを却下する決定(第三百五十条の二十二第三号又は第四号に掲げる場合に該当することを理由とするものを除く。」で始まります。
- 刑事訴訟法第350条の26は第二節 公判準備及び公判手続の特例に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第350条の26の前の条は刑事訴訟法第350条の25です。
- 刑事訴訟法第350条の26の次の条は刑事訴訟法第350条の27です。
- 刑事訴訟法第350条の26には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の26 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の26(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/350_26
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法350条の26は、即決裁判手続が崩壊し証拠調べ前に公訴が取り消された場合、340条の再起訴制限にかかわらず新証拠なしで再起訴できると定める。
Q · 即決裁判で一度認めて途中でやめたら、もう起訴されない?
いいえ、新証拠なしでも再起訴されます
刑事訴訟法350条の26により、即決裁判手続の申立てが却下され、または有罪陳述を翻して即決決定が取り消された後、証拠調べを経ずに公訴が取り消された場合、340条の再起訴制限は適用されません。検察官は新たな証拠が一つもなくても、同一事件について通常の手続で再び起訴できます。ただし却下理由が350条の22第3号・第4号に当たる場合は例外から除かれ、340条の盾が生きます。
解説
軽い罪で逮捕され、弁護人から「即決裁判手続にすれば、その日のうちに執行猶予付きの判決が出て終わりますよ」と勧められたとする。魅力的に聞こえる。だが、その高速レーンには表に書かれていない出口がある。刑訴350条の26だ。通常、いったん公訴が取り消されて公訴棄却が確定すれば、検察は新たな重要証拠を見つけない限り、同じ事件であなたを再起訴できない(340条)。これがあなたを守る盾だ。ところが、即決裁判手続の申立てが却下されたり、あなたが途中で「やはり認めない」と否認に転じて即決の決定が取り消されたりした後、証拠調べを経ずに公訴が取り消された場合、この盾は外れる。検察は新証拠ゼロでも、普通の裁判であなたを再びリングへ上げられる。スピード解決を選んだその瞬間、あなたは再起訴を防ぐ防壁の一部を、知らぬ間に手放している。
法的な位置づけ
刑事訴訟法350条の26は、即決裁判手続が途中で崩壊した一定の場合における再起訴の特則を定める規定である。即決裁判手続の申立却下決定(350条の22第3号・第4号を理由とするものを除く)または有罪陳述と相反する供述等による即決決定の取消し後、証拠調べを経ずに公訴が取り消され公訴棄却が確定したとき、340条の再起訴制限を排除する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
よくある質問 AI による整理
Q1即決裁判手続とは何ですか?
争いのない軽微な事件を、検察官の申立てと被告人の同意により、原則その日のうちに執行猶予付き判決まで進める迅速な裁判手続です(刑訴350条の16以下)。
Q2即決裁判手続のデメリットは?
事実誤認を理由とする控訴ができず(403条の2)、証拠開示が限定的で、途中で手続が崩れると350条の26により新証拠なしで再起訴されるリスクがあります。
Q3公訴の取消しとは何ですか?
検察官が一度提起した公訴を撤回することです。第一審判決があるまで可能で(刑訴257条)、取消しにより裁判所は公訴棄却の決定をします(339条)。
Q4公訴を取り消されたら再起訴されますか?
通常は新証拠がない限り再起訴できません(刑訴340条)。ただし即決裁判手続が崩れた一定の場合は350条の26の例外により新証拠なしでも再起訴されます。
Q5刑事訴訟法340条とは何ですか?
公訴を取り消した後、犯罪事実につき新たに重要な証拠を発見した場合に限り同一事件を再起訴できるとする規定で、被告人を反復訴追から守る盾です。
Q6即決裁判の判決に控訴できますか?
量刑不当などは争えますが、事実誤認を理由とする控訴はできません(刑訴403条の2)。有罪を認めて迅速処理を選んだ代償です。
Q7公訴時効が完成したら再起訴されませんか?
されません。350条の26で再起訴自体に固有の期間制限はありませんが、当該犯罪の公訴時効(刑訴250条)が完成すれば再起訴できません。
Q8即決裁判手続は誰が申し立てますか?
検察官が公訴提起と同時に申し立て、被告人の同意と裁判所の決定がそろって初めて成立します。被告人が自由に選べる制度ではありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1即決裁判で一度認めたら、もう普通の裁判には戻れないんですか?
戻れます。あなたが同意を撤回したり、有罪の陳述と食い違う供述をしたりすれば、裁判所は即決の決定を取り消し、通常の手続に移ります(350条の22、350条の25)。ただし問題はその先で、手続が崩れて公訴が取り消された後、350条の26により検察は新証拠なしで再起訴できる点です。実務のポイント:弁護人が即決裁判を勧めるとき、この再起訴リスクまで踏み込んで説明しないことがある。途中で気が変われば全部やり直せる、と軽く考えていると、340条の保護を失ったまま普通裁判に引き戻される
Q2結局、即決裁判手続ってやった方が得なんですか?
認めて間違いない軽い事件なら、その日に執行猶予付きの判決が出て早く解放されるという大きな利点があります(350条の29により拘禁刑なら執行猶予が必須)。だが代償もある。事実誤認を理由とする控訴ができず(403条の2)、証拠開示も限定的で、途中で崩れれば350条の26の再起訴にさらされる。実務のポイント:本当に争う余地がゼロかを先に見極めるのが肝心。少しでも事実に争いがあるなら、スピードと引き換えに失う防御手段の多さが、得を一瞬で損に変える
間違えやすい点 AI による整理
- 「一度起訴を取り消されたら、もう同じ事件で訴えられない」と思っている人は多い。確かに通常はそうだ(340条、新証拠がない限り再起訴禁止)。だが即決裁判手続が絡むこの場面では、その原則がひっくり返る。新たな証拠が一つもなくても、再起訴される
- 即決裁判手続が「被告人に有利な制度」であることは広く知られている。だが、その代償の深刻さは知られていない。事実誤認を理由とする控訴ができず(403条の2)、途中で手続が崩れれば再起訴を防ぐ盾も失う。有利さと引き換えに、複数の安全装置を同時に外している
- 「即決か普通か、損得で選べばいい」と考えているなら、問いの立て方が半分ずれている。即決裁判手続は、検察官の同意と裁判所の決定がそろって初めて成立する。あなたが選ぶというより、差し出された高速レーンに乗るかどうかを問われているにすぎない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 再起訴の可否 | 350条の26:即決崩壊後・証拠調べ前の公訴取消なら新証拠なしで再起訴可 | 340条:原則として新たな重要証拠がなければ再起訴禁止 257条:公訴の取消し自体は第一審判決まで可能 |
| 適用前提 | 即決申立却下(350条の22第3・4号を除く)または有罪陳述翻意等による取消し | 通常事件で公訴が取り消され公訴棄却が確定したこと 起訴後・第一審判決前であること |
| 被告人への効果 | 再起訴の盾を失い、通常手続に引き戻される | 新証拠がない限り反復訴追から守られる いったん公訴棄却で手続が終了する |
他国ではどう定めているか 4 か国
不起訴・緩起訴処分確定後の再起訴を新証拠等の場合に限る点で340条の盾に近い。簡易程序・協商程序の崩壊時に特化した本条のような明文の例外規定の構造は異なる。
公訴取消後は他の重要証拠を発見した場合に限り再起訴できるとし、日本340条に類似。即決手続崩壊に特化した例外規定の点では制度設計が異なる。
略式命令手続は迅速処理の点で即決裁判に近い。異議申立てで通常手続に移行する構造を持つが、再起訴の可否は ne bis in idem(基本法103条3項)の枠組みで処理される。
有罪答弁の撤回後の再訴可否は二重の危険条項と Rule 11で規律され、jeopardy が attach する時点が分水嶺となる。手続崩壊時の再起訴という発想自体は共通する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 万引きで現行犯逮捕され、即決裁判手続に同意して「やりました」と認めた。だが期日になって急に怖くなり「本当はやっていない」と否認に転じる。裁判官は即決の決定を取り消す。検察はいったん公訴を取り消すかもしれない。だがそれで終わりではない。350条の26により、検察は新証拠なしで普通の手続であなたを再起訴できる。否認に転じた瞬間、あなたは340条 の盾を失っている
- もし即決裁判手続の申立てが却下され、検察が証拠調べの前に公訴を取り消したら、これで無罪放免だと思うか。公訴棄却の決定が確定しても、検察は同じ事件で再び起訴できる。次に起訴状が届くまで、あなたに与えられた猶予は長くない
- 薬物の自己使用で即決裁判を選んだ。途中で手続が崩れ、検察が一度引き下がった。安心するのは早い、舞台はもう一度組み直される
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが被害者で、加害者が即決裁判手続に入った後に手続が崩れ、検察が公訴を取り消したとしても、それで幕引きとは限らない。350条の26により検察は新証拠なしで再起訴できる。担当検察官または検察庁の被害者支援担当に「再起訴の予定があるか」を確認し、刑事手続への被害者参加(刑訴316条の33以下)の意思を早めに伝えておく。再起訴後も被害者として関与する道は続いている
訴えられた側:1. 即決裁判手続を勧められたら、同意する前に「途中で否認に転じたら再起訴されるのか」を弁護人に必ず確認する2. 認めるか争うかは一度乗ると引き返しにくい、最初の同意の段階で決め切る3. すでに手続が崩れて再起訴された場合、却下理由が350条の22第3号・第4号 でないかを弁護人と精査、例外の適用外なら再起訴自体を争える4. 即決裁判の判決は事実誤認を理由とする控訴ができない(403条の2)点も含め、高速レーンの代償を総合判断する
時効(請求できる期限):公訴の取消しは第一審の判決があるまで可能(刑訴257条)。再起訴それ自体に固有の期間制限はないが、当該犯罪の公訴時効(刑訴250条)が完成すれば再起訴はできない。時効期間は罪の法定刑により異なるため、対象犯罪ごとに起算点と期間を確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は即決裁判手続の迅速性と再起訴からの被告人保護(340条)との均衡を図る規定と理解される。手続崩壊が被告人側の事情(同意撤回・有罪陳述の翻意等)による場合に限り新証拠なしの再起訴を認め、検察官の事情による350条の22第3号・第4号該当の却下は例外から除外することで、制度濫用を抑止すると説明される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)新設、平成18年(2006年)施行 即決裁判手続の創設に伴い、その手続が途中で崩れた場合の再起訴ルールとして新設された。なお現行の条番号は、平成28年(2016年)改正で協議・合意制度が350条の2以下に挿入されたことに伴う繰り下げを反映している(条番号の沿革は現行効力を要確認)
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:即決裁判手続(刑訴350条の16以下)の創設に伴い、手続が途中で崩壊した場合の再起訴ルールとして新設された(平成18年〔2006年〕施行)。
- 2.平成28年(2016年) 改正:協議・合意制度が350条の2以下に挿入されたことに伴い、即決裁判手続の各条が繰り下げられ、現行の350条の26という条番号になった(条番号の沿革は現行効力を要確認)。
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